企み
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前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!
『 グランドマスター の 部屋 に ▼』
『 静寂 の 戦車 シャルロット が 現れた ▼ 』
『 実 は 結構 な 実力者 ? 』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
ある夜の様に暗く、しかし少し明るい空間にある一柱の女神が氷付けされたかの様に身体の自由を奪われ封印されていた。
その女神の名は、クーディアである。
身体は鎖にでも拘束されているのか四肢を動かす事は難しい。
彼女は実の妹達、女神ルティアナ・女神バルロウナ・女神ヘルアテス・女神ティールバの四柱によって封印をされたのだ。いや、正確には元々封印はされていたものの、隙をついて下界へと霊体を飛ばしていたのだ。しかし、結局は妹達だけでなく最高神にもバレて更に強固な封印を何重にも施されてしまったのである。
しかし、クーディアは別に妹達や最高神を恨んでいる事はない。まあ、クーディアにとってみれば『捕まっちゃった♪』くらいにしか思っていない。
それよりも、彼女クーディアは考えていた。
最も愛しき人物ーーーシキをどうすれば我が物にできるのかを。
「ふふふ……」
そして、ある手を思い付いたのだ。
女神クーディアの前にある魔方陣、厳密に説明するなら召喚陣である。それこそが、シキと対抗できる手段となる鍵となるのだ。
しかし、ただ召喚する位では意味がない。
最高神や妹達に気付かれぬ事無く、作り上げた魔方陣を女神クーディアは第一段階を終了させる。
「あぁ、なんで今まで気付かなかったのかしら?ふふっ、これでシキを手に入れる事が出来る……!でも、私が作った魔方陣だけじゃ足りないわ。もっと膨大な魔力がないと……。でも、そんな魔力がある場所って確か……」
封印されているにも関わらず女神クーディアは真剣にその魔方陣を満たす場所について何処だろうかと悩んでいる。その姿は何ともシュールだ。女神が十字架にでも貼り付けされている様な格好の状態で顔を傾げながら悩ませているのだから。
すると、ある心当たりが思い付く。
「確かエルフの国に魔力が多くあった筈ね。……まあ、異常に魔力が多い要因はあの女でしょうけど。」
クーディアはあの女、エルフの女性の事を思い出す。
かつて、そのエルフの女性を我が眷属にしようと勧誘したのたが、見事に断られてしまったのだ。勧誘したのは単にそのエルフの女性自身の強さであって他は興味は無かったので断った時点で諦めはついていた。そして何故そのエルフの国に魔力が多いのかもそのエルフの女性が関わっているのは知っている。勿論、その理由も。
「と、いうことでーーー」
「それを僕らに任せるんやろ?」
「ええ、そうよ酒天童子……って貴方、その手に持って呑んでるのって……」
女神クーディアの望み通りに、彼女の眷属である酒天童子がふらりと現れた。しかし、その酒天童子の手にはある物が。それは浴衣を着た黒髪黒目の美少年には縁もなさそうなもの、酒瓶である。それを小さな盃に入れてちまちまと呑んでいたのだ。
それを見た女神クーディアは、愕然とした表情になってしまう。
何故なら……。
「そ、それって、まさか……」
「あ、これ?あんさんの部屋にあったん酒、美味しいなぁ~♪」
「ちょっとまって!?それ、私が隠していた秘蔵の酒じゃない!?え、まって、嘘よね!?」
「ん~、『ソーマの神酒』って書いてるなぁ」
「……あ」
『ソーマの神酒』という単語を酒天童子から発せられた瞬間、女神クーディアは絶望に染まる。そして全身が封じられながらもワナワナと震えだした。
そして。
