幻想(ファンタズム)
前回のあらすじぃぃぃぃい!!!
『禁忌之命金剛石はマグナの父?』
『禁忌之命金剛石の素材は生きた生物?』
『ハク、全癒で浄化!』
のどんっ!ι(`ロ´)ノ
「ほぅ。貴様はこれについて知っているのか。まあいい。まずはリヴァイアサンを支配下にしてからだ」
シキの叫びにラバラスはこの酷く不愉快な金剛石について何か知っている事を察したが、一番の優先順位であるリヴァイアサンを支配下にしようと行動する。『禁忌之命金剛石』を『支配の宝玉』に押し込むと沈む様に取り込まれていった。
「ッ!なら、あの宝玉ごど……」
シキはラバラスが手に持っていた『支配の宝玉』ごと破壊しようとするが、その直ぐ側には盾の様にリヴァイアサンの子が浮遊している。万が一の事を考えた後に攻撃を踏み留まり、最優先にリヴァイアサンの子、卵を保護する事に決めるとシキが立っている海面の影が上空に浮かぶラバラスの下へと伸びていく。この時、豪雨だった為に迫り来る影はあまり目立っていないので気づかれる心配はないだろう。リヴァイアサンも同様に我が子を傷つけられたくないのか唸り声を上げながらもラバラスを睨み付けたままその場で留まっていた。
ラバラスは身動きが取れないリヴァイアサンを見ると勝ち誇ったかの様に『禁忌之命金剛石』によって強化された『支配の宝玉』を使用する。
「さあッ!『海の支配者』リヴァイアサンよ!我が支配下になるといいっ!」
『支配の宝玉』は一瞬黒く輝くと黒い靄がリヴァイアサンの身体へとまとわりついていく。リヴァイアサンは我が子が大事なのか抵抗すること無く睨み付けながらもされるがままだ。ラバラスはリヴァイアサンが支配下になる事に酷く愉快な表情であったが、手に持っていた『支配の宝玉』に異変が起こる。
「くくくく……ぬっ?な、何だとッ!?『支配の宝玉』がぁ!?我の手にっ!?」
手に持つ『支配の宝玉』はまるで取り込まれる様にラバラスの手の平へと沈んでいく。この事に驚いたラバラスは手を振り外そうとするが外れる気配が全くない。むしろ手の平に沈むのが速まった位だ。
「っ、今ッ!」
ラバラスが『支配の宝玉』に気を取られいる瞬間にシキは真下に潜めていた影を手のように使い近くに漂っていたリヴァイアサンの子、卵を迅速に収集する。
「よし、何とかリヴァイアサンの卵は……」
少し安心するのだが、蒼白い大きな宝石なのだが、何か黒い靄で覆われていた。中にいるリヴァイアサンの子は苦しそうに微かに動いている。おそらく、『支配の宝玉』によって何かされたのだろう。
「……くそっ。これは、呪印か?なら、『呪印破壊』ッ!」
[白光]と[治療術]の合わせた『呪印破壊』によって卵に纏っていた黒い靄と黒い呪印だけを破壊する。中にいた子は暫く動いていたが解放されてゆったりとした動きとなっている。念の為にシキは[治療術]を施していく。
ーーーギャガァァガァァァバァァガァァァァァァッ!?!?
「ガハァァッ!?な、何だコレハッ!身体が、まさか、我を支配しているのかぁっ!?!?」
『禁忌之命金剛石』を取り込んだ『支配の宝玉』はラバラスには過ぎた物だった。その証拠にコントロールが効かずに徐々に身体が蝕まれていく様に禍々しい泥の様な液体がラバラスの身体を覆っていく。リヴァイアサンは『支配の宝玉』による支配から抗っているのか身体をくねらせながら苦しんでいる。しかし、その支配の影響も暫くすれば解かれるだろう。そうシキは何となく察していた。
幾ら『禁忌之命金剛石』という強大な魔力を誇っているとはいえ、神である存在には一時的な効果しかないのは祖父から聞いていた。神を支配するという行為事態、許されるべきものではない。いや、そう考える事事態が問題だろう。実際は神を支配しようとすれば逆に支配される場合もある。そして支配しようとした者の最期は生きる事さえ感じられなくなる程の、又は冥界に存在している地獄へと墜とされる事は必須だ。
シキはまず、一番排除しなければならない存在へ目を向ける。そこにはラバラスだったのであろう黒い人形の泥が黒い穴の様な双方の目でリヴァイアサンへと目を向けていた。
「オマエ、神様?支配、デキナイ?コロス?デキナイ。ナラ、ドウシヨウ?」
「……ラバラス……は、もう死んでるみたいだな」
ラバラスの人格全てが破壊されており死んだも同然だろう。それほど今の元ラバラスの身体は殺されて支配されてしまっているのだ。シキはもう殺すしかないと判断するとリヴァイアサンの子を強固な[結界]を何重にも張ると[箱庭]へと避難させる。
「一瞬で片をつけるッ!『光新星』・『闇新星』!」
シキは自身の十八番である『光新星』を右手に、『闇新星』は左手に宿すとそのまま元ラバラスへと放つ。光と闇のレーザーが解き放たれたかのようなものであり、シキにとっては威力も中々のものであった。
「ウゥア?ナニソレ?痛イヨ?イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!何デ?ナンデ攻撃スルノ?」
