・・・ある昔の物語・・・
前回のあらすさじぃぃぃぃい!!!
『ヘスティアと!』
『三人の女神達!』
『それと!?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
……痛い。
何故……。
何故なの……。
私は、只……土地神として……この土地を、見守ろうと……。
なのに……何故?
首と横腹に矢が刺さったまま……夥しい血が流れるのがわかる。
仰向けに倒れた私は目だけを動かしてこれをやった相手達を見る。
その周りにいるのは、数多くの刀や槍を構えた武人、そして陰陽師。
私は……何も、していない……。
彼の病を治そうと……。
愛してた、のに……。
今着ている着物は彼から貰った大切なもの……。きらびやかな着物だったのに、今では流れている血や刀で斬られ、土泥に汚れ……ボロボロだ。
「ここまでだっ!化物めっ!」
化物……?
あぁ、彼にも言われたっけ……。
でも、私は……私には貴方達と殆ど同じ姿。
……いや、違う。
私には狐の耳に九つの尾を持っていた。
もう、これだけで、貴方達にとっては……化物、なのね。
「化物。残念だったな。あの方からは貴様を殺せと命じられているのだよ」
「ぁ……ぅ、そ……」
「いいや。事実だ。貴様はこの世に存在してはならぬ者だ」
この世に……存在しては、ならない……?
何を言っているのだろうか、この陰陽師は。
この星に住むのは貴方達だけではない。他の種族も……。
それに、私は……あの方に、土地神として……。
……。
…………。
………………。
……………………。
あぁ、もう……何だろう。
何でこうなっちゃうのかな……。
間違いなく、私は殺される。
万全の状態なら、何て事もないけど……。
でも、駄目なの。
私を……土地神を、殺しては、駄目。
お願い。
もう、愛されていないのは、わかったから。
化物でも、いいから。
罵倒してもいいから……。
だから、私を殺さないで……。
貴方達だけではなく、この場所を、地獄にしてしまう。
「とどめだ……化物狐っ!死ねぃ!」
「っ!……ガッ……は、ぁ……」
指揮官であろう陰陽師が私に向かって矢を射る。それは急所である、胸へと深々と突き刺さった。
「に……げ、て……」
口が、声が、上手く動かせない、出せない。
速く、逃げて……。
私が死ぬ前に……。
一刻も、早く……。
すると、近くにいた武人達は私を見ながら困惑している。
「は、や……ぐ……」
しかし、虚しくも、私は……死んでしまった。
「うっ、うわぁぁぁぁあっ!!!」
「な、何だよぉ……ヴッ……ぁ゛……」
「や、いやだぁぁ……ぐふっ……ぅ……ぁ……」
私が死ぬのと同時に周りにいたのであろう者達の悲鳴や断末魔が響き渡ったのであった……。
~~~~~
ここは……どこだろう。
痛みも無い、苦しみもない。
……死んだ、の……かな。
土地神として、私は……。
まさか、守る筈の彼等に殺されるなんてね……。
他の土地神達が聴けば笑い者にされるだろうか。
……でも、もういいんだ。
もう、死んだんだから……彼等を守らなくても、いいんだ。
ふふっ。
こんなこと、思ってしまうなんて……私、土地神失格ね……。
『目覚めましたか?』
っ!?
この声は……天照、様……?
あぁ、申し訳ありません。
私は、土地神として、役目を全う出来ませんでした……。
如何様な罰を、お受けします……。
『貴女が謝る事ではありません。謝るのは私の方なのです。まさか……こんな事になるとは思いもよりませんでした。貴女に罪はない。人々を助けようと奮闘していた貴女を誰が責められましょうか。貴女のお陰であの土地は潤い、豊かになったのですよ。感謝しています』
うぅ……天照様……。
まさか、あなた様に感謝されるなんて……光栄です……。
『貴女はそれだけの事を成し遂げたのです。ですが、恩を裏切る形で人族達は貴女を殺めました。暫くその土地は滅びの一歩を歩むでしょう。新たな土地神が現れぬ限りは』
そう、ですよね。
土地神が死ぬのは、ある意味その土地神が管理する土地が破綻してしまうのです。恐らく私が殺された時、土地神の呪いとして呪毒を撒き散らしたのでしょう。それは多くの命を奪ってしまう……。
それが土地神を殺めた罰なのだから。
この呪いには理由があるのです。
……土地神というのは多く存在します。
土地神とはあの存在を封印する一柱なのです。
土地神が死ねばその一柱を補う為にあらゆる力を吸収する事で一時的に封印を維持させようとする装置。ですが、その一柱が崩れれば天変地異が起こるのは確実でしょう。
はぁ……私がもっとしっかりしていれば……。
もう死んでるので何も出来ないですよね、はい。
『いいえ。貴女はまだ死んではいませんよ』
……えっ?
