10階層位でしょうか?(25階層だよ)
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『失明したっ!?』
『失明していない……?』
『永遠之眼?』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
強くなると決めて狐さんからの特訓を受けていたけど……始まって早々、心が折れてしまいそうです。
「くふっ、はぁ、はぁっ!」
ーーーシャァァア!!!
ーーーキシシシシッ!
ーーーゴァァァッ!!!
只今、僕が走っている後方には3体のモンスターが追い掛けてきていました。
一体は鎧の様な鱗を纏っている大蜥蜴、『アーマーリザード』。
一体は大きなナマケモノの様な見た目のクセに非常に行動が速い『ハイビックスロース』。
一体は地球で言う太古の昔に存在していたであろう恐竜みたいな四足のモンスター、『三角鳥竜』。
どれも王宮の書物庫であった図鑑で見たことがある。その三体はモンスターランク、Cランクだ。冒険者であればBランク以上で二人から四人で討伐を推進する化け物である。正直勝てる気がしません。これまでに様々なモンスターとの戦闘のお陰で全体的にステータスが上がっていますけど、これは、無理ゲーというやつじゃないですかっ!?
しかも右目にある『永遠之眼』はまだ使用できず、黒の布で眼帯の様に覆っているので頼りになるのは左目だけである。
無理。
無理ですよね、これっ!
「た、……助けで、くだざぃっ!狐さん!」
僕は逃げ惑いながら岩の上に高みの見物をしている狐さんに悲鳴を上げながら叫ぶ。猫さんは狐さんの頭部の上でちょこんの乗っている。相変わらず可愛いよねっ!……て、言っている場合じゃない!あ、段々横腹が痛くなってきた……。
『迷宮』はフロアや通路も上下左右とてつもなく広い。ここは洞窟内なので辺りには良くて鉱石位しかないが、その岩壁に辺り散らばる様に『照光石』と呼ばれる鉱石がある。これは『迷宮』特有の鉱石であり、魔力を流すと落ち着いた光が宿る。『迷宮』内は常に魔力が外より多く流れているので真っ暗で見えない、ということは今のところ無い。
……そろそろ、助けてください。
"先ずは、やっぱり基礎体力からだよねっ。身体を鍛えるのは簡単だけど、それを『動かせる身体』が一番大切だよ。どうやったら相手の追跡を一時的でもいいから避ける、反らす、交わすのかをよく考えながら逃げるんだよ"
「でもっ、三体、同時に、逃げるとか、無理、」
"そこで諦めたら、試合終了だよね?"
「何で、その名言を知ってるんですかっ!?てか、試合じゃなくて死合いの方が合ってると思うんですけどっ!」
"あっはっはっ!細かい事気にしちゃだめだよ。でも葵、君は既にあのモンスター達からも逃げ切れる位の力がついてるんだよ。もっと自信を持って……"
「自信もなにも、そろそろ、本当にここで試合終了しちゃいますよっ!」
狐さんから最初の特訓は、只敵から死ぬ気で逃げろということであった。反撃せずに只逃げるだけ。飛び道具の使用も不可である。何の縛りゲームだろうか。ゲームならいいけど、これ僕の命が掛かってるからね!?
