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緊急招集①

今日も投稿です。


今回はどんなおはなしになるのでしょーか?



倭国『カグヤ』の首都『キョウラク』。


そこの中心には『カグヤ』の王が住まう宮殿が建っている。


その宮殿は和を感じさせる様な造りであり、大規模なものとなっているのは誰がどう見ても迫力があるのだ。それは地球ではまず御目にかかれぬ建造物である。ただの大規模な建造物ではなく、神聖な場所としてもこの王宮は有名であったりするのだ。


そんな王宮の、中心部にある建物内でまるで世界会議でも実施されるのではないかという円卓の場が存在していた。


その円卓に座るのはこの『カグヤ』の王を始め『カグヤ』の大貴族、そして軍の大将や副大将達に冒険者ギルド総本部グランドマスターのネメシア、グランディセウム学園の学園長のビティーカ、『七大クラン』の【グレートネス】・【ツーカンド】・【月光(ムーンライト)】・【アスセーナ】・【カレイジャス】・【アトラシュ】・【ユーベル】の各リーダーとその付き添いとして二名を連れている。『七大クラン』だけではなく、実力のあるSランク以上の冒険者達、そして『六天魔皇』の一人でもある『黄昏の魔女』ティーカの配下である『魔王』達も参加しているのだ。


この様子を見れば、多種族国家としても見れるだろう。


そして、SSSランク冒険者としてシキ……ではなく『レッド』も参加していた。これはSランク以上の冒険者達に緊急招集されてこの王宮に来たのだ。後ろに待機するシリルと葵もSランクとなっているので同じく招集されているのだ。


何故この様な事になったかは大体の事情を察するものは数名いる。


因みに、冒険者ギルドというのは国に属しない独自の組織……ではないのだ。


冒険者ギルドは各国に属している。


例えるならば、国には『冒険者ギルド省』の様なものがある。もし国に属しない組織であればかなりの問題だ。『冒険者ギルド省』は日本でいう『環境省』の様なものである。冒険者ギルドによって国外の環境をモンスターの観察等を行っている。冒険者ギルドはイメージとしてモンスターの討伐が多いと思われがちであるが、実際はそれほど多くはない。5個の依頼に一つあるくらいだ。モンスターの討伐は、環境を著しく害する『害モンスター』と称されている。しかし『害モンスター』だからといって、全て討伐するわけではなく、何故その様になったのかを調査し、必要に応じて撃退、或いは捕獲し元の場所へと送り届けるといった処置もされている。もし国と冒険者ギルドが異なる組織であれば『ギルドカード』という身元を保証するものも国で活用できないだろう。



「此度は、このような緊急に応じて集った諸君等に感謝する」



そう先に話始めたのは、中央に座っていた『カグヤ』の王である。王の左右斜め後ろには数名の書記が筆を走らせていた。恐らく記録係だろう。



「諸君等を緊急招集したのは、他でもない。『修羅の社』が……崩壊したのだ」



その王の言葉に辺りはザワザワと動揺する。


『修羅の社』、それは『六天魔皇』の一人『大殺戮』が根城にしていた場所なのだ。その場所は巨大な鳥居が数多くあり、そこは『鬼獣』と呼ばれる強力なモンスターが住んでいたが、『大殺戮』がその場所を『鬼獣』から奪った場所としても有名である。


『大殺戮』の根城となった『修羅の社』であったが、王は崩壊したといったのだ。


それは到底信じられるものではない。


『修羅の社』は、神が祀られる場所でもありあの『大殺戮』でもそれを壊すことは憚られていたのだから。



「そ、それは本当ですか!?実に信じ固い……」


「詳しくはこの私から説明しましょう。よろしいですか、カグヤの『王』」


「うむ。たのむ」



一人の『魔王』である牛の角を生やした背の高い女性が『カグヤ』の王の代わりに説明する。この女性も『六天魔皇』ビティーカの配下だ。種族は『ミノタウロス』。



「私はビティーカ様の配下の一人、『ローズ』です。皆様、お見知り置きを。……まず、『修羅の社』が崩壊したのは事実です。この私のこの目でしっかりと確認しました。私は『修羅の社』の近くにある街を管理するものですから……」


