本体、動く
どうも!
最近この作品のリメイクをしようか考えている作者です。
いよいよ、動き出しますよー(遅いけど!)
光があるからこそ、生物は物の形を・色を判断して認識している。そう考えると光というのは生物にとってはかけがえのないものだ。この世を写し出すものは全て光でもあるのだ。
「ーーーなっ!?」
だからこそ、仮面女は気付かなかった。
光は生物にとって、あって当然な存在。
光そのものであれば、標的に向けて姿を完全に消す事ができる。それは光そのもの……光の化身でもある『神聖帝獣ナテアクナラ』であれば造作もないこと。
《おぃ、てめー!この国に攻め込んで来やがって!覚悟は出来てるさァ?》
「ゴフッ!?」
『神聖帝獣ナテアクナラ』の丸太の様な尾が仮面女に直撃する。仮面女も『神殺者』であり、『神聖帝獣ナテアクナラ』の気配を認識したのは尾に薙ぎ払われる数秒前。しかし、『神聖帝獣ナテアクナラ』の尾に抵抗できずに吹き飛ばされてしまう。まるで隕石が大地に衝突する一部始終であった。
《……だいじょーぶさ?》
「……」
『神聖帝獣ナテアクナラ』は未だに白き炎に身体の半分が燃やされる『漆黒の化け狐』に投げ掛ける。しかしその様子はまさしく亡骸。大口を開けて絶命しているかな様であった。『ナテアクナラ』は何度も自身の力で癒そうとするのだが、ピクリとも動く気配がない。
《……間に合わなかったさ》
《いや、問題ない》
《!》
『ナテアクナラ』と『漆黒の化け狐』の間に影が広がる。この場も『神聖帝獣ナテアクナラ』の叡智によって光の大地となっていたのだが、不自然な影のせいでバグの様にも見えてしまう。
そこから現れたのは分身の一人、影の傭兵『シャドー』であった。
シャドーは言う。
《あれは単なる死んだふり。大分負傷しているが……クロ、起きよ》
「……ぷはァァ!?!?え、なに、あの龍味方だったの!?良かった……めちゃ怖かったし……あ、シャドー。痛すぎて動けん。助けて」
《あぁ、すまない。敵を目の前にして下手な動きはしたくない》
「え、酷くない?ほんと、泣いちゃうからな、まじで」
《仕方があるまい。戻るがよい》
「……サンキュー」
そう『助かった』と安堵の息を着いたクロの身体に異変が起こった。身体は黒く儚く輝いたかと思うと細かな結晶となり、シャドーの身体へと吸収されていく。
しかし、そんなガラ空きなシャドーに向けて仮面女が吹き飛ばされた場所から氷の腕が伸びていく。その氷の腕は、その手は明らかに握り殺す狙いだろう。
だが、その氷の腕はシャドーの元に届くことはない。
《無駄だ》
氷の腕の影が突如として不安定に歪む。その歪みは瞬時に、鏡に写し出されたかの様な氷の腕が現れ、本物の氷の腕とぶつかった。そして互いが互いを絡み合う様に攻防していたが、本物の氷の腕が破壊されたのと同時に写し出された氷の腕も全く同様に破壊してしまう。
「影を纏う武具……『影鏡の鎧』ねぇ……中々大層なものを持ってるじゃない?そんな神話の遺物に取り憑くなんて、大それたことをするわねぇ……」
仮面女は『ナテアクナラ』による攻撃にも無償で立っていた。その相手の様子にシャドーは近くの影から一本の大剣を取り出す。その大剣は『影鏡の鎧』と等しい存在『影鏡の剣』であった。その『影鏡の剣』をシャドーは仮面女に向けて斬撃を放った。
「『影鏡の鎧』だけじゃなくて『影鏡』の剣』も……っ!厄介なものを持ってるじゃない……!」
すかさず仮面女は氷の長剣を自分の周りに生み出すとシャドーの斬撃諸ともシャドー自身を串刺しにするつもりであった。が、シャドーの斬撃は攻撃ではなかった。
「っ、それ、卑怯じゃない?」
シャドーが放った斬撃は仮面女が放った氷の長剣を全て飲み込んだのだ。斬撃は氷の長剣達を飲み込んで影の塊となりその場でとどまってしまう。その斬撃と氷の長剣がぶつかった場所で止まったかと思うとすぐに影の塊から先程仮面女が放った氷の長剣が現れたのだ。
その氷の長剣達が向ける剣先は……仮面女。
「くっ!?うっとおしぃ!」
仮面女の氷はシャドーの前ではほぼ無意味となっていた。
シャドーがやっているのはごく単純なこと。
では、質問だ。
どれだけ動いても逃れられないものは?
