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恵みの炎

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!


『屋台!』


『ワイワイ!』


『リゼットとエマ!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



倭国『カグヤ』の西に存在する海を越えた島国、『ペシェ』。その領土にある村『ペルシクム』は山のように大きな森が特徴的な場所であり、ティムモンスターと共に農業を営んでいる。この『ペルシクム』だけでなく『カグヤ』という国はティムモンスターは仲間であり家族だ。一緒に汗水を流し、笑い合いながら食事を共にする。それが日常であり、彼等にとってみればこれが普通だ。


しかしそんな平和な日常が続くと思われていたが、今日は違った。



「く、くそぉっ!森が……!」


「何ということだ……」


「こんな事が……」


「グルルゥゥ……」


「キシャシャァァ!!!」



村の人々とモンスター達は絶望的な表情でその村の象徴ともいえるその森をただ見ている事しかできなかった。その森は……山のように大きな森はある存在によって滅ぼされようとしていたのだ。地響きがする度に木々がメキメキと折れた音を立て、そこに住んでいたモンスター達もその存在から逃げていた。今までこんな事は起こる事は無かった。何かが起きる前触れなのか、それともサインなのか空は暗雲に包まれている。



ーーーグォォォォォォォォオ……。



何かの叫び声が響き渡る。その叫びはこの世の地獄の底から亡霊達が嘆くような、恨みの籠った様なものだ。そしてその存在が木々を倒しながら正体を現す。



「な、なぁ……」


「なんじゃと!?」


「あ、ありゃぁ……」



現れたのは巨大な身体ではあるが腐敗し、翼も骨だけしかない毒を撒き散らす『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』。その『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』が撒き散らす毒のせいなのだろう、その毒を吸ったモンスター達が泡を吹きながら倒れているのが遠目でも見える。加えて動物だけでなく、木々までもがその毒を吸収し腐っていく。あれこそが死を撒き散らす存在。滅びの象徴。



「なっ、何でこんなところに『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』がいるんだよ!?」


「森が……土地が……死んでしまうっ!」


「くそっ!?どうしたら……」


「クゥゥン……」


「シャシャァ……」



村人達とモンスター達は逃げる準備は終えていない。誰もがこの村を森を土地を守ろうとしていたのだ。だが、まさかSランク以上にもなる『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』が相手なら全滅は免れない。冒険者でもSSランクでも下手すれば殺されてしまう程の脅威。この村には元冒険者が何人もいるが撃退、討伐も不可能だ。


屍動竜(ドラゴンゾンビ)』の撒き散らす毒は徐々にこちらへと近づいていく。逃げ場は無い。『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』が通ってきた道は木々や土そのものまでが毒に犯され死んでいく。


逃げられない。


村人達の誰もがそう思った。


しかし、村の近くにある崖に一つの明りの様な何かが現れたのだ。


その崖は見晴らしの良い場所でここに住む村人達ならば知る場所。そこには業火を纏う大きな犬や狼の様な四つ足の獣が『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』を瞳に捉えていた。その姿は実に勇ましい。



ーーーグォォォォァァア……。


『……』



屍動竜(ドラゴンゾンビ)』もその獣に気付いた様でその場で立ち止まると、唸り声を上げながらその存在へと目を向けていた。一方の獣は『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』を眺めながら黙っている。しかし、その様子から自然を破壊しようとする『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』に怒りを抱いている様子だ。



ーーーォォォォォォオオアアア……!!!



屍動竜(ドラゴンゾンビ)』は今まで無意味に暴れていたのだが、その獣を敵だと捉えるとそのまま身体を大きく動かし吼える。重々しい身体を地響きを立てながらその獣を喰らおうと口から毒霧を吐く。だが、その『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』は何かにすがるかの様にも見えるのだ。まるで暗い闇の中で迷子になってしまったかの様に。



『……助けを、求めているのですか?』



獣はそう呟く。


屍動竜(ドラゴンゾンビ)』の心が伝わったかの様に。


そのそも今獣へと攻撃しようとする『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』は生前、どの様な竜だったのだろうか。そしてもし、その生前の、いやまだその魂がそこに残っているとするならば、今の状況に何を思うのだろうか。


