成長しましたっ!
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃい!!!
『御約束の勘違い』
『シキ、号泣!』
『褒められるの慣れてない?』
のどんっ!
シキさんに渡された高性能な服に着替え、そして溶岩が流れる下の階層に入った僕は最初はその階層の景色に身体が危機感を感じてしまった。だが、本来ならここで危機感以上に拒絶感になってここで失神しても可笑しくはなかったかもしれない。やはり、シキさんから貰ったこの服がいいのだろう。
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名称:闇紛れの仕込みコート
種別:防具服
ランク:---
効果:耐熱性・耐寒性・自己修復を持つ高性能なコート。袖が広く、そこに小型武器等を仕込む事が出来る。仕込んだものは外からは一切闇の様に紛れて目視では認識出来ない。
素材:隠羊の軟毛・黒龍の鬣・九尾の剛軟毛・金剛粘液の体液
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名称:闇黒のショートパンツ
種別:防具服
ランク:---
効果:耐熱性・耐寒性・自己修復を持つ高性能なズボン。膝上までしか無いにも関わらず耐久性は極めて高い。魔力を流すと両足全体を包み込む様に黒い膜に覆う事が出来る。
素材:流星不死鳥の黒羽・神喰狼の剛軟毛・金剛粘液種の体液
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……素材が凄すぎませんか?
どれも聞いたことも無い名前のモンスターだ。しかし、名前からしてみて、どれもヤバいモンスターだとわかる。龍とか九尾、不死鳥、神喰狼なんて、神話や伝説に登場する架空の生物だ。しかしながら、この世界に召喚されて……実は地球でも存在しているのではないか、と夢見がちな事を考えてしまう。いや、同じ地球……日本から召喚されたシキさんという存在がそれを証明できるのに十分な気がする。
この溶岩が流れる階層では足場は十分にあるので戦闘では回りを考えれば問題ない。シキさんからは僕が前線に、シリルさんがサポートする形で目の前のモンスターと戦闘を繰り広げていた。
ーーーグルァァァァァァァァアッ!!!
「ーーーっ、てぃっ!」
僕はコートの袖に仕込んでいた短刀を目の前にいる巨大なウツボに向けて両手に一本ずつ放つ。この階層に来て数週間になるが、この階層で様々なモンスターと戦った。やはり最初はシリルさんに迷惑をかける感じになっていたが、僕自身もレベルが上がって一体位なら難なくと倒せるようになっている。
今のステータスはこんな感じだ。
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名前 アオイ・サクラマ
種族 人族
性別 男
職業 --
レベル 76
体力 8710
魔力 7950
筋力 8060
耐久 7790
俊敏 8890
ーーー
[絶対固有スキル]
永久之右眼エターナル・アイ.D
ーーー
[固有スキル]
ーーー
[スキル]
木魔法. 5
水魔法.4
土魔法.3
光魔法.3
弓術.3
投擲.3
短剣術.3
強化.3
魔力操作.3
体術.2
ーーー
[称号]
異世界から巻き込まれし者
勇気在ル者
ーーー
超越者の加護
天照大御神の加護
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[スキル]は何度も試行錯誤をしながら発動した事によってレベルが上がっている。[体術]についてはモンスター相手ではなく、休憩中に組手をしながら教えて貰った事で身に付いた。[短剣術]は数々のモンスターを倒した時に、その倒したモンスターの鱗や骨等を加工して作り上げた武器だ。コートの両袖に15本位入っている。その短剣は他のものよりかは一回り小さいものだ。
僕が放った短剣は一本外すが、もう一本は左目の眼球に突き刺さった。
ーーーガア゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!?!?
巨大ウツボは長い身体をくねらせて辺り構わず暴れていく。しかし、暴れる動作は一つ一つが大きいので隙を見て相手の懐に潜り込んだ。数々の戦闘で僕自身の身体の動きが速く、そして鋭くなっているのがわかる。これまで何度も死にそうな特訓の成果が現れているのだろうか。でも、やはりシキさんと比べるのは遥か彼方。組手の時にシリルさんの動きが若干見えてきた位だ。ほんのちょっとだけど……。
ーーーガガァァァァァァァッ!!!
「っ!?≪聖なる樹よ、槍となりて、敵を貫けッ、『聖樹槍』っ!≫」
巨大ウツボの前から槍の様に現れた樹木が敵の胴体に向かって勢いよく貫いた。貫かれた事に巨大ウツボは身体を血を撒き散らしながらも僕に喰らいかかろうと大口を開けて迫りくる。
けど、僕の攻撃はそれで終わらない。
貫通した樹木の先には蕾が実っている。蕾といっても今は大きくは膨らんでいない。
実るのは、ここからだっ!
