神々からのお呼び出し
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『勇者はスルー!』
『宿へっ!』
『急に眠気が……』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「……ん?何だ……ここは……」
目覚めると辺りが白色に包まれた場所。
シキは瞬時にここが夢・精神世界だと理解するととりあえず辺りを確認する為にゆっくりと立ち上がった。シキの目の前にはまるで前方に王様の様な椅子が出現する。その椅子には所々抜けてはいるものの何名かが着席していた。
「ーーーっ!?こ、これは……」
思わずシキは身構えてしまう。
その椅子に座るのは神々の中でも最高位神であり主神である方々であったのだから。圧倒的な存在は流石のシキでも思わず後退りしたいが心を一旦落ち着ける。
「久しいなぁっ、不知火姫希ぃ!」
先に声を掛けたのは白と黒の鎧を身に纏い、筋にそって赤と黄色の紋様が描かれている装備を着用した美しい女神。ギリシャの主神である『アテナ』である。しかし口調は女性らしさは一切無く、何処かおっさん臭い感じがあるのだ。容姿的には誠実で優しく心強いイメージガありそうだが……そのイメージを粉砕する程であった。だが、これが『アテナ』の素なのである。普段は大人さしもおしとやかな皮を被っているので下の神々はそんな素の『アテナ』等信じられないだろう。
「姫希ちゃん~っ、おひさーだねぇ~!」
その横にいるのは豊満な胸を強調させるセクシーなドレスを身に纏う下半身が蒼い蛇な美女は『ティアマト』。彼女から優しいオーラが滲み出ており、誰でも気軽に話せそうな最高位神である。
「御昼ね時にすみません、不知火さん」
大和撫子よりも遥か高貴な存在である美しき女神『天照大御神』は微笑みながらシキ、不知火姫希を見下ろしていた。艶やかな黒く長い髪は一つ一つ神秘的な輝きを放っている。そして赤と白の着物を着ており、まさしく日本の主神らしき姿であった。
「ヌハハハハッ!相変わらず細いなぁ、不知火ッ!しっかり飯を食っているか!?」
むさ苦しさ満載の上半身半裸な凄まじい筋肉を持つ北欧の主神、『トール』は手に飯を掻き込みながら話している。何故今此処で食事をしているのかはわからないが、とても美味しそうにモリモリと食事をしていた。
「元気そうでなりよりじゃな」
そしてオーディンは疲れた様子で椅子に凭れながら溜め息をついていた。恐らく何かしらの神々の業務で疲れているのだろうか。オーディンは『ヴァルハラ』の主神であり、北欧の主神の座は横でモリモリ食事を食べているトールに譲っていたのである。
今いる主神、最高位神達は五柱ではあるが、空席の椅子は数多くある。この事から他にも主神や最高位神達がいる事がわかるだろう。只今回は出席出来なかったのだ。神々にも用事があるのだから仕方がない。
「な、何故、主神、最高神の方々が……」
「そういやぁ、メデューサから聴いたぜぇ?ちっちゃくなって女騎士の格好をしたんだってなぁ」
「えっ、いや、あれは……」
「ほら、やってみろよ。あ゛?まさか……できねぇって言うわけねぇよなぁ?天照っ、更衣室用意してくんねぇか?」
「はぃはぃ、お任せあれーっ!」
するとシキの横にしっかりとした一人用の更衣室が現れる。『アテナ』からは美しい表情ではあるがドスが効いた声で脅迫染みた口調で『六華』の姿になるように言うのであった。『天照大御神』だけではなく『ティアマト』も興味津々の様だ。ここで断れば何を言われるかわからない。
『トール』と『オーディン』の二柱はシキを憐れむ様な表情をしていた。まあ、女神達がこうなってしまえば止める事は難しいと思っているのでただ頑張れと心の中で応援するしかない。
暫くシキは『六華』になる事を渋っていたが、この状況を変えることが出来ないと悟ると仕方がなくその更衣室の方へと顔を向けた。
「わっ、わかりましたよ……」
そしてシキは更衣室へと入ると外に聴こえない様に溜め息をつきながらも『六華』になる為に準備をしていく。
一方、『六華』の姿を楽しみにしていた『アテナ』達であったが、ふと『アテナ』は初めて出会ったシキの事を思い出していた。
「(そういやぁ、不知火と出会ったのは数年前か……。まさか、親父達が生み出した最強最悪、そして幻の迷宮を突破した時はぁ驚いたなぁ。まっ、流石の不知火もボロボロだったなぁ……)」
『アテナ』がいう親父達というのはギリシャの前主神である『ゼウス』とその兄妹達の事である。
『ゼウス』・『ハーデス』・『ポセイドン』・『ヘスティア』・『ヘラ』・『デメテル』の神々が作り上げた迷宮。
その迷宮の名を《オリンポス》。
『あちら』の世界ではもう既に存在しない最強最悪の七大迷宮の一つであった。
一度誰かが突破すれば消滅してしまう幻・伝説の迷宮であったがそれを突破したのが不知火姫希だ。しかし、無事に突破した訳ではない。その迷宮の中では理不尽は当たり前、有り得ない事が最初から最後まで休み無しで起こってしまう超絶鬼畜な迷宮。突破した時は幾度の怪我をしていたのだから無理も無いだろうか。