その『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』の生前の名は『聖護竜セラミス』。かつてこの土地を守護した神が遣わした存在として崇められていた。その竜は人にもモンスターにも優しき存在であったのだ。優しき竜はかつての自分が認めたとある異世界の『勇者』と共に旅を共にし、悪き存在を倒してきた。時には倒すのではなく対話で悪の者を改心させたりもしたのだ。その時の『勇者』はとてもよい人物であった。中には『魔王』も仲間にした程の人物だ。『聖護竜セラミス』はその『勇者』が死ぬ前に約束を交わしたのだ。


もし、自分と同じ様に異世界からやってきた者を助けてほしい、と。


その『勇者』がこの世から去り、長い年月が経つと他の国で『勇者』達が現れたのだ(・・・・・)。そして『聖護竜セラミス』は親友であった今は亡き『勇者』の約束を果たす為に協力した。


だが。


その新たな『勇者』達によって討たれてしまったのだ。


理由は、『聖護竜セラミス』の角や牙、爪等の素材で自分だけの鎧や武器を作る為だったのだ。しかし、『聖護竜セラミス』を討つなど合ってはならない所業だ。その土地の守神としても崇拝されたいる存在を剣を向ける等不可能に近い。それをやってしまえば外交問題となってしまう。


それを当時の『勇者』達はやってしまったのだ。


『聖護竜セラミス』を騙し、人質を盾にして。


『勇者』が『聖護竜セラミス』を討った事で『カグヤ』とその『勇者』側の国が戦争になってしまう。『勇者』側の国は『勇者』の独断でした自分勝手の行動のせいで戦争により滅んでしまった。その『勇者』達も捕らえられ処刑されると思われたが、間一髪で戦争前に国から逃亡していたのだ。結局は『勇者』達は見つけ出され処刑されたのだが、それまでに『カグヤ』内で非道の限りを尽くしていたのだ。当時の人々は『勇者』達である彼等を『蛮勇』と称していた。


討たれた『聖護竜セラミス』は人々によって惜しまれながらこの土地で埋葬されたのだが、長い年月によって憐れな姿になった『聖護竜セラミス』は『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』と成ってしまったのだ。



ーーーグォォォォァァァアアア……!



本当ならこんな事をしたくは無いのだろう。しかし、『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』という存在になってしまったからにはこの様な生命を脅かす存在になるのは逃れられない。



『……いいでしょう。』



その獣は静かに呟くと身体から炎が吹き荒れる。そして、大地を踏み締める様に構えると、『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』に向けて咆哮した。


咆哮は火山の噴火の如く辺りに響き渡る。大地は揺れる様に震え、ピリピリと痺れる様な威圧が放たれるのだ。それは『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』だけでなく、その辺りにいた村人やティムモンスター達も。


屍動竜(ドラゴンゾンビ)』が咆哮に怯んでいる隙に獣は重さを感じさせない足取りで風の如く駆けていく。



ーーーォォオアア……!?



獣の身体の炎がキラリと光ると一瞬で広がった『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』を包み込んだ。その炎は『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』の身体を埋め尽くすとそのまま焼かれていく。しかし、焼かれている筈なのだがその炎からは焦げ臭い臭い等は一切無い。これに気付いた者は極小数。最初は苦しんでいた『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』であったが、後には静かに自らの身体が焼かれていくのを受け入れる『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』ではなく『聖護竜セラミス』。


『聖護竜セラミス』は目の前にいる獣に言う。



『私を、止めてくれて……救ってくれて、ありがとうございます』


『礼など不要ですよ』


『そうですか。……図々しいですが、お願いを、聞いて……いただけますか?』


『……何です』


『この土地を……私の、せいでこの土地が死ぬかも、しれません……。だから……この土地を……救って……。『勇者()』と過ごしたこの場所を……どう、か……』



死ぬ直前になって『聖護竜セラミス』本来に戻ると獣に伝えたい事を伝えてそのまま光の塵となって消え去っていった。



「お……おぉ……『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』を……」


「すげえ……」


「なんだ……あのモンスター……なのか?」


「なんとも勇ましい……」


「グルゥ」


「キシャっ」


「ブルルゥ」



その様子を少し離れた場所で目の当たりにした村人達、モンスター達はその獣の姿をその自身の目に焼き付けていた。圧倒的な力で『屍動竜(ドラゴンゾンビ)』を葬ったモンスターと言っていいのかもわからない存在。


