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王とは、国を守り民を守る者

お待たせ!!!


投稿が遅れた理由……とある名前を3つ考えるのに時間が掛かってしまった、という言い訳です。


ごめんちゃい。





王座に鎮座する倭国カグヤの王は、王宮に留まりながらもこれからやってくる存在を待っていた。その傍らには魔法の杖らしき物を手に持つ翠が待ち構えている。



「……きたか」



そう呟いた瞬間、王座の間のその中心に神々しい光が現れる。その光は目に刺激は無いものの、その光から現れる存在にカグヤの王は目を細目ながらも威圧感……[神威]を感じ取っていた。


カグヤの王が睨み付ける、その先。


そこに現れたのは、一柱の女神。


女神クシャルであった。


神が目の前に降臨したのだが、それを全く動じないカグヤの王。大抵は神を目の前にして意識を保つのさえ困難だと伝えられているのだが、実際はそうである。だが、カグヤの王はむしろ女神クシャルに対して静かに怒りが現れていた。



「貴殿が……我が国に攻めてきた首謀者か?」


「えぇ。それにしても呑気なものね、カグヤの王様?まあ、たかが『カグヤの守護神』を操ることしか出来ない人間なのだから……身の程を知りなさい、雑種が」


「雑種……か。なるほど、神である貴殿からすれば我は雑種か。……しかし、身の程を知るのはキサマの方だ!」



王座に座っていたカグヤの王はそこから立ち上がった。


女神クシャルは、[神威]を最大に殺気として放ったにも関わらず全く効いてもいない。むしろ、カグヤの王に対して怒りを高めただけである。


カグヤの王は仁王立ちしたかと思うと両手を手を仰ぐように挙げたのだ。杖は持ったまま。


そして一気にそこから身体を凝縮するように両腕を自身の胸にクロスさせる。力を込めて身体の芯から己を解き放つ様にクロスした両腕を解いた。



「ふんっ!!!」


「なっ!?!?」



カグヤの王の上半身が露出される。


その露出された身体は見たものを驚かせる肉体、筋肉。


上の服ははち切れる様に散っていったが、王のマントは健在である。あまりにもアンバランスではあるが、それでも王者として迫力のある膨張したかの様な上半身。しかし、それはよくよく考えれば服のせいでそんな肉体をしていないと勝手に勘違いしていただけである。


そして、女神クシャルが驚いたのはそこではない。


確かにカグヤの王が、上半身筋肉ムキムキでしかし細い身体は何処の武道家かと思ってしまうだろう。膨張した筋肉は流石の女神クシャルでも怯んでしまう。だが、それよりも身体から放たれる[闘気]が女神クシャルの[神威]とせめぎ合っていたのだ。



「(なんていう、この威圧感は……!)」


「貴殿は思っていただろう、王は戦わぬ存在だと」


「!」



カグヤの王は女神クシャルの方へ一歩進んだ。


今のカグヤの王は長く枯れた白髪がゆらゆらと逆立っており、更には多く蓄えられた髪と同じ色の髭が更に威厳を高めていく。


その姿は、まさしく"戦神"。


女神クシャルよりも存在感はカグヤの王の方が凄まじい。



「キサマが思うほど、王というのは弱くはない。王とは、国を守り民を守るもの……それをキサマ等、よくもまぁ、やってくれたな!!!」



ビリビリと皮膚に電気が流れた様な、針が全身に刺されたかの様な感覚を女神クシャルは受けてしまう。しかし女神クシャルは臆することなく目の前に三つの魔方陣を展開させた。



「来なさい!『大焦熱の番神(イフベロート)』、『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』、『白き聖霊王(レタルキュゥトス)』!!!」



魔方陣から現れた……召喚されたのは、三体のモンスター。


そのモンスターは、神に近きモンスターと呼ばれるこの世界では古来より伝説上の存在であった。


大焦熱の番神(イフベロート)』……全長は約3メートルの炎に溶岩の鎧を纏う巨人。炎だけでなく黒き煙を身体から涌き出てくる。この『大焦熱の番神(イフベロート)』という名前は"悪神を裁く者"という意味を持つ。神話で神々がこの世界へ降り立った時代に、蛮行を繰り返す愚かな神々に裁きを行ったとされるモンスターであるとされている。


雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』……『大焦熱の番神(イフベロート)』よりは小さいが、獅子の様な鬣を持つ仙人の様な稲妻の猿モンスター。容姿は猿というより猿人の方がしっくりくる。『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』とは"希望の光"と言う意味がある。それは『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』が人類にとっての悪を滅ぼす存在であるからだ。この『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』はかつて『悲劇の英雄』を陥れた『勇者』をたった一撃で殺害した存在でもある。


