"波動の撥"
お待たせ!!!
今日は休日なのでこんな時間に……!
てか、次のイベントで千子村正、実装されんじゃ……?
皆さん、魔法石の貯蔵は大丈夫かっ?
「カグヤに神が……?」
王座に座る存在、『七天魔皇』の一人ミュランは目の前に膝まつく第一騎士である2メートル程の身長もあるだろう『オーガ』の女に確認を問う。『オーガ』の女はミュランに忠義を誓っているのか、その体格と雰囲気には似合わない綺麗な口調で返答する。
「ハッ!先程第二騎士の偵察隊『翼鳥人』等が目撃したと。そして、その神にその眷属等は現在戦闘中とのことです」
「……そう、か」
ミュランは思わず険しい表情をしてしまう。
彼女がその様な表情になるのは仕方がないだろう。
娘である『エマ』が、そのカグヤにいるのだから。
そもそもは異世界から召喚された『勇者』等の監視等であったが、実際は何処から連れてきたのか分からない娘の子『ミユ』の子守りもしている。前までは男勝りで子供など一切興味もなかったあの娘が、自分のお腹を痛めて産んだわけでもない子供を実の子の様に育てていたのだ。親であるミュランも何も思わなかった訳ではない。
「王よ。カグヤには第三騎士……エマ様と直属の部下であるジュドーラ、そしてヘムンドゥもいます。彼女等の救出を……」
「……えぇ、そうですね」
まさか、カグヤに神とその眷属が攻めてくるなんて思いもよらないだろう。恐らくこの世界中が、誰もが思っているに違いない。そもそも神と言う存在が居るのは誰もが知っている。しかし、実際にこの世界に神が降り立ったというのは長らく生きるミュランでも聞いたことがないのだ。しかもその神が眷属を率いて一国のカグヤに攻め込むなど。正直神話での話くらいでしかないのだ。
「今すぐに第一騎士団から第十二騎士団で精鋭部隊を編成しなさい」
「ハ!」
ミュランは一刻も早く娘とその部下達の救出を試みようと精鋭部隊の編成を第一騎士の『オーガ』に一任させる。
しかし、世の中そう上手くいかないものである。
そして現実は非情だ。
突如『七天魔皇』のミュランの、『シルヴァクス騎士団』の本拠地である大きな城にまるでこの場所が震源ではないかと思わせる程の地震が起こったのだ。
「っ!?」
「ぬっ!?なんだ、この揺れば……っ!!!」
ミュランは王座から激しすぎる揺れでずり落ちてしまいそうになり、第一騎士の女もその場で耐える様に両手で踏ん張っていた。二人の表情はかなり苦痛である。
この揺れはただの地震ではない。
ミュランや第一騎士の女もそれを直ぐに理解していた。
するとこの上下左右に激しく揺れるこの地震の中、ふらふらとしながら一人の騎士が倒れこむ様にしてミュランの元へ膝まついた。しかし未だに続くこの揺れのせいで両膝をついてしまいながら苦しい表情で言う。
「どう、したのです……!」
「く、くぅ……王様、この城に、ヘムンドゥが……」
「何!?ヘムンドゥ、だと!?あやつはカグヤにいるはず……」
この城にヘムンドゥがやってきたと言う騎士。よく聞けばそのヘムンドゥはいきなり現れたかと思うと城の中へ向かっていったらしい。別に同じ騎士である為、この城に入るのには問題はない。
が、ヘムンドゥは強引に城にあるある場所へ向かったのだ。それを全員の騎士達で押さえようとしたのだが、その場にいた第四騎士と第八騎士とその部下達が戦闘不能にされてしまったのだ。何とかこの事態を慌てて他の騎士達にも伝え、そして王であるミュランの元へ駆けてきた。
「ヘムンドゥは、何処へ向かったと言うのです?」
「……"宝物庫"、です」
~~~~~
「ガハハハゥゥウウ!!!こりゃぁすげぇ!!!まさか、この棒二つが《"波動の撥"》だったとは……カグヤの大書庫館に潜入した甲斐があったぜ!!!」
