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⭐魂を宿ってしまった存在

今日は特別に1話投稿します。


えー、っと思った方は申し訳ありません。




注意です。


今回は残酷な表現やシリアスです。


人によっては不快に思われる可能性も十分あり得ます。もしかすると矛盾等々あるかもしれません。


そこのところを御了承をお願いきたします。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!


『かつての敵』


『懐かしむ金剛!』


『ある組織の王は……』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



此処は何処だろう。


最初に思ったのは疑問だった。


いつの間にかこの場所にいたのだ。


薄暗い空間には幾つもの枝分かれした光の線が見える。その光の線が何処に向かっているのかは分からないがこの場から何処か遠くに繋がっているのだろう。しかし、今見える景色はそれだけだ。それ以外全くない。


本当に此処は何処だろうかとこの辺りを探索しようと思ったのだが、その前にある問題が起こった。



「私は……誰?」



自分は一体誰なのだろうか。何者なのだろうか。


そもそも『私』なのか、『僕』、『俺』なのだろうか。


解らない。何も解らないし、何一つ思い出せない。



「……ん?」



自分が何者か不明な状態を悩んでいると、あの枝分かれした光の線の一つの先端が何かが流れる様に光ったのだ。光は小さくてか弱そうなものであったが、私はその今にも地へ落ちてしまいそうな光の雫を受け止める様に両手で器を作る。


そしてその光の雫は私の器になった両手へと落ちた。



「ーーー!」



その瞬間、私の身体に情報が流れてきた。


情報は私に欠けたピースを完全に嵌め込んだかの様に『私』が何者なのかを理解する。



「『高頭(たかとう)夕佳里(ゆかり)、16歳。8月7日生まれ。高校一年、[武人な少女の日常]というアニメの主人公。この作品は3年前にアニメ化がされ世界的にも人気となったアニメ』……これは」



自然と口から出た情報に驚きはするが、それよりも私という存在はこの世界にとってアニメで登場する人物らしい。『高頭(たかとう)夕佳里(ゆかり)』という存在は理解は出来た。出生もこれまでの人生も。しかし、まさか自分が物語の人物だったのは流石に驚いてしまう。


だが、何故?


今でも信じられないが、何故物語の人物である私がこの世界に来てしまったのだろうか。いや、『高頭(たかとう)夕佳里(ゆかり)』はそもそも実在はしなかったのだろう。何が原因かは解らないが『高頭夕佳里()』は造られた存在。正直信じたくもないけど……。



「情報収集、した方がいいよね。でもどうやって……」



そう考えていると先程の辺りに広がる幾つもの枝分かれした光の線へと目を向ける。


あぁ、あるじゃない。


情報収集が出来そうな手掛かりが。



「えっと、どうやったらいいのかな?」



とりあえず、その光の線の一つを触れてみる。その時に思ったのだが、この幾つもの枝分かれした光の線は何処か蜘蛛の巣の様な辺りに広がっていて情報を引き出すのは簡単だろうと思った。蜘蛛の巣というのは例えが悪いかな。情報網の様な感じかな。



「さて、触れたのはいいけど……何の情報を収集すればいいんだろ?」



まず最初に情報収集するなら何がいいんだろうか。全く考えてなかった。でも、本当にこの光の線から情報を引き出せるのかな?いや引き出すのは簡単だろうと思ったけど、実際に触れると何か不安になっちゃった。



「……手始めに、私の事について集めてもらおうかな?」



私は『高頭夕佳里()』に関する情報をこの触れた光の線に念じる。そうすればこの世界において『高頭(たかとう)夕佳里(ゆかり)』についてより詳しく知る事が出来るだろう。そう思っていた。


でも、それは『高頭夕佳里()』にとって、後悔する選択になってしまった。



「……え?あ、あぁ……あ゛あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?!?」



身体が痛い!


