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アイリス

前回のあらすじぃぃぃい!!!


『ラバラス、ドンマイ』


『リヴァイアサン暴走!?』


『最悪の状況に……?』


のどんっ!ι(`ロ´)ノ



「な、何だ、あれは……」



それを声に出したのは冒険者の一人であった。


海大蛇(シーサーペイント)達を退いた後に他の騎士達や冒険者達も呆然とするしかない。


何故ならこのディーサルヌ王国の堤防に巨大な水砲が迫ってきているのだから。



「な、なんじゃ!あれはッ」



ギルドマスターであるイルディアも只驚くことしかできない。その水砲は人智を越えるものであると誰もが判断するだろう。だからこそ何もの出来ないと誰もが悟る。


もう、助からないと。



「何だよっ!あれはッ!」


「わ、わかりませんッ!で、でも、あんなのはもう……」


「万事休す、か……すまない、シキ殿……」


「お、奥様方は逃げてください!お、おれがなんとかして」



リゼット・アルトレア・スミリア・シリルの四人の誰もが混乱しながらも助からないと本能が感じ取っていた。それはそうだろう。その水砲は『海の支配者』であり海の神でもあるリヴァイアサンが放った絶大な一撃なのだから。


しかし、この時[人化]時であるクリムとマシロも身体の一部を失う覚悟で水砲を排除しようとするが、何かを感じ取ったのか金縛りにあったかの様に動きが止まってしまう。



「ね、ねぇなの、クリム……この気配って……」


「まさか……」



しかし、この時の二人の表情は絶望的なものではない。寧ろその全く逆なものであった。



「クリム姉さん、マシロ姉さんッ!何でこんな時に落着きはじめてんだよッ!」


「リゼットさん!水がッ!」



アルトレアが叫んだ時には巨大な水砲が堤防に直撃する直前であった。もう逃げる事等不可能。その水砲は堤防だけではなく国をも吹き飛ばす事を物語るかの様に肌がピリピリと痺れる様な小さな衝撃が感じ取れる。


だが、クリムはリゼット達に言う。



「安心するのだ。『あの方』が来たのなら安心だろう。……ふむ、我もまだまだだと実感するばかりだ」



クリムが言い終わった瞬間、巨大な水砲の前に一人の人物が出現する。そして右手を突き出すとリゼット達が聞き覚えのある幼くも少し傲慢そうな少女の声であった。



「ゆくぞッ!『戦女神之楯(アイギス)』ッ!!!」



するとその人物の右手から白亜と金色を軸として全ての色が混じり合いながらも渦巻く様に美しい色合いの神々しくも優しき楯が出現する。そして巨大な水砲がぶつかるがやはり戦女神アテナが扱いし『戦女神之楯(アイギス)』、リヴァイアサンの水砲を完全に消滅させていた。少女の『戦女神之楯(アイギス)』は相殺したかの様に歪む様に掻き消えてしまう。


