サウザラート国、崩壊
明けましておめでとうございます!
これからも『~他の異世界に召喚されたけど自由気ままに旅しよう~』を宜しくお願い致します!
最初に起こったのは、これまで国民が感じたことがない大地震であった。左右に揺れるだけではなく、上下に揺れる尋常ではない揺れ方。大地は割れ、地面が傾く。そして建物も音を立てて崩れていくのだ。
どれだけ耐震性がある建物があったとしても、地面自体が割れ、傾いてしまうのならばそんなものがあっても無意味である。人々の悲鳴が響き渡り、辺りは地獄絵図と化している中、一人の白狼の女は高らかに吠える。
「ガハハハハゥッ!!!どーこにいるんだァ、『勇者』の王サマよぉぉお!!!」
「ぅ……ぁ……」
白狼の女───ヘムンドゥは、片手に血を流してボロボロとなった貴族の男を掴みながら王宮を散歩感覚で歩いていた。貴族の男はデップリと太った醜い姿で、実は新大臣だったりするのだ。
そしてヘムンドゥの後ろには血だらけの貴族や騎士達が山積みになっている。デップリと太った新大臣は見た目は美女のヘムンドゥを己のものにしようとして騎士達に捕らえるように命令したのだが、全員返り討ち。そしてぼこぼこに殴られた新大臣は身体中から体液を垂れ流しつつ、気絶していた。
「おいおーぃ!『勇者』の王サマー!何処にいるんだァ?」
ヘムンドゥは邪魔になった新大臣を真上に放り投げると、上に飾ってあった剣士の銅像が持つ剣が突き刺さってしまう。背中から突き刺さった新大臣は己が死んだことに気付かすに絶命してしまう。
「まさか逃げたのかァ?」
王宮を辺り見渡すのだが、やはり『勇者』の姿は見えない。だが、ヘムンドゥは考える。『勇者』ならば、あの愚者ならばどういう事をするのかを。
「女とヤってるな?」
そう結論付けたヘムンドゥは次は王宮の寝室へ向かうのだ。しかし、その前に一人既にそこに辿り着いている者がいた。
「ちっ」
「御待ちしておりました、ヘムンドゥ様」
犬の獣人のメイドが既に白いロープで拘束された半裸の男を横に転がせていたのだ。ヘムンドゥは露骨に嫌な顔をするが、メイドは動じずにお辞儀をしていた。
「なっ、なんだ、お前!この俺様が王と知っての狼藉か!!!」
「よぉぅ、『勇者』の王サマ?」
「じゅっ、獣人!?」
「で、何してたんだコイツ」
「お楽しみだった様で……しかも相手は10も満たない少女達を監禁した上で───」
「それ以上言うなくそ女。まー、そういうことしてるか。流石は『勇者』サマっ!」
「ぐぁっ!?」
ヘムンドゥは身動きが取れぬ『勇者』ジークの顔面を蹴って気絶させる。鼻や口から血は出ているがそれほどではない。が、顔面を蹴った事により、頬が赤黒く腫れ上がっていた。
「さぁて……おいくそ女。お前が持ってる[鑑定玉]を貸せ」
「畏まりました」
メイドから[鑑定玉]と呼ばれる水晶を受け取ると気絶した『勇者』ジークを通して見てみると、[鑑定玉]に文字が浮かび上がっていく。
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名前 ジーク(/-+#_%4=9)
性別 男
職業 勇者
状態:自我封印
レベル 57
体力 370
魔力 185
筋力 400
耐久 560
俊敏 940
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【反則スキル】
成り変わり
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[固有スキル]
勇者
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[スキル]
剣術.7
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[称号]
勇者
チート使い
外道
愚者
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「あ?状態異常だァ?」
ステータスに描かれた文字に眉を潜ませるヘムンドゥ。
しかし、『勇者』ジークがどんな状態だろうか関係ない。ただ、やることは一つ。
「宣戦布告だぜぇ?この世界に蔓延る『勇者』になァ!!!」
ヘムンドゥは何をするのかな?
次回1/16(木)投稿します。




