空海挺へとッ!
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
『マージナルに!』
『エマも?』
『卵を発見!』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
空海都市マージナル、空海挺所。
そこは、空海挺の乗客用受付がある駅の様な建物だ。
駅といっても幾つもの乗り場のある人通りが多い場所。
旅行で来ている者や多くの荷物を運んでいる者、小型モンスターと共に椅子に座りながら時間を待っている者。
こう見てみれば地球の鉄道や空港と同じ風景が広がっている。
そしてシキとリゼットの二人は、受付の前にいたのだ。
「も、申し訳ございません。本日の『カグヤ』行き空海挺は午前、午後の両方満員となっています。明日の午前でなら席が空いていますが……え、えっと……ど、どうしましょうか?」
目の前にいる受付の女性はシキとリゼットの顔をチラチラと交互に見て少し恥ずかしそうに顔を赤くしながら説明をしていた。やはりシキの容姿は完全美少女なのだが、男性よりも女性から注目を浴びていたのだ。本来なら何時もの様に黒のローブを着て頭にはフードを被った方がいいのだが、ここの空挺職員に注意されたので仕方が無く脱ぐしかなかった。
加えてリゼットはというと、クールで格好いい風貌がシキ同様に同性である女性から熱い視線を送られている。服装が黒の騎士調の服を着用し、腰には日本の太刀を二本携えていた。
因みにシキは剣士にも魔法師にも見える様な紺と白のロングコートを着用していた。中性的な服装でもあったのでこの場にシキを知らぬ者は女性だと思っているだろう。
その結果、目立つ事になってしまったのだ。
まあ、仕方がないと思いながら今日『カグヤ』行き空海挺に乗れるかどうかを聞いてみると満席で駄目な様だった。
「じゃあ……明日の午前にお願いします」
「は、はいっ!承りましたっ。あっ……人数は……」
「大人6人と子供2人です」
「わかりました。『ティムモンスター』は無料となります。『カグヤ』行き空海挺は全て個室になります……申し訳ないのですが、部屋は三部屋までになります」
「いいんじゃねぇか?」
「そうだな……じゃ、それでお願いします」
「はい、了解しました。大人一人、大銀貨1枚。子供一人、中銀貨1枚になりますので大銀貨6枚と中銀貨2枚となります」
シキは受付の女性にお金を渡すと乗車券を3枚渡される。その乗車券は少し厚いカードだ。鉱物で出来ているのか折れる事はないだろう……普通の人なら。
乗車券を無くなさい様に[空間庫]へと収納する。その後、無事に乗車の予約を終えたのでシキは後ろで待っているアルトレア達の場所へと戻っていく。
とりあえず、アルトレア達には今日の空海挺には乗れないが、明日の午前には乗れる事を伝える。
「なら、今日はこの都市の宿でお泊まりですね」
「大体は予想していましたので、大丈夫です。……あ、シキ殿。この際、葵殿を冒険者ギルドの登録してはどうですか?」
「そうだな。よしっ!ならシキっ、今から冒険者ギルドに行こうぜ!」
このメンバーの中で唯一冒険者ギルドの登録をしていないのが葵だけだ。勿論まだ子供であるアイリスとマシロは登録はしていない。
「冒険者ギルド、ですか。確かランクとかありましたよね?御主人様は因みに……」
「俺はAランクだよ。他の皆も同じ筈だよ」
「Aランク、ですか……?」
この時葵は思っただろう。
絶対嘘だと。
Aランク以上は絶対あるだろうと。
シキ達がAランク冒険者なのは間違いない。
だが何故Aランク以上にならないかという理由としては、本来なら最高ランクにはなれるのだがその冒険者として活動は殆どしていないのだ。
今シキ達の収入源は主に商売である。
商売に関しては屋台等を中心に行っており、食材に関しても自ら調達もしているので冒険者に頼むことも無い。たまに町から町へと移動する道中で入手したものを冒険者ギルドで買取りする位だろうか。
しかし、シキはAランクであるが変装した時の『レッド』と『クロ』のランクは異なってくる。
