これからについて
前回のあらすじぃぃぃぃい!!!
『昔々……』
『深淵が剣舞だった頃……』
『事件が……起きたのだった……』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「……まあ、こんな話だよ」
シキさんから話してくれた『真序列』について教えてくれたけど、まさかシキさんと同様にお父さんもメンバーの一人だった事に驚いていた。そして、シキさんにとって唯一背中を任せられる相棒だった事もだ。
「本当はもっと早く言わなきゃって思ってね……君のお父さんの事を……『真序列』1位、『深淵』として、≪WAO≫代表として謝罪させてくれ。申し訳なかった……ッ」
何故、その事を家族に言えなかったのかは大体わかる。その事を言ってしまえば≪WAO≫を知れば犯罪組織に狙われる可能性があるのだから。シキさん曰く、お父さんは『真序列』の中でも誰でも性格的に、人間的にも非常に優れていたらしく本当は家族に報告したかったらしい。けど、それは出来なかった。
シキさんは頭を下げて謝罪するのだけど、今にとって僕はもう過ぎた事だ。それにシキさんには命を救われた身だし、何かしら恨むことなんてない。それに……お父さんが影ながら世界を守っていたなんてとても誇らしい事だと思う。
「謝罪なんていいですよ。シキさんのお陰で僕の命はあるんですから。それに……お父さんの死は僕にも原因がありますし……」
そう、あの事件には僕にも非があるのだから。
そんなこんなで僕は働いていたお父さんの事についてシキさんに話をしてもらっている事になった。
あれこれ約一時間は経ってしまったが、お父さんがどれほど組織の人達に尊敬され、親しまれていたのかがよくわかった。そしてその話を終えると僕はこれからの事についてシキさんに訊ねる
「その事についても言おうと思っていたんだ」
「もう決めているんですか?」
「あぁ。昨日の夜に『天照大御神』様から話す機会があってね。あの女神クーディアについては大丈夫だということなんだ」
「えっ!?『天照大御神』って、あのえっ、神様のっ!?」
「あぁそうだよ」
どうやら昨日の夜に夢?で『天照大御神』様と話していたらしい。その細かい内容についてはラヴィ様から説明してもらう。
「その女神クーディアなのだが『この世界』の神々にとってもかなり問題児らしいな。天照からはあのクーディアという女神が霊体だったのは、その本体となる身体が『上』で封印されているらしいぞ。そして『この世界』で最も名高き女神、ルティアナ・バルロウナ・ヘルアテス・ティールバの姉であるという事だ」
「えっ!?確かその女神達は四姉妹だったんじゃ……」
「天照が嘘をつく事は無いだろう。する意味もないなっ。これは余の見解だが……そのクーディアが封印されている事から神々から危険視されているのは間違いない。何かしら罪を犯したのだろう。月日が経って五人姉妹が四人姉妹に人々からそう認識されたのだろうな。今は霊体で下界に降りた事により、更なる封印を施した様だぞっ」
「なるほど……」
今まで何故一ヶ月も[箱庭]から出ていないのかは女神クーディアから何かしら接触される事にシキさんが危険視していたからなのだ。だが、何もせずにこの[箱庭]にいるわけにもいかずに僕やシリルだけでなく奥様方全員が改めて修行をしていたのだ。
シキさんとラヴィ様の修行はえげつない程ヤバかった。今やっても軽く胃を空っぽに出来る位にリバースできる気がする。
その女神クーディアという危険性が無くなったということでシキさんは行動に移すことに決意したのだ。だが、万が一女神クーディアが何かしらの方法で仕掛けてくる可能性もあるかもしれない。そんな事が起こった場合、シキさんは今度は全力で排除すると言っていた。……え、あの時全力じゃなかったの?
加えてラヴィ様もいるのでそれは可能だと感じる。
「2日後、2日後に[箱庭]から出るよ。そして空海都市マージナルへと向かう。皆には朝食時に言うよ」
「わかりました……」
「?どうしたんだ、葵?」
「葵よ、言っても良いのだぞ?余が許す」
ラヴィ様から許可を貰ったので、覚悟を決めてシキさんに言う。
「え、えっと……シキさん。部屋に入ってから気になっていたんですけど……」
「うん?何だい?」
「何で、女性の着物を着ているんですか……?」
そう、今のシキさんは桜の花びら舞い散る柄のある黒い着物に包まれていたのだ。しかも、やっぱりにあっているので美しく気品のある着物美少女だ。いや、それにしてもマジでエロい。癖っ毛の長い金髪を下ろしているし色気もあるし……。ちょっとはだけているし……。
「あぁ……悪い。着替えるの忘れてた」
「……え?」
あれ?
シキさん怒ってない?
まあ美少女にしか見えないとは言ってはいないけど、今の花魁みたいな着物に何かしか赤面して動揺すると思っていた。いや、確かに今から一週間前にシキさんと僕、シリルで、何故か女装した時でも女性ものの服とか着たくないと叫んでたし……。
あ、言い出しっぺはラヴィ様。
あの時はシキさんはメイド服、僕はクノイチの忍者のやつ。シリルはセーラー服でした。
……何でそんな服があったかって?