その獣はその気配を後ろから感じながら呟く。




『……面倒な事を押し付けてくれましたね』



本来ならこんな事をしなくても誰も文句は言わないだろう。死に行く土地に息を吹き返せと。そんな神の様な偉業をせよ等面倒極まりない。だが、『聖護竜セラミス』は願った。そしてその願いを聞いてしまったのだから出来る限りの事はしようと獣は動く。


これは単なる気紛れ。


自分がやろうと思ったからその獣はやるのだ。


この土地に命を吹き込む事を。



『我が主よ、力を解放します(御許し下さい)……』


聖炎の息吹レナトゥス・エネルゲイア』。



その獣の地に着いた足から緩やかな炎が放出される。それは湧水の様に溢れると毒に犯され、死の間近であった土地を飲み込んだ。村人達やモンスター達がいる場所は毒に犯されずに無事であったが、それぞれが驚愕するしかなかった。


毒に犯され、死ぬ直前の土地を炎を放ったのだから。


もうどうする事も出来ない。もうこの土地は死ぬのだと誰もが思った。


しかし、その獣が放出する炎には熱を感じない。その炎は焼くというより、温もりを与えるものであった。確かに燃えている筈なのに土地は焼かれる事は無く、だだそれを受け入れていくのだ。


そして、炎が治まると焼かれていた筈の土地は光に輝く大地へと変貌していたのだ。土は何か作物等を植えれば何でもよく実りそうな、栄養がありそうなものに。よく見ると毒は全て消え去っては無く、遠くではあるが深く濃い青紫の沼というより池の様なものも出来ている。草木も毒にやられて枯れていたのだが、その傍にはその子孫達の芽がふくよかな土から出ていた。


息を吹き返したのだ、この土地は。


光の小さなオーブが祝福するかの様に辺りの土から漂う。


まさしく、その様は神秘的なものだ。



『これで……いいのでしょう。』



そう獣はその土地の景色を見渡すと、そのまま何処かへと風の様に消え去っていった。


後にその土地は神なる土地と呼ばれる程動植物が豊富な場所となり、深く濃い青紫の毒沼はその場所特有の毒系のモンスターが生息する様になった。その青紫の毒沼で採取した毒はただの毒ではなく加工すれば薬の材料として利用できるものとなるのだ。その土地の影響か、その土地に繋がる土地にも栄養が行き渡りその場所は村にとっても食材の宝物庫と呼ばれる事となる。


村人達はその土地を蘇らせたその獣を敬意を込めてこう呼んだ。


『恵みの炎』と。


『恵みの炎』だけでなく、他に『煌めく雷鳴』や『水の化身』という存在も各地で目撃され、噂が流れていく。それは最初は市民や商人の間で流れる噂であったが、中にはその存在を、その力の存在を目撃した冒険者もいたのだ。冒険者ギルドに加え、貴族、そして王族にもこの噂は広がっていくのであった。





ミアン「やっほ~!毎度お馴染みっ、影の女王スカアハの息子ミアンだよぉ~!」


ミアン「え、ボクに友達がいるかって?」


ミアン「そりやぁいるさっ。ボクと同じで父親がいないんだけど……。お母様同士が仲がいいからっていうのもあるんだろうけどねっ!」


ミアン「この前は一緒にピクニックにいったんだぁ~。まあ、すごく寒かったんだけどねっ」


ミアン「さて、次回予告だよ!」


ミアン「次回は……今回もまだ決まってないんだって!誰かの過去かも?」


ミアン「じゃあ、次回もお楽しみねっ、あでゅー☆」



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