『レッド』はSSSランク冒険者。
『クロ』はSSランク冒険者である。
『レッド』のSSSランクはバルリム王国での魔王軍との戦闘の功績により、バルリム支部ギルドマスターだけでなくその報告を聞いた他のギルドマスター全員から認められてなったのだ。
『クロ』はこれもディーサルヌ王国でその支部のギルドマスターからの指命依頼を全て達成した事によりSSランクになった。
SSSランクは全てギルドマスターからの了承、SSはギルドマスター数名からの了承があって昇格が認められるのだ。
恐らくリゼット・アルトレア・スミリア・シリルならば最低でもSランクになるのは確実だろう。ラヴィに関しては桁外なので楽々とSSSランクになれるのは間違いない。が、本人はその気が無いので良いだろう。
クリムは冒険者ギルドには興味は無いらしく今もなお小さなドラゴンの姿で葵の服の中で幸せそうに寛いでいた。
向かっている最中では葵に簡単に冒険者についての説明をしていると冒険者ギルドに着いてしまう。
やはり冒険者ギルドの建物は何処の場所でも同じ様なものであった。だが、このマージナルは冒険者と共にモンスターと一緒にいる者達が多い。まあ殆どが小型モンスターだが、外には主人を待っている中型のモンスターもちらほら見掛ける。当然、冒険者ギルドには様々なモンスターが出入りするからか出入り口は他の冒険者ギルドよりも一際大きい。そして建物そのものは見た目は他の冒険者ギルドと変わり無いが大きさは通常の倍以上はある。
モンスターを連れていない冒険者が珍しいのかもしれないとシキは思っていた。
冒険者ギルドへと入ると老若男女の人達がテーブルについて話していたり、依頼を載せてある掲示板にはモンスターと一緒にどの依頼をしようかと考えている者もいた。
「ここが冒険者ギルド……。初めて来ました……」
「そうか。葵は殆ど王宮内で武器の開発をしていたんだったね。さあ、受付けに行くよ。リゼット達はここで待ってて。ラヴィもリゼットの所にね」
「わかったぜ……っと」
「ほぅ……リゼットの頭の上も中々居心地良いではないか……」
ということで、リゼット達は空いていた席で待って貰いシキと葵の二人は受付けの元へと向かう。シキの頭の上にいたラヴィはリゼットの頭の上へと移している。シキの頭の上よりか少し劣るもののリゼットの頭の上も悪くは無いようだ。
シキ達は向かう受付けにはお馴染みの受付嬢達がいた。しかもとびきり美人の。
「いらっしゃいませっ!どの様なご用件でしょうか?」
シキ達の受付けに当たったのはベリーショートな髪形の美少女であった。
中々の美少女であったが、葵は横にいる超絶美人なシキを毎日見ているので慣れてしまった様だ。なので普通なら分かりやすい程に見つめてしまうだろうが葵は全くそういう風にはならなかった。
そのベリーショートな受付嬢は男ならするであろう反応をしない事に少し驚いていた。いや顔には出さなかったがそれよりも目の前にいるシキが今までに見たことの無い美少女な事に驚いていたのだ。しかもそれは容姿だけではなく内面的にも魅力的だということを感じ取っていた。
それを感じ取ったのはその受付嬢だけでなく、横で同じく業務をしている他の受付嬢もだ。
受付嬢からその視線を気付かないのかシキは言う。
「彼を冒険者ギルドの登録をしたいんだが……」
「はっ、はひっ!?わ、わかりました!少々御待ちくださいっ!」
何故か顔を真っ赤にさせながら慌てる受付嬢に不思議そうにするシキ。
ベリーショートな受付嬢からしてみれば、初めて同じ女性に一目惚れしてしまったのだ。今までにあった何処の男よりも魅力的な目の前の美少女に気になってしまい仕方がない。
だが、その受付嬢、いや受付嬢達は知らない。
目の前の絶世の美少女が本当は男である事を。
別に女性として振る舞っている訳ではないのだが。
しかし、ベリーショートな受付嬢は受付嬢としての業務があるので疎かにする事は出来ないので顔を真っ赤にしながらも横にいる葵に目を向けるのだが……。
