表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/357

幕間 [箱庭]での日常《ある昼》

今回は短めです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!


『ある朝の日常!』


『シリルが女装にはまっ……』


『クリムは大胆とっ!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ

〈昼〉




「葵、ちょっとついてきてくれないか?」



朝食後、それぞれ各自でやることをやっている頃葵はシキの特訓を何とか終わっていた。特訓の内容はいたってシンプルなシキとの追い掛けっこやかくれんぼだ。名前だけ聞けば特訓というより遊びに思ってしまうだろうが、二人はこれを全力でやっている。これだけでもしんどいのだが、それ以外にもゲームをモチーフにした特訓を行っていたのだ。葵も流石に堪えてたのか先程まで大の字になりながら倒れていた。今は大分息も整ったのか立ち上がっている。



「はい。因みに何処へ?」


「ここから少し離れた林だよ。そこには川も流れてるし実のある植物もたくさん生えてる場所なんだけどね」


御主人(マスター)、ボクも御供します!」


「よし、わかった。じゃあ、行こうか」


シキは一度家に戻ってリゼット達に[箱庭]の林に言うことを報告する。すると、アイリスとマシロがその場所へ行くのだと知るとシキへ抱きついてきた。



「わたしもいくー!」


「マシロもなのー!」



更にリゼット達もやってくる。



「よし、オレ達も行こうぜ!」


「そうですね。僕も行きますね」


「当然私もだ」


「余もあそこを一度見てみようと思っていたのだっ」


「我も行こう!」



と、言うことでシキ達は三人は[箱庭]の離れた林へとむかうのであった。



~~~~~



[箱庭]の林。


そこは日本でもありそうな景色が良い場所であった。泉には数々の魚がゆったりと泳いでおり、そしてその側に広がる大地には細い木ではあるもののしっかりと天に向けて生き生きと生えている。この場所は水墨画に描かれる程静かで清らかで心が落ち着く所だ。



「まるで……昔の日本、ですよね……」


「ここは彼等の生活の場所だからね」


「彼等?」


「うん。ほら、そこに」



シキと同じ方向に目を向けると犬がいたのだ。地球でなら何処にでもいそうな大型犬。そしてその大型犬の後ろから他の大型犬や小型犬だけでなく、猫達もぞろぞろと現れたのだ。犬と猫全てを合わせれば20匹以上はいるだろうか。だが、その犬と猫達は警戒したり何処か不安そうにしていたのだ。



「この犬と猫って……」


「この子達は……飼い主に暴力を振るわれたり、捨てられたりした動物達だよ」


「……っ」



よく見ればその犬や猫だけではなく、ペットにされていた動物達の姿も見られる。だが、中には飼い主の暴力のせいなのか片耳が欠けていたり等身体の何処かが無いものたちもいる。



「ちょっと待ってて」



シキはそういうとその動物達の元へと歩んでいく。そして歩んでいく途中で『獣人族』になり、[獣化]で葵がよく知る大きくも美しく可憐な狐に変身したのだ。


そして大きな狐になったシキはその動物達に顔を合わせると何やらやり取りをしている。暫くして動物達は警戒は解いてゆっくりと姿を現した。


シキは話を終えたのか元の姿に戻ると葵達の元へと戻ってきた。



「御主人様……」


「あぁ、大丈夫だよ。彼等にはちゃんと話はしたから」



話をした、それは葵についてだろう。


葵は地球人であり日本人である。そんな彼の臭いを感じ自分達を暴力を振り、捨てた者達の仲間ではないかと思って警戒、不安を抱いていたのだろう。思い出してみれ敵意・不安は葵に対してのみだった。


動物達はシキに信頼をしているのか先程とは違い警戒心は無くなっている。だが、自らそちらには近づこうとはしない。余程地球で嫌な思いをしてトラウマを抱いているのだろうか。



「……どうやら彼等は問題ない様に暮らしているみたいだね。うん、よかった」



話を聞くとシキはこの林と川のある土地をこの動物達に解放しているらしい。なのでシキ達がこの場に来るのは動物達の体調に問題は無いのか、怪我はしていないのかを見に来る為らしい。リゼット達もシキの手伝いをしているので動物達からは気軽に接する様になっているようだ。


因みになのだが、この動物は全て雌らしい。これを知ったのは最近らしいがシキ本人は全く知らなかった様だ。


すると一匹の動物が葵に近づいてきた。



「……?この子は……」



その動物は一匹の子犬であった。その子犬は勇気を振り絞ってなのか葵の元へと恐る恐る近づいてきたのだ。そしてその手前で怖いのか不安なのかは分からないが葵の顔を見ている。



『にんげんさん……ぶたないの……?けらないの……?』


「……っ!」



その子犬は葵に喋り掛けたのだ。喋ったとはいうもののテレパシーみたいなものだ。だが、葵はその子犬が話しかけた事には驚きはしたが、それと同時に日本でペットにされていた動物達が数多く殺処分されている事を思い出した。そしてその彼女の声は悲痛に満ちていて信じたくても信じられない様なものを肌で感じたのだ。



「うん、大丈夫だよ。……ごめん……ごめん…ね……」



葵はその子犬を見て種族は違えど同じ"生きている命"を責任が持てずに捨て、殺処分してしまう地球、日本での現状に酷く残酷な事を理解したのだ。


信用していたのに、家族だと思っていたのに……。


ここにいる動物達は人間に裏切られたのだ。ペットという家族として迎え入れたその家族に。


どれだけ、辛かったのだろうか。


どれだけ、残酷だったのだろうか。


どれだけ、苦しかったのだろうか。


しかし、地球にもペットを愛し、家族としても受け入れる素晴らしい人達も多いだろう。だが、その反面心の無い飼い主もいるのも確かなのだ。


シキは自分の可能な範囲で殺処分されそうな動物達を保護してきた。本当は前までこの林には100匹はいたらしい。いや、それ以上かもしれないと。だが、結局はシキに対しても心を開かず一切何も食べずにそのまま栄養失調で亡くなってしまったらしい。それほど動物達の精神的な傷が深すぎたのだ。飼い主から受けた怪我は全てシキが[治療術]で完治した。だが、心まで安らげる事は出来なかったとシキは寂しそうな表情をしながらこの地で眠る動物の墓を眺めていた。


シキは言う。


どんなに頑張っても救えない命があると。


だが、亡くなって終わりではなく墓を立て彼等が眠る場所を平和にしたいと暇があれば一人で墓の掃除やお供えものは欠かさないと言う。


これがせめてこの地で眠る動物の心が安らげばと。


その話を聞いた葵は自分達の地球で、動物を一つの命ではなく一つの物として売買され、道具として扱われているかもしれない現状に本当にどうすればいいのだろうかと悩むしかない。


シキはこれからの人生を過ごすだろうアイリスとマシロには必ず話すと言う。


それが親として、父としてこの状況を幾ら幼くても知らなければならない事実を伝えるのが先に生きて知る者の責務なのだと。






ブックマーク登録、評価、感想・レビューをいただけると非常に嬉しいです(*≧∀≦*)



質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!

その他にも質問があればドンドンどうぞー!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


……さあ、そろそろ新たな物語と伝説を!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