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シキ VS 酒呑童子 & ブリュンヒルデ & アイアス

前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃいっ!!!


『女神クーディア登場ッ!』


『シキを伴侶にっ!?』


『断りますッ!』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



日本史上最大最強の鬼・『酒呑童子』。


北欧神話に登場する主神・オーディンに使えていた元・戦乙女(ワルキューレ)・『ブリュンヒルデ』。


トロイア戦争の英雄であり、槍を通さぬ盾を持つ『アイアス』。


その三人には色々あるのかもしれないが、やはり強大な力を保有している存在だ。幾らシキさんでも、部が悪過ぎる。本能で敵わないと理解してしまう自分自身が情けない。



御主人(マスター)、おれも微力ながら……」


「いや、いい。あの三人は俺が何とかする。シリルと葵はあの、泥人形を頼むよ。」



ーーーア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァア!!!



「なっ!?」


「……わかりました。シリル、行くよっ!」


「は、はいっ!」



多分だけど、僕だけじゃなくてシリルもあの強大な存在には敵わない。

しかし、いきなり現れた泥人形は狂っている様暴れているが鎖に繋がれているので制限が掛かったかみたいに動きが更に鈍い。あれなら何とかなるだろう。


僕とシリルはその泥人形に狙いを定めて仕留めにいくのであった。



~~~~~




「おいおい。お前一人で俺様に勝てると思っていんのか?舐めてんじゃねぇぞ、このアマぁッ!」



西洋風の男性、アイアスはシキに対して敵意を剥き出しにしながら憤怒の声を荒上げる。彼自身のプライドが許さなかったのかもしれないが、シキはそんな彼に反論する事無く斬られてしまった『炎龍』を蘇らせるかの様に修復していく。


恐らくだが先程『炎龍』を斬ったのは浴衣を着た美少年『酒呑童子』だ。手には持っていないが背中に背負う大太刀によって一瞬にして抜刀したのだろう。ブリュンヒルデの槍やアイアスの両手剣ではあれほどの速さでは斬れない。



「何や、おもろいの使ってるなぁ~……そぉや、いっちょ僕が相手しよか」



酒呑は興味深そうに前に出るが、それに異議を唱えたのはトロイア戦争の英雄『アイアス』であった。



「あ゛っ!?てめぇ、何一人でやろうとしてんだよっ」


「恐いなぁ、アイアスさん。でも、あかんなぁ。その傲慢さがあかんのは自分でもわかってんちゃうんか?」


「何だとっ!?」


「……落ち着いて下さい。酒呑の言う通り……あの人は……私と、同じ感じがします……加えて……他にも……不思議な感じもします……」


「あ?不思議ってなんだよ」


「……わかりません。完全な状態ではないので……」


「ま、いいやんか。さて、待たせて悪いなぁ……さ、殺ろかっ」



酒呑は大太刀を抜刀せずに、弾丸の様に突っ込んできた。しかし、その速さはシキには認識できたので透かさず防御の構え……ではなく、迎え撃つ様に顔面に向けて拳を放った。


それを見た酒呑は無邪気な子供の様にあどけなく笑うと自身もシキの拳に向けて拳を放つ。



そして、両者が放った拳が、衝突する。



ーーードォォオンッ!!!



「へぇ、僕の拳を受けて平気やなんて……本当におもろいなぁ、あんさん。あの女神(ひと)が気にいんのもわかるわ」


「そりゃどう……もっ!」



ぶつかった拳と拳から衝撃波が生まれ、辺りを轟く音が響き渡る。そして反射するかの様に両者が離れると次の相手の出方を伺うように自然体で構えていた。


そんな時にシキは槍を片手に持ったブリュンヒルデに声を掛ける。



「貴女は元・戦乙女(ワルキューレ)と言っていたが……何故、辞めたんだ?」


「……答える義務はあるのですか?」


「いや、別にいいさ。只、気になったんだよ。あのオーディン様の眷属にして直属の部下である戦乙女(ワルキューレ)はかなり人気もあるし評判も良いらしいからね」


「っ、オーディン様(あの御方)を御存知なのですかっ!?」


「まあ、ね。約2年前に戦乙女(ワルキューレ)にならないかって御誘いもあったんだ。まあ、断ったけど……悪くない環境だったし、何が不満だったのかな、ってね」



ブリュンヒルデは後悔しているのか唇を噛み締めている。ブリュンヒルデと言えば、オーディンの命を逆らい、ジグルズと恋に落ちた等々の事が描かれているだろう。


