表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/40

魔法を分析予定

 どうにか先ほどの蛇の様な魔物を倒した俺。

 危機に陥ったが為に新たな力が展開が俺の身に起こるという、驚愕の事実に直面したのはいいとして。

 試しに、火瑠璃にもらったカード……すでに先ほど使ったカードは、見えていたはずの模様が消え去ってしまった。魔法を発動してから、少し経つとその模様は消えるようだ……に向かって念じてみる。


 すると今回はすんなりと脳裏にゲームの選択画面のようなものが浮かびそれを選択。

 と俺の持っているカードが淡い赤い光りに包まれて何か絵柄が浮かび上がる。


「カードに何か描かれているな。……火球(ファイヤー・ボール)みたいだな」

「それって私も使えるわよ? 得意なの」


 火瑠璃がそう俺に言ってくるが、そうなのかと受け流してカードを見つめる。

 何故か火瑠璃がむっとしている。

 適当に相手をしたのがいけないのかもしれない。


 だが俺の興味はそのカードに向かっていた。

 もしかしたなら、これならば、これからは本当に魔法が使えるかもしれないからだ。

 なので自分の目の前にそれをかざして、


「“発動”……とか?」


 試しに呟いてみると、明らかにその紙の大きさ以上の炎の塊が現れて前方に飛んでいき、大きな爆音と爆煙を上げる。

 ちらちらと周囲に赤や黄色に輝く火の粉が散らばりとても綺麗だ。

 しかも魔法を発動した後には、その医療kを物語るような丸いクレーターが残っている。


「……へぇ、こんなにすごい威力なのか。ゲーム内ではこんな風に地面がへこむ描写はなかったから気付かなかったな」


 そう一人納得頷いて、火瑠璃に他の事を聞こうとした。

 けれど彼女は俺の放った魔法をじっと凝視して微動だにしない。

 しかもいつの間にか傍に来ていた氷子も、口に手を当てて驚いた表情でそれを凝視している。

 とりあえず俺は火瑠璃の肩を叩き、


「どうしたんだ? 二人して凍りついたように固まって」

「……一つ聞いていい?」

「? 構わないが、なんだ?」


 どうしてこんなに火瑠璃と氷子は驚いた顔をしているのだろうと思っていると、火瑠璃が確認するように、


「今使った魔法は、火球(ファイヤー・ボール)よね?」

「そうだと思う。カードに描かれた絵がらが選択した時に表示される説明文に添えられたイラストと同じだったし」

「……火球(ファイヤー・ボール)はもっと威力が弱いはず。そもそも私だってあんなに強くない。せいぜいその十分の一の威力よ」

「そうなのか……じゃあ今度は威力を弱めたいが、どうやって弱めるんだ?」


 先ほどのカードに魔法を封じ込める際も、ゲームの選択画面の様なものが浮かんでそれで選択したのだ。

 それこそ今目の前にあるような半透明の水色の四角い場所で、横に上下に移動刺させるスクロールバーがついていてその上の段には攻撃魔法や防御魔法を選ぶ選択肢が置かれていて……。


「あれ? 何であれが目の前にあるんだ?」


 俺は呟いた。

 ゲームをしている時の選択画面が宙に浮いている。

 何かの幻覚でも見ているのかと俺は目をこするが、やはりそこには見える。

 

 とりあえず消えろと命じてみた。

 その選択画面が瞬時に俺の目の前から消失する。

 次に現れろと念じてみた。

 すぐに俺の目の前に先ほどの選択画面が現れる。


「……何だこれ」

「? さっきから一人で唸ってどうしたの?」

「ああ、火瑠璃にも見えると思うんだけれど、これだが……」

「? 宙を指さしてどうしたの?」


 不思議そうに火瑠璃に問いかけられて俺は目を瞬かせる。

 だってこんなにはっきりと見えるのに、どうやら火瑠璃には見えないようだと気づく。


 ならば魔法という形で見せたほうが良いかと俺は、とりあえず再び先ほどの火球(ファイヤー・ボール)を選択する。

 軽くその文字列を指で触れると、板か何かに触れているような感触がある。

 同時にその文字列が白い光を放って点滅する。そして、


「おお、カードが光ってる。試しに弱め弱めと念じてみるか」


 といった気楽な気持ちで俺はカードに念じてみる。

 そしてカードから発せられた黄色い光が消失すると同時に、先ほどと同じ絵柄が現れる。

 それを俺はしげしげと眺めながら、試しに前方にそのカードを掲げて、


「“発動”」


 そう呟くと同時に、先ほどの五分の一程度の大きさになった火球が飛んで行って、先ほどのように爆煙を振りまく。

 それを見て俺は、


「カードになる時に弱くなれって念じれば、威力が弱まるみたいだ」

「そうなんだ、それで、どうやってこのカードが使えるの?」

「何だかよく分からないけれどできた」

「……」

「……」


 半眼で俺を見てくる火瑠璃。

 そんな風に思われても、俺だって分かっていて使っているわけじゃないのだ。

 だから説明しろと言われても困ると俺が思っていると、そこで氷子が火瑠璃の肩を叩き、


「火瑠璃、時間系の魔法は確かに才能は必要だけれど、それが起る過程ぐらいは分かるんじゃないかな」

「つまり、どういうこと? 氷子」

「アキトにカードを作ってもらって測定するの。そうすればどういう構造になっているのか分かるから……」

「量産できる!」


 目を輝かせる火瑠璃。

 そしてもう一度、火球(ファイヤー・ボール)のカードを作らさせられた俺。

 それを火瑠璃に私と大事そうにしまう。


 火瑠璃がとてもご機嫌だ。

 そして分析は部屋でも出来るからという話になり、先ほどの蛇の魔物を倒した俺達は、その魔石を拾い帰宅する。

 そんなこんなで、俺はようやく貰ったというか目覚めさせられたらしい力を使う事が出来るようになったのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