ヘスティアと三人の女神達
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『夢の中?』
『主神達!』
『ヘスティア様!?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「ヘスティア様の……眷属、ですか」
シキはヘスティアにスカートを摘ままれながら只々、戸惑っていた。まさか自分が神の眷属になるとは思いもよらなかったのだろう。
「仕方がねーだろ。あのナントカっていう女神は一応封印されているみたいだけどよっ。そんな頭イカれてる神はそいつらだけじゃねーだろ?またいらねー事を考えてオメーにちょっかいかけるのは間違いねぇ。だから、バックに誰かいねーとって考えたんだよ」
シキを狙った女神、クーディアだけでなく他の神々からも注目を集めているらしい。他の神であればこうは無かったらしいが、あの女神クーディアが執着するというだけで他の神々も興味を持ったのだ。勿論その神々は今シキ達がいる異世界の神達である。
「不知火よ。この事は遅かれ早かれ決めなければならないのじゃよ。超越者になったお前なら、の。仮に決めなかったとしても、お主が死した後に『ヴァルハラ』には来てもらうからのぅ」
オーディンはシキに神の眷属になることは超越者としての決定事項だと説明する。それは地球でもある神話や伝説、御伽話で描かれた、実在した英雄達の殆どはオーディンが統括する『ヴァルハラ』に行かなければならない。『ヴァルハラ』は他の神々こう言われている。
『学園世界ヴァルハラ』。
かつての英雄達をもう一度『ヴァルハラ』で生を受けるのだ。英雄といっても知名度等関係ない。英雄達の殆どは超越者か神各者になった者達である。それ以外に何かしらの偉業を成し遂げた者にも『ヴァルハラ』に招かれるのだ。
「いえ、オーディン様の仰有る通りいずれ決めなければならないのはわかっていましたが……」
「そうじゃ。じゃが、現状が現状じゃな。お主は今地球でも、『あちら』の世界ではなく、他の異世界にいるのじゃよ。神の眷属になればその世界の神々も手出しすることは無いじゃろう。もし、手を出せば……儂等、神々達を敵に回す事になるからのぅ」
神の眷属になれば確かに心強いだろう。
だが、シキが躊躇するのはタダで神の眷属になれる訳がないと思っていたからだ。神の眷属なる、というよりかは神の眷属にならせて戴くと言った方が正しい。そして神の眷属になれば何かしらの見返りが必要になるのだ。
う~ん、と考えながら唸っているとスカートを摘まんでいたヘスティアが再びちょんちょんと引っ張る。
「私、じゃ……不安……?」
「いや、えっと……」
「あの、ね……。私、だけ……じゃなく……て、もう三人、呼んで、る……の」
「もうさ、三人……?」
シキはヘスティアの三人という言葉にギョッとするものの、後から新たな気配を感じて振り向いた。
「お~、ヘスティア様~!そいつが不知火って子か?」
「あらあらまあまぁ~。可愛らしい方ですね~」
「この方がヘスティア様の眷属となる人ですか。……何ですか、その服装は。可愛……ではなく、ハレンチですっ」
そこに現れたのは三人の女神であった。
一柱はツンツンした女性にしては短い金髪に花魁の服装をした女神。片手には瓶酒を持っており、加えて肩からは幾つかの酒壺をぶら下げていた。かなりの酒好きな女神なのだろう。先程まで呑んでいたのか少し頬が紅い。
もう一柱は、箒を持った大和撫子な女神。抹茶色の着物を着ており、何処かおしとやかな感じの女神である。ふわふわしていてニコニコな彼女だが、何故か絶対に怒らせたら駄目な神だと何となくシキはわかってしまう。
最後にもう一柱は秘書の様な黒スーツの眼鏡女神。身嗜みやお団子ヘアーもしっかり整えられており、加えて眼鏡をしているからかしっかりものの考えが固そうな女性らしい。クールビューティーなので同性から憧れてそうな容姿や服装であった。
「……へ、ヘスティア様。このお三方は……?」
