葵の父親
ちょいと過去話があります。
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前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
『[箱庭]ッ!』
『妻子達もッ!』
『葵に春が……!?』
のどんっ!?ι(`ロ´)ノ
『深淵』はふと、数年前の事を思い出していた。
『深淵』がまだ『真序列』1位の『深淵』ではなく、『真序列』7位の『剣舞』と知られていた頃の事だ。
1位『聖魔』
3位『終焉』
5位『姿見』
7位『剣舞』
11位『支援』
…………
………
……
…
日本支部長は現総本部長である『黒雷帝』の柊グレンだった時だ。
1位の『聖魔』は現日本支部長である神崎桜花が『真序列』の頂点として君臨していた時代。その当時の事は今でも鮮明に覚えている。
そして『真序列』の数名で部隊を作る事になったのだ……。
「『終焉』。以上だ」
「『姿見』です。宜しく御願いしますね?」
「『剣舞』です。……よろしく」
「『支援』だ。まあ戦闘はからっきし駄目だが支援なら人並み以上に出来るさ。仲良くしようぜ」
「このチームのリーダーとなった『聖魔』だ。何かあれば気軽に相談してくれ」
この時の『深淵』はそれほど積極的に人と話す気がなかった。どちらかというと人と接するのは消極的だったと思っている。
『聖魔』は何事も動じずに冷静に判断が出来るリーダーとしてだけではなく実力も十二分素晴らしい人物だった。
『終焉』は口数が少なく、かなり喧嘩腰に発言する不良みたいな人物だ。
『姿見』は優しいお姉さんな雰囲気だったが、何時も微笑んでいる為に彼女が何を考えているかわからなかった事を今でも覚えている。
『支援』は元気でどんな相手でも積極的に話そうとする人物だった。その彼は桜間葵の父親である桜間剛でもあったのだ。
当初はこんなメンバーで任務を遂行できるのかと不安に思っていた『剣舞』だったが、その思いを裏切るかの様に難事件を解決していったのだ。
よく『剣舞』の時に『終焉』と喧嘩をしていた事を思い出す。
その喧嘩を『姿見』と『支援』の二人が仲裁していた。最終的には『聖魔』によっての介入によって喧嘩は収まる事が日常茶飯事だ。
ある時、『支援』である桜間剛と話す事があった。当時の『剣舞』は中々人と接するのが消極的だったのだが、≪WAO≫で最もよく『支援』と話す事が多かった。いや、『|支援(彼)』がしつこい位に接して来たからだろうか。その為かよく愚痴を聞いたり言ったりとした事が多々あったのだ。
それは戦闘でも現れており、『剣舞』と『支援』の連携が非常によかったのだ。
『剣舞』が前線で。
『支援』は名の通り後方からのサポートを。
お互いに不足している所を補え合える素晴らしい相棒となっていた。
「どうしたんですか、桜間さん」
「あぁ、不知火か。いやな、俺の息子と連絡を取っててな……ちょいとホームシックになってたんだよ」
「息子さんいたのですね」
「おう。自慢の息子だ。そういえば、お前と同じ歳な筈だぜ。良い友達になれると思うんだよな。まあ、お前が女だったら是非とも息子の嫁になってほしいんだよなぁ~」
「俺は男です。しばきますよ?」
「悪かったって。けどよ、お前となら良い友達になると思うんだよ」
こんな冗談を言える仲であったが、この時に桜間剛が言っていた事は今の『深淵』は覚えていた。
「こんな危ねぇ仕事をしているけどよ……息子に恋人が出来て、結婚するまでは死にきれねぇ」
「……それほど息子さんを愛しているんですね」
「そりゃぁそうだ。息子が結婚するのをこの目で見て、祝福をする事が俺の夢なのさ。そして息子の子供も見たいしな」
「なら、俺は桜間さんの夢を応援しますよ」
「そうか、ありがとなっ!」
それがかつて『深淵』……『剣舞』、いや不知火姫希が歳の差があるとはいえ、尊敬する存在であり親友の様な桜間剛が眩しく見えていた。そんな桜間剛を愛する息子に一度会ってみたいと思っていたのだ。
桜間剛から最後に「息子の結婚式に呼んでやる」と言っていた事もあった。
だが、それは叶わない。
彼は無念に思っていただろう……。
…………
………
……
…
そして異世界から召喚、『リヴァイアサン』との戦闘を終え『アイリス』が姫希達の娘として家族に迎えて暫く日が経ったある時にある夢の様なものを見たのだ。
それはかつて地球の日本に存在する京都の土地神である山城京楽と話した空間と同様の場所だった。
「……また土地神様か?」
「ちげーよ」
「はっ?」
そこにはこの世にいない筈の人物、葵の父親である桜間剛がそこにいたのだ。彼は生前に会った時と変わらない容姿だが、何故その死んだ筈の彼がいるのか全く理解が出来ない。
桜間剛の死は姫希、シキも知っており葬儀にも出ていた。その彼が自動車の事故で即死した事に信じられなかったが、その亡骸になった彼を見てそれは事実だということに理解するしかなかつまた。
「おい、何ボーッとしてんだよ」
「あ、申し訳……じゃ、なくて!えっ、桜間……さん?」
「おうよ、『真序列』11位の『支援』、桜間剛だぜ!元、だけどな」
「な、何で……ここに?死んだ筈じゃぁ……」