白き聖霊王(レタルキュゥトス)』……最もサイズ的に小さい人間的ではあるが、容姿は身長含め成人男性の姿。何処かめんどくさい様子ではあるが、『白き聖霊王(レタルキュゥトス)』という存在は"冬の始まり"という意味で旅人達には特に知られている。神話では、強大な力を誇る存在でありながらどんな神々や英雄等に一切味方をせずに中立を保っていたとされているのだ。


そんな伝説上の存在、『大焦熱の番神(イフベロート)』、『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』、『白き聖霊王(レタルキュゥトス)』の三体を目の前にしてカグヤの王は『ほぅ』とまるで感心したかの様子である。



大焦熱の番神(イフベロート)』はカグヤの王に言う。



≪『勇者』を差し出せぃ、このアホンダラ≫


「アホを抜かせ、あの『勇者』はまだガキだ。まだ改善の余地はある。それを正すのが、大人の責任だろうがよ!!!」



そのカグヤの王の発言に『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』は鬣を手で撫でながらカッカッカと笑う。



≪いやぁ~、まあ何とも優しいこってぃ……。しかしよぉ、わしゃぁーはもうあんな悲劇(・・・・・)を見たくねぇんでさぁ。はやめにあぶねぇ芽は摘んだ方がいいと思うんだねぃ?≫


≪……≫



頭を掻きながら『白き聖霊王(レタルキュゥトス)』は黙ってはいるが、『大焦熱の番神(イフベロート)』や『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』と同様らしい。


しかし、例えここで話が『勇者』等を差し出したことに賛成したとしても既に遅いのだ。女神クシャルは確実にこの倭国カグヤを滅ぼそうとしている。



「あの『勇者』等が何かバカなことをすればこの儂が裁きを下すと言っても、納得はいかんのか?」


≪あ゛ぁ?起こっちまったら、遅いんじゃ!!!どれ程の人間が苦しむか……!≫


「身の丈に合わぬ力を持てば異世界人でも、この世界の人々でも同じことになる!!!それを……」


≪あ゛ー、やめとこうや。カグヤの王様よぉ。こちとら既に匙は投げられてるじゃ!!!≫


「!」



大焦熱の番神(イフベロート)』の拳が怪しく鼓動する。それは火山が噴火前の予兆のような……。カグヤの王はすぐにそれを察知して、迎え撃つように『大焦熱の番神(イフベロート)』に向けてその場から(・・・・・)拳を放った(・・・・・)


大焦熱の番神(イフベロート)』が拳から放った溶岩の放出と、カグヤの王が放った拳は空気砲(・・・)として衝突したのだ。



≪……あ゛?≫


≪おぉい、中々やるじゃーねぇさ。ただのパンチで(・・・・・・・)その場の空気で押しぶつけるなんてねぇ?≫


《……》



三体にとってもカグヤの王の実力は無視できないほどに注目されていた。


大焦熱の番神(イフベロート)』は相手を仕留める一撃を相殺されたことに身体をふつふつと燃え煮えたぎりながら怒りを高めていた。他二人はとても面白いものを見つけたかの様である。



あれ(・・)が伝説の、『大焦熱の番神(イフベロート)』の一撃か?」


≪……ッ!!!≫



怒りを爆発させてしまいそうな『大焦熱の番神(イフベロート)』であったが、横にいた『雷纏う猿獅(ポンカ・モンラ)』は雷を放ったかと思うとそれを鞭の様にカグヤの王へと振るった。それは単なる無知ではなく、雷の鞭。ありとあらゆる動きをするために結界などで防ぐのは用意ではない。その雷の鞭がカグヤの王に襲い掛かると誰もが思った瞬間、横から水の胴が異様に長い蛇がその雷の鞭を絡めとる様にして自身へ電流を受け、阻止したのだ。



「感謝するぞ、翠殿」


「いいえ、カグヤの王。これは私にとっても無視は出来ませんからね、これは」



阻止したのはシキの小尾、翠であった。


翠は杖を『大焦熱の番神(イフベロート)』等、そして女神クシャルの向けて先端を向けながら言う。



「これ以上、この国でどんちゃんされたら困るんですよ……ここまで攻めてきた、ってことは覚悟は決めてるんでしょうね?」



翠は自身の周りに水と植物の蔓を守護させている。その水と蔓は動物の様に動いていた。


カグヤの王と翠の双方を見据えながら女神クシャルは己の武器である杖を地面に叩き、そして長剣を倒すべき敵へ剣先を向けた。



「さぁ、伝説のモンスター三体相手に貴方達はどこまで出来るのかしらね?」






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