女神メデューサ
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『シキVSマーリン!』
『輝波王聖剣っ!?』
『アーサー王は生きているっ!?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「終わり、ですって?」
女神クーディアは女神メデューサの発言に眉を潜ませていた。その表情から彼女はその事に不満があるようだ。
そんな表情を女神メデューサは視認しながらも続ける。
「そうだ。色々と事情はあるかもしれんが、これ以上の戦いは私が許さん。わかったな?不知火姫希、この世界の女神よ」
「ふざけないで貰えるかしら?そもそも、貴女達がそんな事を言える立場ではないと思うのだけど?」
「確かにそうだな。だが、不知火姫希をどうこうするのであれば話は別だ。彼は私達にとっても重要な人物なのでな。……もし、これ以上の戦い続けたら……貴様自身も薄々わかっているのではないか?」
「……」
女神メデューサの言葉に女神クーディアは少し落ち着いた様に軽い溜め息を着いた。だが、シキを自身の物にしようとする考えは変わらない。
だが、これ以上の戦いを続けるとどうなるかも女神メデューサの言う通り気付いていた。
加えて、ここで女神メデューサがシキに加勢するとなれば明らかに不利になってしまう。
「……ふぅ、わかったわ。これ以上の戦いは止める。マーリン、アイアス、ブリュンヒルデ、酒呑童子。下がりなさい」
女神クーディアの指示に少し驚いたマーリン達だったが、誰一人異論はせずに後ろへと下がる。
それを見たシキも神剣に宿った力を解除した。だが、[空間庫]には仕舞う事はせずき万が一の為に携えている。
両者が剣を納めるのを確認した女神メデューサは女神クーディアに確認する。
「確か、女神クーディアと言ったな。貴様は不知火姫希の女を殺すと言ったが……それは本意か?」
「いいぇ?只、私はシキの本気を見たかったの。だから挑発するためにね?でも、素晴らしいわぁ。あんな激しくなるなんて……」
「随分、不知火姫希に御執心なのだな」
女神メデューサは呆れた表情をしながらシキを見ていた。何故それほどシキを求めるのかと言う表情なのかもしれないし、それとも女神クーディアの様な女神を知っているから余計に面倒だと思っているのかもしれない。
だが、女神クーディアと他の女神達と違う事が大きく一つあった。
それは、独占欲が非常に大きいということ。
「だって、わかるでしょう?シキは最高の存在。私はシキを愛しているの。そして私の伴侶にしたい。私だけのものにしたいの。だから、他の女に渡す気はないわぁ」
女神クーディアは狂喜に満ちた目でシキを写しながらも美しく、綺麗に微笑んでいた。そんな表情をすれば男達は一瞬にして恋に落ちてしまうだろう。
女神メデューサはシキに哀れんだ目を向けながら言う。
「……何とも、面倒な女神に目を付けられたな」
「助けて下さいよ……」
そんなやり取りをしていると床に轟沈していた馬執事が起き上がり、シキにドアップの馬そのものの顔で挨拶するかの様に話してきた。
馬顔のマスクでもしているのだろう、と思われそうだがそれはリアルな物だ。
「ブヒュヒュヒュヒュヒュヒュッ!!!」
「えっと……」
もう、その馬執事は真剣なのかふざけているのか全くわからない。シキもどう接すれば良いかと考えていると、女神メデューサが聴こえる声で囁いた。
「あぁ、この馬鹿息子を殴って良いぞ。私が許す」
「ブヒュヒュヒュヒュっ!?ちょっ、待って下されっ!母よっ」
「「「ッ!?」」」
馬執事がやっと喋ったのだが、その時に驚いたのは女神メデューサと女神クーディア、シキ以外の人物達だ。
別に人型であれば話しても変ではないだろうが、驚いたのはそこではなかった。
その馬執事の声が意外にもイケメンな良い声の持ち主だったからだ。
女神クーディアは興味無さそうにその馬執事の正体に理解する。
