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新たな仲間

前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!


『ギルドマスター、』


『『狩王っ!』』


『おはなし!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ




ギルドマスター、カラアラの話を終えてシキ達はマージナルの中心にある広くのどかな公園へとやってきていた。そこで馬車を止めて昼食の用意をすることとなったのだ。昼は少し過ぎているが、天気は雲一つ無い清々しい気候でここで食べるなら丁度良いだろう。


朝食の準備はシキとアルトレアを除くリゼット達が準備をしている。アイリスとスミリアも母であるリゼットとスミリアの手伝いをしていた。ラヴィはリゼットの頭の上でのんびりとくつろいでいる。ロットも広がる野草を吟味しながらマイペースに食べていた。


シキとアルトレアはというと少し離れた木蔭でリラとマリンの二人に向かい合う様に話をしていた。


まず話したのは何故アルトレアが男から恩納になったのかの経緯を一通り説明を終えてる。それを聞いていたリラとマリンは罪悪に蝕まれた様に苦しんだ表情をしていた。



「……そう、だったのか。古代魔具(アーティファクト)。噂では聞いていたが、性別も変えてしまうとは……。シキと言ったな。先程は無礼な事をして申し訳なかった。あと、アルトを救ってくれて、ありがとう……っ」



勘違いだとはいえ、感謝すべき相手に剣を剥けた事に酷くリラは謝罪をしていた。アルトを追って必死だったのだろうとわかっていたシキは何一つ責める事はない。彼女は騎士団長としての責務を全うしていたが、アルトレアの事を疎かにした事に罪悪感もあるのだろう。リラは顔を上げてアルトレアの顔を見ると再び頭を深々と下げた。



「……申し訳ない。騎士団長の勤めに集中して疎かにしてしまった。……結果、アルトを何処かへ飛ばし、盗賊に狙われてしまったんだ。もうあの貴族とは関係無いが……本当に申し訳なかった」


「リラ様……。ボクはもう、大丈夫ですから。だから、頭をあげてください」


「……私がもっとしっかりしていればよかったのだ。あの男の事も……」



余程リラはアルトを失った事がショックだったらしく、今まで自分を責めていた様だ。確かに貴族として、騎士団長として立派だったのだろう。だが、自分の大切な存在が傷付き、裏切られ、捨てられたのだ。知らなかったとはいえ、親としてあってはならない事。アルトレアから下される罰ならば全て受け入れようと考えているだろう。



「確かに……ボクは傷付きましたし、恨みもしました。でも、今思えばリラ様はボク達、国の為に頑張っていたので……仕方がなかったと思うんです。それに……シキさんと出会えたから。だから、ボクは大丈夫ですから」


「……そうか」



アルトレアは落ち込んで自身を責めるリラを必死に自分は大丈夫だと。心配は要らないと言うのだが、やはりアルトを守れなかった事にやるせない心情であった。


すると、横にいたマリンも同様にアルトレアに謝罪をする。



「アルト様……もう、今更こんな事を言っても許されないのはわかっています。……本当は、アルト様を救おうとおもっていました。ですが……アルト様の兄、キース様にアルト様を救いたかったら自分の男になれ、と強迫されて……。それを、ジーク様に言ったんです。そしたら……ジーク様には……相手にされなくて……。必死に進言したら……お前を……娼婦にするぞ。家族や友達がどうなってもいいのか、と。レーラ様も言ったのです。ですが、レーラ様にも強迫を……したんです。親に言えば、親もろとも殺す、と。周りに助けてもらおうとしてもジーク樣やキース樣達の根回しによって助けられない状態になったんです。……だから、私達はある計画を立てました。ジーク様、キース樣は私達を完全に信用していません。だから、信用を得て……時間を掛けてでも亡き者にしよう、と……」


「だから……そのキースっていう奴の女になったのか?」


「ええ、形だけですが……。もう、あの時はアルト様とレーラ様以外が敵に見えてしまって……。本当に、あの時、どうすば良かった、なんて……わからなかった……ッ。ジーク樣は『勇者』と言われていましたが……私達にとってみれば、『悪魔』にしか見えません……」


「(なるほど……な。このマリンって子は……かつての俺と同じ、自己犠牲野郎か。いや、野郎ではないな。多分、そのレーラって子も……。)」



マリンの話を聞きながら、シキはかつての自分を思い出していた。だが、マリンやレーラの様な生易しい自己犠牲ではない。今は大事な妻子がいるから自己犠牲等という選択はしないのだが、前まではそういう選択を何の躊躇も無く選択していた。だからこそ、彼女の思いや苦渋の選択は分からないわけでもないのだ……。


アルトレアは話を聞き終えると、怒ったりすることはなく静かに今にも泣き出しそうなマリンに優しく抱き止めた。それは自分の為に自らを犠牲にさせてしまったことを初めて知ったのだ。いや、アルトレア自身もこれまでのシキとの旅で何度も彼女達が何故あんな事をしたのかを彼女なりに考えていた。だが、ここまであの父親が、兄がそんな卑怯な事をしていたこと。彼等から脅迫されて一番傷付いているのはマリンとレーラだと思ったのだ。



