女神スカアハ
な、何故……こうなった……?
今回はエロくはありませんが、ヤンデレ……?がある、かも……?
不快に思うかもしれないので、嫌な方は見ない方がいいかもしれません……。
姫希がぁ……。
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前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
「姫希、帰る!」
「と、思いきや……?」
「女神スカアハ登場!」
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「スカアハ様?」
姫希の前に現れた女神スカアハ。
蒼みの帯びた長い銀髪に高身長、そして青と白のドレスを着ている。背にはクロスする様に二つの槍を背負われていた。女神ではあるが、戦士の佇まいからアテナ同様の中々の武人だと雰囲気でもわかるだろう。
「元気そうだな」
そういうとゆっくりとした足取りでスカアハは姫希の元へと歩んでいく。
「えっと……」
「すまぬな。影の国でやる事があってな。今丁度来たところなのだよ」
本来ならアテナ達と同様にあの空間の席で座っていたらしい。だが、どうやら諸事情により遅れたということだ。やっと到着したと思えば丁度姫希が帰った直後。なのでアテナ達のいる空間には顔を出さずにそのまま帰ろうとした姫希を別の空間へと強制的に移動させたのだ。
「わざわざこんな……何かすみません」
姫希は影の国の主神であるスカアハに御足労を掛けた事に申し訳なさそうに謝罪する。しかし、スカアハは別段怒りもせずに……むしろ、久々に再会した事に内心嬉しそうであった。それは表情にも若干表にも出ていたが姫希はその時謝罪の為に頭を下げていたので見てはいなかったのだった。
「謝ることはない。……ふふっ、まさかこんな小娘の様な小僧が『オリンポス』を突破したとは今でも思えんな」
「そんな事言わないでくださいよ……」
今の姫希の姿はスカアハの言う通り幼い少女。しかも絶世のだ。小娘と言われても仕方がない。
「……あの、スカアハ様。何か……」
「あぁ。そうだったな。お前にこれをやろうと思ってな」
スカアハがそう言うと背中にある槍の一本を手にもつ。
そしてそれを姫希に片手で差し出した。
「これは……?」
「《死ニ至ル槍銛》だ」
《死ニ至ル槍銛》。
白銀に帯びた銛の様な蒼天の槍であり、かつてのケルト神話の半神半人の英雄クー・フーリンにも授けた槍である。その威力は絶大だろう。
だが、スカアハが姫希に差し出したのは只の《死ニ至ル槍銛》ではない。
《死ニ至ル槍銛》の中でもより強力であり、使いこなせば伝承で語られる以上の能力を発揮できる代物だ。
「これは只の《死ニ至ル槍銛》ではない。私自ら作り上げた最高傑作の三本の内の一つ。名は……そうさな。《死ニ至ル影女王之槍銛》だ」
「《死ニ至ル影女王之槍銛》……」
「最後に私の名を入れたんだ。どうだ、気に入ったか?それは 『クリード・ コインヘン』というモンスターの珍しい超滅種。それから取れた絶裂骨という稀少な部位から作ったのだ。」
『クリード・ コインヘン』と言えばそのモンスターの頭骨で《死ニ至ル槍銛》が作られている。それが世にも珍しい超滅種は通常の『クリード・ コインヘン』よりも遥かに脅威である。だが、それをスカアハは意図も容易く倒せる程だ。
「い、いいんですかっ!?」
「構わぬ。貴様なら使いこなせるだろうよ。ほれ、試しに持ってみよ」
スカアハは持っていた《死ニ至ル影女王之槍銛》を姫希に渡す。それを受け取った姫希は押し付けられたかの様に渡されたので多少驚きはしたもののその《死ニ至ル影女王之槍銛》を持ち軽く演舞の様にクルクルと回していく。その演舞は柔かでしなやか、優雅に舞っていく。
最初は誰にでも出来そうな速さで回していくが徐々にその回転は加速していく。姫希もその場に留まっているのではなく足を動かし、そして身体全体を使って《死ニ至ル影女王之槍銛》を今できる最速の状態で回していくのだ。
これが戦闘であれば、誰も近づく事もできず、矢等の遠距離の武器をも全て相殺してしまうだろうか。
「っ!……ほぅ(まさか、この短時間で《死ニ至ル影女王之槍銛》を身体に馴染ませ、使いこなすか。ふはっ、本当に……本当に、姫希は素晴らしい……。しかも《死ニ至ル影女王之槍銛》自身も姫希を主だと認めたか……)」
