話し合い
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
『話し合いを!』
『勇者達、はんたーい!』
『でも逃げられる?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
巨大飛行艇のデッキ中心部、そこで『七天魔皇』の『覇王』はそこで座り待っていた。
その周りには部下だけでなく戦闘員全員がそこで武器は抜かずにそこにいる。何時でも頭である『覇王』を守れる様に現段階では見守る様にして待っていた。
戦闘員達はこの場に漂うピリピリとした殺気とは違う緊張した雰囲気に何もしていないのにも関わらず汗を流す者や唾を飲む者、武者震いなのか身体が微かに震えている者がいる。
『覇王』が待ち、そのを眺める先には下に降りる階段がある。その降りた場所から空海艇と接触し橋が繋がっていた。空海艇から来るであろうあの文を送った謎の人物に。
「……来たか」
包帯グルグル巻きの男、ジャズは何かを感じ取ったかの様に言う。その言葉に幹部以外の者達は更なる緊張感が走った。
謎の人物を待っているとその下り階段から足音が聞こえてくる。
足音は別段、静かに音を鳴らしてはいる。しかし、その一歩一歩の足音こそが死の宣告の様にも聴こえ、階段は軋み出して悲鳴を上げていた。
「……へぇ」
「なんつー風格なんスッか、あれ」
「グルガァァ、強そうだなっ面白そうだなっ」
「話し合いでしょ?あまり頭様の迷惑をかけないでよ」
「何という存在感じゃ……」
部下達はそれぞれの反応をしている。
ジャズは中々興味深そうに頬を緩ませ、黒い騎士の格好をした男は素直に客観的に評価していた。虎の獣人である大男は戦闘狂なのかはわからないが面白そうな表情を、見た目は『森族』ではあるが、薄緑の肌に茶色い髪の美女はその虎の獣人に注意している。そして最後は艶やかなプラチナブロンドの髪と赤い目の美少女は歳より染みた口調でその存在に驚いていた。
現れたのは大柄で黒い鎧を全身着用し、黒のフード付きのコートを纏った存在、シャドー。
そしてそのシャドーの斜め後ろにいるのは赤髪ツインテールの美少女だ。
だが、この時『覇王』の部下や船員達はその少女の美しさに目を奪われる事等せずに、むしろ警戒心を高めていた。
油断、軽率……それらをする事なく、船員達はこれから起こる事に息を飲んでしまう。
シャドーとツインテール美少女は『覇王』の前に着くとその場で立ち止まり、見上げる様にこの巨大飛行艇の主へと顔を見上げた。座っているとはいえ、二メートル程の身長を持つシャドーでも『覇王』も大きくデカかったのだ。
「てまぇがぁ……シャドーかぁ?」
《あぁ、そうだ》
そのシャドーの声を発した瞬間、周りにいた船員達の数十名は極度の緊張の限度を超えてしまい、白目を向いてバタリ、バタリと失神して力無く倒れてしまう。
彼等はこの巨大飛行艇の船員達であり、下っ端の様な存在だ。しかし、彼等は下っ端でありながらも空海艇で待つ『勇者』達よりも実力者である。だが、そんな彼等でもシャドーの存在、威圧に先程まで耐えていたものの最後は耐えきれなかった様だ。
「ちょっと!シャドーだっけ?周りに威圧しないでよ。部下達、失神しちゃったじゃないっ」
『森族』の様な容姿で薄緑の肌に茶色い髪の美女はシャドーの威圧も何とも無いらしく、部下達が失神するのを見て不満を漏らす。
この時点でその美女だけでなく、幹部達も全く動揺していない事からかなりの実力者なのがわかるだろう。
《敵地のど真中で威嚇するなとは無理な相談だ。『深森族』の者よ》
「まあそうだけども。……そぅ、私達と同郷なのね貴方は」
『深森族』と言われた美女はシャドーが何者なのかを大体察する。
『森族』という言葉はこの世界ではあるものの、『深森族』という固有名詞は存在しない。それを分かる者は『あちら』の世界の者に違いないのだから。
すると『覇王』はシャドーの横にいるツインテール美少女に何故か見覚えがあったらしく、その彼女について訊ねる。しかし、興味はあるものの何処か危険な雰囲気を感じ取ったのだろう。
「おぃ、シャドーぉ。その横にいる奴は、何だぁ?」
「ほぅ、余の事を忘れたか?『金剛』よ」
「ッ!……あぁ、思い出したぜぇ。『天空之覇帝』の仲間かぁッ!久々だなぁ、その名で呼ばれるのもよぉッ」
《やはり、『金剛』か。……まあいい。話し合いをしたいのだが》
「あぁ、わかった。お前らぁ、悪いが全員席を外……」
『金剛』と呼ばれた『覇王』は前にいるシャドーとそのツインテール美少女だけで話し合いをしようと周りにいる幹部含めて席を外す様に言おうとする。
しかし、一人の幹部が『覇王』に言う。
「頭よ。すまぬが……」
「あ゛?……あぁ、そうだったなぁ。シルファ以外は席を外せぇ、いいなぁ?」