「ごめんね……ごめんね、マリンっ。辛い思いをさせてしまって……」


「そんな……っ。悪いのは、悪いのは……私、なんです。アルト様を傷付けてしまったんです。だから……だから……っ!」


「いいんだ。もう、いいんだよ。マリン……」


「ぅ……ぅぇぇ……」



マリンは静かにアルトレアの腕の中で嗚咽を交えながら、涙を流す。やっと、出会えた大切な人に今まで謝罪する事が出来たのだ。本来なら理由がどうであれ許される事ではない。しかし、アルトレアはそれを許した事に彼女は一生この恩を忘れる事はないだろう。


暫くして泣き止むとマリンはゆっくりとアルトレアの腕から離れる。そして少し恥ずかしそうに、残念そうにしながら彼女は言う。



「……本当に、アルト樣は女性になったんですね……」


「そうだよ。ボクは女性になって……シキの奥さんになったんだ」


「あそこにいる方々は?」


「彼女達、リゼとリアもシキの奥さんなんだ」


「……そう、なんですか」


「アルト……じゃないな。アルトレア。あの二人の幼き娘達は……?」



アルトレアがマリンに説明をしていると、リラが今昼食の用意を手伝っているアイリスとマシロに目を向けながら質問する。いや、わかってはいるが改めて聞いたのだ。



「アイリスちゃんとマシロちゃんですね。二人はボク達の大事な娘ですっ」


「そうか。だが……」


「わかっています。年齢的に有り得ないと……。確かにボク達がお腹を痛めて産んだわけじゃないです。でも、ボク達にとっては大事な()達ですから」



アルトレアは愛しい我が子を優しく見守る母親と同じ眼差しで手伝っているアイリスとマシロを眺める。アルトレアにとって二人は自分の大事な娘なのだ。それはリゼットとスミリアも同じ。勿論、シキも同様である。


リラとマリンは思っただろう。


もう、既に自分達が知るアルトではなく今は女性として、妻として生きているのだ。それを邪魔をする事は出来ない、その資格が無いと感じていただろう。


するとマリンは何かを決断し、覚悟を決めた様に娘達を眺めるシキとアルトレアに言う。



「アルト……アルトレア様っ。そして、シキ様」


「?どうしたの、マリン」


「ん?」


「……私を……私をっ。使用人として、傍にいさせてもらえないでしょうかっ!」



マリンは言う。


もう一度、アルト……アルトレアの使用人としてお仕えしたい、と。


マリンは、アルトが好きだった。


今もその思いは変わらない。例え女性になったとしても。


同時にこうも思っていた。


アルトレアは、もう二度と自分を愛してくれる事は無いと。


せめて、罪滅ぼしとして一生を彼女達に捧げたいと思ったのだ。



「それは……」


「一度、裏切った相手にアルトレアの傍に任せられない」



アルトレアが言いにくそうに迷っていたが、横からシキがやんわりと断りを入れる。


シキは別段、アルトレアが許しているのでマリンについてはそれほど怒っている訳でも憎んでいる訳でもない。只、一度裏切った相手を信用する気になれなかったのだ。



「そう、ですよね……」


「まあ、アルトレア達には(・・・・・・・・)、な」


「えっ?」



そう、アルトレア達の傍にはいさせない。


だがそれ以外であれば話は別だ。


本気でアルトレアの傍で使えたくば、信頼を得よ。その信頼を得る為にはシリルや葵の部下として頑張れ、という意味である。まあ、自己犠牲なマリンが決意した思いは本物だと思ったのでこういう案を出したのだ。勿論、横にいるアルトレアの同意も必要であったが、聞いてみると快く承諾したのだ。



「ありがとう、ございますっ!私、精一杯頑張りますっ!シキ様、アルトレア様!」



涙ながらもマリンはシキとアルトレアに感謝する。それは大変嬉しそうに涙を流していた。裏切った自分にチャンスをくれたのは思いもよらなかったのだろう。


すると、リラはシキに少し言いにくそうに話す。



「シキ君。私も……いいだろうか?」


「リラさん?」


「リラ様?」


「私も君達と一緒についていっても……」


「構いませんよ?」


「いや、断られ……え?いいのか?」


「はい。リラさんは、アルの母親の様な存在でしょう。なら、俺にとってもお義母(かあ)さんですから」


「……グズッ。感謝する。……だが、私もマリンと同様に使用人や護衛として働かせてもらいたい。こんなお願いは図図しいが……頼むっ」


「いいんですか?」



リラは頷く。


まあ人が二人増えたとしても別に困る事は無い。それにリラは『剛剣』の異名を持つ凄腕の騎士だ。マリンも魔法を得意とし、中でも回復魔法が秀でているとアルトレアから聞いている。


シキは賑やかになりそうだ、と思いながらリラの思いを受け入れる事にした。


こうして、新たにリラとマリンが使用人として仲間となったのであった。





ブックマーク登録、評価、感想・レビューをいただけると非常に嬉しいです(*≧∀≦*)



質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!

その他にも質問があればドンドンどうぞー!

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あ、次回はシキの家族について……かな?


( ・∇・)妹についても、あるよっ!


まあ、名前だけ……なんですけどねっ!


あと、また新たな仲間が増えますがどの様な存在が仲間になるか楽しみにしてくださいっ!

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