地球の現状
前回のあらすじぃぃぃぃぃい!!!
『女神クーディアとの戦闘終了!』
『女神メデューサと神ペガシス!』
『神ペガシスは……変態さんで、あった……』
のどんっ!
「はぁぁぁ~~~♥姫ちゃんちっちゃくて可愛い~~!!!」
イアは膝の上に乗せたシキを後ろから抱き締め、頬をスリスリさせながら悶絶していた。因みにシキの分身達は既に解除をしている。
今のシキは『魔人族』から元の姿に戻っている。膝の上にシキを乗せたのは殆ど強制的なものだが、先程まで泣いていたのでされるがままになっていた。しかし、この状況は周りの目もあるのでこの包容から逃れようとイアに話す。
「……イアさん、そろそろ止めて、いや止めろ」
「え~~~。もっともふもふしたいんだけど~~~」
そんな様子を何処か羨ましそうにしていたシリルと葵だったが、二人は先程の戦いに守ってくれたイアに感謝を述べる。
「えっと……イアさん。先程は守ってもらって、ありがとうございました」
「あっ、ありがとうございますっ!」
「あっ、いいのいいの。姫ちゃんの仲間なんでしょ?なら、一応守るし」
そう言いながらシキを愛でていると、その場にいた女神メデューサがシキに話しかけてきた。
「不知火、その女子は……?」
「えっと、彼女は……」
「は~いっ、『海之神』のイアで~すっ!今は『海之神』の力の無い分身体だけどよろしくぅ~!」
「『海之神』、だと?不知火、これはどういうことだっ!?」
珍しくも女神メデューサは取り乱しながらシキに問われ、『海之神』との経緯を簡単に説明する。所々質問される所は簡潔に答えた。
シキと『海之神』との話を横から聴いていた葵は最も驚いていただろう。まさか、『リヴァイアサン』と戦いを繰り広げていた事に。
加えてシキは『禁忌之命金剛石』やあの『泥人形』については只簡単に現れた、存在していた、と話す。
それを聞いていた女神メデューサと神ペガシスは少し難しそうな表情をしていたが、別段悩んだ様子も無くシキに今の地球の現状を口頭で説明する。
「不知火よ。地球は今、少し厄介な事になっているぞ」
「……俺達が召喚、いや行方不明になった事ですか?」
今、地球が何が起こっているかと言うならば予想からしてシキ達がこの世界に召喚された。地球からしてみれば行方不明になった事だろうと思っていた。シキの高校だけでなく葵の高校でも多数召喚されたのだ。事件にならない筈がないだろう。
「それも、ある。だが、それだけではないぞ」
「それだけじゃない……?何が、あったんですか」
女神メデューサはシキの予想だけでなく他の事にも何が起こった事に動揺が隠せなかった。それは葵も同じ。まさか、行方不明になっている自分達の事だけでなく他にも重大な何かが起こったのだ。
「実はな、お前達が行方不明になっている間に大きな問題が起こったのだ。それは、地球の『リヴァイアサン』が突如出現し全ての海を巻き込み、そして我を忘れて暴れていたのだ」
「なっ!?」
「ち、地球はっ!?地球は大丈夫なんですかっ」
地球の『リヴァイアサン』が暴れていた。
その事にシキと葵は驚愕してしまう。葵自身、『リヴァイアサン』がどの様な力を持っているのか等は認知してはいない。だが、あの旧約聖書にも書かれている記述通りであれば地球の国や人々が危ないのはわかっている。
シキ自身も『海之神』のイアと戦った事もあり、その脅威は理解している。もし、それが大規模に暴れてしまえばと思うとゾッとしてしまう。
「加えて、だ。『リヴァイアサン』だけでなく『ベヒーモス』、『バハムート』も何処からともなく出現し、同様に暴れまわっている」
「「っ!?」」
「だが、安心しろ。『リヴァイアサン』を始め『ベヒーモス』、『バハムート』の三体は不知火が所属する組織の上層部共が何とか抑えたさ。だが、序列と……真序列か?不知火が抜けただけでかなりの戦力の減少が見られるな。それほど序列・真序列がお前を頼っていたかわかるな。」
シキが所属する組織、WAO。
そこには序列・真序列と呼ばれる実力者がいる。
序列はNo1からNo.24、真序列はNo1からNo20まで存在している。何故、この様に分かれているのかは理由がある。
それは序列と真序列の実力差があまりにも開きすぎているのだ。序列No1と真序列No20が戦えば一瞬にして序列No1が負けてしまう程の実力差。
だが、その絶大なる力を持つ真序列の中でも更に飛び抜いて実力のあるのが真序列No1である『深淵』、不知火姫希だ。
過去に真序列No1の不知火姫希と真序列No2からNo20を全て相手にして瞬殺してしまう程の超越的なものだ。
余談であるが真序列については序列達には知られていない。序列の中には自分達が組織の最高戦力だと勘違いしている馬鹿もいるだろう。
「序列と真序列は、無事ですか?」