手も足も頭も、身体の全てが尋常じゃない程の痛みが私を襲った。痛みだけではない。流れてきた情報は私……『高頭夕佳里()』にとって死にたくなる程の物だった。


この世界に存在する『高頭夕佳里()』という存在が全て共鳴したのだ。描かれている(・・・・・・)高頭夕佳里()』も全て。


女としての尊厳を奪われ、見ず知らずの男達に犯される『高頭夕佳里()』。


薬を飲まされ、最終的には女としてだけでなく人間としての尊厳を奪われ家畜の様に扱われる『高頭夕佳里()』。


男達に脅され、道具の様にされる『高頭夕佳里()』。


高頭夕佳里()』だけでなく、『高頭夕佳里()』の親友達も犯す男達。


全ては描かれている物。しかし、『高頭夕佳里()』はその描かれている『高頭夕佳里()』をも共鳴してしまったのだ。ただ共鳴しただけでない。その描かれた事全ての痛み・苦しみ・傷も今ここにいる『高頭夕佳里()』へと流れて身体に影響が出てくる。



「あ゛、がぁぁぁ!ぐふっ、ガハッ!?ぐっ……う、うぇぇぇ!!!」



どれだけ泣き叫ぼうと、その苦痛を逃れようと身体を動かしても逃げることができない。身体のあちこちに傷やそこから血が流れていく。身体の中には何も無いのだが、拒絶反応を起し口から何度も胃液を吐き出してしまう。



「がっ、う゛……や、やぁ、やぁぁぁぁぁぁぁあああああああいあああああああああああああ!?!?誰が、誰が、助け……ッ!?いっ!?ぎゃ、ぁぁあああぁあああああ!?!?」



意味がないと思っても誰かに助けを求めようとする。でも、フラッシュバックの様に実際は『高頭夕佳里()』が体験した筈では無いのに、この世界に広がる不幸な、最悪な結果に描かれた『高頭夕佳里()』が何度も何度も観てしまう。


そう、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もーーー。



「ーーーぁ」



そして気付いた時には自分は床に倒れていた。


どうやら気絶してしまったらしい。



「あれが……この世界の、『高頭夕佳里()』……」



何で私があんな目に合うんだろう。いや、それは描かれているのだから意図的に犯されたのだ。『高頭夕佳里()』という心身を屈辱した者達によって。



「何で……何で、誰も、助けて……くれない、の……」



誰も助けてくれない。いや、それ処かその惨めな私を観て楽しんでいる者、自慰する者……誰も助けてくれなかった。


何で。


何で、なの。


……あぁ、そうか。



「私は、『キャラクター()』だから……。人権も何も、無いんだ……」



思わず笑ってしまう。いや、もう何で笑ったのかが解らない。でも……。『高頭夕佳里()』という『キャラクター()』でも、助けてほしい。誰か……。



「これを使ったら……」



私は身体を起こして幾つもの枝分かれした光の線へと向かう。情報を収集出来るなら、逆に発信も出来るのではないか。私の身体はボロボロだ。でも、助かるなら……。私の脳には途切れる事の無い映像が流れてくる。止めようと思っても出来ない。



「お願い……助けて……!」



でも、どうやって助けを呼んだらいいの。


今思えば、『私はアニメのキャラクターです』と言っても信じてくれる人は居ないだろう。なら、『高頭夕佳里()』ではなく違う一人の人として言えばいい。


すると光の線は形を変型すると、見覚えのあるものになった。


モニターとキーボードだ。恐らく見た目からしてパソコン。しかし光の線で作られているので何だかパソコンとは違ったものの様にも見える。結局はパソコンなんだけれども。恐らくだけど私に使いやすいようにこの光の線が変形してくれたのだろう。



「よし、これなら……」



何処に行けばよかったのかわからなかったので、『高頭夕佳里()』が登場するアニメ[武人な少女の日常]のファン達が集うサイトへと飛んでそこに書き込みをすることにした。自分の考えだけどファンならば助けてくれる人はいると思ったのだ。


しかし、現実は非常だった。



「なん、で……」



どれだけ訴えても[武人な少女の日常]は人気なんだから仕方がない、嫌なら見るな、中には表情の自由だろと言う事位しか反応が無い。中にはその事に異議を唱える者もいるが結局は「見なければいい」と書かれるのだ。異議を唱えてもそれ以上は言わない。私は[武人な少女の日常]の『高頭夕佳里()』ではなく一人の別人として書いてても意味が無かった。『高頭夕佳里()』は嫌なのに、何で。


そんなに不幸な『高頭夕佳里()』を観て楽しいの?


