目覚めたら……ケモミミ美少女がっ!
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『雪の階層?』
『アイスゴーレム!』
『倒したっ!』
のどんっ!
ふわりと意識が浮き上がるととても暖かな空間にいる事が肌で何となく感じ取った。家の中で暖炉の前でゆったりとしている様な感覚だ。
僕は……確か、『迷宮』の寒い階層にいた筈じゃ……。
それに……あの『アイスゴーレム』を倒してからステータスはどうなってるんだろう?
すると目を閉じたままだったが、頭の中に自分の情報が流れ込んできた。
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名前 アオイ・サクラマ
性別 男
職業 --
レベル 16
体力 3470
魔力 3010
筋力 3190
耐久 2890
俊敏 3600
ーーー
[絶対固有スキル]
永久之右眼.F
ーーー
[固有スキル]
ーーー
[スキル]
木魔法. 3
水魔法.1
土魔法.1
光魔法.1
弓術.1
ーーー
[称号]
異世界から巻き込まれし者
勇気在ル者
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超越者の加護
天照大御神の加護
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……わぉ。
レベルが一気に13上がってるし、ステータスも倍以上になってる。[スキル]に関しては『木魔法』が3になっていた。
……凄く強くなってる、よね?
でも『永遠之右眼』はFのままだ。そのFっていう意味が全くわからないけど、多分一番下なのかな?
ま、いいか。
それにしても……今、僕はどうなっているんだろう?
恐る恐る目を開けて見ると……。
「知らない天井だ……」
今いる場所は……洞窟の中、だろうか。
洞窟といっても一人暮らしできる程の空間はあるが、決して広いとは言えない程である。誰かわからないが上質は毛布がかけられているが……。
「ここは……?」
「あ、起きたのか葵。身体は大丈夫かい?」
「……え?」
身体を起こすと横には、絶世の美少女がいた。
癖っ毛のある腰まで伸びた長い金髪に右が碧眼、左が新橋色のオッドアイ。黒いタンクトップの上に首回りが肩の先まで広いボートネックに非常にラフそうな黒ズボンだ。確かに美少女だが、同性に好まれそうなカッコいい麗人。年は同じくらいだろうか?
……何で、こんな所にいるのだろうか?
「ん、どうしたんだい?」
「え、えぇぇぇっ……と……」
今までに美少女は数は少ないが出会った事はある。テレビや雑誌でも写真でもよく見たが……こんな絶世の美少女は見たことがない。本当に、絶世という言葉は彼女にこそあるべきではないかと思ってしまう。
僕なんかが……釣り合う筈がない。
声をかけてくれるだけでも光栄だよね。異性とでも多少は話せると思ってたけど、相手が違う。あまりにも、美しすぎて……緊張して何を言えばいいかわからない。
「葵……?顔が真っ赤だが……」
「え、い、いや、あの、その……」
「御主人!薪を拾ってきたよー!」
洞窟に誰かが入ってきた。マスター?がわからないけど、その人物は僕より年下ではあるが、黒一色のスーツを着た華奢な子だ。猫耳と尻尾がある、獣人だった。スーツってこの世界にも……あるのかな?
「ありがとう、シリル。さて、葵が起きた事だしご飯を食べよっか」
「え、あの……」
「ん?」
「貴女達は……?」
本当にこの二人は誰なのだろうか?
こんな美少女達とは関わった事も無いし、知り合いでもない。いや、男としてはとても嬉しいのだけれども。……特にこの金髪オッドアイな美少女の服装は……失礼かもだけど、全く無い胸にも関わらずチラチラ胸元の肌が見えて……正直、エロい。彼女が着ている黒いタンクトップの上に首回りが肩の先まで広いボートネックは……本当によく合っている。……でも、何処かで……?
「わからないかい?」
「はい……」
「なら……ほぃっ」
金髪オッドアイ美少女さんにケモミミと尻尾が突如現したのだ。しかも、狐の……。
狐の?
……まさか!
「狐、さん?」
「あったり~!気づいてくれなかったら、どうしようかと思ってたよ。あ、この子は猫さんね」
「は……?え、人になれるんですか?」
「いやいや、これが俺達本来の姿だよ」
……まあ、確かにそうじゃなきゃ普通は助けてくれないよね。同じ人じゃないと。でも、やっぱり狐さんは美少女だった!猫さんも確かに毛並みと同じ髪色をしているよね。……何か狐さん、猫さんって名前で言うの違和感があるな……。
「名前は……?」
「そうだね……そろそろ名乗らせてもらうよ。俺の名前はシキだ。そして猫さんが……」
「シリルですっ」
シキさんにシリルさん。
いい名前だし、ピッタリだ。……こんな美少女さんにお近づきになれたらな~。
すると、更に狐さん……シキさんがある事をカミングアウトしてきた。
「あ、因みにだけど、葵と同じく他の国に召喚された高校生さっ。本名は、不知火姫希だからね」
「……はぁっ!?」
シキさんが……僕と同じくこの世界に召喚された、高校生っ!?