僕は巨大ウツボに最後の止めをする為に詠唱を再び読み上げる。
「≪樹木に実った聖なる蕾よ、今ここに解き放ち、開花せよッ『水之実・弾雨』≫ッ!!!」
巨大ウツボから生えた樹木の先にある蕾は少し膨らみ、詠唱が終了すると弾ける様に開花した。
開花した蕾の中から何百もの小さな水の球体が宙に舞うが、ピストルの弾丸に変化すると巨大ウツボに集中して雨の如く、荒れ狂う嵐の様に激しく落ちていく。
ーーーガガァァァァァァァッ!?!?!?
水の弾丸達は容赦なく巨大ウツボの身体を蜂の巣の様に貫通していく。その弾丸の雨が止むと巨大ウツボは絶命したまま音を立てて倒れていった。
これは全てシキさんから教えて貰った事に、僕自身がアレンジした魔法だ。
「ふぅ~……終わった……」
戦闘の間は、集中してわかっていないが……戦闘が終わると、僕は命を奪った事を実感する。
しかし、後悔はしていない。
これは、僕自身が生き残る為の生存競争なのだから。
今思えば、シキさんはこの『迷宮』ではモンスターの命を奪う前に相手モンスターが逃げていっている。
戦わずにして勝つ。
それこそが、真なる絶対強者として認められた存在なのだろう。
この階層で始めて動物に似たモンスターを殺めた時は、手足が震えて暫くは食欲が湧かない程精神的に参っていた程だが、今では生存競争として割り切っている。
大分精神的にも成長したのかな?
「よく頑張ったね、葵。あのモンスターは……なんだけっけ?」
「熔岩魚單、ですよ御主人。Aランクモンスターだった筈です」
「え、Aランクモンスターを……僕が……」
「そう。この多分1ヶ月弱、これほど強くなったんだよ。単なる力だけじゃなく、心もね。でも、君はまだまだ強くなれる」
そう言うとシキさんは僕の頭に手を乗せると、その手から現れたエメラルドグリーンのオーラに包み込まれていく。これはシキさんの『回復魔法』とは異なるものらしいけど、そのお陰でこれまでについた怪我が治り、魔力は枯渇しかけていたが違和感無く回復していく。
「さて、あと二日程この階層で特訓を続けるよっ」
「はいっ!」
何時か、シキさんの役に立てる様に、僕は更なる高みへと至る為に再び特訓を開始するのであった。
~~~~~
「うふふふ……中々面白そうな子を見つけたわぁ~」
階層の最深部。
そこには黒曜石よりも黒く、そして輝かしい広く明るい空間にある女性がそこにいた。
その女性はこの『迷宮』の主でもないし、そもそも、こんな場所にいる筈も無い存在であった。
彼女は手に持つ手鏡を見ながら、そこに写るシキ達を興味深そうに眺めている。今、彼女の表情は男を虜にするような艶やかな笑みを浮かべながらも、目の前に写るひとりの人物に食い付く様にも見ていた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ……」
「五月蝿いわねぇ……いきなり攻撃してきたから思わず動きを封じたけど……何なの?この泥人形は」
横には魔方陣によって縛られていた黒い泥人形が呻き声を出しながらそこにいた。しかし、彼女はそんなものに興味は無い。その気になれば何時でも消す事は可能ではあるが、単に面倒臭がっているだけだ。
彼女が優先することは手鏡に写る人物ただ一人。
それ以外は何の興味を示さない。例え横に拘束された忌まわしいく、神である自分自身を攻撃してきた者だったとしても。
「どうしょうかしらねぇ……っ!?」
彼女は手鏡を見ながら、目を見開く様に驚いた表情をしていたのだ。理由は、その手鏡に写ったある人物……シキが、確実に自分を見ていたのだから。それは、神である彼女の存在に気付いた事を物語っている。それを理解した彼女は歓喜に満ち、歪んだ表情だった。
「ああああっ~~~♥。ふふ……うふふふ…………彼の戦い、見てみたいわぁ~……。でも、彼に敵う者なんて……っ、そうだわっ!良いことを思いついた……ふふふ……」
その女性……女神は懐からある虹色の結晶を取り出すと、何れこの最深部へと訪れるであろうシキ達を待ちわびるかの様に、まるで待ち合わせ時間に待つ恋人の様に心を高鳴らせながら待ち続けるのであった。
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