失明した訳ではないようです。
前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃい!!!
『夢?にお父さんが!?』
『従者になれっ!?』
『眼が覚めたら、狐と猫が……』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
"少年?"
「……はっ!?え、え……っと……貴方は?」
僕は狐さんの美しさに我を忘れてしまい惚けてしまった。そしてテレパシー?で呼び掛けられて何とか我に返ると僕は狐さんが何者かのか辿々しく問う。多分だけど普通に話しても通じると思ったのでそのまま話してみた。
"名前を訪ねるなら、まず自分からじゃないか?"
「あ、そうですね。桜間葵……じゃなくて、アオイ・サクラマです。呼び捨てで葵でいいです」
"葵か……。俺は……そうだね。葵の好きに呼んでいいよ"
本当は実名があるみたいだけど、この世界は名前に関しても色々と事情があるのかもしれない。なので僕は……。
「えっと……じ、じゃぁ、狐さん、でいいですか?」
"狐さん、ね。構わないよ。あと、君の膝にいる猫は……猫さんでいいよ"
「にゃー!」
小さな白猫さんはまるでよろしくっ!的な感じに鳴いていたのだろう。その小さくて柔らかな肉球を僕のお腹にぽふぽふっと押してくる。……天国だ。
そんな惚けた事を考えているとある重要な事を思い出す。
あの泥人形についてだ。
「あ、あの!」
"ん?"
「狐さん達は……泥人形を見かけませんでしたか?」
"泥人形……?"
「にゃ?」
どうやら狐さん達はあの泥人形については知らないようだ。その泥人形についての特徴等を詳しく説明する。説明を終えると狐さんは穏やかな雰囲気ではあるものの、何処か確信した様に感じた。加えて狐さんにある疑問を投げ掛けた。
負傷した筈の身体についてだ。
「あの時、身体中ボロボロだったのに……」
"あぁ、それなら俺が治療しておいたよ"
「へ?」
身体を治してくれたのは狐さんだった。今でもうっすら感覚が覚えているが、あれほどの重症ではいくら魔法でも治せないと思っていた。宮廷魔導師さんの回復魔法も中々であったが、ここまで完璧には至らないだろう。……でも右目は治っても視力を失ったのは仕方がないと思う。そう思いながら僕は自身の右目を触っているとまたもや、狐さんが爆弾発言をしてきた。
"その目だけどね。まだ見えてないと思うけど時期に慣れたら元通りに見えるようになるよ"
「失明してるんじゃ……」
"あ~……それなんだけどね?君を発見した時に一番酷かったのが右目なんだよ。完全に潰れてしまってね。だから……その、直ぐになら治せると思って……色々な手段で治療したら……"
「……治療したら?」
"……ちょっと、凄いことになったかな~って"
「はい?」
何やらやってしまったという表情の狐さんは少し顔を逸らしてしまう。……治してくれた事については有り難いです、はい。でも、そんな表情をされると何だか怖くなってくる。
「にゃにゃっ!」
すると横から猫さんが何かをくわえて僕に来た。そのくわえている物は僕自身の『ステータスプレート』だ。召喚されてステータスを確認した時に各自に渡された魔具らしい。見た目はスマホの形によく似ている。首から掛けていた筈だが外れてしまっていた様だ。
「あ、ありがとう」
「にゃっ」
猫さんにお礼を言うと自分自身に何が起こったのか、狐さんがした事もこの情報に記されているのではないかと思い、自身の『ステータスプレート』を確認する。
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名前 アオイ・サクラマ
種族 人族
性別 男
職業 --
レベル 3
体力 340
魔力 210
筋力 250
耐久 330
俊敏 200
ーーー
[絶対固有スキル]
永久之右眼.F
ーーー
[固有スキル]
ーーー
[スキル]
弓術.1
ーーー
[称号]
異世界から巻き込まれし者
勇気在ル者
ーーー
超越者の加護
天照大御神の加護
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「……[絶対固有スキル]?」
『ステータスプレート』には新たな情報が更新されているのだが、[絶対固有スキル]というのは聴いたことが無い。加えて『超越者の加護』と『天照大御神の加護』がある。『超越者の加護』は不明だが……『天照大御神の加護』って、あの天照大御神っ!?日本の最高神的な存在ではないか!……何でその天照大御神さんの……天照大御神様が僕に加護を与えてくれたのだろう?そして[絶対固有スキル]にある一つのスキル、『永遠之眼』だ。何だろう、これは?