両腕と両足を『光新星』と『闇新星』によって貫通されて海に落ちてしまう。が、身体中から泥の触手、虫の様な手が無数に生まれるとその無数の触手を使い海面へと着地した。だが、痛がる様に発する元ラバラスの声には幼い子供の声が不気味にも聞こえるのだ。この時、その『禁忌之命金剛石』の犠牲者が幼き子供だったことを物語っていた。
「コロス?ボクヲコロスノ?」
「……あぁ」
「コロス?イヤダヨ……イタイノヤダ……」
「すまない。それしか救う方法がないんだ」
シキは『禁忌之命金剛石』に謝罪しながら手に宿した『虚無之剣』を胸元に突き刺した。突き刺した時に固い物、金剛石が砕けるとそのままラバラスの身体と共に燃える様に消滅していく。
「ア……ガァ……」
「せめて、安らかに……」
苦しむと言ってももがく様にではなく、徐々に苦しみから解放される様に安らかに消滅していく。そんな中、『禁忌之命金剛石』は赤黒い目から優しい青眼へと変わると微かな声でシキに言う。
「あ……あり……がと……おにぃ……ちゃん……ぼくを……救って、くれて……」
感謝の言葉であった。
そして感謝する『禁忌之命金剛石』は微笑みながら静に消滅していった。ラバラスの身体と共に。
消滅と同時に突き刺した『虚無之剣』から『禁忌之命金剛石』の記憶が波の様に流れてきた。
その子供は家族全員ある敵国に捕まってしまい奴隷の様に扱われていた。
敵国の怪しき人物に連れられてある場所へと強制的に連れてこられた。
その場所は全てが赤い液体によって汚されていた。
所々に肉片や物等が落ちていた。
子供はその落ちていた物を見て酷く悲しんだ。
その物は家族全員が共通して持っていた物だった。
家族を何をしたッ!と子供は男共に問う。
帰ってきた答えはお前の家族は全員これになったんだよ、とあるものを差し出された。
赤黒く染まった幾つもの金剛石だ。
子供はそれが家族だと理解すると悲しんだ。
泣きながら問う。
何故こんなことをしたのかと。
男共は同情するかの様に、酷く悲しんでいた。
本当はこんな事をしたくなかった、奴隷とはいえこんな酷い事をするのは嫌だった。
男共は涙を流しながら子供をその場所にある大きな棺桶の様な物に入れられる。
『許してくれ……。『禁忌之命金剛石』を産み出さなければ、⬛⬛⬛を倒す事ができないんだ。これしか……この方法しかあいつらを……皆を救えない……』
それが子供の生前最後に聴いた罪悪感に酷く蝕まれていた男の声と後から聞こえてきた大きな騒音だった。
「……それがお前の記憶なのか」
シキは問うがもう既に全てが消滅した後であった。
静に黙祷をするとシキはこれでリヴァイアサンの支配も解かれて何とか一段落するのではないかと、思っていた。
そうなると思っていた。
リヴァイアサンを見てみるまでは。
ーーーギャガァァガァァァバァァガァァァァァァッ!?!?
「なッ!?支配は解かれていないのか!もう、『禁忌之命金剛石』はあの宝玉とラバラスと共に!」
リヴァイアサンは未だに苦しんだまま、もがく様に身体をくねらせて暴れていたのだ。だが、身体に纏っている靄は徐々に薄くはなってはいるので支配から解かれるのは時間の問題だろう。
ーーーギジャガジャガガァァァァァァァァァァア!!!
「なっ、待て!リヴァイアサン!」
リヴァイアサンは苦しみながらも大口を開けて巨大な水の塊を生成していたのだ。それは一つでも国に被弾すれば洪水に、最悪は壊滅する可能性が十分ある威力のものだと瞬時に理解した。シキは慌ててリヴァイアサンを止めようと[影鎖]と[重力鎖]を発動させて拘束するが効果が無いように引き千切られてしまう。
「やばッ!」
ーーーギジャァァァァァァァァァアアア!!!
その水砲はシキ目掛けて放たれる。
先程までの戦闘とは比べ物にならない程の威力であり避ける暇もない巨大さだ。リヴァイアサン自身、無意識なのか力を抑えていた事が窺えるだろう。
「クソッ!なら……ッ!」
シキは迫る巨大な水砲に目掛けて右手を突出す。
そしてそのまま[神気]を宿すとそのまま力を増幅させていく。
「『幻想・戦女神之盾ッ!』」
右手から現れたのは、戦女神アテナの戦女神之楯の劣化版だ。白亜と金色の紋様が入った盾だ。『戦女神之楯』は一応は発動は出来るのだが、失敗する可能性があったので劣化版として『幻想・戦女神之盾』を発動したのだ。劣化版とはいえ、一時的には本物と同等の能力を発動するので短時間であれば問題はないだろう。
「ぐっ!?はぁぁぁあッ!!!」
巨大な水砲を『幻想・戦女神之盾』で防ぎ切るとそのままリヴァイアサンへと押し返す。
リヴァイアサンは自ら放った水砲に当たってしまうが、そのまま第二撃の水砲を口に生成させるとそのままシキとは違う場所へと放つ。リヴァイアサン自身何がどうなっているかわからないのか適当に訳もわからず放っていた。
しかし、その放たれた場所が問題だった。
「そこはッ!」
思わずシキも取り乱すしかない。
何故ならリヴァイアサンが水砲を放った場所は。
リゼット達がいるディーサルヌ王国の海岸方面であったのだから。
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