天照様、今なんと?
『だから、まだ貴女は死んでませんよ。まあ、今の状態は仮死状態ですが』
……あれ、絶対死んだと思っていたのですけど。
『貴女が死んだのは土地はとしての、ですよ。貴女自身は私が保護させていただきました』
な、なるほど。
……。
……ごめんなさい、全然わからないんですけども。
『わからなくても結構ですよ。さて、貴女は何を望みますか?』
望み?
私の……望み、ですか?
『何でもいいのですよ。貴女の願いを叶えたいのです』
……それは有り難いのですが……何故です?
こんな元土地神の願いを……?
『……前代未聞なんですよ。土地神が殺される等と。本来土地神であるなら、わかる筈なのです。本能的に殺してはならないとわかる筈なのですよ。それに、貴女を助けられなかった私にも責任がありますからね』
土地神が殺されるなんて、前代未聞……。
私、前代未聞な子?
悪い、子……?
土地神、失格……うぅ。
『いっ、いえいえいえっ!貴女は立派な土地神でしたよっ!?他の土地神に比べてよくやってくれました!その御褒美だと思ってください!だ、だから、泣かないでっ』
は、はいぃ……。
『で、では!何か望みはありませんか?』
私の望み……。
私の、望みは……。
また、もう一度、生きたい。
私のこの狐の耳に九つの尾でも化物と言われない場所で。
幸せに……なりたい。
それ以上はいりません。
『……それが、貴女の願い、ですか?』
はい。
それが私の願い。
ですけど、そんな場所、ないですよね。
申し訳ありません、天照様。
無理なお願いをしてしまいました。
『問題ありません。貴女の願い、叶えましょう』
……えっ!?
本当ですか!
『ええ、構いません。貴女達の様な種族も暮らしている……世界を私は知っています』
私達の様な……。
そんな世界が……。
『はい。では、貴女の願いを叶えます』
えっ!?
い、今からですか!?
こ、心の準備が……。
あ……れ……いし、き………が……。
『安心しなさい。あの世界なら、幸せに暮らせるでしょう。では……えっと、こんなとき何と言えば良いのでしょうか……。確か、女神スカアハが……あっ!思い出しました!これですねっ!アデューっ!』
なんですか……その、ことば……。
あと、スカアハ……って……だ、れ……。
そう疑問に思いながら私は意識を手放してしまうのでした。
~~~~~
「……んっ、ここは?」
目を開けてみると、そこは……。
「雪?……!?!?さっ、寒っ!?」
チラチラと雪が降っていました。
雪は土地神の時に見た事はあったので驚きはしませんでしたが……凄く、寒いですっ。
私、寒いの結構大丈夫な方なんですけど……。
寒くて自分自身を抱くようにして震えていると、今の自分の服装に気付く事があった。
それは、巫女装束だったのですが、何故か肩が露になっていたのです。下は普通なのですが。
これ、多分天照様が着せたのでしょうか。
……場違いですよね?
こんなの着てたら寒いのは仕方がないですよねっ!
あ、一応九つあった尾は一つにしています。
……ここ、何処ですか!
もう、あれですよね!
銀世界!
辺り一面雪景色ですよっ。
唯一救いだったのが、前方に街の様な場所がある事でしょう。……街も白一色ではありますが、灯りもあります。
「凍え死にそうですっ、はやく、移動をーーーわっぷっ!?」
第一歩目を踏み出そうとしたのですが、雪がかなり積もっていてそこに足を取られました。
はい、そうです。
転けましたよ、身体全体で……。
顔からいきましたよ。……雪でよかったです。
「大丈夫か?」
誰かが私に声を掛けてきました。
恐る恐る顔だけを上げてみると、そこには白い浴衣を着た純白の髪を持つ綺麗な人がいたのです。
一瞬、人族だと思い警戒してしまいますが、どうやら人族では無いようでした。
「あ、貴女は……?」
「私か?私はアレン。アレン・シルヴァーニャだ。君は……?」
「わ、わたしは……玉藻の前、と申します」
これが、私の生涯だけではなく永久の伴侶であるアレンとの出会いだったのです。
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まさかの登場でした!
さて、この様な物語をちょこちょこと入れようカナーっと思っています。
……多分