「へぇ……貴方も神なのね?」
「如何にもです。ワタクシの名はペガシス。そこにいる女神メデューサの息子でございます」
女神メデューサの息子、神ペガシス。
神話や伝説等を知るものであればわかるだろうか。
かつて、女神メデューサが人間だった頃に戦女神の怒りを買ってしまい、よく御存知の髪が蛇にといった醜い姿に変えられてしまった。その後に首を斬られ、その切り口から生まれたとされている天馬である。
神ペガシスの自己紹介が終わると女神メデューサは何か思い付いたのか女神クーディアに声を掛けた。
「そうだ……女神クーディアよ。よかったら我が馬鹿息子を貰ってくれるか?おい、馬鹿息子。その馬のまんまの顔ではなく本来の顔を見せよ」
「むっ、ワタクシは別にーーー」
「さっさと見せんかっ!」
「むむぅ、仕方がありませぬな」
そう神ペガシスは渋々と自身の顔に片手を触れると一瞬にして馬の顔が変わってしまう。
神ペガシスのもう一つの顔は白い髪と馬耳で、少しほんわかとした顔付きの温厚系美男子であった。
まさか、その顔で「ブヒュヒュヒュヒュ!」等と叫んでいるとは到底思えない程の容姿だ。しかし、その容姿を見ても女神クーディアは興味無さそうにしている。もう、既に女神クーディアの心にはシキにしか興味が無いのだろう。
それを見た女神メデューサは何となく悟り、自身の息子である神ペガシスに静かに肩を置いく。
何か言うのかと思いきやそのまま先程のやり取りが無かったかの様に女神クーディアは一つ溜め息を着くと、その後方の空間が亀裂が走る。
そしてその亀裂から広がるとそこから普通の人の身では崩壊を免れないだろう異質で、そして淡い光がはみ出していた。
「またね、シキ。次は必ず私の虜にさせてあげる……絶対に、ね?」
女神クーディアは恋人の別れの様になった言うのだが、シキはそれを拒絶するように答える。
「正直、もう見たくも会いたくもないんだけど」
そう言うシキに女神クーディアは唯唯微笑んだ表情でその空間の亀裂の中へと入っていく。それに続く様にマーリン、酒呑童子、ブリュンヒルデ、アイアスが入っていく。
彼等が入った後、その亀裂は強い光を一瞬輝くと、その場は元通りとなっていた。
シキは疲れた様に溜め息を着いていると、シリルと葵、遅れてイアが駆け寄る様にやってくる。シリルと葵はもう、シキが大丈夫かどうか気が気でならなかったのか疲労があったにも関わらずいち早く近寄った。
「御主人、大丈夫っ!?」
「シキさん、大丈夫ですかっ!?」
「ああ。二人は大丈夫か?」
シリルと葵に迫る様に心身の状態を確認してくるのだが、その迫力に少し気圧されてしまうシキ。心身に異常がないとわかるとシリルは大粒の涙を溢しながらシキに謝罪をしてきた。
「申し訳ありません……おれ、なにも、出来なくて……見ているしか出来なかった……」
嗚咽も混じりながらもシリルは顔を俯かせていた。シキはシュンッと下がっていたシリルの猫耳事、頭をわしゃわしゃと撫でる。いきなり撫でられた事に驚いたシリルだったが、シキの撫でる手が心地好いのか拒絶することはない。
シキはシリルも葵も責める事は無い、いや責める理由が無かった。
相手は神、女神なのだ。
神相手にどうこうしろ、とは言えないだろう。
シキは超人ではあるが、自分の目線だけで判断はしていない。
加えてマーリンや酒呑童子、ブリュンヒルデ、アイアス……。
あれ程の実力者に相手をすれば、命を落とす確率は高いのだ。
見ていること、を選択したシリルと葵の判断は正しいと思っている。
すると女神メデューサはシリルだけでなく、シリル同様に思い悔しそうな表情をしていた葵も含めて話しかける。
「馬鹿だろ、貴様等。不知火姫希なら話は別だが貴様等二人では神の相手になる筈もない。どれ程実力があろうと、どれ程の才能があろうと、どれ程の知識があろうと、私達神には勝てない。身の程を弁えろ」
「っ!?、女神メデューサっ!!!」
