分身
『fate grand order』やっていますか?
今は次回に向けてのガチャに備えて魔法石を貯蔵中です。
メルトリリス、可愛いですよねーーー(*>д<)
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前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『シキの腹心、六華!』
『≪『幻想・巨宝聖剣』・『幻想・輝炎天剣!?』
』
『何故、そんな武器を生み出せるのでしょうか?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「御主人ッ!!!」
「シキさんッ!!!」
葵とシリルは拘束されたシキを助けようと駆け寄ろうとするが、その前に六華が止めに入る。
「待ってください。あの魔法師は危険です。貴方達は下がってて」
「で、でも、御主人がっ!」
「誰なんですかっ。さっきまで居なかった筈なのに」
シリルは取り乱しながらもシキを助け出そうとその魔法師を睨みつける。相手が格上だとしても、主が危険ならばそんな相手の存在感を無視して斬りかかろうとするだろう。
葵はシキが拘束されている事に酷く驚きながらも先程まで居なかった魔法師を見て警戒をしている。
その魔法師は彼等に自己紹介をした。
「初めまして、私はマーリンっていうんだ。見ての通り魔法師さっ。ま、それなりに天才だと自負しているよ」
「マーリンっ!?」
魔法師、マーリンの自己紹介に驚いたのは葵であった。
「あの『アーサー王伝説』に登場する……アーサー王の助言者……」
「私を知っているのかい?いやぁ、嬉しいねぇ~。それにアーサーも有名となっているのか~」
マーリンは染々と嬉しそうにしているが、葵にとってはそんな生易しい相手ではないのな理解している。相手はあの伝説に登場するアーサー王との関係者だ。加えて異様な程の存在感。それは単なる魔法師の枠を収まらない人物だろう。
「ま、それは置いておいて……。そこのお嬢さん、さっきの魔法は何だい?しかも、さっき生み出した聖剣は……完全とは言えないが、かつての我が王が携えていた最高の一本に極めて近い。まるで、[創造]じゃないか。君は一体、何者だい?そして、何故その聖剣を?」
「御答えする気は毛頭ありません」
「ふむぅ、連れないねぇ……」
マーリンは少しいじけた表情をしながらも、横に拘束されたシキを見下ろす様に見る。
今のシキはただ拘束されているだけではなく、両手の平と両足の太股に釘を打たれる様に長剣が刺さっていた。その刺さっていた部分からおびただしい血が流れている。だが、そんな状況にも関わらずシキは平然な表情をしていた。
「ねっ、彼女の主である君から教えてもらおうかな?」
「……マーリン、だっけか。何故、『生きている』?詳しくはわからないが、愛人に幽閉されて殺されたんじゃないのか?」
マーリンに『生きている』と言った意味は、まだシキの分身達と戦闘を繰り広げている『酒呑童子』・『ブリュンヒルデ』・『アイアス』の様に霊体ではなく、ちゃんとした肉体を持っているからだ。
そして、シキはマーリンが本物だと理解した理由はその実力であった。
女神クーディアがマーリンを出した瞬間、シキはその存在に気付かなかった。その一瞬がシキを床に拘束させたのだ。
「あっはっは!地球じゃぁ、そうなっているんだ。うんっ、まあいいか。……そうだね。確かに私は女好きが祟って、ある女性に幽閉されたさ。けど、死んでいない。と、言うか、私を幽閉した張本人は……ほら、君の前にいるでしょ?」
「……っ!まさかっ」
「そうさっ。私はまんまと騙されたんだよ。あの女性は異様な程に美しく、綺麗だった。ぁぁ……あの時、可笑しいと気付くべきだったんだ。まさか、その女性が女神、だったなんてね」
マーリンは恋した女性によって幽閉されたというのは知っていたが、まさかその女性こそが女神クーディアだった事に一本取られた様な表情をしている。が、その真実にシキだけでなく六華や葵、シリルも酷く驚愕していた。
そしてその女神クーディアはゆっくりと椅子、王座から立ち上がるとゆっくりと床に仰向けで拘束されたシキへと歩んでいく。
目的の元へと到達すると、女神クーディアはシキの上へと馬乗りになる様に跨がるとそのまま妖艶な表情をしながら顔を近づけていく。男なら大変嬉しい状況ではあるかもしれないが、シキに取ってみれば相手が只の強姦魔位にしか考えていない。
