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水浴び

前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!


『メデューサについて』


『着替えようっ!』


迷宮(ダンジョン)、踏破っ!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



「ふぅ、やっと出れたな~」



只今シキ達はやっと『迷宮(ダンジョン)』から出て久々の外の空気を味わってきた。


時間は木々が静まり返る闇夜の空にきらびやかに星が輝く頃だ。もうどれくらい『迷宮(ダンジョン)』に潜っていたか忘れてしまいそうだが、恐らく一ヶ月以上は経っているだろう。


迷宮(ダンジョン)』を踏破し、脱出するとそこはイーリスト王国から遥か離れた森林が生い茂る場所であった。



「あっ」



葵はふと夜空を見ると今まで気にしていなかった空の景色に心を奪われる様に、それてその美しさに感動を覚えていた。少し眺めていると自分の目から涙が流れている事に気づくと袖で涙を拭っていた。


しかし、そんな中シキは自身の身体が気になるのか少し嫌そうな表情をしていた。非常に気になっている時にふとこの森林の近くに水の気配を感じ取る。だが、シキにとっての近いは一般人からしてみれば途方に感じる距離だろう。


葵とシリルを見るとやはり、あの泥人形との戦闘に加え神という圧倒的な存在の前で無意識に耐え抜いていたのか疲労が見られる。特にシリルの表情はあまり優れていない。というより、眠そうなのだ。


一方、葵は魔力切れを起こしていたが暫くしたからか大分落ち着いている様なので心配は無いだろう。


だが、葵も成長したとはいえここから水のある場所まで足で向かうのは何かと負担が掛かる。


そう思ったシキは久しぶりの外の景色に注目している二人の後で[空間庫]からある物を出したのだ。


その物とは、ある乗り物である。


超大型の自動二輪車だ。


だが、地球にある様な超大型自動二輪車ではなく移動や戦闘にも優れている。使い方によっては地球では兵器として感じるだろう。


その兵器と感じてしまう理由は、外装だけでは単なる黒の超大型自動二輪車。しかし、アクセルの近くには長銃・長刀・長剣が二本ずつ車体に納められているのだ。


超大型自動二輪車の登場にシリルと葵は絶句しながらも、ゆっくりも車体からシキへと顔を向かせていた。いきなりこんな自動二輪車を出せばそんな反応になるのは間違ってはいないだろう。



「まっ、御主人(マスター)っ!?何ですか、それっ」


「これって……大型のバイク、ですか?一体何処から……」



シリルは最初は驚いていたものの、見たこともない超大型自動二輪車に興味津々の様だ。その証拠に猫耳と尻尾がしっかりと反応している。一方の葵はそんな大きな乗り物を何処から出したのかと思っていただろう。シキには『アイテムボックス』みたいな力

を持っていると思っていたのだ。しかし、その超大型自動二輪車が易々と出し入れ出来るほど『アイテムボックス』は有能ではない。



「これは『魔導式・超大型自動二輪車』だ。地球ではあまり使う事は無かったけど、今日だけ特別にこれで移動しようと思ってね」



『魔導式・超大型自動二輪』。


それは魔力を動力源として動かしている魔法の乗り物である。操作方法は地球にもある自動二輪車と同じだ。これは操縦者が魔力を流す事によって動かす事が可能だ。しかし、操縦者のそのままの魔力では動力源にはならない為、内部にある特殊な魔具によって操縦者の魔力を動力源に変換される様になっている。加えて素材も充実しており、大抵の魔法や物理的な攻撃にも傷一つつかないものだ。


因みにそれを開発したのはとある超発明好きなあの幼女である。



だが、この自動二輪車は超大型のわりには運転手含めて二人までしか乗車出来ない。なのでシキはある考えを思い付いた。



「シリル、[獣化]してくれないか?」


「は、はい。わかったよ」



そうシリルは[獣化]を発動すると白い小猫へと変身する。何故この姿にならなければならないのか理解していないシリルは小猫の姿で顔を傾げていた。


シキは黒のローブを脱いだ後、白い小猫の姿になったシリルの元へとしゃがむ。横にいた葵は何をするのだろうかと見ていた。


すると、シキは小猫のシリルに言う。



「抱っこしてもいいか?」


「……にゃ?にゃ、にゃにゃ」



小猫のシリルはとりあえず同意するとシキは両手で優しくシリルの身体を持ち上げる。



「にゃにゃっ!?」


「シリル。今から移動するんだけど、到着するまで服の中に入ってて」


「にゃっ、にゃにゃぁっ!?(えっ、御主人(マスター)っ!?)」



シリルが猫語で何か言っているが、シキは問答無用に自身のジャケットの中に入れてしまう。


服の中に入れられたシリルはシキの首元からひょっこり顔を出す。だが、やはり何故服に入れられたかわからないシリル。だが意外にもシキの服の中は居心地が良い様だ。出たくても出られない冬によくあるコタツから出たくない現象に似た事になっていた。


そんな様子を見たシキは可愛いなぁ、と思いながらも[空間庫]から黒のヘルメットを二つ取り出す。その内の一つを葵に渡した。



「さっ、これを被って」


「はっ、はい!」



とりあえず、シキの指示に従う葵は渡されたヘルメットを被る。ヘルメットは被るだけでいいので手間は掛からなかった。


シキもヘルメットを頭に装着すると超大型自動二輪車へと跨がる。そして葵も続けて後ろへと跨がろうとするが、背が低い為か中々出来ない。それを見たシキは片手で葵の手を取り、乗れるように引き上げた。