いや、確かに年齢は多分同じだとはわかるよ?でも、名前からして……日本人、だよね。日本人でその容姿に髪と目なら、有名になってもおかしくはないと思うんだけど……。
「日本人、ですか?」
「うん、そだよ」
「えぇ……」
「……何か、信じられないような表情をしてるけど、本当だからね?……よっとっ!」
少し魔力なのかはわからないが、淡い光が輝くと目の前にいたシキさんの髪と目、ついでにケモミミまでもが黒く変身していたのだ。まあ、ケモミミさえ無ければ日本人だったけどね、美貌は桁外れにズバ抜けているけど。
「で、でもっ!地球には獣人とか魔法とかは……」
「うん。獣人は地球には居ないさ。魔法は裏世界では意外と使っている人、多いよ?」
……僕が、僕達がいた地球では魔法なんて有り得ないものだと思っていた。でも、僕達が見ていたのは表面上な事だけだったんだ。そう考えると背筋が凍ってしまう程に恐怖を感じてしまう。
「……シキさんは、何者なんですか?」
「そうだね……。地球に存在する裏組織の人だったりするよ」
「ぇ……あ、あの、訪ねといてなんですけど、そんな裏組織とか暴露しちゃっていいんですか?」
「確かにそうかもしれないけど、今頃の地球だったらもう隠す必要な無いと思うよ」
「……?それってどういう……」
「地球人が大勢居なくなれば世間も問題になるよね?……他にも色々事件が表に出てしまっていると思うし……」
確かに、シキさんの言う通り日本人が大勢居なくなればテレビや新聞でも取り上げられるのは間違いないだろう。多分神隠し的な感じになってるかもね。でも、事件が表にって……何か怖いなぁ。
「さて、他に話もあるかもだけど。葵、君は一週間も寝込んでいたんだ。お腹、減ってるだろ?」
「一週間もっ!?」
グゥゥゥ~……
驚いたのと同時にお腹が鳴ってしまった。かなり大きな音で。僕は慌ててお腹を押さえるがシキさんとシリルさんが暖かい目で見てくる。何か恥ずかしぃ……。
「恥ずかしがる事は無いさ。さぁ、食べよう」
話は他にもあったけれども、とりあえず僕達は食事をすることとなった。食事は身体に優しそうなスープだ。これはシキさんが作ったらしい。とても美味しくて、温かくて、久々にちゃんとした食事に思わず涙が溢れそうになる。『迷宮』に入ってからは『迷宮』で育った果物や野菜等の質素なものだったからね。サバイバルに近かったな……。あれはあれで特訓の一環だったらしいけど、生きる事に必死で食事は食べられるならいいって感じだった。
「葵、泣いているのかい?」
「え……?」
気づけば本当に涙を流していた。
あれ?涙が出そうで我慢していたのに……何で……。
僕は涙を必死に拭うが、それでも、涙は止まらない。
「あ……れ?なん、で……涙、止まら……」
そう言えば……今こんな風に、安心して食事するなんで、久しぶりだ。皆に裏切られて、大事な義姉妹にも、裏切られて……。
辛かった、悲しかった、苦しかった。
あの時、裏切られた時にはもう、僕は一人なんだって……誰も、僕と……。
「うっ、ぁぁっ……」
でも、今この瞬間、僕は、安心しているんだ。
シキさん達と一緒にいることが、とても安心している自分がいる。心地好くて、この人と……この方と共に過ごしたい。
ポロポロと涙を溢していると、シキさんが優しく抱き締めてくれる。そして僕の顔を自分の胸に押し当てるとそのまま子供をあやすように背中をトンットンッと叩いてくる。頭も撫でられるのだが、お父さん以外にこんな事はしてもらったことがない。
「うっ、えっく、……」
「葵、泣きたい時は泣いていいんだよ。我慢しないで」
この言葉が僕の中にあったものが吹き出すように、シキさんの胸を借りて、そして感情を吐き出す様に声を上げて泣く。そんな泣いている僕をシキさんは只、頭を撫でながら受け止めてくれるのであった。
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