「うふふ……。これで誰にも邪魔されないわねぇ、シキ?」
「答えろ、女神クーディア。何故『酒呑童子』、『ブリュンヒルデ』、『アイアス』を眷属にしている?」
「あら?彼等について知らないのね、シキ。『酒呑童子』は人族達のあらぬ誤解によって殺され、そして馬鹿な陰陽師に魂事消されかけた存在。『ブリュンヒルデ』は、あの最高位神オーディンを逆らったのよ?『アイアス』は高位神アテナの神殿を汚した馬鹿な男。『酒呑童子』は私が消えそうな魂を救う為に眷属したの。『ブリュンヒルデ』と『アイアス』を勝手に魂を回収しても神々は気にしないわ。ま、そこまであの神々を怒らせる事をしたんだから仕方が無いわよね」
女神クーディアは何も悪そうな表情を一切せずに、只顔をシキの胸元に埋めていく。そんな行為をする相手にシキは心底嫌そうな表情をしていた。
「(ッ、まるであの『混沌』みたいな執着心だな)」
「少し周りは五月蝿いけど、今から私とシキの愛を育みましょう♥」
「悪いが、それは不可能だ」
「あら?シキ、貴方はもう私から逃れられないわ。さぁ、私と……っ!?」
「クーディアっ、下がるんだ!」
シキが意味深な様に微笑むと、それを瞬時に理解したマーリンは女神クーディアをシキから引き離した。それに驚いた女神クーディアは一瞬マーリンを睨むが、何故引き離したのかをシキを見て理解することとなる。
シキの身体は砂のように消え去ると、残ったのは軍の羽織袴のみ。
だが、その羽織袴にはシキの身体で隠れていて見えなかったがその背中の裏には白い魔方陣が描かれていた。
「あれはっ?」
「なっ、てめ、逃げんなっ!」
「……?」
「なんやねん、一体」
マーリンがその魔方陣を見て眉をひそませるのと同時にそれぞれシキの分身と戦闘をしていた酒呑童子・ブリュンヒルデ・アイアスにも異変が起こった。
シキの分身であるレッド・クロ・ホワイトは戦闘を止め、それぞれ持ち場があるように女神クーディア達を取り囲む様に離れたのだ。
そして現れた魔方陣は大きく広がると、女神クーディア達を囲んでしまう。その魔方陣をシキの分身達はそれぞれ魔方陣の外側に立っていた。
「シキっ?シキは……!?」
「これは……(あれは本体だった筈だ。でも、あの魔力の消え方は紛れもない分身……。いや、待て。あれは本当に本体だったのか?)」
マーリンは透かさず自身の『目』で本体だと思っていた分身の魔力を探る。分身であれば、何処からか操るか指示を出している筈。そうであれば何処からか魔力の流れが微かにでも残っている筈と判断したのだ。
魔力の流れを微かに読取り、その痕跡を辿ると……。
「あははは……。これは、まいったね。まさか……本体はお嬢さんだったのか」
そう、本体だと思っていた分身を操っていたのは葵とシリルの近くにいた六華だったのだ。
そして六華は大きな催しでも終えたかの様に「あ~~~」と疲れきった声を出していた。それを見た葵とシリルはキャラが違う事にギョッと驚いている。
無理も無いだろう。
今日出会ったとはいえ、六華は誠実で礼儀正しく、武士道精神にを持った騎士だ。
そんな彼女のイメージをぶち壊しにする様な行動をすれば驚くのも無理はない。
六華はキリッとした表情ではなく演じきった様に、疲れた様な表情をしながら女神クーディアとマーリンに言う。
「ふぅ。まさか、ここで女装するとは思わなかった。まっ、女神とあのマーリンの目を欺くのには役には立ったなっ」
「えっ……」
「六華、さん?」
「葵、シリル。騙してすまない。シキだよ」
六華、ではなくシキは六華の姿のまま二人に謝罪をする。そんなシキを見て葵とシリルはもう何が何だか分からない状態になっているがそれをシキは一旦無視して女神達に仕掛ける。
「悪いけど、動き封じさせてもらうよっ!」
シキの掛け声と共に分身であるレッド・クロ・ホワイトは懐から一つの護符が取り出される。そしてその護符を魔方陣に向けて放たれると魔方陣は何重にも施錠するように右へ左へと何度か回転していく。
「させないよっ!」
マーリンは結界を張られた事に気付くとその結界を解除、又は破壊すべく魔法を発動する。
加えて酒呑童子・ブリュンヒルデ・アイアスの三人もその結界を張るのを妨害する為にその要であるだろうレッド・クロ・ホワイトへと攻撃を開始する。
ーーーパキィィイン!!!