「えっ、と。お酒を、持ってるのが、『エイレイテュイア』で、着物を着て、箒を、持ってる、のが『矢乃波波木』。……後、眼鏡を、掛けてる、のが、『ヒュギエイア』。……はぁ、疲れた……」
久しぶりに喋ったのか、大袈裟にも見えるが息切れしたかの様に肩を上下させていた。『ヘスティア』という女神は他の神々や人々との交流が滅法に少ない。それは彼女自身、コミュニケーションが得意ではないのだ。
「ヘスティア様以外に……このお三方が?」
「私、の……えっ、と……部下?、みたい、な……」
どうやらその女神達は『ヘスティア』の部下らしい。しかし、あくまで『ヘスティア』の眷属となるのだ。その三柱の眷属となるわけではない。
だが、ここでシキは疑問に思った。
何故自分が『ヘスティア』の眷属に決定したのかを。
その答えを『アテナ』が答えた。
「まー、なんだ。実は、よぉ……『ヘスティア』さんには眷属が一人もいねぇんだよ……」
「えっ!?そうなんですか、ヘスティア様」
「そう、だよ」
話を聞いてみると『ヘスティア』に眷属が居ないのは彼女自身が眷属を望んでいなかったのだ。そもそも『ヘスティア』は人との関わりを持つことを得意としていない。数々の英雄達が自身を彼女の眷属になりたいと志願するも『ヘスティア』は今まで全て断ってきた。『アテナ』やその他の神々達からも推薦はしているものの即答で拒否していたのだ。
だが、シキ、不知火姫希を誰の眷属にするかを審議していた時に『ヘスティア』自らが自身の眷属にしたいと志願したのだ。
それには『アテナ』達神々も驚いていたが、神々の中で唯一眷属を持たない『ヘスティア』が不知火姫希を眷属にする事を希望したので優先的に彼女の眷属になる事が決定する事となった。
しかし、他の女神達が黙っていなかったのだ。
不知火姫希を自分の夫に、愛人に……といった女神がごまんといたのだ。恐らく今までの眷属を志望するのに集った神々は過去五位以内に確実に入るであろう多かったらしい。名高き神から名の知れぬ神まで幅が広かったのだ。
最終的には幼稚なゲームや遊びで『ヘスティア』が圧勝したらしく不知火姫希を眷属にする事を勝ち取った、らしい。
「ヘス、ティア……がんばった、よ?」
「あははは~、凄いですねー、ヘスティア様~……」
「ふにゅにゅ~……えへへ……」
『ヘスティア』が誉めてほしそうに見ていたので不知火姫希は癖なのか頭を撫でてしまう。正直、眷属決めの為に大規模になっていた事を姫希にとってみれば現実逃避したかったのだ。あの時、改めて女神メデューサが言っていた事が事実だった事に理解しなければならないと姫希は思った。
一方、頭を撫でられていた『ヘスティア』はリラックスした様に目を閉じながらも非常に嬉しそうな表情をしていた。『アテナ』達は初めて見た『ヘスティア』の幸せそうな様子に驚いてしまう。今まで眠たそうにしかせず、何事にも無関心で、表情も変化がなかったのだから。それが当たり前だったのだから。
すると、シキの不知火姫希の目の前にポンっ、ポンっ、ポンっ、と乾いた音が鳴る。それはそれは、何かが登場する音にも似たものであった。
そこから現れたのは小さな小人……よりも小さな存在であった。
その存在は三つ。
一つは燃え盛る炎の如き赤髪の小さな妖精。獣のごとき鋭くキリッとした目付きではあるが、その姿が愛らしい犬耳尻尾があるので可愛らしい。
もう一つは清き蒼天の髪も持つ猫耳尻尾の妖精だ。髪型はボブではあるもののおしとやかで何事にも冷静な判断を下せる頼もしそうな可愛らしい存在。
そして最後に現れたのはフェネックの様な尖った耳尻尾も持つ雷の様な力のある黄色の髪。ゆるふわでありながらも毛先が少しトゲトゲしていてそうな髪を自由にしている。
「主よっ!ごぶじですかっ!?」
「ここは……せいしんせかい、でしょうか」
「ぶじ?」
流石にシキだけではなく『アテナ』達の神々も呆気を取られてしまう。その妖精達はふわふわと宙を浮遊しながらシキの傍についていたのだから。
呆気に取られていたシキではあったが、その可愛らしい妖精達の正体に気がついた。
「まさか……エンカ、スイジン、ライデン、なのか?」
シキの問いに妖精達は頷く。
「……何で……その、ちっちゃくなってるの?」
