御話です!
前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!
『シリルVSリラ!』
『超大剣ロンハルトに魔剣テルヌーラ!』
『勝者、シリル!』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
冒険者ギルドのギルドマスター室。
そこではシキ達とリラとマリンもこの場へやってきていた。
彼等がこの場に席に着いているのはこの冒険者ギルドの最高責任者であるギルドマスターに呼び出されたのだ。
目の前に座る獣人の女性はギルドマスターであるカラアラ・ダックスード。
犬の獣人であり、髪や毛並みは茶色。耳は少し長く下へと垂れていおり、カラアラ自身ものほほーんとしたのんびりした人物であった。
「いやぁ~まさか、『剛剣』さんがこの都市に来ているとは驚きですねぇ~」
「まさかあの『狩王』の異名を持つ貴女に会えて光栄です」
のほほーんとした様子からカラアラが『狩王』と呼ばれるには想像出来ないだろう。しかし、彼女はそののほほーんと微笑みながら暴虐武人なモンスター達を血祭りにしたといった幾つもの逸話を残している。
因みに現役時の冒険者ランクはSSS。
『剛剣』であるリラも『狩王』のカラアラに畏怖を抱いている様だ。それほどの実力者である事が伺える。
「その『剛剣』さんを倒しちゃった貴方も凄いですねぇ~。確か、シリル君ですか?着ている黒服で目立たないけどその首のチョーカーからして、君は奴隷だね?」
「な、なにっ!?君は奴隷だったのかい!?」
「はいっ。ぼくは御主人の奴隷だよっ!」
「マスターって……まあ、その黒髪の子はどっちかというとシリル君と同じ立場だろうから……君の事、ですよねぇ~?」
シリルが奴隷だということにリラは驚いてしまう。全身黒一色のスーツでは目立たないが奴隷の証でもある黒のチョーカーが首についている。葵も同じ黒一色のスーツを着ている為にシリルと同じなのだろうと推測したカラアラは中央に二人の娘、アイリスとマシロを膝に乗せているシキへと目を向けた。アイリスとマシロはシキの膝上に乗りながら嬉しそうにしている。
右側にはスミリアを膝の上に乗せたリゼット。逆側にはラヴィを縫いぐるみの様に抱き抱えながら座るアルトレアが座っていた。
スミリアは小学生位にしか見えないのでリゼットが膝の上に乗せても全く違和感が無い。今はリゼットだが、時にはシキやアルトレアの膝の上に乗ったりする事もある。この事から四人の仲は非常に良好だとわかるだろう。
カラアラに訪ねられたシキはその質問に同意する様に頷く。
「はい、そうです」
「なるほど~なるほど~……因みに何ですけど~、何故、この都市に?」
「実は倭国『カグヤ』に行こうと思いまして……。あ、そうだ。実はギルドマスターにお渡ししたいものがあるんです」
「渡したいもの~?」
「ディーサルヌ王国の冒険者ギルドマスターのイルディアさんからです」
そう言ってシキは懐に手を入れて封筒を取り出した。実際は懐には入れてはいないがそこから[空間庫]を開けて取り出したのだ。
封筒は白いもので、止める部分には冒険者ギルドのマークが印されていた。シキはそれをカラアラに差し出すと、それが本当にイルディアからのだと分かったのか快く受け取る。
「はい~。では~見させていただきますねぇ~」
カラアラは綺麗に封筒から手紙を取り出すとそれを開いて目を通す。
その間、アイリスとマシロは不思議そうな表情をしていたが、シキは二人の頭を撫でていると読み終えたカラアラは少し楽しそうな表情をしていた。
「読ませていただきました~。内容はわかりましたが~、シキさんのギルドカードを預からせていただけませんか~?確認が終われば直ぐにお返ししますので~」
「わかりました」
シキは再び懐から……[空間庫]からギルドカードを取り出すと、カラアラの指示で横にいたギルド職員に手渡す。だが、そのギルドカードは一つではなく3つ。
『シキ』と『レッド』、『クロ』のだ。
周りには気付かれない様に渡したので何故3つもあるかはリラ達には訪ねられる事はなかった。受け取ったギルド職員は確認の為に部屋から一時退出する。
「ところで~、『剛剣』さん。貴方はサウザラート国の騎士団長ではなかったのですか~?」
「あぁ。私は騎士団長を辞め、貴族の名を棄てたのだ。だから今の私は騎士団長でもないし、貴族でもないさ。今は各国の冒険者ギルドを転々としている。横にいるマリンと共にな」
貴族の名を棄てる、という事はリラは離婚をしたという事と同じである。貴族が名を棄てる等は本来有り得ない筈なのだ。彼女といいアルトレアといい二人の元家庭はそれほど酷いものだったとわかるだろう。恐らくだが、『剛剣』の異名を持ち騎士団長でもあるリラを失った事はサウザラート国にとってかなり痛手となる。その騎士団長を辞めた事と貴族の名を棄てた原因を調査されるのは間違いない。
