倭国カグヤ、狙われる
どうも!
今日はまだ投稿だーーー!
今年もよろしくお願いいたします!!!(二回目!)
「一柱の神が……殺られた、か」
ある場所で、四姉妹……いや、正確には五姉妹の父であり最高神である神が難しい表情で悩み、呟いていた。
一柱の神が殺害された、
その神の名は『邪神ベルベート』。
下級の神とはいえ、神は神。
その神である存在を殺めた者がいるのはわかったが、それが何者かは一切わからなかった。痕跡も残さず、一瞬で殺害されれば気付いても後の祭りだ。刑事物のドラマで殺人が起こった、事件が起こってから動く、最高神ではない。何事も"前"から何かしら動き出していたのだが、『邪神ベルベート』を殺めたことは"後"なって判明した。
この最高神である彼の目を一瞬で、欺いたのだ。
更には、殺害されるだけでなく『邪神ベルベート』そのものが何処かへ消えてしまったかの様に消失したという事実である。これは単なる神の殺害では済まされない話だ。過去に神を殺した存在は確かにいる。だが、それはまだいい。
問題なのは、『邪神ベルベート』は何処へ行ったのか。
「やはりあのシキという麗しき者をこの世界に記録すべきなのですっ!!!」
悩んでいる最中、最高神と同じ場にいた何処ぞのホスト人気一位にいそうなキザなイケメンたる最高神がそう言うのだ。そのイケメン最高神は最高神としては中核となる存在。最もこの世界を愛している最高神なのである。
「……いや、それは難しいだろう。彼は『ヘスティア』という神の眷属となっているのだ。それを手出しすれば……どうなるかは言うまでもないのはわかっているだろう」
「なんと……!既に先約がいたのですか……。何とも惜しいことをしました。もっとはやく彼と接触する機会があれば……。交渉するしか、ありませんね……」
「一応言っておくが、下手な事はするなよ?例えば誰かを人質としたり……」
「何を馬鹿なことを言うのです!!!私が最も嫌うことを知っているでしょう!?"無理矢理する行為"、"女を景品とする者"っ!!!そんな馬鹿なことをする最高神が何処にいるというのです!!!私はただ、彼と純粋に話をしようと考えているだけ!!!それ以上もそれ以下でもありませんよ!!!」
「お、おう……すまなかったな」
イケメン神は外見だけでなく、中身もイケメンらしい。
正直腹が立つかもしれないが、これがイケメン神なのである。最高神はこのイケメン神が野蛮な行為はしない事は知っていたが、一応釘を刺したつもりなのだ。
「やはり、お前もシキという彼を?」
「えぇ。私は……彼を一目見て……」
「……ぇ、ちょっ、まて」
「一目惚れしてしまったのです!!!」
「おーぉー、まじか」
まさかのシキに一目惚れしたイケメン神。
最高神はただただ、ポカーンと茫然するしかない。
だが、知っているのかと最高神は思う。
シキが、男だと。
「彼は……男だぞ?」
「……?えぇ、さっきから私やあなたが彼と言っていますからそんなのわかってますよ?彼が男なんて事は」
「う゛ぉぉぃ……」
「ですがっ、性別などは全く関係ありません!!!私は……私はっ、この世の絶世の美女等よりも、シキに心を奪われたのです!!!愛しているからこそっ!彼の意見を尊重したいのですよ!!!」
「……あー、そうか」
最高神はただそう言うしか無かった。
まだシキに危害を加えようとしないだけマシだろう。どうやらイケメン神はシキに会うことが楽しみにしてるらしい。何時会うかも全く決まってないのだが。
「ですが、他の神等が何か良からぬ事をしなければ良いのですが……」
イケメン神は危惧する様に言う。
それは最高神にとっても危惧すべきことなのだ。只でさえ、娘の一人である女神クーディアがシキを捕らえようとして失敗した事例がある。これが女神クーディアだけであればよかったのだが、どうにもそういう訳にはいかないらしい。最高神やイケメン神もこそこそと動いている神達がいるのは知っているのだ。警戒はしてるものの、神によっては最高神やイケメン神等の目をあざむく為にどんな手を打ってくるかはわからない。特にそれを気にしていたのがイケメン神である。
残念ながら最高神等の予想通り、とある女神が女神クーディアに接触していたのであった。
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「久しぶりね、クーディア」
四肢を氷の様な透明な何か、今いるその場所そのものを空間に閉じ込められ動きを封じされた女神クーディア。そのクーディアの目の前にある女神がゆらりと現れたのだ。
「……っ!『クシャル』……」
現れたのは、カジュアル風のグレーの髪型の女神だ。女神であればイメージとして優しいのが一般的に思うのだろうが、クーディアの目の前にいる『女神クシャル』は男神でも怯えてしまいそうな酷く厳つい表情だ。それが無ければ幼く庇護欲を刈られる程、愛らしい女神だったであろう。
『女神クシャル』が現れたことに、動揺した女神クーディア。本来ならば他の神が目の前で現れたとしても釈然としない態度であったのだが、この女神だけは別であった。
「……何?私を笑いにきたのかしら?」
「いいえ、違うわクーディア。……私は……私達は貴女に救われたの。だからこそ、次は私が貴女を助ける番なのよ」
「……は?何言ってるの、訳がわからないわ」
「貴女は何時だってそう。仲間を助けるなら自ら自分を悪者にしてでも助ける。でも、貴女は『狂った女神』として周りから蔑まれていた。真実を知る者なんて一握り。最高神でもあった貴女は、高位神として下げられた。私達を救うために、最高神という座を、全てを失った貴女を、次は私達が……」
「……はぁぁ」
女神クシャルが話している途中でクーディアは大きな溜め息をつく。その溜め息は面倒だと思わせるには十分であった。正直付き合ってられない、とクーディアは思う。
「貴女ね、さっきから意味のわからない事をベラベラ言ってて聞いてる私が疲れるの。で、私を助ける?はぁ?全然意味わからない。貴女達を助けた?助けた覚えなんてないわ。さっきから何を言ってるの、貴女は」
「……そう、わかったわ」
女神クシャルはこれ以上の会話は必要ないと、女神クーディアから背を向けて離れていく。クーディアはクシャルの表情を見ることが出来なかったが、背を向けた時に泣き出しそうな悔しそうな表情をしていた。
そして、女神クシャルは宣言する。
「『勇者』達がいる『カグヤ』を落とすわ」
「っ!?」
その女神クシャルの発言に酷く狼狽する女神クーディア。
倭国カグヤを落とすというのは、どういうことか。そこには神々でさえも手を出しづらい『七天魔皇』とその配下の『魔王』達も存在する。別に倭国カグヤは神々にとっても脅威とは感じるが、危険とまでは思っていない。……今までは。
女神クシャルが倭国カグヤを落とす理由は簡単。異世界から召喚された『勇者』達を匿っているからに他ならない。女神クシャルにとって、異世界から召喚された『勇者』は忌々しい存在。倭国カグヤに恨みなど無いが、異世界の『勇者』を匿うのなら彼女にとって敵対行動に等しい。だからこそ、倭国カグヤを落とすのだ。
「なにを……」
「クーディア。もう、決めたことなの。止めることなんて出来はしないわ。……そうね、カグヤを落としたら貴女が求めていた"シキ"っていう子を捕獲して貴女に献上する。……じゃぁね、私の……憧れの偉大なる主よ……」
また、登場人物増えてごめんさいm(__)m