あまりの発言にシキは女神メデューサに反論しようとするが、先程まで無視され、放置された事によって空気になっていた神ペガシスがそれを制した。
女神メデューサの言葉にシリルと葵は更に落ち込んでしまうが、女神メデューサは続ける。
「だが……貴様等二人が強くなりたいと言うのであれば諦めるな」
「「ーーーえっ?」」
シリルと葵は意外な女神メデューサの言葉に驚きを隠せなかった。
それはそうだろう。
先程まで無理だ、と罵倒の様に言っていた女神メデューサが諦めるなと言うのだ。
正直、どっちだ、と思うだろう。
「そこにいる不知火姫希は、かつて実力も、才能も、知識も凡人以下だった者だ。まさしく、無能の最弱と言うのが正しいだろうな。しかし、こいつは最高の実力を持つ者、天賦の才を持つ者、万能の知識を保有する者達を、いつの間にか遥か遠く、最果ての更に先にある未知へと到達していたのだ」
女神メデューサの事実に二人はシキを思わず見てしまう。シキは過去の自分がどの様な人物だったのかよく理解しているからこそ苦笑いするしかなかった。
「不知火姫希はまず、諦めなかった。そして様々な経験をした。血反吐等が当たり前、といった環境でも耐えて見せた。最後には極致に辿り着いた。だが、貴様等二人が不知火姫希みたいになる必要は無い。貴様等二人が貴様等二人らしく強くなればいいのだ。一人で戦えないのが、愚かだと思うな。一人でしか戦えない、つまらない人にはなるな。一人でも、多数でも、自分を生かせれる力を付けろ。それが出来たら他の事をやっていけばいい。当たり前な事を言っていると思うだろう。だが、その当たり前が様々な事に対しての基礎基本となるのだからな」
女神メデューサの言うことは正しいかもしれない。
力、とは人それぞれなのだ。誰もが憧れる・尊敬する者と同じ力を持ちたいと思うのは必然である。もし、同じ力を得られればそれは理想的にはいいだろう。
誰もがそれを実現するのは難しいのは確かだ。
しかし、忘れてはならない。
人はそれぞれ、違うということを。
十人十色、という表現は最も例えやすいだろう。同じ色の様に見えて、若干薄かったり濃かったりと人の色はバラバラだ。完全な同じ色は無い。それは色だけではなく、人の形としてもだ。
なら、その色を最大限に活かすのも自身を強くなる手段になるだろう。
女神メデューサの言葉にシリルと葵は最初は呆けていたが、徐々に自分という存在に自身を取り戻していく。
確かに、この二人は今の段階では神からして弱いだろう。しかし、女神メデューサは知っている。
神にも届きうる存在が、実在した様に。
それを横で聴いていたシキに神ペガシスは少しからかう様に女神メデューサに聴こえない様に言う。
「心配せずともよかったでしょう?ま、あの母が只相手を傷付ける事など有り得ぬ。ま、最近の流行りで言うなら『つんでれ』というものでございますな」
「そう、ですね」
「おい貴様等、何こそこそやっておるかっ!」
シキと神ペガシスがこそこそしているのを見ていた女神メデューサは少し苛つきながらも、今のシキの姿を見て疑問を投げ掛けた。
「……不知火、貴様は何時から女装するようになったのだ?」
「ほほぅ?まさか、女装に目覚められたのですかなっ!であればっ!今すぐに四つん這えになったワタクシに乗り、そしてこの鞭で叩いて下されェェェェェェえ!!!ブヒュヒュヒュヒュ!!!」
神ペガシスは固まってしまったシキに何処から持ってきたのか馬用の鞭を渡すと、顔を馬にし四つん這えになって待ちわびる変態さんの如く叫んでいる。
「ふ……ふぇぇぇ~~~……」
「姫ちゃん、泣き顔マジ可愛いぃ~~~!!!」
「御主人ッ!?!?」「シキさんッ!?!?」
案の定、シキは六華の姿のまま静かに泣き始め、先程まで退屈していたイアは泣いているシキを勢いよく抱き付いた。その事に慌てふためいたシリルと葵は必死にあやそうとするのであった。
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