「なるほど~……そうでしたか~。因みにあの戦いには横にいる……ハーフエルフの彼女と何か関わりがあったり~?」
「……まあ、そういうことだ」
「これ以上は聞かない事にしますね~」
「ギルドマスター。確認終わりました」
どうやら、シキのギルドカードの確認を終えたらしく先程のギルド職員が戻ってきていた。それを無事にシキへと返却されると、カラアラはある事を話す。
「『カグヤ』に向かうんだよね~?なら、冒険者ギルド総本部に行ってみるといいよー。まあ、他の冒険者ギルドより更に大きな建物だからわかると思うんだ~」
「冒険者ギルドの総本部は『カグヤ』にあるんですか?」
「そーだよ~。冒険者ギルドの発祥の地は何を隠そう『カグヤ』だからね~。あ、そういえば、そこの……青黒髪のカッコいい娘。君は『カグヤ』の人かな~?」
「は?ちげーけど」
何故かカラアラはシキの横にいたリゼットを『カグヤ』の人だと言う。リゼット本人は違うと言い、何故自分が『カグヤ』の民なのかわからないでいた。どうやら本当に知らないらしい。リゼットの膝の上に乗っていたスミリアはそれに疑問に思い聞いてみた。
「ギルドマスター。何故、リゼ殿が『カグヤ』の者だと思ったのだ?」
「ん~?だってぇ~君が持っているその赤い剣……刀だね~。それって『カグヤ』の刀だと思うんだ~。それにその髪色も『カグヤ』っぽいから~もしかして~って思ったんだよぉ~」
どうやら刀という武器は『カグヤ』特有の武器らしい。そういえば、これまで旅してきて刀を使う者は殆どいない事をシキは思い出していた。そして髪色も同様に殆どが金髪等の明るい色か茶色というのが多い。確かにリゼットの髪色、武器は珍しいものだった。
まあ、シキにとってリゼットが何処の出身だろうが愛する妻であることには変わり無い。リゼット本人もそれほど気にはしていないらしい。他のメンバーもだ。
するとカラアラはシキに新たな手紙を差し出した。その手紙は黒色と金の線と紋様が入った高価っぽいものだ。
「これは……?」
「冒険者ギルド本部に宛てた手紙だよー。イルディアちゃんからは~連絡は貰ってたから用意はしてたんだよぉ~。これをギルド本部の職員に渡せばスムーズに動くと思うからねー」
「ありがとうございます」
その手紙を受け取るとカラアラはこれ以上の話は無いらしく、シキ達はギルドマスター室から退出するのであった。
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「……」
エマは冒険者ギルドの闘技場から出て背中に卵が入った袋を担ぎながら歩いていた。今のエマは明らかに誰からでも不機嫌そうだとわかるだろう。
シリルという黒服の少年と『剛剣』の異名を持つリラの戦闘を見ていた結果である。
「(……確かにあの剣の戦いは凄かった。けど、ありゃ……単に真剣にやってただけじゃねえか。彼奴等本気じゃねぇ。……確かにあの場で本気を出せばあの場はぶっ飛んでいただろうがよ。……でも、本気じゃねぇのは詰まらねぇよなぁ、見てて)」
エマは見抜いていた。
シリルとリラは互いに本気ではなかった事を。
もし、あの場で両者が本気を出せば戦いの影響が観客席までに及んでいたのはわかる。だからこそ、両者は剣技のみの戦いだったのだろう。
頭では仕方がないとはわかってはいるものの不機嫌になるエマであった。すると突然、ポケットに入れていた魔法具が反応を示す。
「……あ?誰だよ」
ポケットから真珠の様な緑の魔法具を取り出した。
これは声のみで相手と連絡が取れる魔法具だ。
これと同じ魔法具を持っている限られた者のみしか連絡が取れないが。
エマはその魔法具を口元に近付けようとすると声が発せられる。それほど大きくはなく、エマしか聞こえないようになっていた。
『もしもしっ!エマ様ですかっ!?』
「おぅ。どうしたんだ?そんなに慌てて」
『エマ様、今すぐに帰ってきてくださいっ!』
「は?どうし……」
『部下の一人が空飛ぶ大型戦艦を発見したんですっ!その大型戦艦が……』
「大型戦艦?んだよ、それくらいいいだろ?多分マージナルから出てるやつじゃねぇの?」
『違いますっ!その大型戦艦は……『七天魔皇』最強、『覇王』の戦艦なんですっ! 』
「ッ!?!?……お、おいおぃ。マジ、かよ。……俺達に戦争でもしにきたのか?それとも、彼奴等の方か?まさか、2つ纏めて相手取る気かよッ。母上は?」
『王は今、何時でも迎え撃てる様に全勢力を集結させ整えています。偵察部隊の報告では、どうやらあの組織も『覇王』の事を察知したのか同じく戦力を集めているらしいですっ!』
「わかった、直ぐに戻るっ!」
エマは魔法具の通信を切ると、散歩を中断して『ディラン』が待機している場所へと戻っていくのであった。
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あらら……またまた出てきたな……( ・∀・)ノ