その少女は真紅の髪をツインテールにしており、ドレスと浴衣を組み合わせた様な赤い服を着用していたのだ。その少女はリゼット達に向くとしたり顔をしていた。



「おま……あんたは?」


「この姿で会うのは初めてであったな」


「リゼットよ。この方は一度話した事があるだろう。ラヴィ様だ」


「ふふんっ♪弟であるシキの代わりに着てやったぞっ!」



ラヴィは無い胸を張りながらもリヴァイアサンと対峙しているだろうシキに対して何かを感じ取りこう思っていた。



「(余の愛しい(シキ)。『サタン』を使うのか?)」




~~~~~




「……何とかなったか」



シキは静に一息すると俯きながら安心する。しかし、今どの様な表情をしているかは一切わからない。一方リヴァイアサンは未だに苦しみながら身体をくねらせて第三撃の水砲を放とうとしていた。何故、未だに苦しんでいるのかは『禁忌之命金剛石』が大きな要因だ。既に破壊されたとはいえ『禁忌之命金剛石』の魔力が膨大だったのだろう。その支配は少しずつ解放されながらも完全には解け切っていない。例えるなら風邪をイメージすればいいかもしれない。風邪にも様々な種類はあるのだが治りかけが一番しんどい、と言うだろう。今のリヴァイアサンはまさにそれが当てはまる。解放されかけだからこそ、苦しみが酷くなっているのだ。



「……さて、」



シキは静に呟くと肌が褐色に変化していく。背中からも黒い翼が三対六枚出現する。



「……わかってるよ」



リヴァイアサンがラバラスの『支配の宝玉』によって苦しんでいるのは理解している。



「……でも、ね」



幾らそういう事情があるとはいえ、愛するリゼット達に牙を剥いた事には変わりがない。本人の意思とは別だとしても。



「『魔王(サタン)』の力、か」



シキには『魔王の資格』がある。


『魔王』というイメージは地球とこの世界では悪者と取られるのが多数だ。悪者とは決まっていないが『魔王』という単語で無意識に何か負のイメージを持つだろう。


それは『あちら』の世界では只の偏見にしかならない。


『魔王』は王族であり、悪者ではない。


魔界での『魔王』は、例えるなら日本でいう天皇の様な存在であるのだ。


『あちら』の世界に『魔王』には『サタン』・『ルシファー』・『ベルゼバブ』『レヴィアタン』・『ベルフェゴール』・『マモン』・『アスモデウス』・『オダ』の8つが存在している。


悪魔等というイメージが強そうな単語であるが、実際の者達は性格に癖と大きな力はあるがそれを除けば普通の人間と同じだ。


シキには『魔王(サタン)の資格』を持っている。


これは母親である柚希、祖母のソフィアにも資格があるのだ。簡単に説明するならシキ達は『魔王』という名の王族でもある。


だが、シキは全くと言ってよい程『魔王』の力を使った事が無いのだ。制御が出来ない訳ではない。只使わないだけなのだ。



「いくぞ?」



そう呟くと『魔人族』となったシキの姿は既にそこには存在していなかった。



ーーーギャガァッ!?!?



苦しんでたリヴァイアサンは身体の中心にとてつもない衝撃を受けてしまう。身体は超巨大にも関わらずふわりと海面から身体全体浮かび上がったのだ。



「醒めたか?リヴァイアサン」



感情の無く、背筋が凍りそうなシキの声にリヴァイアサンはやっと支配から解かれた。『魔人族』になり『魔王(サタン)』の力と[虚無]を融合した重い一撃により目が醒めたのだろう。しかし、リヴァイアサンは怒りはしなかったが、何だが納得しない表情をしていた。



"ちょっとぉ~!今のめっちゃ痛いじゃない!しかもあたしの(ネイル)がボロボロだしぃ~っ!女の身体を傷付けるなんてサイテ~!!!"


「……は?」



いきなり、頭の中に直接思念が流れ込んできたのだ。しかも今時の女子高生の様な口調と声質で唯唯、キョトンとしてしまうシキ。



"何が「……は?」よッ!幾らあたしが支配に掛かって街に攻撃したのは悪いと思ってるわよ?でも、今のはナイワー"


「……リヴァイアサン?」


"そうよッ!リヴァイアサンって名前は呼びづらいからイアでいいわよ"


「は……はぁ……」



リヴァイアサン、イアは先程の戦闘とは打って変り敵意も何にも無くなっていた。その代わりにシキに対しての不満をタラタラと愚痴っている。正直、面倒臭いと無意識に判断したシキは話し方がうざったいのでもう一発殴ってもいいか、と思いながらも『魔人族』から元に戻っていく。



"へぇー、さっきの一撃といい、私の攻撃を受け切ったなんて凄いわね。多分初めてじゃない?私と同等に戦ったのは。誇っていいわよ?"


「どうも……」


"何よっ!さっきからあたしが褒めてあげてるのよッ!?"


「……正直、全然嬉しくないし、疲れたし」


"はぁぁ?"



