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『グランドマスター』

ブックマーク登録等々ありがとうございます!(^o^)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!


『冒険者ギルド総本部!』


『レッド!』


『そしてその御供二人!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



冒険者ギルド総本部。


その最上階である三階では、大きな部屋があった。


ここが『グランドマスター』の部屋なのだろう。他にギルドマスターの部屋を見たがそれ以上に広い。軽くパーティーでも出来そうだ。


そんな部屋で座っているレッド達の前にはその冒険者ギルド総本部の長が向かい合って座っていた。


その人物とは白い髭を伸ばした初老の男性であった。渋さもあるが、中々格好良い雰囲気を持っており、右の額から頬までに一閃の古傷がある。そして服装は袴の様な脚の動きを悟られず、認識しにくいものを来ていた。同じ男ならば将来この様な人物になりたいと思うだろう。さぞかし昔は異性からモテていたと予想が出来る。傍らには木製の杖が置かれていた。


横には付き添いなのだろうか。侍の様な、男女共に見える中性的な容姿を持つ人物がいるのだ。薄い金髪の長い髪はアップでまとめられている。腰には一本の打刀と二本の小太刀を携えていた。


すると、初老の男性が……ではなく、その付き添いらしき人物の方から声がかかったのだ。



「君がSSSランクのレッドか~っ!イルディアさん達から聞いてるよっ。拙者はこの冒険者ギルド総本部の長、『グランドマスター』をやっている『ネメシア』さっ!よろしくねっ♪」



冒険者ギルド総本部長、『グランドマスター』。


階級としては冒険者ギルドの中で『ギルドマスター』よりも上、最高位の存在だ。正直、その付き添いらしい人物より初老の男性の方が『グランドマスター』だと思っていたのだが……。


そんな事を考えていたレッドであったが、それを察したネメシアはその初老の男性の紹介をする。



「あ、この人は拙者のお目付け役さっ」


「御初に御目にかかる。私は()『グランドマスター』の『ゼン』だ。本来なら引退して隠居する筈だったのだが……今はこやつだけでは何かと心配だな。お目付け役として一応はギルド(ここ)にいるのだよ」



現グランドマスターであるネメシアは見た目からして若い。レッドとそう年齢は変わらないのではないだろうか。前グランドマスターであるゼンが心配しているのはネメシアに対してだけでないだろう。そもそも20歳前程のネメシアだが、グランドマスターを任されているので仕事に関しても問題は無さそうに思える。だが、若いというだけで周りから舐められる可能性はあるだろう。冒険者ギルド総本部だけでなく、それ以外でもグランドマスターには仕事がある。まあ大丈夫だと思うけど暫くはお目付け役として見守ろうという感じなのだろう。


レッドはそんな話を聞きながら、ゼンに対してこの様な感想を抱いていた。



「(この方は……総帥に似た雰囲気だ)」



レッドがいう総帥とは、シキとして『あちら』の世界で所属している軍の最高司令官である総帥、又は大元帥と呼ばれる人物。シキ自身もそれなりの階級なので総帥と関わる事はあったのだが、ゼンと同様の初老で意外と親しみやすい存在だ。子供視点ならば優しくも厳しいおじいちゃんと言えばわかるだろうか。


ネメシアはグランドマスターとしてまだまだだと思っているらしくゼンの心配はその未熟さだと勘違いして苦笑いしてしまう。実際の話だがネメシアはグランドマスターとして十二分役目を全うしているのはゼンもわかっている。



「でっ!レッド()の事は聞いているけど……後ろの二人は誰なのかな?」


「あぁ、二人はーーー」



レッドは後で待機している二人の従者(サーヴァント)であるシリルと葵に変装(・・)を解いてもらい、本来の姿で一通り説明する。そう、金髪の猫の獣人と銀髪の者の正体はシリルと葵だったのだ。加えてレッドの肩で居眠りをしている黒い小さなモンスター、正体は『謎の生命体(アンノウン)』のドラトスについては簡単に最近仲間になったティムモンスターという事にしている。まあ……間違ってはいない、うん、多分。ドラトスの方は「ぎゃーす……」と元の姿よりも鳴き声も含めて愛らしくなっている。


一方のネメシアは葵の本来の姿、黒髪黒目という日本人特有の姿に何とも微妙な表情をしている。一応シキだけでなく、葵も異世界から召喚された事を伝えていると横にいたゼンは忠告する。