「凄いですね……。手に馴染みます」
《死ニ至ル影女王之槍銛》は魔槍ではなく、水を司る天槍だ。姫希はその槍を完全にものにしていく。それはスカアハにとっても目を見張る程であった。
姫希は《死ニ至ル影女王之槍銛》を納める。
「スカアハ様。何故俺に……?」
「それは……神の気紛れだよ。お前が気にする事ではないぞ」
ハハッ、と笑いながらスカアハは姫希に言う。姫希にとってみればあの《ゲイ・ボルグ》をスカアハから授かるのは畏れ多いとも感じていたのだ。しかしスカアハはもうそれは姫希のものだというので急かされる様に[空間庫]へと収納する。
するとスカアハは何処か寂しそうな目をしながら姫希に聞く。その寂しそうな目は姫希に悟られぬ様にしているものの若干表に出てしまっていた。だが、それに気付くのは同性であれば気付いたかもしれないが姫希にはそれに気付く事は無い。
「姫希……お前、結婚……したようだな。……どうだ、今のお前は幸せか?」
姫希はスカアハの問いに一瞬恥ずかしそうに頬を紅く染めてしまうが、自信を持って「はいっ」と答える。それは幸せだとスカアハにも伝わる優しく逞しい姫希の笑顔だった。
姫希はスカアハに先程ヘスティアの眷属になった事も伝える。
「そう、か。ヘスティアの眷属となったのか。……なるほどな」
スカアハは心の中で寂しさが募っていく。姫希が誰の眷属になるのかは本人次第。そして神からしてみれば早い者勝ちなのだ。スカアハはもっと速く姫希に唾をつけておけばよかったと後悔する。
しかし、今更後悔しても仕方がない。
姫希が伴侶を見つけ、結婚した事も。
ヘスティアの眷属になった事も。
諦めるしかないのだから。
この瞬間、スカアハは姫希と結婚そして眷属にする事を諦めた。
「スカアハ様?」
ふと姫希から声が掛かるとスカアハは意識を取り戻すと曇りの無い優しく頬笑む。だが、それは何やら吹っ切れた様にも見えてしまうかもしれない。
スカアハは姫希が今考えている事を察する。いや、考えているのは一つだろう。
「あぁ、すまないな。そろそろ帰るのだろう?」
「はい。《死ニ至ル影女王之槍銛》、ありがとうございます。スカアハ様」
「よい。さあ、帰るがいいさ」
「では、失礼します」
姫希は本体のある世界へと戻る為に静かに目を瞑り、眠る様に意識を沈めていく。それは姫希の身体自身にも現れており、徐々に薄れて消えていこうとしていたのだ。
そして完全に意識を失った姫希はこの空間から消えていく……。
その筈だった。
「……っ!」
ズンッ!と消えそうになっていた姫希の身体をスカアハが邪魔するかの様に自らの身体へと引き寄せたのだ。そしてスカアハが施した魔術で消えそうになっていた姫希の身体を安全に元の実体化に戻っていた。しかし、身体は実体化したとはいえ姫希の意識は完全に失ってしまっている。
姫希が意識を失った瞬間に、スカアハがより深く眠らせたのだ。だが、それはずっとではないが恐らくスカアハがあらかじめ解かなければ起きる事は無いだろう。あるいは姫希に対して殺気、敵意を向けなければ問題ない。
スカアハの胸の中であどけない表情をしながら姫希は眠っている。それを愛しそうに頭を撫でながら両手で優しく抱き締めていく。今のスカアハはやっと出会えた最愛の人をこの手で抱き締められたかの様に幸せそうな表情をしていたのだ。
「……ふふっ」
スカアハはゆっくりも座りながら眠る姫希に膝枕をする。一向に姫希が覚める気配は無く、スカアハにされるがままとなっていた。
「……さて、」
姫希の髪を撫でるのを満喫すると、スカアハは後ろの腰に掛けていたあまり目立たなさそうなポーチから黒い小さな箱を取り出したのだ。
その箱を開けると中には二つの丸薬が入っている。それをスカアハは取り出すと空になった箱を元のポーチの中へと直したのだ。
「さぁ姫希、これを飲め……」
その二つの丸薬を少し強引にだが、姫希の口に入れていく。そしてスカアハは飲み込ませる様に人差し指に水を生み出すとそれを姫希の口に流し込ませてその二つの丸薬を飲み込ませたのだ。
「……んっ……んっく……ぅ」
「良い子だ……」
その丸薬を確実に飲み込んだ姫希を見ながら女神スカアハは口元を弧を描き、瞳には光を失いながら微笑むのであった。
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次回は、エロく、なるよっ!
望まない孤独って……悲しいよね……。