「はいっ!主になにかあったとかんじて、ちっちゃくなってここにきてしまいました!」
「ここまでくるのにまりょくをつかいますから、ていねんぴなすがたになってきたのです」
「おなかへった」
どうやら、この世界に来る為に魔力を大分使ったらしい。その結果今の妖精の様な姿になったということだ。エンカは大変心配していたらしく、アセアセと慌てている。スイジンは冷静に装ってはいるものの、シキが無事な事を確認するとホッとしていた。ライデンはどうやら心配はしていないらしい。それよりもお腹が減った様だ。
一応シキの横と真正面には神々がいるのだが、エンカ達は全く気にしていないらしい。だが、かなりの存在だというのは薄々理解はしているだろう。
すると撫でられていたヘスティアは再びシキの穿いているスカートを摘まみながらクイックイッと引っ張る。
「この、子……達、姫希、の、妖、精……?」
「えっ、ええ。そうですよ」
そう言いながら驚いていたヘスティアとアテナ達にエンカ達を紹介する。そしてどの様な存在なのかも大まかに説明する事となった。シキ、不知火姫希の眷属モンスターだという事なのでこの世界にこれた理由がそれだろうと神々は理解する。だが、それだけでこの世界に入れる訳ではない。恐らくそのエンカ達自身が強いからだと納得するしかなかった。
「エンカ、スイジン、ライデン……かわいい……」
「おーおーっ!確かにかわいーなっ。あんたもそう思うだろ、ヒュギエイア」
「……中々の実力を有していますね。ま、まあ……確かに可愛らしい、んじゃないですか?(あぁっ!!!ちっちゃい女の子な妖精ィッ!それに三体もっ!あのエロセクシーな不知火さん、ですか?その人にくっついちゃって……ふっ、フヘヘヘヘェ……)」
「あらあら~、ヒュギエイアちゃん。もうちょっと正直になったらどうかしらぁ~?」
ヘスティアとその部下の女神三柱は暫く姫希達と戯れる妖精達を眺めていた。しかし、ヘスティアはどうしても我慢が出来なかったらしく姫希に頼んでエンカ達を抱っこさせてもらう事となる。それに誘発されてエイレイテュイア達三柱も同じく戯れる事となったのであった。
そんな様子を見ていたアテナ達は別に怒る事もせずにただ暖かい目をしていた。
アテナ達は不知火姫希のこれまでの経緯を見ているので理解はしている。別に不知火姫希という存在に興味を引かれてではなく、単に記憶を覗いたという方がいいだろう。だが、全てを見れる訳ではなく、大雑把ではあるが。
アテナはこっこり、ある者達がどうしているのかを覗く。
その者達とは、不知火姫希がかつて付き合っていた元恋人達。そして未だに彼の事を想っている彼女達だ。
姫希が付き合ったのは三人ではあるが、その他にも不知火姫希の恋人になれる筈であった彼女達の事である。
元恋人もだが、その恋人になれる筈であった三人の少女達も姫希を捨てた事、失った事に未だに後悔しているのが見えてしまう。
一人は姫希にもう一度会いたいが為に彼を追って軍に入隊した元恋人。
一人は姫希と同じ世界にいて、もう一度自分の名を呼んでもらえる様に、本当の恋人になる為に戦う元恋人。
一人は彼を失い、今まで自分を守ってくれていた事に気付いて自分がした仕打ちに後悔の念を抱きながらももう一度あの時に戻りたいと願う元恋人。
一人は相思相愛だったのに、彼の力を恐れてしまいそのまま拒絶するように逃げてしまった事に後悔する少女。
一人は彼に恋人がいることに諦めてしまった。だが、その恋人が彼を裏切った事に怒りを抱きながらも次こそは未だに消えない想いを告げようとする、彼と同じ軍に所属する少女。
一人は尽くしてくれたのにも関わらず、彼に対する感情に気付けずに関係が不仲となり、更に悪化。彼を失い初めてその感情を知り、あの時の仲の良い関係に戻りたいと願う少女。
「(……今の不知火は、もう彼女達を過去の思い出になってるよなぁ。だが、彼女達はそうじゃねぇ。……不知火と彼女達が出会えば……どうなるんだろうなぁ?)」
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