血濡れの白狼族の女……ヘムンドゥが右手に水晶の様な透明な棒を、左手には岩で固められたかの様な棒を二つ持っていた。
現在ヘムンドゥがいるのは『シルヴァクス騎士団』の本拠地である城から少し離れた見晴らしの良い丘の上である。
「それにしちゃぁ、まさかカグヤに神が攻めこんでくるたァ……」
その言葉だけならば、非常に残念そうにも感じるがヘムンドゥ自身はまるでそんな予想外の展開に笑いが込み上げていた。そして彼女が先程放った"波動の撥"で叩いた場所、『シルヴァクス騎士団』の城の状況を眺めていた。
「ガハハゥ!まさかこれほどの力だとは……やはり俺の睨んだ通り最強の武器『"波動の撥"』手に入れたぜ!!!そして、俺の考える通りなら……ガハ、ガハハハゥゥウウ!あの原初の神たる二体のモンスターを完全に目覚めさせる事が出来るなァ!!!」
ヘムンドゥは未だに抑えられぬこの興奮を力でぶつける。
「王様……いや、『七天魔皇』ミュラン!!!そして『シルヴァクス騎士団』!!!もうてめぇらは用済みだ……だが、感謝してるぜェ。てめぇらのおかげでこの"波動の撥"を手に入れた。だからよォ……その感謝の印に、"波動の撥"を見せてやるよォ!!!」
そう言うと"波動の撥"の岩で固められたかの様な棒……《全》を城に向けて大きく振りかぶると、そのまま距離があるにも関わらず何もない場所へ叩きつけたのだ。
ーーードンッ!!!!!
何もない筈なのに《全》はその場で何もない空間にぶつかってしまう。ぶつかった《全》の棒先から大きく広がる様に波が生まれる。その波は捻れ狂うようにギュルルルルと決してあってはならない現象が徐々に大きくなっていく。
その波は確実に波を受けた場所も被害を出していく。
まずは、大地に地震と地割れが起こった。
そして地割れはまるで渦を描く様に蟻地獄の様に城を傾かせる。その蟻地獄の中心からはゴボゴボと溶岩がマグマの泡を立てながら火山でもないのに今にも噴火しそうだ。誰もがこの桁外れの災害に城はもう手遅れだと思うだろう。
「ガハハハゥウッ!こりゃぁ、すげえ!!!なんて力だァ……ガハッ、ガハハハゥウァア!!!いいねぇ!!!こりやぁ、テンションがハイになるってもんだァ!オラ、もう一発ッ!!!」
最後に天空に向けて《全》を叩く。
先程と同様に空の雲や風が捻れ狂うよう。
ヘムンドゥは天空に全方向から大量の雲がぶつかり、密集させてしまうほどの現象を意図も容易く起こしてしまう。その入り乱れた不自然すぎる大量の雲の色はドス黒く、まだ日が出ているにも関わらず辺りは真っ暗になってしまう。だが、そのドス黒い雲から赤や青の雷が常に光るお陰で全く見えない訳ではない。しかし目に悪くなるだろうが。
「いい感じじゃねぇかァ。次は……あの神殿に行くかァ」
その場から立ち去るヘムンドゥであったが、彼女は知らない。
自分が放った一撃は思った以上の広範囲に影響を及ぼし、とある大空に聳え立つ『雲の柱』に傷付いた身体を休め終えた存在が怒りを露にして『雲の柱』の頂上から飛び立ったのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
┼┼┼≪"波動の撥"≫┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃かつて神話でしか語られなかった武器。
┃詳細は不明で姿形も一切書物に載せられて
┃いなかった。ただ≪全≫と≪無≫という武器
┃を合わせて"波動の撥"と呼ばれている。
┃《全》はあらゆるもの全てを乱し。
┃《無》はあらゆるもの全てを消去させる。
┃ 言い伝えでは本来は武器ではなく、ある儀
┃ 式に使用されるものだったらしい。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