「あぁ、殆ど動きを止める役割りしかやっていないからな。殆ど戦果をあげたのは各国の本部長達らしいぞ」
「そうですか……」
各国の本部長達の実力も折り紙つきだ。シキより劣ってはいるが真序列No2よりかは強く、実力もある。彼等が直接動いた事に多少驚いていたが本部長達なら確かに何とかなると思っている。
「だが、被害は大きく出ているらしいぞ。『リヴァイアサン』・『ベヒーモス』・『バハムート』だけではなくその眷属である『海大蛇』、『地大猪』、『飛大竜』も現れ、その対処が大変らしい。WAOの対処が良かったのかはわからないが被害が更に大きくなる前に収拾できているのではないか?」
「そんな事が……」
シキは彼等が何とかやってくれていると信じながらも落ち着きを取り戻していた。一方の葵はそんな事が、まるで自然災害の様に起こっていた事に驚きながらも今は収拾がついている事に安心している。
女神メデューサは『海之神』であるイアに目を向けると何故目覚めたのか理由を訪ねようとした。
「貴女も、『リヴァイアサン』なのだろう?何故、あの時に目覚めたのだ?そして、地球の『リヴァイアサン』とも関わりがあるのか?」
「ん~~~っ。私も何で起きちゃったのかわからないし。……でも、アイリスに危険が起きる前には起きてたかな~?その時は起こされてイライラしてたし……でも、あれは自分でもよくわからないし~。あっ、でも他の世界にいる『リヴァイアサン』に何か起こったから『リヴァイアサン』も起きたかもしれないねー?」
イアの予想は当たっている。
イア、『海之神』という存在は世界に唯一の存在だ。それは『陸之神』や『空之神』も同様。
彼等三体が目覚める事は滅多に無いのだが、何処かの世界で目覚めれば他の世界に存在する彼等にも連動する様に目覚めてしまう。
今回の件では、イアが目覚めた理由はこの世界が原因では無い。恐らく、地球で起こった事が他の世界にも連動して起こってしまったという可能性もある。
「女神メデューサ様、『あっち』の世界でも起こっているのですか?」
「ああ。貴様の想像通りだ。『あちら』の世界でも同様にあの三体が暴れていたぞ。しかし心配する必要も無い。地球よりも速く終わっていたからな。」
その事にシキはホッと一息をつく。
そんな時に女神メデューサはある事を思い出したのかシキに問い掛けた。
「不知火、お前女がいるそうだな。しかも、数人、か?」
「……えぇ」
少し照れながらもシキを見て、ほんわかしてしまいそうになるのだが女神メデューサは何処か安心したかの様に若干だが頬笑む。そして冗談混じりにあるどうでもよい事実を伝える。
「それは良いことを聞いたな。だが、あれだな。不知火姫希を狙っていた女神が多数いたのだ。それを聞いたら暫くはショックを受けるのではないか?」
「そんな、またまた~」
「……(気付いていないのか。いや、あの女神達の『魅了』に全く魚籠ともしない奴だ。あれだけ回りくどいアプローチは気付かぬだろうよ。……はぁ、本当に我が主、戦女神様に似ている……)」
「……え?冗談、でしょ?」
その女神メデューサの痛い沈黙に、それは冗談ではなく事実だと悟るしか無かった。シキはまさか女神達に好かれているとは思わなかったのだろう。だが、やはり恋愛感情に女神達にはどうしても見られない。それに、今のシキには愛しい妻達と娘がいるのだ。その愛は決して揺るがる事はない。
もし、その愛を邪魔立てする者がいるのであれば相手が神であろうと何だろうとシキは屈する事はない。
それを感じ取ったのか女神メデューサはこれ以上この事を話す必要は無いと感じ、地面に轟沈していた神ペガシスの首根っこを掴む。
「まあ、伝えるべき事は伝えたぞ。不知火、元の世界へと戻る算段はついているのか?」
「そうですね……。とりあえず、この世界の探索ですかね。色々と調べないといけませんからね。」
「そうか。済まないな。私達神がこうしての対話は良いのだが、直接何かをするのはこの世界では出来ない。恐らくこの世界の神々も力になってくれるかは怪しいぞ。加えて貴様はあのクーディアという女神に目をつけられた。まあ、貴様なら大丈夫だとは思うが……気をつけるのだぞ」
そう言うと女神メデューサは時間なのか首根っこを掴んだ神ペガシスを引摺って再び何の変哲も無い空間が歪むとそこへゆっくりと歩んでいく。そしてその歪みの手前にシキ達にお別れを告げる。
「ではな、不知火。そしてこの世界の『リヴァイアサン』とその従者よッ!」
「ブヒュヒュゥゥ……。まだ……まだ、鞭を……」
「はぁ……息子の事は気にするな……」
そう失神しながらも神ペガシスはシキに鞭を叩いて貰おうとしているが、残念ながら女神メデューサによって問答無用で歪みの空間へと入り、帰っていったのだった。
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