幹部の一人、シルファというプラチナブロンドの髪に赤い目を持つ少女だけをここに留めて他の者達をこの場から下がらせる。他の者達や船員達はあくまでこれは話し合いだと理解してこの場から外していく。
そしてその場にはシャドーと『覇王』、ツインテール美少女にシルファという幹部のみ。
すると、『覇王』は少し威圧を向けてシャドーを睨み付ける。いや、彼等からしてみれば少しではあるが他の者からしてみれば心臓を止まってしまいそうな威圧だ。もしここに『勇者』達がいれば気絶は免れないだろう。
「おぃ、てめぇ……。何時までそんな格好でいるつもりだ、ガキぃッ!」
《……それは失礼した》
『覇王』が言った事に素直に謝罪するとシャドーの身体に突如変化が現れる。
二メートルもあった身体がゆらゆらと夢から覚めるかの様に徐々に周りから消えていく。黒いオーラもコートも、鎧も全てだ。
そして身体が消えるのと同時に新たな人物がシャドーの中から現れたのだ。
現れたのは一人の白い着物を着た人物。
癖ッ毛のある真白な髪はアレンジされた和装ヘアで編み込まれており、銀の瞳を持つ全身真っ白な絶世の着物美少女。彼女を例えるならば雪国に現れる雪女だ。
この現れた真白な着物美少女が現れた事に幹部であるシルファは驚愕していたが、『覇王』は特に反応は無くその人物が女ではなく男だと直感で理解する。
「まさか見破られるとは思いませんでしたね。何時から気付いていましたか?」
「あ゛ぁ゛?そんなの始めッからに決まってるだろ。まさか誤魔化せるとか思ってたのかよぉ」
「そんなに怒らないで下さい。俺も周りから舐められない様に『シャドー』という変装をしていたんですよ。こんな姿じゃ、ね?」
「……まぁーいい。で、名は何だぁ?」
「『ユキ』と申します」
「てめぇ、そりゃぁ偽名だろぉ?」
「えぇ。賊相手に本名を名乗る気はありませんし」
「ケッ!いいだろぉ」
『ユキ』の名乗る中性的な声の着物美少女(男)は『覇王』相手に恐れる素振り一切無く接していた。もし、ここで他の者達が見ていれば悲鳴を上げて止めていただろうか。未だに驚愕しているシルファを置いておいて『覇王』は『ユキ』の横についているツインテール美少女を見る。
「まさかここで会うとはな、スライム」
「久しいなぁ、『金剛』。既にくたばっていたと思っていたが……。まー、いい感じに老けたようだなっ」
「チッ。流石に老いには勝てねぇよ」
ツインテール美少女がいう通り、『覇王』……『金剛』は老けている。そのツインテール美少女が何時からを比較しているかはわからないが『金剛』の婆娑羅の髪には所々白髪がある。しかし肉体は全く衰えた様子は無いらしいが。
「『ユキ』とスライム……いやぁ、確かに『ラヴィ』だったかぁ。話し合い、だったなぁ」
「えぇ」
「うむっ」
これから『金剛』と『ユキ』、『ラヴィ』とで話し合いが開始される。しかし、ここで話し合いなのだが先に『金剛』からある話を切り出される。
「先によぉ。こいつの話を聞いてほしいんだよ。おぃ、いつまで驚いてんだシルファぁ」
「はっ!?そ、そうじゃったなっ!?」
やっと我を取り戻したシルファは現実へと戻った。だが、『シャドー』だった相手がまさか『ユキ』という美少女だったことには未だに動揺を隠せない。無理もないだろう。
すると『金剛』は空海艇の方へと顔を向けるとある事をユキ達へ話す。
「あの船に『勇者』、いるんだろぉ?」
「……『勇者』が何か?」
「まあいぃ。シルファ、話せ」
「わかったのじゃ」
話をシルファに移すと改めてユキ達に自己紹介する。
「妾の名は シルファ・ニューレスト。吸血鬼じゃ。そしてこの世界の『魔王』でもあるのじゃよ。御主等が『勇者』達と関わりがある前提として話をさせてもらおう。『ユウヘイ・ウラサキ』という『勇者』を知ってるかのぅ……。その男について話したいのじゃ、いいかの?」
このシルファの話でまさか『ユキ』が頭を痛める事になるとは思っても見なかっただろう。
ミアン「やっほ~!毎度お馴染みっ、影の女王スカアハの息子ミアンだよぉ~!」
ミアン「ある種族について今回は簡単に話をするよっ!」
ミアン「今日出てきた『深森族』。『グリーンエルフ』って何ぞやっ!?って思ったよねっ」
ミアン「『深森族』は別名『ゴブリン』とも呼ばれているんだっ」
ミアン「『森族』には『闇森族』もいるけど、違いは森の奥深く、木上で忍者の如き存在が『深森族』なのさっ!さて、次回予告だよっ」
ミアン「次回は『勇者という犯罪者』、だよ!うわぁ……勇者なのに犯罪者とか、手遅れだよねっ。どんな話があるのかな?」
ミアン「お楽しみねっ!あでゅ~⭐」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブックマーク登録、評価、感想・レビューをいただけると非常に嬉しいです(*≧∀≦*)
質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!
その他にも質問があればドンドンどうぞー!