だが、それはあくまで神話として人々が語り継がれたものだ。


それが事実が、実際はどうなのか等はやはり当人でしかわからない。



「……そんな、事は……関係、ありません。今の私は女神クーディアの眷属ですから……」



そう苦しそうに言いながらブリュンヒルデは手に持つ槍に神聖なる光を宿すと、それを構えてシキに定める。そして槍を放とうとした瞬間にシキは待機していた『炎龍』をブリュンヒルデに向けて放った。



「炎の龍……ですか」



ブリュンヒルデは迫り来る『炎龍』ごと放とうとするが、その前に横から盾を構えたアイアスが立ち塞がる様に現れる。


そしてその『炎龍』はアイアスの盾にぶつかるが、七枚の革が光った瞬間に消し飛ばしたのだ。



「……アイアス、別に私を守るの必要ありませ……っ!?」


「うぉっ!?」



『炎龍』を消し飛ばした直後、新たな攻撃がアイアスの盾に被弾したのだ。先程の『炎龍』よりか更に威力のある攻撃に思わず構えていたアイアスも呻き声を出してしまう。


シキが続けて放ったのは白き炎と黒き炎の塊だ。どれも『炎龍』の炎よりも迫力のあるもので盾を構えたアイアスも吹き飛ばされてしまいそうになるが何とか持ち堪える。ブリュンヒルデは『炎龍』の次の攻撃を見抜けなかったのだ。



「いゃぁ……ほんま凄いわぁ。なら、真剣(マジ)でやるかぁっ!」


「っ!?」



後ろから現れた酒呑は本来の本気(ちから)でシキの後頭部に殴りかかってきた。それに反応したシキは紙一重で交わすと鳩尾に向かって捻る様に拳を放つ。


しかし。



「いい拳やなぁ……。でもなぁ、(ぼく)の力はこんなもんやないでっ!」


「くっ!?」



鳩尾に放った拳は直前に空いた手で受け止められており、酒呑は再びシキの顔面に向かって放つ。


酒呑の握力は凄まじく、捕まれた拳を振りほどく事が出来ないシキは掴まれていない方の拳を顔面に迫る拳に放った。


しかし、相手は鬼人族(オーガ)。恐らく最高位の存在が放つ拳だ。普通ならシキの拳では押されてしまうだろう。酒呑の拳は赤い刺青が身体全体に広がっており、赤いオーラを放っている処を見ると絶大的な威力を持っているのがわかる。



「(なら……!)」



両者の拳がぶつかる前に、シキは発動する。


それはかつて、師の一人である『最高位鬼人族(ヤシャ)』の結城マグナに教えられた『力』。


本来、それは鬼人族(オーガ)特有の能力なのだがシキは試行錯誤をして生み出したもの。


その名は。



「『紅剛化(ルージェスト)』っ!」



シキがその名を告げた瞬間、酒呑に放っている拳から紅色の線が刺青の様に広がっていく。それは酒呑と同じ様な現象になっている。


両者の拳がぶつかった時に驚いたのは酒呑であった。



「……あんさん、(ぼく)と同じ力使えるんかいなぁ。でも、鬼の気配は全くしいひん……やばいわぁ、今の僕は不完全やけど……益々あんさんに興味湧いたわぁっ」


「……っ!?」



確かに鬼人族(オーガ)でもないシキが鬼人族(オーガ)特有の能力を持つ事に驚く事に無理はないだろう。


しかし、だ。


鬼人族(オーガ)でないシキが使う力と鬼人族(オーガ)である酒呑では力の差は出てしまう。本来なら酒呑の方が有利になるのだが、不完全な状態の召喚者による召喚によって完全体ではないのだ。なので、シキと酒呑の力の差はは同等という状況にある。



「(相手三人が不完全体だったから、何とかなっているが……()を先に潰すかっ!)」



シキは前に出ていた足を押し蹴るかの様に酒呑の腹部へ蹴り飛ばすと、捕まれた拳がほどけた瞬間に後ろへ下がる。


相手は不完全体な状態の『最高位種族』だ。


今の状態では三人相手をする事は何とかなっているが、それよりも早期決着を着けたかったシキは()である女神クーディアを叩く事に決める。


女神クーディアを無力化すれば召喚した『酒呑童子』・『ブリュンヒルデ』・『アイアス』を封じる事ができる。



だからと言って彼等三人からそう簡単に抜け出せる事は出来ないだろう。『炎龍』の様な一般的には凄まじい魔法でも彼等からしてみれば決定的なものにはならない。



「(なら、あれをやるかっ)」



シキは決断すると身体全体を帯びる様に真紅のオーラを纏っていく。それは攻撃的なものではなく、むしろ防御的なものに近いものだ。


別段何をする訳でも無く、殻を脱ぎ捨てる様にシキの身体に纏っていた真紅のオーラから出てしまう。しかし真紅のオーラは消え去る事無くそのままシキの形を保ったままそこにいる。



「あんさん、何や、それは」


