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宣戦布告前

お待たせしました。



唐突に大規模な大地震が起きたサウザラート王国。


国として、物理的に崩壊していた。


大地震は、自然のものではなく人為的なもの。


建造物は大地震により、硝子は割れ、地面は裂かれ、柱は折れ、天井が崩落ししてしまう。人々は悲鳴を上げ助けを求める声が耳を塞いでも聞こえてくる。そして崩れた瓦礫の下敷きとなったし住民達も、互いに助け合いながら懸命に今を生きていた。



「これは、はっ!?」


「シリル、大丈夫!?」


「う、うんっ!でも、これはなんなの!?」


「わ、わからない!」



隠れ家に待機していた葵とシリルだったが、大地震のせいでその隠れ家までもが崩壊していた。例え耐震の建物であっても、破壊そのものを具現化に徹した地震では何の意味を成さない。仮にこの大地震が日本で起これば確実に日本そのものの国が海に沈む可能性があるだろう。まだサウザラート王国は日本の様な海に囲まれた国ではないだけ幸運だったのかもしれない。が、被害に遭った国民達からすれば幸運も糞もないだろうが。



「きてますきてますっ!」


「つよいけはいっ!おうきゅうから?」



葵とシリルの肩に乗っていた『ちびシキ1号』と『ちびシキ2号』は耳と尻尾をアンテナの様にビンっ!と立たせながら慌ただしくしている。しかも『ちびシキ1号』と『ちびシキ2号』が余程の事が無い限り喋ることはなかったが、その余程の事が今起こっていたのだ。



「あおい、てきにはちゅういです!シキさまにれんらくちゅうっ!」


「ただならぬちから!アレがちょくげきしたら、さいあくしんじゃう!」



『ちびシキ1号』と『ちびシキ2号』は非常に危険視していたのは、この大地震を引き起こした原因たる張本人。大地震等の自然災害は、[超越者]からしても危険極まりないのだ。自然災害は、大地震の他に津波や台風等が大気中の魔力が酷く濃密に凝縮された脅威そのもの。その中でも大地震は、己の身体を揺らされ、体内の魔力を必要以上に掻き乱すもの。だからこそ、大地震の揺れを受けた葵とシリルは三半規管を意図も容易く崩され、強制的に酷い乗り物酔いになってしまう程の影響力なのだ。二人共、一度も乗り物等で酔った経験は無く、修行によって三半規管が常人よりも遥かに鍛えられていたにも関わらず、である。



「まさかっ、ジークが!?」


「こんな力を持ってるなんて、聞いてないよ!?」



最初はジークによる攻撃か何かだと考えたシリルだが、即座に葵はそれを否定する。葵は情報収集の為に、ジークの人柄を調査していたのだ。それに加えて、リラからも直接この国に向かう前から聞いていた。


ジークは、魔力は有するが魔法は使えない。昔は(・・)は、剣術はその当時の老いた騎士団長から鍛えられた事により、次期騎士団長候補にも選ばれたらしい。だが、今は亡きアルトレアの母であるルーシェと清拭に結婚した後からおかしくなった。おかしくなった、とは端から見た感想ではなく親しくしていたかつてジークの親友や友人に親族からの話だ。まるで人が変わった(・・・・・・)様に、ルーシェだけを妻にと決めていたのにも関わらず他の女性と婚姻を結ぶ様になったのだ。周りからは、『勇者』として、加えて貴族の仲間入りになった為に、権力と金に溺れて『墜ちた勇者』とまで言われてしまう程に変わってしまったのだ。


今思えば、おかしくなった時に中に眠っていた・或いは潜んでいた転生者の意識がジークの身体を奪ったのだろう。そして主導権を握り、好き勝手生きてきたのだろう。ジークの意識は未だにあるのか、それとも消えてしまったのかはわからない。だが、これはあくまでシキの想像した内容だ。



「……シリル、王宮に行こう」


「第二撃が来るかもしれないかね」


「既に突入している反国勢力もあるらしい。そこに紛れてジークを捕らえよう。他の勢力も攻めてきている可能性もあるかも」


「この地震の原因、だね」



シリルと葵は、王宮へ向かうことになる。


そこで、大地震の元凶と衝突するのは時間の問題であった。






次回は1/30(木)に投稿です。

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