それにしてもここのモンスター達は僕には襲い掛かってくるものの、狐さんには一切見向きもしていないのだ。まるでそこに存在しないかの様に完全に見落としてしまっているみたいに。
これは僕自身の予想だけども、狐さんの存在感が圧倒的過ぎてモンスター達は無意識に居ない事になってしまっているのだろうか、それとも狐さん自身が魔法か何かで僕以外に見えない様にしているのかのこの二つに絞られる。恐らく前者が一番可能性が高いと思う。もし、後者だとしてもそれを意図も容易く出来る狐さんの実力は底知れない。
こんな事を必死に逃げながら考える僕はまだ余裕があるな、と思うかもしれないけどそれでもあの3体のモンスターから逃げるのはそろそろ体力的に限界が近づいていた。本当に日本って平和な国だよねって染々と感じる。追い掛けてくるモンスター達は戦車並の大サイズだ。その大サイズのお陰で速さも遅いのだろう。もし、この3体が今の大きさの半分しかなかったとしたら追い付かれる可能性は極めて高い。
「はぁっ、はぁっ、うぐっ」
僕の体力が限界になり徐々に速さが落ちてきてしまう。命の危険が迫っていることで火事場の馬鹿力で走っていたが、もう、限界。両足が悲鳴を上げているのがよくわかる。モンスター達の走る勢いは劣らずそのまま僕に向かって襲いかかろうとしていた。……この3体のモンスター、仲が良いよね。最初に遭遇した時はその3体が戦って潰しあってくれたら嬉しかったんだけど……やっぱり『迷宮』から生み出されたモンスター。侵入者である異物を排除するには協力し合うんだろうね。
"……そろそろだね"
「はぁ、はっ、むぎゅっ!?」
すると逃げる目の前に狐さんが優雅に舞い降りると、僕はいきなりの事で対処ができずにそのまま顔面から柔らかな金色のもふもふの中に突っ込んでしまった。綺麗なもふもふの中に突っ込んでしまった僕を狐さんは優しく受け止めてくれたが、狐さんのもふもふは最高でした。狐さんの頭の上に乗っている猫さんのもふもふも凄かったが、狐さんのもふもふは至高の柔らかさだ。加えて疲れた心を癒してくれるいい香りが包み込んでくれるので……僕、今最高に幸せかもしれません。
"よく頑張ったね。さて、次は俺が相手をするけど……どうする?"
ーーーシ、シャァァ……。
ーーーキ、シシィ……。
ーーーググゥゥ……。
狐さんのテレパシーが聴こえたのか3体のモンスターは慌てて動きを止めると恐怖に陥った様に表情を歪ませていた。3体とも人同様に身体が震わせたり、後退りしながら狐さんとは戦いたくないという気持ちが僕にでもわかる程の気持ちが伝わってきた。本当に何者なんですか、狐さん……。
"戦う奴は前に出ろ、それ以外は今すぐに立ち去れ"
「っ!?」
ーーーシャッ!?シャシャシャッ!
ーーーギシャァァァッ!!!
ーーーゴォォォォォォォッ!!!
狐さんの覇気のある言葉に思わず息を吸うことが一瞬出来なくなってしまった。3体のモンスターも悲鳴の様な咆哮を上げながら一目散に逃亡をしてしまう。
"大丈夫かい、葵"
あぁ、狐さんの声は凜としていて心が落ち着く。狐さんって……女の子なのかな?よくファンタジー系のアニメや漫画等でモンスターから人に変身する能力があったりするけど……狐さんが人に変身したら……物凄い美人なんだろうな……。口調は男っぽいけど。
"……何か、失礼な事を考えていないかい?"
「え?いや、……そんな事考えてない、です」
"そうか。なら、今日の特訓はここまでだね。この近くに食料を見つけたからそこに行こうか?"
「は、い……」
"ん?どうした"
狐さんのもふもふが気持ちよすぎなのと、さっきの特訓が余程堪えた事によって睡魔が唐突に襲い掛かってきていた。あれほど動き回ったのはこれまで生きてきた中で一番だろう。多分、これから先はもっと動き回ると思うけど。……あ、段々瞼が重くなってきた……。
"そうか、眠たくなったんだね"
「すみ、ません……睡魔が……」
"構わないさ"
そう言うと狐さんは身体を伏せるとそのまま僕を眠りやすい体勢にしやすく動いてくれた。そして僕が力なく狐さんに身体を預けると僕を包み込む様に身体全体を丸め込んでくれる。僕の睡眠を守ってくれる様だ。狐さんの頭の上に乗っていた猫さんが僕の近くに寄ってきた。
「にゃっ」
「猫さん……」
お疲れ様、と言ってくれるのか僕の頭を小さな肉球で触れてくれる。この猫さんも狐さんの特訓をした事があるのだろうか。そうであるなら、先輩だね……。
"葵、安心して寝るといいよ。無理して起きようとしなくていいからね。さあ、お休み"
「はい……」
僕は狐さんの御言葉に甘えてもふもふに包まれた中を幸せに感じならがゆっくりと深い眠りに入っていくのであった。
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