「じゃっ、しっかり腰に捕まって。シリルはあまり顔を外に出し過ぎないで」


「はいっ!」


「にゃっ!」



そしてシキはスロットルを捻ると、超大型自動二輪車から放たれる光に照らされた人工的な道に沿っりながら泉に向かって走り出したのであった。


勿論、安全運転でだ。



~~~~~




約30分後、シキ達は無事に目的の泉へと到着していた。


夜の運転はこの静まり返った場所では超大型自動二輪車のエンジン音やらが五月蝿いと思われただろうが、運転中のシキはその事を考えて[音魔法]で消してきた。


超大型自動二輪車を停め、ヘルメットを脱ぎ、葵を下ろしジャケットからシリルを出す。そして一旦、役目を逐えた超大型自動二輪車を[空間庫]へと収納すると泉の前まで近づいていく。


泉は非常に綺麗で、中まで透き通る程に澄み渡っている。今は夜ではあるが、月や星の光だけでも十分にその綺麗さは物語っていた。加えてここはかなり秘境であるのか何処か神秘的な場所にも感じている。モンスター等の反応は全くないことからここは神聖な場所なのかもしれない。


するとシキのジャケットの中が名残惜しい様ではあったが[獣化]から元の姿に戻ったシリルは辺りを見渡しながら訪ねる。



御主人(マスター)、ここで野宿するの?」


「そうだな。今日一泊はここで野宿をしよう。その前に……俺はここで身体を清めるよ。二人もどうだい?」



そう言いながらシキは服を脱ごうとしていく。


シリルと葵は一瞬止めようかと思ったが、良く考えたら同性なので止める必要はない。


二人は互いに顔を見合わせると少し恥ずかしそうにしながらもシキと共に泉に入って身体を清める事にした。


まず最初に服を脱いだシキが泉の中へとゆっくりと足から浸かっていく。腰まで浸かると気持ち良さそうに狐耳と尻尾が現れると嬉しそうに動いていた。


しかし、その姿のシキはやはり何処からどう見ても美少女が水浴びをしているしか見えない。


一部を除いて、だが。


揺っていた髪を下ろしている為余計に少女らしさが際立っていた。下ろした髪は腰より下まで伸びているのでその髪を優しく洗っている姿はまさしく水の妖精、と例えるのが相応しい。


そんな姿を二人は同性でありながらも見惚れてしまっていた。



「ん?どうしたんだ。もしかして何か付いてる?」



見惚れていた二人をシキは身体に何かが付いているから自分を見ているだと勘違いして、身体をあちこちを見渡していく。その見渡す時に胸やら腰やら等の部位がはっきりと見えてしまう。



「なっ、何にも付いてないですっ!」


「ま、御主人(マスター)っ。えっと、その……か、隠して……」



二人は顔を真っ赤にしながらもそれ以上無防備な姿を見せない様に言うのだが、それを聞いたシキは珍しく膨れっ面な表情になってしまう。


シキは胸の前で腕を組むと少し怒った口調で二人に言う。



「何だい、二人とも。俺は男だぞ。同じ男同士なら身体を隠す必要は無いじゃないかっ」



膨れっ面な表情もこれはこれで愛らしくも思えるのだが、シキ自身からしてみれば間違ってはいないだろう。しかし、客観的に見てみれば一部を除いて、美少女な彼がそんなに無防備な姿を見せるのはあまり良くないと思うだろう。


だが、客観的な事実をわかっていないシキは泉の前で突っ立っている二人に中へ入るように言う。



「ほら、二人もっ!」



「シキさんっ!?」


御主人(マスター)っ!?」



二人の前まで近づくと泉に引摺り込んでしまう。


まだ服を脱ぐ途中だったシリルと葵だったが、シキの挑発的な悪戯な表情を見て対抗心を燃やしたのか子供の様に水の掛け合いが始まる。



「えいっ!」


「にゃぁっ!?」


「やったなぁ~っ!」



シキ達はまるで初心に戻った子供の様に無邪気に水の掛け合う。『迷宮(ダンジョン)』での疲れを忘れた様なもので、三人は本当に心の底から楽しむのであった。





泉で遊ぶシキであったが、やはり心の何処かで地球の事が心配であった。『真序列(バックナンバー)』1位、『深淵(アビス)』である自分が居ない事に何か他に異変が起こっていないかが気掛かりだったのだ。


確かに本部長が動いているなら安心しても良いが、シキにとっての心配は『リヴァイアサン』や『ベヒーモス』・『バハムート』等のモンスターだけではない。


地球では『魔法』と呼ばれる力を認知される事は少ない。使用できる者もだ。


だが、居ない訳ではない。


シキの所属する組織だけではなく他に居るのは事実ではあるが、更に達の悪いのが悪意を持っている者達だ。


所謂、テロリストである。


その中でも、特にシキが所属する組織からも危険視されている人物を思い出していた。


地球は、大丈夫だろうか?


シキは妙な胸騒ぎを感じていたが、今は元の世界へと戻る手段が無い。今どうこう考えてもどうすることも出来ないのだ。


出来るのは、只無事を願うのみ。



このシキの予感が的中するかの様に地球ではある事が起ころうとしていた。




ブックマーク登録、評価、感想をいただけると非常に嬉しいです(*≧∀≦*)



質問(キャラクターに対しての)も受け付けています!


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次回は地球の話ですっ!


新たな新キャラが……


シキの所属する組織が、危機にっ!?




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