ここで間違えてはいけないのが、その七大迷宮を突破したとしても別に何かしら御褒美を貰えるとか一つも無い。そう、万を越える階層を突破しても何も得られないのだ。もう、やる意味がないと言ってもいいだろう。ただ達成感位しかなく見返りが無いのだ。
先程言った通りもう既にその七大迷宮は突破されてこの世にはない。不知火姫希が突破した《オリンポス》が最後だったのだ。別にそれが誰かに知られる事もなく、自慢も出来ない。『あちら』の世界でも知られているのは極僅で、知っていたとしてもやる意味がないのだから。
「あ、あの……こっ、これ……」
「お?着替え終わったか。おら、さっさと出てこいよっ!」
「女騎士の不知火さんですか~……楽しみですねぇー」
「不知火ちゃーん、はやく出ておいでー」
どうやら着替えが終わったらしいシキ……不知火姫希であったが更衣室から出てくる様子は無い。そこで『アテナ』は女神らしからぬ暴言を放つ。
「あ゛あ゛あ゛ん?さっさと出てこいよっ。ぶっ⚪すぞ?」
「ぅぅ……」
仕方がないので観念したかの様に更衣室からシキが出てきた。
現れたシキのその姿は儚い百合の如く愛らしい少女騎士。シキは自らの魔法によって若返らせたのだ。年齢的には中学生程。しかし、今の服装は露出度が高く肩やお腹等が大胆に露となっていたのだ。シキは恥ずかしながら膝上までしかないスカート状の鎧を両手で押さえている。その姿がまた初々しく、そして少女らしかったのだ。
「おぉ~。いいねぇっ!中々旨そうじゃねぇか……じゅるり」
「ほぇ~……不知火さん、可愛いですね。あ、『アテナ』さん。よだれ出てますよ。どうぞ」
「わー!不知火ちゃん、かわいいー!!!」
「あんな事、するんじゃなかったぁ……」
「うむっ。やはりワルキューレに是非とも入隊して欲しいのっ!」
「……不知火よ。我はお主の気持ち、よくわかるぞ。今は耐えるしかないな」
『アテナ』達からは好評の様で『天照大御神』が始めにスマホらしき神の道具で写真を撮った事により、『アテナ』も『ティアマト』も写真を撮られる羽目となってしまった。写真を撮られる度に半強制的に様々なポーズを要求されるのだがシキ……不知火姫希は一刻も速く終わらせる為に恥ずかしながらも応えるのであった。でなければ何故ここに呼ばれたのかを聞く事が出来ない。
そしてこの世界で約10分程で写真撮影会が終了するとシキはもう慣れてしまった少女騎士のままで『アテナ』達に何故この場に呼ばれたのかを聞く。
「えっと……何故俺がここに?」
「おー。そうだったなぁ。お前、ナントカっていう女神に襲われたんだろ?」
「え、えぇ。」
「なら、だ。万が一の為にお前は最高位神の誰かの眷属になってもらわなくちゃいけねぇんだわ」
「なっ!?」
まさかの『アテナ』の発言にシキは只々、驚くしかない。
「まあ、一応お前を誰の眷属にするかは決めたが……最終決定は不知火、お前自身だ。だが、あの人ならお前にとっても良いと思うぜ?」
「……あの人って?」
いきなりの事にシキは驚きながらも誰の眷属になるかを問おうとするが、その前に着用していたスカート状の鎧を後ろからクイックイッと引っ張られる。後ろに気配が無かったので一瞬固まってしまうシキだが、恐る恐るスカートを引っ張る人物を見る為に後ろを向いた。
その後ろには……。
「……。」
小さい少女がいたのだ。
その少女は頭から布団を被っており、顔だけを出してシキの履くスカートを小さく可愛い手で引っ張っていたのだ。少女は金髪の髪に絶世の美少女の分類に入るだろうが、それは頭から被る布団さえ無ければ、だ。頭から身体全体を覆っているので全体像は見えない。しかし、美少女なのは間違いは無いだろう。
シキは……不知火姫希はその布団美少女を知っていた。
「……へ、ヘスティア……様?」
「おひさ……し、ぶり」
眠たそうな銀色の目で挨拶する最高位神『ヘスティア』。地球では竃の神様と呼ばれている存在だ。だが、今の姿を見れば日本で言う座敷わらしにも見えてしまうかもしれない。まあ、身体全体を布団で覆っていたら仕方がないだろう。
そんな眠たそうにスカートを手で摘まむ『ヘスティア』を見てシキは気付いた。それを確かめる為に『アテナ』達へと顔を向ける。
「まさか……『ヘスティア』の眷属に、ですか?」
「おぅ、そうだ」
「よろ、しく……ね?」
おおぅ、なんてこったい。
そうシキは心の中で素でこう思ってしまうのであった。
ブックマーク登録、評価、感想・レビューをいただけると非常に嬉しいです(*≧∀≦*)
質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!
その他にも質問があればドンドンどうぞー!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神様達、登場しましたねー