「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~!?!?やっぱり、私の秘蔵の神酒じゃない!?」
「はぁ~……うまいなぁ~♪」
「『うまいなぁ~♪』じゃ、ないわよ!?それ貴重なやつなのよぉ!!!」
完全にキャラ崩壊している女神クーディア。何せ彼女は長い年月封印されていて行動も許されなかったのだ。今よりかは身体を動かすのは可能であったが亜空間に閉じ込められていたので、楽しみといえば、娯楽として下界を覗き見るかお酒を嗜む事くらい。なので、酒の一つや二つ、自身の空間に隠していたりするのもおかしくはない。
「まあまぁ、クーディア。ほら、ここにもお酒あるから」
そう同じく眷属であるマーリンが、女神クーディアの元へ酒天童子と同じ酒瓶を持ってくる。しかし、女神クーディアはその持っている酒瓶の量が減っている事に気付いていた。そして、何故減っているのかも検討がついている。酒天童子に関しては自ら事後報告をするのでまずあり得ない。
と、すれば……。
「……マーリン、貴方も呑んだわね?」
「……」
サッ、と主である女神クーディアがジッと見てくるのをマーリンは顔を全力で逸らしてしまう。爽やかな笑顔にはうっすらと焦った様子もあった。
そして気配を感じると酒瓶を片手に持ち、ブラブラと酔っぱらっている『天人族』が。やはりその酒瓶も女神クーディアの秘蔵の神酒の一つである。
「ブリュンヒルデ、貴女も……」
「あ~~~っ!クーディアしゃまだぁ~~~!!!ふへへへー♪一緒におさけのも~!ほらほらー、アイアスもーーー!」
「おい、こら引っ張るな!」
完全に出来上がったブリュンヒルデは、無理矢理アイアスを引っ張りながら女神クーディア達の元へとやってきてた。ベロベロに酔っぱらっているブリュンヒルデは封印されているクーディアに近付くとそのまま抱きつく。もう立ってもいられない状態だろう。アイアスは少し苛つきながらも酒天童子から渡された盃を貰うとそれを一気に呑んだ。まあ、彼にとってもその酒はかなり美味らしい。
「ふへへ~♪あいっ、クーディアの~」
「……はぁ。わかったわよ、呑むわよっ」
渋々ではあったが、クーディアは自身の秘蔵の神酒をこの場で眷属と共に呑むことにする。クーディアは手足が動かせないのでブリュンヒルデに呑ませて貰うしかない。酒天童子とマーリン、アイアスは互いに酒を盃に注ぎ合いながら美味しそうに呑んでいたのだ。
クーディアは、男共に言う。秘密裏にエルフの国へ行き、異常な程の魔力を奪いに行け、と。ブリュンヒルデに関しては酔っぱらっているので次の日になると覚えていないので今言っても無意味だ。
その件に彼等は……。
「エルフの国って、結界が張られてるあっこやろ?んな誰にも気付かれずにって無理やな~」
「隠密なんざ、俺に出来るわけねーだろ」
と酒天童子とアイアスは拒否した。エルフの国にはエルフ達が施した魔法の結界が何世代にも渡って施されている。それを掻い潜るのは魔法を使わない、得意としない二人には無理だと判断したのだ。それは酔っぱらっているブリュンヒルデも同様だろう。より高度な魔法を理解しなければ侵入も難しい。
「なら、私しかいないね」
「頼むわよ、マーリン。あ、それとこれ」
唯一そのエルフの国へ誰にも、他の神々にも気付かれずに侵入出来るのはマーリンしかいないだろう。しかし、その気になればエルフの国に侵入するのはマーリン以外でも出来るかもしれない。だが、今回は他の神々に勘づかれない事も考慮しなければならないので、尚更マーリンが適任なのだ。クーディアはマーリンにある物を授ける。
それは杖の様で、上には銀の器が合わさっているものだ。。
「……何だい、これは?」
「それは私が作った魔力を入れる器よ。魔力が満ちた場所に、突き刺せば自然と魔力を貯めるものよ。それが満たせば十分ねーーーって、ブリュンヒルデ!?」