そして、ものの10秒で結界は硝子の様に音を立てて破壊されてしまう。
結界が破壊されたのと同時にマーリンは神速の如く六華の姿をしたシキの目の前までに1秒程で接近するとそのまま拘束しようと片手を伸ばしてくる。
が、シキはその前にある存在を呼び出していた。
「≪[召喚]っ、海之神≫ッ!!!」
シキとマーリンの間に現れたのは細かい蒼の鱗で生み出した女子高生の服を着用した少女だった。その少女は海を連想させる様なウェーブのある碧色の髪に蒼目。そして爪や制服はギャルの様なものとなっている。
「なっ!?」
その海之神と呼ばれた少女、ギャルは目の前に迫ってきたマーリンの拳を易々と片手で受け止めようとする。しかし、突如現れた少女にマーリンは何やら危険を感じ取ったのか拳を収めて後退していった。
「ちょぉ~~~。良い感じに寝てたのに起こさないでよぉ~~~。マジムカつくんですけどぉーーー」
「いやっ、何時でも呼んで良いってイアさん言ってた……」
「はぁ~~~。まぁ、いっか。にしにても久しぶりだねっ姫ちゃん?」
「姫ちゃんって呼ぶなっ」
「えぇーーー、姫ちゃんでいいじゃんっ!ってか、背ちっちゃくない?可愛いぃーーー!ねっ、撫でて良い?」
「もういいよ……」
「……ねぇ、シキ。何なの、その女は?」
海之神であるイアは六華の姿になっているシキを愛でようとする前に、マーリンの後ろから女神クーディアが微笑んでいた。微笑んではいるものの敵意を剥き出しにしながらこちらへとやってくる。
「は?何……って、へぇ……女神クーディアじゃない。何でこんなところにいるのよっ」
「っ、まさか、海之神って……そういうことね。前に暴れてるって聴いてたけど……シキについているなんて」
「ねぇ姫ちゃん。これ、どういうこと?」
イアと女神クーディアが敵対視する様に火花を散らしている中、シキは何故ここに呼んだのかを説明する。
「はぁっ!?女神クーディア、姫ちゃんを強姦しようとしてたのっ!?」
「人聞きの悪い事言わないでっ!私は、シキと愛を育もうと……」
「駄目だしっ!姫ちゃんはアタシの旦那だしっ!」
「「はっ!?」」
イアの発言に女神クーディアだけでなく、シキも思わず声を出してしまう。
そんな驚いたシキにイアは言う。
「だって、アイリスの父親でしょ?なら、産みの親である私は母親よねっ?」
「……確かにそうだけど」
「それにぃーっ!姫ちゃんのお嫁さん達人からはちゃんと話は通してるしっ……ま、母親らしい事はあんまりしてあげられないけどね」
「……シキに子供……?シキのお嫁さん……?」
「く、クーディア……?」
女神クーディアはシキに妻子がいる事に頭を混乱させながらもぶつぶつ呟きながら呆然としていた。そんな状態の女神クーディアにマーリンは肩を乗せるが全く反応が無い。マーリンは恐る恐る表情を見るために横から覗き込むと思わずギョッとしてしまった。
何故なら女神クーディアの目には光が失ったかの様に、恐ろしい様となっていたのだから。
それは眷属である三人も感じ取っていた。
「駄目よ……そんな……女が……子供が……いや……何で……でも……あ……、あぁ……」
「女神クーディア、俺には妻も子供がいるんだ。だから、貴女の申し出は断らせていただきます」
シキは改めて女神クーディアに断る理由を話すが、女神クーディアは最初は俯いていたものの話が終わり暫く黙っていた。だが、直ぐに顔を上げると何事も無かったかの様に笑顔だ。
しかし、その笑顔な二つの瞳には全く光が宿って居なかった事にシキは気付いた。
「なら、シキの妻ってほざいている女達を私がこの手で殺すわっ。でも、安心して?その子供はシキと私の子として育てていくから……ね?」