「レッド君は大丈夫だと思うが、葵君。あまりその黒髪黒目(姿)はなるべく避けた方がいい。中には黒髪黒目(その姿)を意味嫌う者もいるのでな」


「はい。日常では……この姿で過ごしていますので」



葵は黒髪黒目かは茶髪に茶目に変えている。今ではこの姿で生活しているので黒髪黒目になるのは殆ど無いのだ。これは葵自身『光魔法』を使えるからという理由である。レッドに関してはシキの姿の場合、不知火姫希同様地毛が金髪なので問題ない。


黒髪黒目を意味嫌うのは『勇者』を連想するからだろう。この国『カグヤ』の『キョウラク』ではその様な人物はあまりいないだろうが、『勇者』を恨む存在は可能性として十分高い。葵が布で隠している右目を露にすれば、黒目と金眼のオッドアイなので日本人離れをしていたりする。



「そうか、なら心配はないか」


「聞きたい事があるがいいか?」


「ん?なにかな?」



レッドはネメシアとゼンにある事を訊ねる。


それは『七天魔皇』最強、『覇王』……いや『金剛』が言っていた内容だ。


『カグヤ』に存在する遺跡。


『カグヤ』から大分離れた海域に人やモンスターが全く居ない場所について。


そして『大樹の郷』についての情報。


この3つだ。


まず一つ目の質問についてはこう答えられた。



「遺跡かぁ~。それって『クリュプトン遺跡』の事じゃないかな?」


「そうさな。今では観光の一つ。遺跡の中には一体の巨大な人形の石像、ゴーレムが鎮座しているのだよ。ゴーレム使いからしたらあのゴーレムは一度は使役したいらしい」


「あ、そういえば何時だったか忘れたけど数ヵ月……半年前前かな?『ソシャル国』の『ゼリファラール学園』の生徒達が見学に着ていたよね」


「……」



その『クリュプトン遺跡』のゴーレムはどうやら見たこともない形状をしており、鉱物も不明なものが使われているらしい。ゴーレム使いが見れば、その姿に惚れ惚れとし自分もそんなゴーレムを作りたい、使役したいと思ってしまう程。『クリュプトン遺跡』自体は国が管理しており、直接触れる事は不可能だが観光地の一つとして他の国から旅行等でやってくる者には人気らしい。だが、それよりも世界中のゴーレム使いはその素晴らしいゴーレムの姿を一目見ようと足を運んでいる様だ。どうやら他国『ソシャル国』、『ゼリファラール学園』の生徒達が学業の一貫として短期の留学をこの『カグヤ』、『キョウラク』で行われていたらしい。既にもうその生徒達は母国に帰っている。その話をしている最中、『ゼリファラール学園』という単語で表情には出さないもののシリルが微かに反応していたのをレッドは横目で感じていた。よく見ないと本当にわからない程の反応だったが、シリルの主としてよく見ていたからわかったのだ。


次の質問、人やモンスターが全く居ない場所についてなのだが、それに関しては()『グランドマスター』から話してくれた。



「うむ。それは恐らく『死の海域』の事だろう。昔、私がまだ現役だった頃に仲間と捜索したのだが……特に何も無かった筈だ」



その仲間の一人が現ギルドマスターのイルディアらしい。レッドは昔からあんな感じなのかと問うとどうやらそうだった様だ。加えて当時は美少年美少女が大好物だったらしいが正直そんなのとうでもいい。『死の海域』は船や魔法を使用してあたりくまなく捜索したのだが、そこにあったのは廃墟となった神殿位しかないらしい。神殿はまるで半分に割られたかの様な状態でもしかすると何処かにそのもう半分が存在しているのかもしれないと話していた。


『大樹の郷』については、本でもあった様にエルフしか住んでいない場所の様だ。エルフが愛する場所でもあるのでエルフの国とも呼ばれていたりする。その『大樹の郷』へ入れるかどうか話すとネメシアがこう言う。



「グランドマスターとして先月行ったけど、問題はないと思うよ。でも、奥にすっごく大きな木がある場所へはエルフだけしか行けないみたいだね。行く分に関しては大丈夫さっ!あ、でも異世界の勇者の事は最も嫌っている人物がいるから……黒髪黒目にはしない方がいいよ」



その最も嫌っている人物というのは、その『大樹の郷』の奥に住んでいると言われる女性のエルフらしい。ネメシアだけでなくゼンもその目にした事はないらしい。それほどその奥にはエルフにとって大事なものがあるのだろう。それをレッドはあの『世界樹(ユグドラシル)』だと睨んでいる。恐らくその女性のエルフというのは『悲劇の英雄』に登場していた人物の一人か、そのモデルとなった人物なのだろうか。


