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異世界召喚ってあるんですね

前回のあらすじぃぃぃぃぃぃぃぃい!!!


『桜間葵!』


『不倫、浮気、絶対ダメ!』


『親が良くても子供は結構傷ついてるよ?』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



ふと僕は中学生の頃、自分がお父さんの子ではないと知ってしまいそのまま家を飛び出していった事があった。


今でも鮮明に覚えている。


あの時の空は僕の感情を表すかの様に大雨が降っていた。


ショックだった。


切っ掛けは僕とお父さんが一緒に家へ帰ってきた時に母親が見ず知らずの男と一緒にベッドにいたのだ。それでお父さんは冷静にその二人にどういう事だ、と詰め寄ると母親は浮気したと言うのだ。加えて僕はその男と間に産まれた子供だとも知らされた。関係は僕の産まれる前からあったらしい。DNA鑑定も既に行っていてその事実は確かだということだった。


それを聞いた瞬間頭の中が真っ白になって気づけば家を飛び出していた。


今でも思う。


この時外に出なければよかったと。


この日は路面が凍っていてるのは知っていた。


だが、僕はそんな事を気にせずに歩行社用道路を魂が逝けたかの様に歩いていると一台の車がスリップして突っ込んできたのだ。


あぁ、死んじゃうんだ。


この時に何故か死に対しての恐怖は無かった。


それよりも自分がお父さんの子ではないという事実の方が大きかったのだ。


お父さんとは母親と一緒に外へ遊んだり、ゲームをしてり仕事の休みの時は欠かさずに付き合ってくれていた。それが楽しくて、幸せで……何で、何が不満だったのだろうか?


もう、いい。


もう、……嫌だ。


昨日まではごく一般的な家庭の中で幸せな生活を過ごす筈だったのに。


今日は母親の誕生日でサプライズの為に遅くなると嘘を言って、お父さんと一緒に誕生日ケーキとかプレゼントとか、色々意見を出し合って選んだのに。


滑稽だ。


実に滑稽だ。


あの二人はかなり親密なものだと何となくわかった。


それは、今まで大好きだったお母さんは何処にいった?全て嘘だったのか?


全てがどうでもよくなってきた。


このまま死んでもいいかなって。


でも、僕は死ななかった。


傷一つ付かなかった。


死ななかったのは僕を助ける為に後から追い掛けてきたお父さんが咄嗟に庇ったんだ。


入れ替わる様に、僕の身代わりに。


その時のお父さんの力は強かった。


その強さが迫る車から大きく離れさせる事が出来たんだ。


お父さんが轢かれる光景を只見ているしか出来なかった。


ハッと気がつくと僕はお父さんへと駆け寄る。


酷い。その一言で十分だった。


身体がぐしゃぐしゃになっていて無事たったのは頭部と右腕位だろう。でも、身体中から流れる血は赤黒くてもう助からないと一目でわかった。


何で?


何で、実の子でない僕を助けたの?


僕は涙を流しながら、声も震えて今にも死にそうなお父さんに問い掛けていた。



『馬鹿、野郎……確かに、俺は、お前の産みの親じゃ、ない。けど、よ、……俺は、お前の、育ての、親、だ。DNA、がどうとか、関係、ねぇさ。お前は、俺の、子、だからな』



そうお父さんは血反吐を吐きながらも、答え終わると何時もの僕を安心させる笑顔を向けてくれた。


僕は。


僕は、嬉しかった。


でも、その嬉しいという気持ちも儚く消えてしまう。


お父さんは僕に笑顔を向けたまま死んでしまったのだから。



後から聞いた医師からは心臓は既に破裂していて即死の状態だったらしい。だからこそ、あの時に僕と言葉を交わしたのが事実であれば奇跡なのだと。


それから色々とゴタゴタがありながらも僕は母親と生活をすると、一年が経ち、あの浮気男と再婚したのだ。



その時の僕は表には出さなかったが母親と浮気男に対して酷く憎悪があった。けれど、僕はお父さんならどうするのかと考えた末に今の両親に対しては既に憎悪や復讐とかはなく、只無関心になっていった。


それは僕がこれから先の未来永劫変わる事は無いだろう。


…………

………

……



久々にいい思いではないがお父さんの事を思い出すとふいに涙が零れそうになる。僕は涙を流すのを我慢しながら閉じていた瞼を開く。辺りを見渡すと、そこはいつもの教室ではなく大理石の様な物で造られた大きな広間であった。咄嗟に思い付いたのはここは何処かの宮殿の中ではないかと思うくらいに広い。


他の生徒達も僕と同時に目が覚めたのか只茫然とこの場を眺めていた。クラスメイトだけではなく三年と一年の生徒、そして教師達もがこの場に集められた様だ。誰もが声が出ずに混乱していると僕は床に目を向ける。そこにはあの魔方陣が彫られた様に存在していたが機能が停止しているのか手で触れても反応がない。



「な、まさか、異世界召喚か!?」



一人の眼鏡君が何やら興奮気味に言っているが異世界召喚についてはアニメや漫画、小説等で大体は知っている。それに続いて他のアニメやゲーム好きの者達が少し騒がしくなっていく。


正直、異世界召喚とか迷惑しか思っていない。


何されるかわからないし、もしかするとこのまま一生元の世界に戻れないのかもしれないから。


そうこう悩んでいると義姉妹の二人がやってきた。



「葵ちゃん……私達どうなるのかな?」


「に、兄さん、大丈夫ですか?」



二人共不安そうに言ってくるが、まず最初に僕よりも光城君の方に行けよって感じだ。冷静に落ち着こうとしている中、更に不安を書き立てる様な表情をしないでほしい。彼女達からしてみれば家族の一人である僕を優先してくれるのは嬉しいけども。


すると勢いよく大きな扉が開かれた。



「あぁ……初めまして、勇者の方々。御気分はどうですか?」



その扉から現れたのは二人の甲冑騎士と一人の女性の魔法使いの様な人を引き連れた美少女であった。義姉妹も中々の美人の分類に入ると思うがそれ以上の美しさと表面上からも滲み出る様な優しさを感じる人物だ。


あまりの美しさに男女問わず心を奪われている中、一人の人物が代表して前に出た。



「はい。今の所は皆大丈夫です。あの、ここは一体……」


「そうですね。その話については我が国王から話していただけると思います。あ、私の名前はレイニア・リ・ルバウスと申します。気軽にニアと御呼びください。では、皆さんにはいきなりですが私達についてきてください。」


「あ、ニアさん!僕は光城……ナオト・コウジョウと申します」


「ナオト様ですか。変わった名前ですね。話は国王との話の後でお願いします」



このやり取りに僕だけでなく光城君を知っている男子生徒は驚いていた。


レイニアさんは光城に対しては好意的な雰囲気でもなかったからだ。普段なら光城君が他の女子生徒に声を掛けられるだけでキャーキャーと叫び、中には光栄過ぎて泣いてしまう者がいる位だ。それほど光城君は女子から人気であるのにレイニアさんは全く顔色の変化もない、光城君からしたらつまらない反応だろう。


その証拠に光城君は余程自信があったのか、それともこれまでの人生の中で初めての反応だったのかポカンとしている。イケメンな癖に今の表情は中々面白い。



「どうしたのですか?私についてきてくださいね?」



とりあえず、僕達はレイニアの後を大人しくついていくのであった。








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