春が来ましたッ!?
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
『葵、シリルに起こされ!』
『シキはエルフに!』
『箱庭へ!?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「うわぁ……」
[箱庭]の中は僕が想像を絶する場所だった。
緑が広がる大地に、澄み渡る蒼い空。
その大地には草食系の動物達が駆け回ったり、日向ごっこをしたり、草を食べていたりしていた。蒼い空には鳥達が群れを成して生き生きと羽ばたいている。
大地に広がる草原には川や泉があり、そこで休憩している動物達もいる。よく見れば川や泉には鮎の様な鮮やかできらびやかな魚が泳いでいた。
争いもなく、只ゆったりとした空間で平和を思い描くならこの様な世界を想像するだろうか。
そしてこの[箱庭]の中心であろうところには他の木々よりも遥かに太く大きな木が聳え立っていた。その大樹の麓近くには幾つかの建物の様な物が見える。恐らく木製の建物だろう。
暫くその[箱庭]の世界に感嘆しているとこちらに誰かが走ってきた。その誰かはわからないがそれほど速く走っている訳ではない。人数は二人だろうか?しかも多分子供だと思う。
するとその二人の内の一人が叫んだ。
「とーさま~っ!」
「アイリスっ!」
その子供は5歳位の少女でぱっちりとした翡翠の目に蒼色の髪は長く後で結われている。よく見ればその結っている髪紐はシキさんと同じものだ。白のワンピースを着ているがそこから見える首と二の腕、太股には龍の蒼色の鱗があった。よく見ればあの『海之神』のイアに似ている。しかも、その子はシキさんをとーさま、つまりお父さんと言っているのだ。
そのアイリスと呼ばれた子はシキさんに勢いよく飛び付いていく。それをシキさんは両手で抱き締める様に受け止めると愛しそうに暫くの間包容していた。
シキさんにこんなに可愛い娘さんがいたなんて……。
シキさんとシキさんの娘さんのアイリスが包容している中、もう一人の人物が何処かうずうずしながら近くにいたのだ。
その人物はアイリスちゃんと同じくらいの歳の子で、白い着物を着た狐耳に九つの尻尾のある少女だ。白い着物と同じく白い髪に聖なる力を感じさせる黄色い目であった。
シキさんはアイリスちゃんを抱き締めながらその九尾の少女の事に気が付くとその少女に向けて片手で迎える様にする。そして頬笑みながらその九尾の少女に優しく声を掛けた。
「マシロ、おいで」
「なの~っ!」
その九尾の少女、マシロちゃんはアイリスちゃん同様にシキさんに抱きついた。シキさんから見て右にはアイリスちゃんが。左にはマシロちゃんを抱き締めながら幸せそうにしている。
アイリスちゃん、マシロちゃんの二人は将来美人になるだろうなぁ、と思いながら見ていたけど……やっぱりシキさんは何処からどう見ても女性にしか見えないから2児の若い母親に見えてしまう。
シキさんはちゃんと男だったとわかっていてもそう見えちゃうんだよね……。
「とーさま、とーさま。この人は?」
「だれなの~?」
「あぁ、この人は葵だ」
「桜間葵です。宜しく御願いします」
僕はアイリスちゃんとマシロちゃんに挨拶をする。
アイリスちゃんはまだ幼いながらもしっかりものの様だ。一方のマシロちゃんはのほほーんとしたほんわかな性格みたい。二人共お父さんであるシキさんが好きなのかシキさんの服の袖を掴んでいた。
「アイリスです!」
「マシロなの~」
少し他人である僕に警戒はしているものの、二人はしっかりと自分の名前を言う。何とか挨拶を返してくれたのでホッとしているとシキさんは二人を頬ずりしながは褒めていた。
「二人共、よくできましたー」
「えへへー♪」
「なの~♪」
意外とシキさんは子供には甘い様だ。でも、何でも甘い訳ではなく怒る時は怒り、褒める時は褒めているのだろうと感じる。そうでなければこれほどしっかりと他人に話す事は出来ないと思うからだ。
「御主人、とりあえず奥様方の所へ行きましょう」
「そうだな」
あのまま暫く褒めるのに長くなりそうだったが、シリルはシキさんに移動する事を提案する。それに同意したシキさんはシキさんの奥様方の場所に向かう事になった。
奥様方っていうことは、やっぱり複数いるんだろうね。
ハーレムか……シキさんなら幸せにしそうだなぁ。
シキさんは右手にアイリスちゃん左手にはマシロちゃんと仲良く手を繋ぎ歩いているのを見ながら僕はそう思うのであった。
~~~~~