「こまけーことはいーんだよ。それより……不知火、頼みがある」
そう言うと桜間剛はその場で正座したかと思うと、いきなりシキに向けて土下座をしたのだ。何時もの口調や雰囲気とは全く異なった、真剣な桜間剛の頼みだ。いきなり言われても正直困ってしまうが、直感ではあるが彼が桜間剛本人だとはわかっている。そしてその頼みは只でさえ時間が無いのか切羽詰まっている様にも感じたのだ。
「頼むっ!俺の、俺の息子を助けてくれねぇかッ!名は桜間葵。お前らと同様に地球からこの世界に巻き込まれたみたいなんだ」
「なっ!?」
まさか自分の高校以外にもこの世界へ召喚されていたとは思ってもみなかったのだ。そしてその召喚された人物の中に桜間剛の息子がいたことが最も驚いていた事だろう。
だが、シキは疑問に思っていた。
「桜間さん。貴方は確かに亡くなった筈……なのに、何故その事を知っているのですか?」
「……確かに俺は死んださ。でもよ、一か八か賭けてみたんだよ。俺が守護霊となって息子を見守ろうってな。まあ、結果は成功したさ。やり方は忘れたけどな。……けどよ、召喚された事とあの神の加護か?あれを弾く為にもうそれほどこの霊体も保てれねぇんだ」
「神の加護を弾いたんですかッ!?そんな無茶な……」
「そうだな。確かにお前くらいの実力がねぇと神の加護なんて弾けねぇさ。でも、わかってるだろ?神の加護がどんなものなのかを。まあ、この世界の神にとってみれば仕方がねぇ事かもしれねぇけどよ」
「仕方がない?」
「だって考えてみろよ。何も力の無い学生達にこの世界で生きれると思うか?」
「……無理、ですね」
「だろ?だから神は加護を与えたんだろうな。けど、その加護を与えるのに何の見返りが無い訳がねぇだろ。ましてやこの世界とは違う者達だ」
「まさか……」
「だが、それは俺の推測だ。それが本当かどうかはわからねぇ。もしかするとこの世界の神様は意外と良い神かもしれねぇからな。今は加護を与えられた者達は何も問題は無いと思う。けど、俺が一番心配しているのが……今まで力を持たなかった者達がいきなり力を持ってしまったら……っと、な。やっぱり親だからか息子には力に溺れて欲しくはなかったんだよ。……これは、俺の自己満足だ。だから、今は加護を持たない無力者にしちまった。……あの時、加護を弾かない方がよかったんじゃねぇかって……」
親なら子を心配するのは当然だろう。もし、その加護が子に悪影響を与えてしまったら、と考えたらそれをさせまいと守ろうとするだろう。だが、それが結果として他に加護を持つ集団の中に一人加護を持たない者が一人居れば……無力者として、役立たずとして烙印を押されてしまうだろう。
だが、桜間剛の身体は罅割れる様に亀裂が入っており今にも消えてしまいそうになっていた。
「……くそっ、限界か。不知火、息子を……頼む。無責任な話かもさしれねぇが、息子を助けたら……息子をお前の従者にしてやってほしい。もう……それくらいしか……俺には……お前に……」
「……わかりました。桜間さんには借りがありますから……息子さんは俺に任せてください」
「……ッ!ありがとう……ッ!息子を……葵を……頼む……ッ!」
そういうと桜間剛は息子がいる国について簡単に教えてもらう。その彼の説明は職業柄なのか簡単ではあったが、シキは事前にある程度の土地について調べていたので特定は出来ていたのだ。そしえ桜間剛はやり遂げたかの様に身体が歪んだと思うとそのまま消えてしまった。恐らく戻るべき、守るべき息子がいる場所へと戻っていったのだろう。
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「我と友達になってはくれぬか?」
「へっ!?……あ、はい。喜んで……」
そして葵を無事に救出し、[箱庭]にある家に戻るとシキの契約モンスターであるクリムゾルが[人化]の姿のまま桜間葵へと良い感じになっていた。一応クリムゾル、クリムが竜だという説明はしていたが、彼はそれを気にしていない様子であったのだ。
クリムは確実にと断言して良い程に葵に一目惚れていたのだ。それはリゼット達も気付いており暖かい目でその二人を見ていた。あのラヴィもそうだろうと言っていたのだから可能性は極めて高い。加えて葵自身も満更ではないので恋人になるのは時間の問題だろう。
客観的に見てみれば長身の女性と中学生位にしか見えない葵は中々印象深い組み合わせにも見えるだろう。だが、シキは二人はお似合いだと思っていた。
シキはその二人を見て微笑みながらもう本当に亡くなってしまった葵の父親、桜間剛に語りかける。
「(桜間さん……貴方の息子さんに春が来ましたよ。貴方なら騒いではしゃいで祝福すると思いますけど……貴方に見せたかったですね。……もう、葵は大丈夫です。俺も彼を守るから……だから、貴方は息子さんを見守ってて下さい)」
ーーー不知火、ありがとなっ!
「……ふふっ」
本当に嬉しそうな、感動したかつての相棒の声が聴こえた様な気がした。
シキは本当に親バカなんだな、と思いながら赤面している葵とその葵を愛おしい様に手を繋いだクリムの姿を祝福するかの様に見るのであった。
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