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暖かな料理

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!


『カグヤ、トウチャク!』


『屋台、どうする?』


『全部!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



「おーい。俺に味噌汁一つくれねぇか?」


「私はポタージュねっ」


「悪いが売ってるもの、一つずつ頼めるか?」


「あ、うちはトマトのなっ」


「ぼくはカレーのやつ!」


「おぉ、中華スープというのをもう一つもらえんかのぉ」


「おねぇさん、シチューを一つちょうだい!」



屋台を広げて約数時間。シキ達が販売する暖かい各種のスープは飛ぶように売れていく。老若男女問わずに行列が出来てしまう程。どれも人気であるが、横でパン屋を営んでいる店もあってシキ達が売るカレースープやポタージュ、シチュー等と合わせて食べるのが客の中では既に浸透してしまっている。馬車兼屋台の近くにはテーブルとイスを他の通行人に邪魔にならない様に置いている。パン屋にとってもいい商売になって助かると言ってくれているので関係としても上々だ。



「はいっ、御待たせしました~!」


「おっ!いい香りだぁ」


「はぁ~……落ち着く~……」


「身体がポカポカするんじゃぁ~……」


「わぁっ!具がいっぱいだぁ!」


「あら、ほんと。んんっ、美味しいわぁ~」



味も問題無いらしく、シキはホッとその様子を見ている。因みに先程の接客はエプロン姿のシキだ。このスープが売れる理由は美味しいのもあるのだが、恐らく値段もその要因の一つだろう。


各種スープの値段は小銅貨2枚。日本円にすれば200円だ。子供でも決して買えない値段ではない。その証拠にシチュー等お子さんが好きそうなスープを一人で、又は親と一緒に買いに来ているのだ。因みにだが、今屋台を出している場所は同じ屋台が被らない場所で出している。なのでお客が集まってくるのには他の店からも有り難いだろう。パン屋と同じ様にスープと一緒にこれも買おうとするお客もいるからだ。その為に他の店の店主達からお裾分けに売っている商品を受け取っていたりする。



「はい、どーぞっ!」


「あ、ありがとう……」



アイリスもシキと共に商品の受け渡しをしている。アイリスやマシロと同じ位の女の子がアイリスの前に並んでいるのだが、渡した瞬間顔を真っ赤にしながら御礼をいうのだ。それだけならいいだろう。だが、その女の子は既にアイリスを長髪の男の子だと勘違いしているのか恋する乙女の様になっているのだ。アイリスが女の子だと知ればどういう反応をするだろうか。だが、何となく例え同性でも問題無いと言う女の子もいるかもしれない。


そんな様子を面白く無さそうにしている子が一人。



「ぶぅ~……」


「どうしたの、マシロ?」


「……なんでもないの」


「え、ま、マシロ?おこってる、よね?」


「おこってないの~」


「???」



どうやらマシロは嫉妬をしている様だ。シキはその様子を微笑みながら見ていると同じエプロン姿のリゼットが二人の頭をわしゃわしゃと荒めに撫でていく。そして撫で終わると予め用意していたのかスープの入った容器を差し出した。



「ほら、お前ら休憩してこい。あ、アルとリラさんも休んでくれ~」


「わかった!」


「では、休憩いただくぞ」



今する事はお金を貰って予め用意した各種スープが入った大きな鍋から容器に入れて渡す位だ。因みに無くなれば完売である。それほど大変な事は無いがそれよりも接客が大変なのである。今は客足も弱まっているので余裕は出てきているが。



「へぇ~……スープか。中々美味そうじゃねぇか」



声をかけてきたのは長い茶髪の婆娑羅の髪に前髪を後ろに、オールバックにしている美女だ。年齢はシキ達とそう変わらないだろう。ローブを着ているので服装はわからないが冒険者とかなのだろう。



「何になさいますか?」


「……へぇ、お前結構美人だな」


「はい?」



その女性、少女は顔を近付けるのだが、シキにとってはただの迷惑でしかない。そしてシキの眼をじっと焼き付ける様に見つめているのだが、シキはもうどういう反応をすればいいか困ってしまう。この少女は雰囲気もそうだが荒々しく思える。それは見た目だけではなく中身もだ。リゼットとは違い表面から滲み出るヤンチャそうな感じだ。


するとその少女はふわりとした手付きでシキの頬へ触れようとするのだが、その前にシキ本人ではなくその手首を阻止するかの様に掴む物がいた。



「おい。俺の旦那に手を出すんじゃねぇよ」


「あ?」



手首を掴んだリゼットはその元である少女へと睨む。そして先程アイリスやマシロと接した柔らかな表情ではなく怒りを納めている様子だ。だが、怒るのも無理は無いだろう。自分の夫が他の見知らぬ女に手を出そうとしていたのだから。まあ、シキ自身も頬に触れそうになった手を叩こうとしていたらしく、少し上げた手を下ろしてきた。



「あ゛?何しやがる」


「だから俺の旦那に手を出すなって言ってんだよ」


「……おいまて。今旦那って言ったか?……え、こいつがお前の?え、は?」


「てめぇ、旦那に文句があるんなら俺が聞こうじゃねぇか」



どうやら少女はシキがリゼットの旦那。つまり、男だということに驚いていた。確かに最初に旦那とは言っていたがただの聞き間違いだと思っていたのだろう。だが、リゼットはシキを旦那だと言った事に間違いではなかったと理解したのだ。驚いていたのはその少女だけでなく、他に聴いていた客達も鳩が豆鉄砲を食らった様な表情をしている。老若男女問わずに。