何か拍子抜けというようにシキは無意識に狐の『獣人族(ビースト)』に変身してしまう。そして狐両耳がペタンと倒れもふもふな尻尾も萎える様に下へ下がっていく。



"あんた、獣人だったの?……いえ、魔族……とは違う、それに人以外にも……っ?"


「あ、そうだった」



静にボソボソと思念で呟いていたリヴァイアサンだったが、シキは思い出したかの様に[空間庫]から蒼白く大きな宝石の様な卵を取り出した。そしてその卵を親であるリヴァイアサンに向けて差し出す。



「えっと……イアさん?の子供ですよね。呪印(スペル)は解除していますので……」


"あ~……うん"



シキは地球での仕事モードの口調で礼儀を持って卵を差し出したのだが、リヴァイアサンはその我が子を見ながら歯切れの悪い様子だ。すると何かを決心したのかリヴァイアサンはシキには言う。



"ねぇ。あんた、私の子を代わりに育ててくれない?"


「育児放棄?」


"違うわよッ!あたしがこの子を育てたいのは山々だけど……あ、産まれるわ!"


「え」



シキが両手に持っていた卵が激しく光輝くとそのまま孵化が始まってしまう。そんないきなりの展開についていけないシキであったが、気づきた時には既に遅かった。



両手には幼い幼女が目を閉じたままそこに存在していたのだ。その幼女の身体にはリヴァイアサンの様な鱗が所々見えている。ワンピースの様な物を着用していたので中まではわからないが見えるだけでも首と二の腕、太股には確かにあった。



「……ふぁ!?」


「むにゅぅぅ……」


"ほんと、可愛いわよね~。流石あたしの子!"


「え、いや、何で!?」


「にゅ?」



少し眠そうであったが、シキの声で目を開けるとぱっちりとまんまるとした翡翠の双眼がシキを写し出していた。



「……は、はろ~?」


"ちょ!変な言葉教えないでよ!"


「ひゃろ~?」


"遅かった!"


「いや、何で俺がこの子を育てなきゃないの?」


"だって、あたし神様だし……だからこの後また寝ちゃうしね"


「いや、起きろよ。育てろよ」


"だから、あたしは神様だから!色々と事情があるのよ!神様だから!"


「便利だな、神様」


「かみひゃま?」



すると幼女はリヴァイアサンを見ながらもシキと同じ様に復唱をしていた。リヴァイアサンは表情を崩しながらデレデレに幼女に話す。



"かみちゃまで、貴女のお母さんだよ~?"


「おかあひゃん?」



すると暫く幼女はポーッとしているとシキに両手をぶらぶらさせながら『抱っこしろ』といった様に要求する。シキはとりあえずその幼女を抱っこすると嬉しそうに顔を胸元にスリスリしてきた。



「おかひゃん~♪」


"なっ!?"


「へっ!?」



まさかの母親はリヴァイアサン、ではなくシキだと判断したらしい。また女と間違われたと軽くショックを受けながらもシキは幼女に言い聞かせる。



「違うよ?君のお母さんはその……蛇?龍?みたいなイアさんだよ」


「むにゅぅぅ~♪おかひゃん~♪」


"あ、あれー?お、おかあさんはあたしだよ?"



リヴァイアサンは必死に思念で娘に言うが娘は聴こえてはいるものの『何言ってるの?』といった表情で顔を傾げていた。何千、何万年もの間娘を放棄していたからなのだろうか。娘自身は何とも思ってはいない様だが何か感じるものがあったのかもしれない。


リヴァイアサンは物凄く悔しそうな表情をしていたが、何か.安心したかの様にシキに言う。



"えっと、あんたの名前は"


「不知火姫希です。今はシキと名乗ってはいますけど」


"そう、シキね。覚えたわ。その子、アイリスっていうの。もう、直接会うことは無いと思うけど……無責任で勝手な話だけど、娘を宜しくね?"


「え、ちょっ!」



そう言うとリヴァイアサンは掻き消える様にその場から姿を消したのだった。それと同時に豪雨も電気が切り替わる様に止んだのだ。



「……はぁ」


「おかひゃん?」


「ん?大丈夫だよ。さ、帰ろうか」



シキはアイリスを抱えながらリゼット達が待っているディーサルヌ王国へ帰るのであった。




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名前 アイリス

種族 人族・竜人族

性別 女

職業


レベル 1

体力 200

魔力 2000

筋力 200

耐久 300

俊敏 200

ーーー

[固有スキル]


ーーー

[スキル]


ーーー

[称号]

海之神(リヴァイアサン)の子


ーーー


海之神(リヴァイアサン)の加護

海之神(リヴァイアサン)の祝福


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