白翠の子
どうも!
執筆しててわかるのですが、やはり伏線多いですよねっ(笑)
ですが、その伏線はちゃんと回収します。
わざと伏線を回収しない場合はありますが……
「みゅ~?みゅみゅっ」
「……マジでどうしよう」
『カグヤ』の『キョウラク』にある宿の部屋。宿というよりマンションの一室の様な広々とした部屋でエマは自身の身体に抱き付く5歳程の子供について悩んでいた。
エマは『七天魔皇』の一人、『シルヴァクス騎士団』の王である『女夜叉』ミュランの唯一の娘である。
そんなエマに抱き付くのは背中から翡翠の翼を持つ、所謂『有翼人』の幼い女の子であった。この子供はエマを非常になついているらしく、まるで母親の様に甘えている。
実はこの子供は、『空海都市』から離れた場所で見つけた『翡翠色の卵』から生まれたのである。そしてその子供はエマを一目見て親だと信じておりここまでなついている。
本来エマは、王であり母であるミュランに『勇者』が害有る者か、そしてそうであればこの手で抹殺するという使命があったのだ。だが、今のこの子供の事で手が一杯となっている。
加えて前は『七天魔皇』の中で最強と謳われる『覇王』の存在でてんやわんやしていた。そして更には新たに『七天魔皇』の一人が何者かによって殺害されてしまったのだ。といっても『大殺戮』も『女夜叉』ミュランと比べれば天と地の差があるのだが。
「みゅ~?」
「あ~、おぃ『ミユ』。俺の服食べんなって……」
エマはこの子供も『ミユ』と名付けていた。
鳴き声が「みゆみゆ」言っているからという何とも安直な付け方である。そんなミユ本人はその名前が気に入っているらしく、エマが名前を呼ぶ度に「みゅー!みゅー!」と嬉しそうに鳴きながらギューっと抱き締めるのだ。
そんなミユは、実に可愛らしい。
エマも、男勝りな性格と口調ではあるが一人の女性だ。
だからこそ、ミユの愛らしい様は不思議とエマの母性というものが刺激されていたのだ。
「……エマ様?」
「な、なんだ、『ジュドーラ』」
いつの間にかエマの部屋にいた狐の仮面を被る狐の獣人『ジュドーラ』は片膝をついてエマに忠義を誓いながら発言した。エマもジュドーラがいたことは知ってはいたがミユに集中して構っていた為に思わず動揺している。
ジュドーラは全て忍者の様な服装で身に纏っており、性別は分かりにくいが身体付きや若干膨らみの有る胸部で女性だとわかるだろう。因みにジュドーラはエマ直属の部下の一人なのだ。
「その娘をどうするおつもりか」
「あぇ?あ……ミユの事か。……実はもう母上には報告したんだよな」
「なんと……!して、王は?」
「あっ、いやぁよ……。最初は俺の子供なのかっ!ってすげー剣幕で迫ってきてさ。まあ、事情を話したらなんとか納得してくれてな。結局は俺がしっかりと面倒を見ろって……」
「(やはり王はエマ様の事が心配なのでしょうな……)」
そんな事を思いつつやはりこの親子は仲が良いと感じるジュドーラは仮面の中で頬笑む。
すると部屋に誰かが入ってきた。
「ガハハゥ!よぉー、『第三騎士』さまぁ?」
「……『ヘムンドゥ』か」
「おいおい連れねぇーなぁ?」
『ヘムンドゥ』。
白狼の獣人である彼女はエマよりも豪快で男勝りな性格をしている。だが、エマと異なるのは非常に好戦的な点だろう。それはエマ以外にも他の騎士達にもこの様な感じである。
「なぁ、『勇者』を殺さねぇのかぁ?はやく殺そうぜ、『勇者』をよぉ?」
「……何故そこまで」
「何言ってんだよ?アンタも、許せねぇーんだろぉ?『勇者』等を殺してーだろぉ?ついでにこの『カグヤ』を巻き込んでやろーぜぇ?」
ヘムンドゥがここまで『勇者』を殺害しようとする動機をエマは分からなかった。いや、大体は事情は察していた。
「……ケッ!まーいいさぁ。『勇者』を殺るんなら、ぜってー呼んでくれよなぁ?」
そう言い残してヘムンドゥはこの部屋を後にする。
「みゅ……みゅ……」
エマはヘムンドゥを怖がっていたミユの頭を撫でながら一息置いた。するとジュドーラはエマに耳打ちをする様にこう述べた。
「エマ様。やはり、ヘムンドゥは……」
「あぁ、間違いねぇ。あいつは『白狼の一族』の一人だ。直ぐに母上に連絡しろ」
ヘムンドゥという存在を最も警戒していたのはエマであった。
『白狼の一族』。
この存在は幻とされているが、エマはあまりにも似ているヘムンドゥについてジュドーラ達が情報を収集した上でこの結論に至ったのだ。恐らくミュランもヘムンドゥについてエマ同様警戒しているのだろう。しかし、ヘムンドゥ自身の目的は何なのか。そして何故この『シルヴァクス騎士団』に入団したのか。それについては不明ではあるが、慎重にいかなければならないとエマは静かにそう決意するのであった。
~~~~~~
ヘムンドゥは、『白狼の一族』の一人。
『白狼の一族』といえば、『悲劇の英雄』ディーと同じ一族だ。『悲劇の英雄』が陥れられた時、『白狼の一族』は『悪魔の一族』、『穢らわしい一族』等と『勇者』にそう人々に洗脳され周りから蔑まれていた。『白狼の一族』は人々によって奴隷にされ、中にはありもしない免罪を掛けられ処刑された者達は多くいた。しかし『白狼の一族』は『勇者』の洗脳を一切受けず、『悲劇の英雄』が『魔王』ではないと信じ続けた。月日は流れ、『悲劇の英雄』が『勇者』とその『裏切り者』達により抹殺される。しかし、洗脳は解け『悲劇の英雄』の事を思い出した時には『白狼の一族』は既に100程しか居なくなっていた。
人々は『白狼の一族』に謝罪しても既に遅かった。
遅すぎた。
あまりにも、遅すぎた。
『白狼の一族』は『悲劇の英雄』であり、大事な仲間を失った事を嘆き悔やんだ。
『白狼の一族』は『勇者』を怨んだ。
『白狼の一族』は裏切り者達を怨んだ。
『白狼の一族』は、この『カグヤ』の王を、国民を、怨んだ。
そして。
『白狼の一族』は。
復讐者になった。
「……勇者、テメー等だけはゼッテー許せねぇ。ゼッテー殺してやる。そして、この『カグヤ』のやつらも。まだ生きてやがるあの糞女共も。みんな、すべて、ハカイシテヤル……!」
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名前:ミユ
種族:有翼人
性別:女
職業:
レベル:1
体力:100
魔力:600
筋力:50
耐久:50
俊敏:20
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[固有スキル]
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[スキル]
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[称号]
天風鳥の転生種
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さてさて!
やはりこの様な人物が登場するのではないか、と思われていた読者はいるかもしれません。ただ、この話は過去で終わる話ではないですからね……。
感想を頂けるとテンションアゲアゲ⤴️⤴️です!!!
些細な事でも大丈夫です!
よろしくでーす!!!
次回はまだ内容考えてマセーン( ;∀;)




