表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
258/357

『煌めく九尾の狐』

どうも!


今回は戦闘も少しあります!





『修羅の社』。


そこは『キョウラク』之西に存在する街……というより都市『ラクセイ』の海を越えた先に存在する。


やはり社というには土地が膨大であり、山の頂きにその『修羅の社』に祀られる祭壇があるのだ。しかし、人々はその山そのものが神聖なものとして『修羅の社』と名付けられた。そこは魔力が溜まりやすい場所でもあるので、あの『六天魔皇』の『大殺戮』が先に住まうモンスター達からその場所を奪い根城にしたのだ。


しかし、今では正体不明の氷塊の群れによって『修羅の社』の風景は既に薄れてしまっていた。


その崩壊された『修羅の社』に、一つ。


ある獣となった存在が、その『修羅の社』へ駆けていく。


それは、『幻の金色』。


それは、『九つの尾を持つ超越的な神獣』。


それは、『金色の神九尾狐』。


様々な名はあるものの、全てはある一つの名へ集約される。


『煌めく九尾の狐』。


その存在が、『修羅の社』の近くへ舞い降りたのであった。




~~~~~




シキは今、『修羅の社』に生える様に佇む氷塊の群れを見上げながら呆然としていた。近くに冒険者達がいることも忘れて。



「(なん、だ、これは……)」



その氷塊の一つ一つに、神でさえも凍てつくしそうな力を冷気と共に漏れだしている。その力はあまりにも無視できない。何故こんな力が放たれた事に気付かなかったのかと自分自身に苦言してしまう程に。


そしてスイジンからの報告からもあったように、この『修羅の社』で『邪神ベルベート』と名乗る神が殺されたのだろう。確かに既に今にも消えてしまいそうな微かにある[神気]を感じ取れる。それと同時に、見覚えのある嫌な気配の跡(・・・・・・)が確かに感じ取れた。


それは、わざと残している様で何とも気味が悪い。



「(相手は、神を殺すのに慣れている……まさか、『神殺者(ロンギヌス)』か?そして、この気味悪い気配の残し方は……『マリス』……)」



既にシキは何者かを具体的ではないが、ある程度は絞られていた。が、どの様な存在でしか分からないので具体的には不明だ。


分かるのは『神殺者(ロンギヌス)』と『マリス』がこの『修羅の社』にいたのな間違いない。



「(とりあえず、あの氷塊を何とかする……ん?)」


「あ、あぁ……」



そろそろ氷塊の群れをどうにかしようとしたシキであったが、その前に九尾の狐と[獣化]を見上げる一人の女性冒険者が一人。彼女程ではないが、シキに注目する冒険者達もいる。


この『修羅の社』にいる冒険者達は、『カグヤ』の王から依頼で氷塊を壊しにきたSランク以上の強者達。『七大クラン』のメンバーや『魔王』ローズ達の姿も見受けられる。何やらざわざわしているが正直シキにとってはどうでもいい。特にシキを見上げながらまるで神様にでも出会った様な感じに歓喜溢れている狐の獣人である女性冒険者【アスセーナ】のメンバーの一人『テェイル』が腰を抜かしていたことも。


シキは外野のことは気にせずに改めて氷塊達を観察する。


結論を言ってしまえば、壊すのは可能だろう。


しかし、なかなか骨が折れるだろうが。



「(さて、あの氷をどうするか)」



あの氷塊を破壊するには、非常に強力な火力が無ければ罅を入れるのも溶かす事も難しい。更に周りに被害が出さない様にするならばそれ以上の火力が必要。


どうするかを考えながらも身体から濃厚な、誰にも支配されぬ力を解き放つ。それはあまりにも強大でその場にいた冒険者達もその迫力に圧倒されていた。


しかし、ここで氷塊に異変が起こる。



「(……なに?)」



まるで、シキの力に反応するかの様にペキペキと凍てつく音を立てながら『何か』が氷塊から生まれる(・・・・)。それは氷塊一つにつき、一体現れた。


それは、氷塊と同じく全てを凍てつくしそうな氷で出来ていた。


全身が騎士の様な甲冑に纏っており、手にはその者の背丈はありそうな剣と分厚い盾を持つ氷の者。『氷結の騎士』。


明らかに人ではなく人形、ゴーレムなのだろう。


よく見てみれば、そのゴーレム以外にも形など若干異なり武器もバラバラな『氷結の騎士』達がシキを敵として認識しながら構えている。



「なによ、あれ……」


「聞いてねぇぞ、こんなのっ!?」


「氷塊から、騎士が……っ」



冒険者達もまさか壊そうとしていた氷塊にあんなものが生まれるとは思わなかっただろう。それはシキも同様である。冒険者達は、同様はするもののやはりSランク以上の強者。直ぐに戦闘が出来るように武器や杖を構えていた。しかし、『氷結の騎士』達の狙いは明らかにシキの方へと向けられている。



「(なんとも、まぁ……)」



『氷結の騎士』達にシキは単なるゴーレムでは無いことを理解する。その『氷結の騎士』一体一体が人外染みた存在感と迫力を隠す様子もなく辺りに発散されていた。


冒険者達からすればあの幻の存在である『煌めく九尾の狐』と『氷結の騎士』達が対峙し合っている様子を眺めることしか出来ない。いつ、衝突が起こっても可笑しくはない。


誰もがそう思った刹那、三体の『氷結の騎士』はまるで瞬間移動でもしたかの様に『煌めく九尾の狐』の正面に現れる。


その速さをシキはしっかりと見えていたが動く事はない。あぁ、そっちから来るのかと言いたげな様子である。三体の『氷結の騎士』はシキに向けて剣を、メイスを、薙刀を、降り下ろされる。


しかし、シキは全く慌てた様子も全くない。


何故なら、既に降り下ろされた三つの武器は何処からともなく現れた炎の壁によって阻止されていたのだから。その炎の壁諸とも突破しようとする『氷結の騎士』であったが、ジュュゥゥーーーと武器の方は悲鳴を上げていた。武器は少し溶け始めていたのだ。シキを守護する様に現れた炎の壁によって。


三体の『氷結の騎士』は、流石に不味いと判断したのかその炎の壁から距離をとった。それと同時にシキ、『煌めく九尾の狐』の前に新たな存在が現れる。


その存在は冒険者達に新たな驚きを与える存在であった。



「お、おい、あれって……」


「……うむ、間違いないじゃろうな」


「『三体の獣』……っ」



新たに現れたのは『三体の獣』。


『光と炎の獣』エンカ。


『水と風の獣』スイジン。


『雷と地の獣』ライデン。


この三体のシキの忠実な配下が、現れた事に度肝を抜かれるしかなかった。


シキはーーー『煌めく九尾の狐』は高らかに咆哮を放つ。それに続いてエンカ、スイジン、ライデンの『三体の獣』達も同調するかの如く同じく咆哮を放った。


『煌めく九尾の狐』を主とする『三体の獣』と強大な力を冷気と共に放つ『氷結の騎士』達、その双方が激突する。





次回も続きます!!!


『氷結の騎士』達の実力とは如何に!?


そして、それを裏から操るのは……?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