「……(は?今目の前にいるこいつが女じゃなくて男、だと?い、いや、何処からどうみても絶世の美少女じゃねーか!)」


「おい、何黙ってる。何か言えよ」


「こら、リゼ。そんな事言わない」


「でもよ……」


「リゼが俺の為に怒ってくれるのはすっっっごく嬉しいんだ。うん、もう、凄く嬉しいんだ……」


「シキ……」



シキは完全に頬を染めてリゼットにメロメロになっていた。よく見ればシキの瞳は完全にハートマークが。リゼットの方もそんなシキに愛おしそうに手を頬に触れる。もう、見た目が絶世の美少女なシキと男前な少女リゼットがゆりゆりしている風にしか見えないだろう。だが、シキは男である。間違えてはならない。しさし、シキも絶世の美少女な見た目をしているが雰囲気がクールで男性っぽい。そんなシキがこうもメロメロになってしまえば誰もが釘付けになってしまうだろう。その結果、少女を含めた周りの人々はシキを見てこう思っていた。



「「「(女の子にしか見えないんだけど……)」」」



この瞬間、この場にいる者達の心が一つになったのであった。この場に恋人が居ない者達からすれば嫉妬すると思われるが、実際は少女同士がラブラブしているのである意味目の保養となっていたのだ。勿論、シキは男である。しかし、客観的には百合なのだ。このままゆりゆりが続くかと思われたが、その前にシキがそれを中断する。



「でも、お客さんもいるから、ね?」


「あぁ、そうだな。……で、何にするんだ」



シキは何とも思っていない様子だがリゼットはその少女に訊ねるが、その表情はどうも警戒しているらしい。その少女はやはりシキが男だと納得していない様だ。だが、それ以上は言うことには無いが、何処からどうみても女性にしか見えないシキを見て無意識に一瞬の隙をついて手を伸ばす。



「……胸は、ねぇな。けど、身体は……なあ、やっぱりお前女たまろ?」


「おいお前!」


「……え、ぇ?」



少女の手は無防備なシキの胸をエプロンの上から触れるとそのまま探る様に揉んでいく。だが、男なので胸は無いので揉む等無意味なのだが少女はそのまま身体お腹、腰に触れていく。確かに胸は無いがそれは女性の場合も有り得る話だ。だが、今触れていると胸以外は女性の様な程よい柔らかさで病み付きになる程であった。一方のシキはまさか自分の身体を触れる、揉まれるとは思っていなかった様で思わず停止してしまった。流石のリゼットも激怒するが停止していたシキは我に返るとその手を叩いた。



「触るな、変態」


「なっ!?い、いや、おれはお前が本当に男なのかと……」


「このエッチ、助平、ビッチ、痴女」


「ビッ……!?お、お前、ふざけーーー!」


「いや、何処からどうみてもお前痴女しか見えないだろ。てか、お前……俺の旦那に……っ!」



リゼットは腰に携えた太刀を抜こうとするが、それを片手でその手を押さえたシキ。だが、シキは別に少女を許した訳ではない。だが、一応はお客なので営業スマイルになるとご注文を訊ねた。



「では変態さん、ご注文は何にします?」


「なっ、だから変態ーーー」


「変態さんが嫌なんだ。なら痴女さん、ご注文を」


「いや、だからーーー」


「……さっさと選べよビッチ。何時までも暇じゃねぇんだよ」


「っ!?」



最後のシキの変わりようにはその少女も絶句してしまう。営業スマイルのままかなり口調の荒い言葉を言ったのだ。因みに商品を求めているお客達は接客をしているスミリアとシリル、マリンに任せている。こちらの異変に気付いてはいるが、シキのアイコンタクトで大丈夫と言っているので余程の事が無い限り動くことはない。が、二人もシキの身体を触られ、揉まれたのは殺気等々出てしまうのは必然であった。特にスミリアはその少女に睨みを効かせていた。流石のこの状況には耐えられなかったのか、少女は改めて自分に火があると判断する。



「……いや、悪かった。えと、そのトマトの貰えるか?」


「はいっ、少々お待ちをっ」



先程とはうって変わって接客モードになったシキはミニストローネの用意をしていく。しかし、リゼットはその少女を威圧するように見ていた。



「……んだよ」


「ふんっ」



どうやらこの二人は仲が悪そうである。まあ夫に手を出そうとしたのだからこうなるのも仕方がない。ミニストローネを器に入れて持ってきたシキはその少女に金を受けとると商品を渡した。だが、この二人数秒ではあるが互いに睨み合った後、そのまま少女は背を向けて何処か行ってしまうのであった。





~~~~~





「……うめぇな、これ」



先程までリゼットと睨み合っていた少女、エマは片手にミニストローネが入った容器を啜りながら素直な感想を呟いていた。人が多く列を作っているから気になって行ったのだが、確かにこれは美味い。並ぶ理由もわかる。だが、只美味しいスープではない。何というか、心が染みるような……。


まだ、自分の母親が王ではなかった頃の記憶を思い出す。


物心ついた時には父親はおらず、二人しか居なかったが、母が作った料理を食べて楽しそうにしていた頃を……。



「あぁ、暖かいな……」



そんな昔の事を思い出しながらエマはリフィーラが戻ってくるまでそのミニストローネの味を味わうのであった。




ミアン「やっほ~!毎度お馴染みっ、影の女王スカアハの息子ミアンだよぉ~!」


ミアン「何だか少し物語が動き出しそうだね!」


ミアン「ボクは変わらず『影の国』でお母様と一緒にいるのさっ!」


ミアン「さて、次回は!」


ミアン「ん?まだ決まっていない、だって!ソンナー。ま、どうやらカグヤの各地で何か新しい伝説が生まれるそうだよー!」


ミアン「次回もお楽しみねっ、あでゅー☆」



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質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!

その他にも質問があればドンドンどうぞー!

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