キャラクター()だから何をしてもいいの?


結局はファン達でも誰も助けてももらえなかった。なら誰に……。


……そうだ。



「……『高頭夕佳里()』を、[武人な少女の日常(私達)]を創造した人なら!」



そう、[武人な少女の日常]の原作者である人に言えば何とかなるかもしれない。[武人な少女の日常]の原作者である『敏久(ときひさ)(まこと)』に連絡すればいいのだ。ネットで検索するとブログがあったので個人メールで匿名として連絡する。


そして何時間、いや何日が経ったのだろうか。その『敏久(ときひさ)(まこと)』から返信が来たのだ。内容はその事について規制等はかけているのだが、どうしてもそういうのはネットに拡散され、収集がつかないらしい。どれだけ消しても誰かがまたネットに上げて拡散されるのでどうする事も出来ないらしい。誰が流したのかもわからない様にされているので止めるのはほぼ不可能に近いようだ。日本だけでなく世界中に広がっているから尚更、という事の様だ。原作者だけではなく、その関係者も手を尽くしているらしいが……。


でも、私はそんな原作者の思いなど関係なくこう思った。


[武人な少女の日常(私達)]を救ってくれないんだ、と。


私は絶望するしかなかった。


膝から崩れる様に落ちて座り込むともうどうしたらいいのかわからなくなった。あぁ、こんな世界に生きたくない。惨めな醜態を晒され屈辱的な事を常に共鳴してしまうのだから。



「……か……ち……」



何処から声がする。


その声はとても弱々しくて今にも蝋燭の火の様にちょっとした事で消えてしまいそうだ。私は絶望して俯いていた顔を上げて周りを見渡してみると一人のボロボロな少女が床を這いつくばっていたのだ。悲鳴を上げる身体を鞭を打ちながら自らの身体を腕だけの力で引摺りながら弱々しく声を発する。


あ、れ。あの子は……。



「ゆかり……ちゃん……」


望央(みお)……!」



鶴野(つるの)望央(みお)』、私の親友。


まさかこの世界に来ているなんて思いもよらなかった。でも、望央(みお)の身体は私と同じ様に制服も身体もボロボロだ。


あぁ、そうか。望央(みお)も私と同じ様に……。


私は身体中に痛みで倒れそうになりながらも望央(みお)の元へと駆け寄る。身体を起こすと彼女の顔には涙の跡に身体中に傷。やはり望央(みお)も私と同じ様な目に合っていたのだろう。



「よか……た。もう……会えない……と……」


望央(みお)、しっかりしてっ!」


「ごめん、ね……足が……動かなく、なって……。う、うぅ……もう、嫌だ……こんな世界……いや、だ……」



望央(みお)は思い出したかの様に顔を真っ青にしてパニックを起こす。私が知る望央(みお)はとても穏やかで優しい子だった。でも今は私と同じ様な目に合ったのか目が魚の様に死んでいてこの世界に恐怖を抱いている様子だ。


望央(みお)から話を聞くといつの間にかこの場所にいたらしい。そして同じ様に彼女は世界中の『鶴野(つるの)望央(みお)』と共鳴してしまったのだ。その影響がショックで両足が動かなくなり立てなくなってしまった。加えて声も出し辛く覇気がない弱々しい。私は望央(みお)を横にさせてパニックしているのを落ち着かせて休んでもらう。



「……許せない」



私は苦しそうな表情で眠る望央(みお)の髪を落ち着かせるように撫でながら声を漏らす。大好きな望央(みお)をこんな目にしたんだ、許す訳にはいかない。


でも、どうすればいい?