「あの……狐さん、この『永遠之眼』って、何ですか?」
"えたーなるあい?え、何それ?"
「にゃ?」
どうやら狐さんだけでなく猫さんもわからないらしい。狐さんは物知りそうだから何か知ってると思ったんだけど……。
"そもそも、俺はスキルの事とか全く知らないから……"
「そうなんですか……」
狐さんはかなり凄そうな感じがするけど、ステータスの事とかあんまり気にしないのかな?強い人ってそういうの気にしない人の方が多そうだよね。
それにしても……『永遠之眼』。何か凄そうな名称だけど、どうにかしてわからないかな……。
「ん~……わっ!?」
すると僕の脳裏に情報が流れ込んでくる。別に身体に負担になる事はなかったが、初めての感覚に驚いてしまった。その流れてきた情報はこの様なものだ。
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名称:永久之眼
ランク:測定不能
説明
超越者の眼の劣化版でありながら、特異的な変異によって現した幻とも呼べる眼。
本来、この様な眼が現れる事は無いもの。超越者の血が混ざった拍子に何等かの因果によって天文学的には説明がつかない程の奇跡から生まれた代物でもある。
アオイ・サクラマ以外が使用する事は不可能。
開眼すれば光の中でも闇の中等どの様な環境でも問題無く視ることが出来る。他の能力は目視した対象物の情報を抽象的に読み取る事が可能。唯一の所有者であるアオイ・サクラマの努力次第で新たな能力が開眼されるだろう。
※現段階では所有者、アオイ・サクラマの身体では対応出来ていない為に失明の様な状態になっている。現在は自身の情報のみ読み取り可能。
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この情報を読んでわかった事がある。
『超越者の加護』の超越者って……狐さんじゃないかな?でも、狐さんなんだから『超越者』じゃなくて『超越獣』の方が合ってると思うんだけと……。
「『永遠之眼』……どんな環境でも見える……」
それが事実であるならば、かなり凄いのではないだろうか?例えば僕が『閃光石』を相手に投げた時、僕はその閃光の光に目を奪われずに行動ができるのは頼もしい。真っ暗な洞窟内や光がない夜の世界でも何の障害も無く行動できるならほぼ確実に有利になるだろう。
"さて、確認は終えたかい?"
「あ、はい。大丈夫です」
"そうか。なら、そろそろ行こうか?"
「……行くって何処にですか?」
"ん?この『迷宮』を潜るんだよ"
「え?何で、ですか?」
"ん~……理由としては二つあるね。一つはこの国に存在する『迷宮』の最深部には『幻の鉱石』があるらしくてね。俺自身その鉱石が欲しいから。二つ目は……葵、君が強くする為だよ"
「強く?」
"嫌ならいいさ。だからといって君を置いていくことはないから安心して"
「……」
僕は。
僕は、どうしたいんだろう?
皆には裏切られて、正直何にも失う物はないと思う。義姉妹の事についてはどうでもいいと思ってしまっている。あの二人には光城君がいるから大丈夫……かな?うん、大丈夫でしょ。
あぁ、そう言えば……お父さんが言ってたっけ。『奴の従者になれ』って……。狐さんは何にも言わないけど、お父さんが言っていた『奴』は狐さんの事だろう。それに狐さんには命を救ってくれたんだ。……僕自身、このまま弱いままじゃいけないと思う。天照大御神様から加護を貰ったからね。尚更だ。
僕は狐さん本人には言わないが、狐さんの従者になると決意を込めてお願いする。
「狐さん!……僕を……強くしてください、お願いします」
"こちらこそ、よろしく"
「にゃにゃっ!」
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