小早川麗奈
前回のあらすじぃぃい!
『依頼頑張る!』
『リゼット、アルトレア、ランスロットレベルアップ!』
『ほめてほめて~!』
『勇者達目撃!』
『再会の予感?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
ギルドへ依頼達成の報告をして報酬を貰いランスロットを宿の馬小屋へ入った後、シキ達は街中をよく見ていなかったので3人でブラブラと散歩することとなった。
「なあなあ!あの屋台の肉食いにいかねぇか?」
「良い匂いですね~」
「そうだな。おっちゃん、三本くれないか?」
「三本かい!ほい、おまち!3人共別嬪さんだから只にするよ!」
「……ありがと」
女と間違われた事に少し苛立ちはするがタダで貰えたので気にしないことにするシキだが少し不機嫌そうな様子にリゼットとアルトレアも気付いていた。
「……はい」
「なあシキ。そんなに落ち込むなよ」
「そうですよ、シキさん」
「……うん」
二人から慰められて少し元気になったシキは再び歩き出すが近くの居酒屋で何やら騒ぎが聴こえてきた。
「おいねーちゃん、かわいいじゃんか」
「俺達と一緒に飲まねぇか?」
「いえ、結構です!私は人を探してるんです!」
「つれねぇなぁー、少しくれぇいいだろ?」
「へっへっへ、ほら良い身体してるなぁ~」
「止めてくださいっ!」
酔っ払ったおっさん2人が完全に出来上がっていてその一人の女性に詰め寄っている。だが女性の方は怯みもせずに強気に立ち向かっていた。
「(……何でここにいるんだよ。小早川先生~!!!)」
そう、今酔っ払いに詰め寄られている黒髪ポニーテールの女性は小早川麗奈だっのだ。しかも服装も露出が多く、具体的に言うならば肩やお臍が外に出されている。そして身体のラインが目でもわかるような服装で服は二重に着てるとはいえ、胸がかなり強調されていて男ならば誰もがガン見してしまうほどだ。
それはシキも言える事だった。
「……おい、後で話がある。今は助けるぞ」
「……シキさんも男の子なのはわかっていますけど……シキさん覚悟してくださいね?」
「何でだよ……」
シキは2人に怒られながらも小早川を助ける為に動き出した。
「おいおっさん!酔ってるからとはいえこれはやり過ぎだ!」
「その人嫌がってるじゃないですかっ!」
「お?こりゃまた中々可愛い子がきたじゃねぇか」
「二人も俺達と遊ぶか?」
「なっ!?その二人は関係ないでしょ!」
次はリゼットとアルトレアが標的にされるが遅れてその場にシキが入ってきた事で更に事態は面倒な事になってしまう。
「おいおい!そこのねーちゃんめっちゃ可愛いじゃねぇかよ!」
「胸は無いがすげぇいいぜ~!」
二人の酔っ払いはシキに手を向けようとするがその手はシキの服にも触れる事は無かった。
「……『殺すぞ』?」
「あがっ……!?」
「うぐっ……!?」
シキは酔っ払い2人だけに向けて殺気を放つと失神したかの様に白目を剥いて口から泡を吐きながら崩れ落ちる。死んではいないが気絶しているだけだ。そしてその様は絶対王者が降臨したかの様だった。
「こっ……そこの人、大丈夫か?」
「えっ……あっ、はい!大丈夫です!」
「怪我は?」
「い、いえ……」
無事なのを確認すると何故こんな場所にいるか聞いてみた。
「実は……私の教え子に不知火姫希……いえ、ヒメキ・シラヌイという男の子を探しているんです。隣国のエルディンテで探したんですけど見つからなくて……なら、エルディンテの隣国のバルリムでなら見つけられる!……と思ってたんですけど……。」
その理由を聞いてシキは思った。『あれ?これって、俺のせいじゃね?』と。
だがあの酔っ払い2人を相手をすることは『勇者』の一人である小早川でも十分対処できただろうが……。
すると居酒屋にいた客から声が聴こえてくる。
「……あの可愛い子、何したんだ?」
「魔法か何かか?」
「美人で強いって凄いな」
「でも、女でも格好いいわよねー、あの子が男だったら良いのにー」
「あぁ……御姉様……」
「おい、声かけてみろよ!」
「ばっ!?無理だろ、可愛い女の子だけども、あんなの殺されるぞ!」
好き放題言っているみたいだがシキはその飲んでいる野郎共に向かって聞こえる声で言い張った。
「俺は女じゃねぇ、男だ!間違えんなっ!」
その瞬間静まり返るが次には特に黄色い悲鳴が上がった。
「うっそー!あの子男の子なの!?」
「凄く美人なのに……」
「御姉様じゃなくて御兄様だったのねっ!」
「何か……ドキドキしてきた……」
「美少年……」
その場にいた女性達はシキの方を見ながら熱い視線を注いでいる。そんな視線に気づかないシキは小早川の方に顔を向けると、小早川はシキを見ながら頬を染めてボーッとしていた。
「えっと、大丈夫か?」
「……王子様」
「は?」
「えっ!?い、いえ!何でも無いですよ!」
「そ、そうか?」
「えっと……先程はありがとうございました……その……」
「その?」
「わ、私、教え子を探さなくちゃいけないので!」
小早川はまともにシキの顔を見られずにその場から離れようとするが、その彼女の手を取って行くのを阻止するシキの行動はまるで何処かの乙女ゲームにありそうなシチュエーションでありそうなものであった。
「待って!」
「ひゃいっ!?」
「その教え子はどうして居なくなったんだ?」
「……彼は……自分が適性が無いからって……一人で出ていって……」
「それは彼の意思で出ていったんだろ?」
「……はい」
「年齢は?」
「16才です」
「なら、もうその彼も大人だ。彼がその選択をしたんなら貴女がどうこう言うことも無いと思うが?」
「それでもあの子も私の教え子なんです!私が守らないと……」
「貴女には色んな物を守らなくちゃいけないかもだが、そんなに離れた物まで守ろうとするといつか守れる物も守れなくなるよ?」
「っ!?」
小早川はシキの言葉に悔しそうに唇を噛み締めながらその黒真珠の様な2つの瞳から涙が溢れそうになっている。
シキは少し言い過ぎたと思いながら小早川の頭にポンッと手を乗せると優しく微笑んだ。
「貴女が今守るべき存在を守ればいいんだ。無理に何でも間でも守らなくて良い。もしかするとその彼もこの世界に自由気ままに旅してるかもしれないだろ?」
「……そう、かもですけど」
「そうだろうな。だから、な?今は近くにある大切な存在を守ればいいさ。」
「……一つ、いいですか?」
「ん?」
小早川は頭に乗せてきたシキの手を両手で掴んで頭から離すと自分の胸に押し付ける。
「っ!?何を!?」
「いつか……いつか私が、今ある大切な存在を守れる様になって更に強くなったら……その時は、私が貴方を守ってもいいですか?」
「……どうだろうね」
告白同然の小早川の発言に少し驚いたシキだったが、それをあやふやに返してしまう感じになってしまう。だが、それでは可哀想だと思ってシキはその時は忘れているだろうと踏まえてこう言った。
「ま、期待してるよ」
そう言うと少し悲しそうだった小早川の顔に笑顔になっていく。
「待っててくださいね?」
小早川は胸に押し付けていたシキの手を離すとバルリムの王宮へと戻っていく。
そしてここからが問題だった。
「……シキ」
「……シキさん」
後ろから2人の怒りの視線が突き刺さり、横からリゼットとアルトレアに引き摺られる様にして宿の部屋へと直行した。
それからは2人の説教が夜遅くまで続くのであった……。
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