「まじかよ……」



ローズ曰く、『修羅の社』は自分が管理する(がい)『ラクセイ』の海を越えた先にある場所なのだ。『(がい)』というのはこの国にとって日本でいう『県』を意味している。『魔王』が管理する街というのは実はそれほど珍しくもなかったりするのだ。ちゃんと『魔王』としてではなく管理する者なのでこの『カグヤ』の貴族の一人でもある。


ローズは、最初から信じられない事を承知の上で話を続ける。



「ある日、突如『修羅の社』を多い尽くす程の氷塊群れが現れたのです」


「……なに?」



それに初めて反応したのは【グレートネス】のリーダー、ラクセスである。だが、ラクセスだけでなく他の面々も困惑するしかない。いきなり『修羅の社』をすっぽり覆うほどの氷塊群れが現れたのだとそんな話を言って信じられないのも無理はない。加えて『修羅の社』は東京ドーム程の大きさを誇っているのでそれを覆い隠す程の氷塊をどうやったのだとしか言いようがない。



「どの様に……と仰られても、突如現れたとしか言いようがありません。私以外にも私の部下だけでなく外に出ていた住民の殆どが目撃していますから」


「それは……『大殺戮』とその仲間等はどうしたのだ?」


「調査したところ、『六天魔皇』の『大殺戮』の部下は全員は酷い有り様で、死亡しています。そして……『大殺戮』本人……と見られる遺体も発見しました。」


「それはどういうことだい、ローズ?」


「実は遺体の損傷があまりにも酷く、首、両腕と右脚が千切れた様に離れ離れとなっていたのです。特徴から『大殺戮』本人と見て間違いはないと思われますが……」


「なるほどねぇ」



『大殺戮』が殺されたのは間違いないだろう。この事にむしろ『カグヤ』や冒険者ギルド、『六天魔皇』ビティーカ達からすればよい話でもある。何せ最も残虐無道な『大殺戮』が居なくなったのだから。しかし、ある問題と疑問が発生する。


問題として『六天魔皇』の一人がまた欠落した為に現在の席は二つ空いてしまったこと。


疑問として一体誰が、何者が『大殺戮』を殺害したのか。


二つの中でこの疑問はなかなか深刻なものになる可能性がある。



「……少し妙なところがありまして」


「どうしたのさ?」


「実は、その氷塊は未だに溶ける気配がない(・・・・・・・・)のです。加えてその氷に触れようとすると……」



そう言いながらローズは右手に填めていた厚い手袋を外すと、その真っ赤になった手をさらけ出していた。それは火傷でもしたのかと思うほどに痛々しいものだ。



「ローズ!?それ(・・)、どうしたの!?」


「その氷塊を壊そうと試しに殴ってみたのですが……この有り様です。心配なく、今では大分治ってきました。触れた当初は、この手は真っ黒に成る程の凍傷してしまったのです」


「なんと……!?」


「『修羅の社』の奥地にはその氷塊を避けて、時には空から捜索しました」




手が真っ黒に成る程凍傷するというのは重症だったのだろう。しかし、部下に医師も同行していたらしく切断するのは免れたようだ。今ではもう凍傷の痛みはあるものの自由に動かすことは出きるらしい。


そんな様子を見ながら、大貴族の一人の男性がローズへ訪ねる。


「それで、妙というのはどうゆうことですかな?」


「はい。あれほどの氷塊を生み出せるのなら『修羅の社』ごと『大殺戮』達を葬れば手っ取り早いのでは、と思うのです。しかし、あの『大殺戮』の遺体はまるで無理矢理抉り取った様な……魔法ではない力によって殺害されていたのです。部下もろともに」


「誰も近付けたくなかったのでは?」


「いえいぇ~、そんな目立つことはしましょうか?そもそも『修羅の社』はこの国、全ての『(がい)』にも厳重に立ち入り禁止にしていた筈です。そんな事をしなくても、殺害されたとして暫くは近寄る者はいないでありますよ?」


「うむむ……一体何者が……?」



そんな話が続く中、『七大クラン』の一つ【カレイジャス】のリーダー『ジャルロン』は深く考えながらも、『大殺戮』を殺害した人物についてある一つの推測を口に出した。



「……あの三体の獣(・・・・)、ではないか?」


「(わーぉ、そうきたか)」



レッドは心の中で面倒臭い事になりそうだと思うのであった。





三体の獣……つまり、エンカ・スイジン・ライジンのことですね!


さて、次回はどの様な話になるのでしょうか?


話は勿論続きますが……。

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