実は奥様方はシキさんを女装させる事をよくしているらしい。なのでラヴィ様やクリムさんから聞いた情報で一から自分達で自家製で作ったらしい。いや、あそこまでリアルに再現できるって凄いのね、技術が。
多分今着ている着物も奥様方の誰かが製作したものだろう。
一応シキさんに怒っていないか聞いてみる。
「ん~……まあ、これはリゼットが俺の為に作ってくれたんだし、嫌じゃないよ。それにもう女に間違われるのも仕方がないなぁって思い始めたんだ。それに女装するのも最近抵抗なくなってきたよ」
最初に聞いたときは無理をしているんじゃないかって思ったけど、よくよく話を聞いていると本当にそう受け止めているらしい。
そういえば……何か、シリルが女装にハマった的な事を呟く様に言っていた様な……。
「昔の姫なら発狂していたのだがなっ」
「人って変わるものなんですねぇ……」
「確かに人は変わる。そう、変わると言えば……弟よ、最近クリムについてどう思う?」
「そうだねぇ……」
……はい?
え、シキさんにラヴィ様。
何故に僕の方を向くのですか?
ちょ、何ニヤニヤしてるんですかっ!
「な、何ですか……」
「葵、クリムの事どうなんだ?」
その瞬間、僕の脳裏にクリムさんの顔が浮かび上がってしまい同時に顔が熱くなるのが理解できる。
「さ、さぁ……何の事でしょうか?」
「なんだ、つまらんっ!」
「こらこら、ラヴィ姉。そんなことを言わないの」
……クリムさんの事は……好きか嫌いかといえば、好き、だと思う。と、いうより、この何か変な感じが何なのかが分からない。多分、これが恋なのかな?でも、こんなの初めてでどうしたら良いか……。
そんなことをモンモンと考えているとこの部屋の扉にノックが鳴ると、少し開いた扉の隙間からアイリスちゃんが可愛らしく覗き込んでいた。
「とーさま?」
「アイリス、どうしたんだ?」
「……とーさま、やっぱりかわいいっ!」
「ひゃぁっ!?」
アイリスちゃんは着物姿のシキさんに飛び込んで抱きついたのだ。やっぱりアイリスちゃんから見てもシキさんは可愛い様だ。うん、確かにシキさんは可愛い。
「おいおい、アイリスよ。弟が困っているだろう。どうしたのだ?」
「あ、ラヴィさまっ!えっとね、りぜかーさまからごはんできたからとーさまたちをよんできてって!」
「そうか、なら父さんは着替えてから下に行くよ」
「えー!きがえちゃうの……?」
「このままじゃ、食べにくいし汚れるだろ?すぐに行くから……」
「アイリスもとーさまについていく!」
「はいはい、わかったよ。じゃあ一緒に着替え手伝って欲しいな。この着物一人じゃ脱げないから」
「わかった!」
「じゃあラヴィ姉、葵先に下に行ってて」
そう言うとシキさんとアイリスちゃんは一緒に仲良く手を繋いで着替えに行ってしまった。確かにあの着物は一人じゃ着替えられないだろうな……。
「……うむ。一時期はどうなると思ったが……伴侶も出来て良かったものだ」
「何かあったのですか、ラヴィ様?」
「聞いておっただろう。弟に元恋人がいた事を」
「はい」
「ある者は弟と付き合っているのに他の男とも付き合い、最終的には弟を捨てた女子。ある者は娯楽の為に弟の心を弄んだ女子。ある者は、命をかけて守ったのにも関わらず散々罵倒して最初と同じく他の男についていった女子。そんな事があってからか、余の弟は死に急ぐ様に危険な任務を遂行していったのだ。確かに弟は≪WAO≫の『真序列』1位『深淵』だとはいえ、身体的よりも精神的には限界を超えていたと余は思う。だが、それを止めようと余が説得しても止めなかったからな。まあ、それを感じていた≪WAO≫の総本部長と本部長が弟に仕事量を減らしてはいたが……」
あぁ。
そうだ。シキさんは今まで神とか超人とかしか思っていなかった。でも、シキさんにもちゃんと心がある。そして喜んだり、怒ったり、悲しんだりするのは当たり前だ。
シキさんからは振られたしか聞いていなかったけど、ラヴィ様が言っている内容を聞けば悲しむし、愛していた恋人に捨てられたり弄ばれたり、罵倒して他の男に取られたりしたら……死にたくもなるのかもしれない。
「だが、今は伴侶達を子供達を愛している。不謹慎かもしれぬが、この世界に巻き込まれた事は良かったと余は思う。葵よ、お前もクリムを愛しても構わぬ。結局付き合うかどうかは本人次第だ。もし、付き合うとなれば余の『天空之覇帝』も祝福するに違いない。いや、『柊家』総出で祝福するだろうなっ」
「そ、総出でって……」
「ぬ?冗談では無いぞ。本気と書いてマジだ」
……まあ、総出で祝ってくれるなら悪くは無いと思う。
この気持ちは本当に恋なのはよくわからない。でも、この気持ちに向き合っていこうと思う。これは僕一人で向き合っても意味は無いだろう。だから……この[箱庭]から出る前に一度、クリムさんとゆっくり二人で話してみようと思う。
「あれ?ラヴィ姉、葵。まだいたの?早く朝食に行こうよ」
「いこー?」
「うむ、そうだなっ!」
「はい!」
とりあえず、朝食する為に僕達は一階へと降りるのであった。
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あと、新章かも




