誰?
その男はかなりの男前でサングラスをかけており、その向こうから見える目はとても鋭く切れ長だった。
声は低く、一度見たら忘れることはないだろうと思うほどのイケメンだった。
「お前……帰ったんじゃないのか?まったく・・・今度は何をする気だったんだ」
男はハァ~とため息をつき呆れたように言う。
彼は美帆、美帆と知り合いのように言ってくるが美帆は彼のことを知らない。
「えっ、ちょ、あんた誰?」
ピシリ、そんな効果音が似合うような空気に変わった。
男は眉を寄せ不機嫌さを思いっきり表に出している。
「美帆・・・・ふざけてるのか?タチが悪いぞ」
「いや、ふざけてないんですけど。まじで誰?」
本気でわかってない、と感じたのか男は信じられないことを口走った。
「太野成寅だ、お前と同じクラスで俺とラアと優奈と友幸でよく四人でいるだろ」
おかしい、美帆が知っている成寅はもっと女っぽく、こんなにかっこよくない。
それにラアと言う人物のことは知らない。芽依の名前もないことに気が付く。
「お前、水神魔法の授業サボっただろ。先生怒ってたぞ、今から補習だと」
魔法、その単語に夢を見ているのではないかと感じる。
いや、それとも芽依たちがしかけたドッキリかもしれない。
しかし、もしこれがドッキリではないとしたら・・・
「ここが……噂の世界?」