暫く歩いているとそこは遠くからはわからなかったが巨大な樹木が聳え立つ場所へと近づいていた。その麓にはやはり木製の家が建っており、その近くには幾つもの植物が実っている畑や綺麗な川から引かれている水が流れている田んぼもある。
そこで一人の女性が何やら畑の植物を見ていたのだが、シキさんの姿を見た瞬間その作業を中断してこちらに向かってきた。
「おーっ!帰ってきたのか、シキッ!」
「リゼット、帰ってきたよ」
リゼットと呼ばれた女性は僕やシキさんと殆ど歳が同じくらいの少女だ。だが、何処か男らしい雰囲気もあり黒青い髪に金色の目は更にそれを引き立たせていた。美形ではあるが、どっちかというとイケメンな感じだ。
「んあ?誰だそいつ」
「彼は……」
先程同様にシキさんに僕の紹介に加え簡単なこれまでの経緯とシキさんの従者になった事を説明して貰った後に僕自身から改めて自己紹介をする。
「へぇー、シキと同じ出身か。まあ色々あったみたいだが……まあその、なんだ。強く生きろよ」
「は、はい!」
「リゼット、他の皆は?」
「全員家にいる筈だぜ。これから朝食の用意するけど、食べるよな?」
「あぁ、頼むよ」
という訳で近くの木製の家へと招待される事に気が付くとなった。
その木製の家、シキさんの家は木構造であり二階建てだ。加えて縦横の高さと広さがあるので中々の迫力がある。だが、よく見れば自然と調和している様で他の動物達からは悪い影響の無いだろう。庭はもうこの外から全てと思っても間違いではないだろうか。
そうこうしている内に家に上がらせてもらうとやはり日本人なのか玄関前で靴を脱ぐ場所が設けられていた。
中はやはり広くて軽くパーティーでも出来る様なリビングが広がっていた。シキさんによれば一階はリビングとキッチン、御風呂に食物庫があるということだ。食物庫は一部屋サイズの冷蔵庫だと思ってくれたらいいだろうか。その中にはモンスターの肉や畑で収穫した野菜等が保管しているということだ。加えてその食物庫の中に冷凍庫もあるらしい。だが、それでも部屋は数個空いているみたい。二階はシキさん達の寝室になっているが、一階同様に部屋が何個か空いている状況だ。
その話を聞いているとパンの良い香りに気付くと、キッチンから二人の女性が現れた。
一人は僕と同じくらいの身長で金髪のショートカットに耳が少し尖っている美少女。
もう一人は小学生位の褐色の肌にチョコレートの様な髪を持つ女の子だ。
「あっ、シキさん帰ってたんですねっ」
「丁度朝食の準備を始めていた所……ん?シキ殿、彼は?」
二人は金髪のショートカットの美少女はアルトレアさん、小学生位の褐色肌の女の子はスミリアさんと言うらしい。
この時初めての知ったのだが、いや薄々感じてはいたがこのリゼットさんとアルトレアさん、スミリアさんはシキさんの奥さんだと言うことだった。
簡単に自己紹介とシキさんの従者になった事を説明した後、二階から新たに二人の人物が降りてきた。
「やはり帰っていた様だな、余の弟よっ!」
シキさんを弟と呼ぶその人物は真紅の髪でツインテールをした中学生位の美少女であったが、何処か見た目より遥かに長い年月を生きてきた貫禄を感じる。ドレスの様なものを着ている為か客観的に傲慢さを多少感じてしまうがそれは丁度いいようにも思う。
そしてもう一人はスレンダーな真紅の髪と目の美女だった。正直、女性としてかなり魅了的に感じてしまい一瞬見惚れてしまっていた。
「……い、葵?」
「は、はいっ、御主人様!」
「どうしたんだ、ボーッとして」
「すっ、すみません……」
「いいさ。いきなりこんな所に来たら混乱するからね。二人はラヴィとクリムだ。ラヴィは俺の姉の様な存在だ。クリムは……ってクリム?」
クリムと呼ばれた女性はシキさんの呼び掛けが聞こえていないのか僕を見ていた。……美女に見てもらえるのは嬉しいけど……恥ずかしいっ。でも、ここで目を反らせば失礼だと思いそのクリムさんの目線を受け止めていた。
「……ぬ?……なるほど、そういうことか」
するとクリムさんの横にいたラヴィさんが何か気付いたのかニヤニヤしながら僕とクリムさんを交互に見ている。えっ、何が?何かやっちゃった?
そんな見に覚えの無い不安を抱いていると、いきなりクリムさんが僕の両手を掴んでこう言ったのだ。
「我と友達になってはくれぬか?」
「へっ!?……あ、はい。喜んで……」
これがクリムさんとの運命的な出逢いになったのだった。
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まだ、のんびりすると思います