「(背は低くて華奢だけど……可愛いし、何か……格好いい……。何なのかなぁ~!!!この女の人とこの少年、目の保養になるけど……心臓のドキドキが止まらないよぉ~っ!!!)」
葵も男の子としては背が低く華奢なのだが、幾つものシキからの過酷すぎる特訓と修業をしてきた為か、女性からしてみても魅力的な少年になってきている様だ。その葵本人も自分の雰囲気が変わっている事や魅力的になっている事は自覚していないだろう。
まあ、自覚したとしても葵という存在は変わることは無いだろう。
「で、では、冒険者ギルドの登録に当たって説明をさせていただきます……」
受付嬢からの冒険者ギルドについての説明を受ける。シキから前もって話していたので問題は無いだろう。その説明の後に用紙を渡され、必要事項を記入していく。
「出来ました」
「は、はいっ!では、ギルドカードの発行をしますので少々御待ちください」
「じゃあ葵。俺はリゼット達の元に行くから。ギルドカード貰ったら戻ってきてね」
「わかりました!」
葵を一旦、ギルドカードが発行するまで待ってもらいシキはリゼット達が待っている席へと戻っていく。
リゼット達の席へと戻ると、シリルがリゼットの席へと守る様に佇んでいた。
殺気等は無いが下手に近付こうとするならば、一瞬にして斬ってしまいそうな雰囲気を放っていたのだ。シキからしてみれば従者としてしっかりと護衛している。リゼット達は娘達、アイリスとマシロと仲良く話したりじゃれてたりしてした。
そのシリルの一切隙の無い佇まいに他の冒険者達は凄まじい実力者だと認めざる終えなかった。だが、シキが戻ってきた事によって堅かったシリルの表情が緩んだ。
「今戻ったよ。シリル、ありがとね」
「い、いえ、御主人のお役に立てたのなら光栄ですっ」
今まで従者としてシリルは何処か近付き難い様子だったのだが、シキに感謝されると嬉しそうに猫耳と尻尾が動いていた。
その様子を見ていた一部の冒険者、熟練の冒険者達がシリルの主であるシキがとてつもなくヤバい存在だと悟ったのだ。あのシリルという従者が完全に服従しているのだから。
「シキ、葵はどうしたんだよ?」
「今ギルドカードの発行を待ってるから。その後にここに来るよ」
「そうか。アイリス、マシロ。もうちょい待ってようなー」
「私の膝の上に乗りますか?」
「はいっ、リゼかーさま!リアかーさま!」
「なのー!」
葵が戻ってくるまでアイリスはリゼットに抱きつき、マシロは席に座っていたスミリアの膝上に乗って待つこととなった。シリルは引き続きシキ達を守る様に佇みながらも楽しそうにしているリゼット達を見ながら微笑ましそうにしている。
アルトレアはシキの横に立つと他の女を寄せ付けない様にピッタリとくっついた。
「ん?どうしたんだ、アル」
「いえ、只こうしていたいんです」
「そうか」
冒険者達からは目立ちながらもその幸せそうなその様子を誰一人入ろうとはしなかった。まあ、シリルがいるからというのもあるだろうが、楽しそうにしている子供達を害しようとする者達がこの冒険者ギルドには居なかったのだ。
すると、冒険者ギルドから新たな人物が入ってきた。
その人物は腰まで伸びた白金の髪に翡翠の目、そして服装はまさしく騎士といった服装と鎧を着用した女性であった。年齢からして20代だろう。その女騎士の後ろには使用人らしい少女とついてきていた。その使用人の少女は魔法を使うのか魔法の杖を持っている。
この時、出入り口に背を向けていたアルトレアだったが何故か自然とその入ってきた女騎士と使用人の少女を見たのだ。
そして、思わず固まってしまう。
アルトレアの様子が可笑しい事に気付いたシキは同じく出入り口の方へと目を向けたのだ。
女騎士と使用人の少女はこちら、アルトレアを見て驚いたのでその二人の人物と知り合いかないかと感付いたシキ。
女騎士はアルトレアを見ながら震えた声で言う。
「アルト……アルト、なのか……?」
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いよいよ、遭遇しましたねぇ~