酒呑は不審そうにその真紅のオーラを見ながら後ろへと後退するシキを追跡しようとする。


それ無視して行こうとした瞬間、シキの前に立ち塞がる様に真紅のオーラが移動してきたのだ。



「はぁっ!?動くんかいなっ」



酒呑はその真紅のオーラの前に立ち止まってしまう。その真紅のオーラは徐々に一つの形へと変化していく。



「分身、かいな……」



真紅のオーラは人の形に変化していった。


その姿は全身黒一色のスーツ姿、そして髪は真紅で長い髪は後で下に結っている。そして黒真珠の様な綺麗な瞳で男装した麗人。


そう。


シキのもう一つの姿である『レッド』だったのだ。



「……」


「分身自体も中々強そうや。ほんま、おもろいことしてくれんなっ!?」



シキの分身、『レッド』は先制してきた酒呑の動きに合わせて回避、そして攻撃を開始する。



「酒呑さん……」


「おい、ブリュンヒルデっ!前見ろっ!」



酒呑と『レッド』が戦闘を開始した時にはブリュンヒルデやアイアスの目の前に先程の色の異なったオーラが現れていた。その二つはどちらもシキが置いてきたオーラ。


ブリュンヒルデの前には白光のオーラが。


アイアスの目の前には漆黒のオーラが。



そしてそれぞれが人の形へと変化していく。



白光のオーラは純白のさらさらな純白の長髪を後ろに三つ編みに、そして新橋色の眼を宿した美しい美少女の姿。そして背中から上から大中小の三対六枚の純白の翼が延び延びと現している。


漆黒のオーラは髪紐で結った黒いポニーテールに目は新橋色の華奢な美少年の姿。そして弓兵の様な姿で狩人の様な雰囲気を放っている。


『大天使』の異名が付いたシキの姿、『ホワイト』。


そして『魔弾』であるシキの姿、『クロ』である。



先に動き出したのは[漆黒]で生み出した『黒剣』でクロはアイアスに斬りかかってきた。その動きを見たアイアスは透かさず盾を構えて防ぎきる。



「……」


「やるじゃねぇかよ、このっ、アマぁっ!!!」



アイアスと『クロ』の戦闘を繰り広げている中、その横ではブリュンヒルデは『ホワイト』の姿を見て何処か納得した様な表情をしていた。



「……なるほど……私と、同じ天人族(エンジェル)でしたか……。そしてその実力……オーディン様(あの御方)が貴女を戦乙女(ワルキューレ)にスカウトするのも頷けます……」


「……。」



ブリュンヒルデは背中から『ホワイト』と同じく大中小の三対六枚の純白の翼を現すと、槍に更なる力を宿していく。


それに対抗して『ホワイト』も[白光]から生み出したバルハートを構えてブリュンヒルデに向かって飛び出していった。



酒呑童子は『レッド』と。


アイアスには『クロ』。


ブリュンヒルデには『ホワイト』が。



それぞれが相手をしている時、女神クーディアは王座の椅子に座って惚れ惚れとした表情でその戦いを眺めていた。


しかし、その前に本体であるシキがゆっくりと女神クーディアに向かって階段をゆっくりと上がってきたのだ。それに気づいていた女神(かのじょ)は心底嬉しそうな表情で彼を目に焼き付けている。



「うふふふっ。やっぱり、私の目に狂いは無かったわぁ……。他の女神達には絶対に渡したくない……絶対に……。ねぇシキ、私の伴侶になりなさい」


「申し訳ありませんが、断らせていただきます。女神クーディア、今直ぐにあのお三方を止めて貰えませんか?」


「……断るんだぁ……。でも、そうねぇ……。確かに不完全なあの三人じゃぁ、貴方には押さえられないみたいねぇ……。でも、」



この状況では明らかにシキが有利になっているだろう。


『酒呑童子』・『ブリュンヒルデ』・『アイアス』。


この三人が完全体であれば、シキを押さえ込む事は可能性はあったのかもしれない。しかし、女神クーディア自身の不完全さ故に召喚した三人も不完全になっていた。


シキは正直、こんな事を終わらせてこの『迷宮(ダンジョン)』から出たいと心の底から思っている。


そしてやるべき事を終わらせてから。


しかし、こんな状況にも関わらず女神クーディアは焦った様子も一つも見せずに余裕のある表情をしている。


女神クーディアの今の不完全な状態では明らかにシキに敵う事は無いだろう。


だが、今いる場所に女神クーディアだけではない事をこの時のシキは気付いていなかったのだ。



シキ()を捕らえなさい、マーリン」








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マーリン出ちゃったよ……

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