「あーいっ。クーディアしゃま、口移しでのましぇてあげるぅ~」
「ちょっ!?まっ、貴女、そんなキャラじゃないでしょーーー!?!?」
「ん~~~♪」
「私そんな趣味ないわよ!?だ、誰か助けなさいっ!!!」
「じゃ、クーディア。酒呑んで暫くしたらそのエルフの国に向かうよ」
「だーかーらー、助けなさいよぉぉぉぉお!?!?」
ブリュンヒルデは酒を含んだ状態で、口を突き出しながら女神クーディアの唇へと近付いていく。そんな様子を他のメンバー、マーリンや酒天童子にアイアスは叫ぶクーディアを無視して楽しくお酒を呑み明かすーーー。
「マーリン」
すると、女神クーディアは真剣な表情の様な、しかしとても面白いものを発見した雰囲気を持ちながら今にも唇を奪われようとしているにも関わらずにマーリンを呼ぶ。ブリュンヒルデもその女神クーディアの様子に動きを止めた。
「なんだい?」
「そのエルフの国には……ほんの少しだけど、面白いものがいるわぁ」
「面白いもの?」
「ええ、それはーーー」
女神クーディアは言う。
その面白いものというその名を。
彼女はその名について知っているのかマーリン達へと訪ねながら言った。
「『転生者』って、知ってるかしら?」
~~~~~
女神クーディアは、ある未来を見た。
しかし、その未来とは全てを見透かした訳ではなくまるで映画の予告の様なものであった。
その未来は戦い。
彼女の眷属と、何者かと戦闘を繰り広げられている場面だ。
『ウォォォォォォオ!!!』
『あははははっ♪』
眷属の一人である酒天童子と、雷を操る巌の様な巨大な男が衝突していた。
『チッ!やるな、ジジィ!』
『ほぅ……今のを防ぐか』
違う場面では、アイアスと右の額から頬までに一閃の古傷がある袴の様な物を着た初老の男性と打刀と盾がぶつかり合いながら熾烈を極めていた。
『……目障り、です』
『っ!?流石は神の眷属かしら!?』
ブリュンヒルデは自身の翼を広げ空を舞いながら、魔法少女の様な格好をしたオレンジ色の髪を持つ少女が互いに魔法を放ち合っていた。その魔法少女の頭部には山羊の様な角が生えていた。
そしてーーー。
『くっ!?』
彼女の目の前には膝を着くシキの姿があった。シキは動きやすそうな黒と白が斜め半分に色が分かれた着物を着用している。白の方には紅い刺繍が、黒の方には金色の刺繍が入れられている着物だ。女神クーディアからしても中々良い着物であったが、所々汚れてしまっている。それはシキ自身もだ。頭部から一筋の血が流れ、髪も乱れており身体のあちこちも傷だらけだ。
一方の女神クーディアは、シキから離れた場所で傍観している。傍らには彼女を守護する様にマーリンが立っていた。
では、シキが戦っている相手は誰か。
マーリンでもないし、女神クーディアでもない。
シキの前にその相手はいたのだ。
しかし、相手の姿は墨にでも上から塗られたかの様に全体像が全く見えない。だが、状況からしてその者は女神クーディアの仲間だとわかる。
その未来は、ここまでしか見れなかったが彼女にとっては大きな収穫だ。あの状況は未来で確実に起こる事。そして状況から見るにシキを手に入れる一歩手前まできている状況なのだ。いや、もしかするとあの状況でもシキならばあらゆる手段を隠しているのかもしれない。その先の未来が見れるなら見たいのだが、彼女にとっての未来視は本当に稀にしか見れないのだ。だからこそ、油断は禁物である。
それにしても、と彼女は思う。
シキをあそこまで追い詰めた相手とは……自分が召喚した人物とは何なのだろうと。
【くえすちょんっ】
Q.女神クーディアと眷属達はいつもこんな感じなの?
A.はい、そうです。仲も結構いいですね。
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