番外編-フェンリルに食べ物を!
異世界にまた来ると約束したので、現実世界の休みの日にやってくると、いつものように火瑠璃と氷子が出迎えてくれた。
狐耳の彼女、舞風は今日は保護者によってお勉強の最中であるらしい。
そういった話をしていたところで俺は気づいた。
「フェンリルのティースが見当たらないんだが」
「実はまた、メスに振られたらしくて」
火瑠璃がため息をつく。
なんでもこの前、またメスに振られてしまったらしい。
いつもの事なのだが、今回は二連続だったそうで。
「モテモテハーレム作りたいって嘆いていましたね」
氷子が嘆息するようにいう。
気持ちは分かるが、それを口にして氷子達に聞かれるのはどうなんだろうかと思ったが、フェンリルのティースは人間ではなかった。
感覚的には人間の男が、猫に、『モテモテハーレム作りたい』といっているようなものかもしれない。
……色々と思う所のある光景だが、何か元気の出るものはと思って、生肉が主だと気付く。
仕方がないので、火瑠璃と氷子と一緒に新鮮なお肉を手に入れるために冒険に。
ちなみにこの肉は戻ってきたらここのおやっさんがさばいてくれるそうだ。
だがそれには条件があって、それで料理を作る必要があるそうだ。
「醤油ベースの味付けの、和風スペアリブにするかな」
といったのを決めて、“トサカ豚”という鶏のとさかのようなものが生えた野生のイノシシのような動物……魔物を刈る。
さばいてもらった俺はフェンリルを呼びに行って、
「ティース、傷心のティースのために“トサカ豚”を捕まえてきたぞ」
「本当か!」
ティースが一瞬で元気になった。
現金だなと思いつつ、それから俺はティースに肉を渡してから料理に移る。
醤油を中心とした独自配合の調味料、ほんのりとショウガのようなもので香りづけをした甘辛いたれを塗り、やいた。
よく分からないが、この世界でのスペアリブは、塩コショウが至高であると思われているらしい。
場所が変わると違った風な思考になるようだなと思いながらそれらを焼いて出す。
火瑠璃と氷子も皆が楽しんでくれる。
誰かがうれしいと言ってくれるこの空間は心地よかった。
まだまだ先は長そうだけれど、だから俺はまたこの世界に来てしまうのかもしれない。