そんな色々な事をレッドは悩んでいると何処からか「くぅ~」と誰かのお腹の音が鳴る。それほど大きい音ではないが、可愛らしい音である。



「あはは~っ。ごめんね~っ」



そのお腹の音の主はネメシアであった。恥ずかしそうに頬を染めながらも素直に言うのは彼のいいところなのだろうか。後から聞いたがネメシアは男である。


するとネメシアは何か閃いたらしく、レッド達三人に言う。



「ねー、今から一緒に食事しない?もう昼だしさーっ。『ジュラク』とかどう?」


「『ジュラク』?」



どうやらネメシアが大好物の料理の名前らしい。『ジュラク』とは何なのかは不明だが、話を聞くと前にシキが娘のアイリスとマシロ、そしてシリルと葵と共に城下町を見回った時にあった日本で言う『ラーメン』の事の様だ。今はもう昼。[箱庭]にいる妻達には話が長引く可能性があるので昼食は大丈夫と伝えている。だが、夕食前には必ず帰る気なのでそこまでは居座る気はないのだが。


今回はその『ジュラク』をネメシアとゼンと共に食事をする事にする。



「じゃあ、拙者がーーー」


「いや、ここは私が奢ろう」



という事でゼンの奢りで『ジュラク』をギルド職員に頼む事にした。『ジュラク』等を始めとした料理はここ冒険者ギルド総本部の専属料理人達が調理されている。それは冒険者だけでなく、ギルド職員達も利用され、中々評判もいいらしい。ゼンには自分達の分はお金は出すと言ったが、本人は「構わぬ。これはちょっとした私からの歓迎だ」と言ってきかなかった。歓迎というのはこの冒険者ギルド総本部に来てくれたという意味だろう。


暫くしてその『ジュラク』を5人分をギルド職員が持ってきてくれた。見た目はラーメンだ。


食べてみると、麺は少し平べったく、魚介類と野菜でとったあっさりした味噌風の出汁をよく絡ませている。麺自体にもコシがあった。上に乗っかっているもやしや煮卵、カリカリに焼いた鳥の皮、薄切りにした鳥のチャーシュー。ここまでなら地球でもありそうだ。


だが、その『ジュラク』の横にあるものがあった。


何枚かの野菜の葉を重ねて包まれていた料理だ。


はて、これは……?といった様子でレッドとシリル、葵は見ていると先にネメシアがお手本といった感じでその野菜の葉を重ねて包まれていた料理、『ルユ』と呼ばれる料理をある程度まで食べた『ジュラク』の上へと箸で乗せたのだ。


そして、その『ルユ』を箸で割るとシュワッ、ジュワァァ~と炭酸の様な音、熱しられた油が『ルユ』から決壊し、『ジュラク』の表面を覆い尽くしてしまう。しかし、ただ覆い尽くしたと思ったのだが、箸でかき混ぜると更に景色が一変する。


それをネメシアは勢いよくズルズルっ♪とリズム良く啜ると何とも祝福そうな表情で惚けていた。


レッドはネメシアの見様見真似で『ルユ』を『ジュラク』の上に置き、そしてそれを割ってかき混ぜると、2つの出汁が合わさった食欲をそそる香りに思わず両サイドで見ていたシリルと葵もいつの間にか口に溜まった唾を無意識に飲み込んでしまう。


『ジュラク』と『ルユ』が混ざった料理を、レッドは一口啜った。



「……美味」



思わずそんな言葉が出てしまった。


最初の『ジュラク』は正直地球、日本のラーメンでも美味しいものだった。しかし、『ルユ』を一緒にすると口の中はパチッとした音でも出そうな辛さがあるが、後からシュワッとその辛さを流してくれる出汁の組み合わせに爽快感があるのだ。この食べ物は熱いものだが、夏でも食べられる程の料理。


変わったラーメンと思っていたが、実際は進んでいるラーメンという認識に変わったのだ。


シリルだけでなく、葵もその混ぜ合わせた『ジュラク』の味に驚きながらも好評だ。


そしてレッド達は初めての『ジュラク』の味に舌鼓するのであった。


【くえすちょんっ】


Q.ミアン『冒険者ギルド総本部にはグランドマスターしかいないの?』


A.冒険者ギルド総本部には『グランドマスター』だけでなく、今回は『前グランドマスター』に加えて『ギルドマスター』、『副ギルドマスター』もいます。冒険者ギルド総本部は忙しそうですから今回は登場しませんでした。



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