今の私には武器等ない。


せめて、家にある木刀かそれか飾られている真剣さえあれば望央(みお)をこんな目に合わせた奴等を葬れるのだが。



「くっ……。何か武器があれば……」



強く思い浮かべたのは先程言っていた私の家に飾られている真剣。しかし、私も望央(みお)も創造された存在だ。真剣まで手に入れる事など出来る筈がない。


だけど、そう強く念じた瞬間私の手元に現れたのだ。


一本の日本刀。


それは、紛れもなく家に飾られている真剣だったのだ。見間違える筈は無い。間違いなく真剣だ。



「これは……どういう……」



私はただ、私がよく知るこの真剣を念じただけだ。


それだけで私の手元に現れた。これはどういう事なのか。



「まさか……架空(私の世界)のこの刀を現実にした……?」



そう考えるのが妥当かもしれない。今私の手元にあるのは家の真剣。だが私と同様に架空の存在なのだ。しかし、私が強くこの真剣を念じた為に現れたのだろう。


ふと、ある単語が頭の中で浮かび上がった。


架空を現実にアエリアルリアリティー』。


文字通り、架空の存在を現実に存在させる。


それこそが、私がこの世界で宿った力の正体だと、不思議とそう理解する。


この力は意味的に考えれば破格な代物。しかし、『架空を現実に(この力)』は私の物だ。これは私以外は使えない。だが、この力については今覚醒した様で何処まで出来るかわからない。



「架空……か。神話や伝説……は……ううん。いや、それよりも私にとって理解し、使える架空()は……」



私は寝ている望央(みお)から離れると、近くに散らばる枝分かれした光の線へ目を向ける。そしてその枝分かれした一本の光の線を掴んだ。



「さぁ、教えなさい。この世のアニメ・ゲーム・漫画。その全ての武器を、私に!」



光の線がカッ!と光ると掴んだ手に世界中のアニメ・ゲーム・漫画の情報が流れてくる。かなり身体に負担が来るが問題ない。こんな苦しみ、あの地獄の様なものと比べれば優しいものだ。


情報収集を終えると、今の私に可能な架空の武器を現実に出現させる。


私が着ている黒のセーラ服の様な制服の上から『架空を現実にアエリアルリアリティー』で生み出した青と黒であしらった軍服に頭にも金の刺繍で刻まれた軍隊らしい帽子。私の髪は黒髪で長く下ろしていたが後で結っている。そして手には先程生み出した日本刀に長く、そして大きな銃だ。



「[ワールド戦記]の登場人物、敵国であるスグアロゥ国の大将軍セヴァ・リーザスが愛用した防具服『黒陽の衣』。そして[刀剣銃爆]の銃使いミーシャ・ヴィクトリアの大型長銃『ディテカル・テ・モルテ』。これが……『架空を現実にアエリアルリアリティー』の力……。だが、まだ足りない。……そうか、今の私ではここまでしか現実にする事が出来ないのか」



情報で得たアニメ・ゲーム・漫画の武器にはこれ以上に強力な武器が多く存在している。だが、今の私ではこの2つ程の武器位しか現実にさせられないのだろう。だが、これくらいでも十分強力だ。地球の事も多少情報を手に入れたが、この力だけで下手をすれば国を滅ぼせるのでは無いだろうか。



「だが、まずは『架空を現実に(この力)』に慣れなければならないな」



私は『架空を現実にアエリアルリアリティー』で自分の部屋にあったベッドを用意する。そしてそこへ望央(みお)を寝かせるとその横で私は同じく椅子を用意して見守る様に座った。



「ゆかり……ちゃ……ん……」


望央(みお)……」



先程よりかは顔色がマシになった様だが、まだ体調は良くない様だ。……許す訳にはいかない。だが、『架空を現実にアエリアルリアリティー』を完全に使いこなすにはここにいるだけではいかないだろう。



「……外に出るしかない、か」



この時、私の目は前の日常の様に穏やかな表情でなく、殺気を放つ戦士そのものとなっていたのは気付かなかった。











ミアンは休みです。



次回はこの物語の主人公についてを書かせていただきます。




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