それこそが"影"である。
このシャドーと仮面女の戦いは物と影のやり取りなのだ。
影があるからこそ、"鏡のように影から同じものが現れる"のだから。それこそが『影鏡の鎧』と『影鏡』の力の正体。
だが、残念ながら致命的な弱点があるのだ。
その弱点とは、簡単に言葉にするならばこう表す。
仮面女はシャドーに勝てない。
そして、シャドーも仮面女に勝てない、のだ。
所謂、物と影の関係だ。
どれだけ鏡のように影からものを生み出してもその影となるものが壊れてしまえば影も同じ。
ある意味防御面からすれば最強ではあるが、逆に攻撃はかなり劣ってしまう。それは『影鏡の鎧』と『影鏡の剣』の力を発揮していればの話だが。
しかし、この場にはシャドーと仮面女だけではない。
シャドーが盾となり、『ナテアクナラ』が矛となる。
《後ろがお留守さっ!》
「ーーーっ!?」
『ナテアクナラ』から放たれた反射する光線は仮面女の死角を確実に狙ってくる。それを阻止しようと自身の周りに氷の槍を地面から幾つも生み出すのだが、それは完全に悪手となってしまう。
「な!?」
光の光線は氷の槍を反射して、逆に仮面女を取り囲む様に囲まれてしまう。自分の咄嗟の行動が失態だと気付き、真上から回避しようとする。が、それを逃がすはずもなく囲まれていた光の光線の檻から無数の糸のようなものによって足を取られてしまう。ガクッと回避を失敗した仮面女に更に両腕を光の糸で拘束されてしまったのだ。
「……これは、中々手強いわね」
しかし彼女は笑っていた。
加えて、まだ無傷である。
この時、シャドーと『ナテアクナラ』は思った。
まだこの者は、本気ではないと。
《(急がれよ、本体。このままでは、不味いことになるぞ)》
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
蒼く透き通った空の下。
そこには巨大な木が聳え立っていた。
木の大きさは、地球上にある木が雑草位でしかない。
それほど、巨大で、そして神々しくもあったのだ。
巨大な木の名は「 世界樹 」。
その「 世界樹 」の下には、一人の暗い青髪の女性が根本で座っていた。
女性の腕の中には、毛先が暗い青で金髪の赤子であった。頭には狐耳がひょっとりと生えている。
赤子は腕の中ですやすや眠っている。そんな様子を眺めて頬笑む母親である女性は少し揺り籠の様にゆっくりと揺らしていた。
そんな母子の元に一人の人物がやっていた。
「リゼ」
「シキか」
母親であるリゼットはこの赤子の父親であるシキに少し驚いた表情をしていた。別にここに現れたから等ではない。
そのシキの服装であった。
「外に行くのか?」
「あぁ、どうしても……な。『 詩音 』は寝ているのか?」
「まあな……さっきまでオレと妖精達で『 詩音 』に子守唄をしててな。気持ち良さそうに寝てるだろ?」
「……あぁ、ほんとうに」
シキはすやすやと眠る我が子『 詩音 』を愛しそうに頭から頬へ撫でる。
『 詩音 』はシキとリゼットの間に誕生した男の子。恐らくこの子も将来は女の子と間違われる運命になるのだろう。
詩音はシキに触れられたからなのか、少しふにゃっと反応してしまう。しかしそこから泣くことはなく、シキが触れていた指を小さな、小さな手で握ったのだ。
「……かわいぃ」
完全にメロメロであるこのシキ。
口元を空いている手で押さえながら悶絶しているのだが、既に狐耳と尻尾がピコピコとはげしめに反応していた。
シキもこのまま詩音とリゼットと一緒に居たかったのだろう。しかし、ゆっくりと優しく『 詩音 』から手を離すと先程とは違い真剣な表情でリゼットを見た。
「リゼ、行ってくる。詩音を頼むよ」
「あぁ任せとけ。ヘスティア様やアル達に……こいつらも居るからな」
そうリゼットの元に神喰狼に月光狼、真神の3匹に加えて先程までいたのだろう2頭身の妖精達。更には「任せろ」と、「 世界樹 」もゆらゆらと枝や葉を揺らしていた。
「頼むぞ、お前達……そして、行ってくるよ」
シキは詩音のおでこに優しく口付けをする。詩音は口付けをされてもすやすやと眠っていた。
さあ、行こうとするのだがリゼットが「あれ、オレは?」という感じの少し悲しそうな表情だったので今更何故か恥ずかしながらも同じくおでこに口付け……と思わせてのキスをするのであった。まさかのフェイントにボッ!と赤面してしまうリゼットであったが腕の中で眠る詩音を起こさないと無意識に石の様に固まってしまう。そんな様子にしてやったりといった表情のシキはその場を後にする。
今のシキは執事用の服装を着用していた。
完璧に着こなしており、その右手に[空間庫]から取り出した《死ニ至ル影女王之槍銛》が握られていた。
そして、シキの今の目付きは今まで見たことがない程に鋭く威圧感を抑え込むこともしていない。
「さあ、いこうか」
新作でーす!
今回のはほのぼの系です。
よかったら見てください。
⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬
新作でーす!
今回のはほのぼの系です。
よかったら見てください。
⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬⏬
https://ncode.syosetu.com/n9997fi/




