私の友達
「うん、確かにね。ちょっとびっくりしたよ」
美帆はそう言って成寅と話す。
彼女たちが言っているのは今日遅刻すると連絡が入っていた美帆の親友とも呼べる友、荒木芽依《あらきめい》のことだった。
芽依は今まで一度も風邪をひいたことがないと言うことが自慢のお転婆少女だった。
「だよね~、成もそう思ったんだけどさ~」
さて、最近美帆が気になっているのが成寅の喋り方だった。
第一、自分のことを「成《しげ》と言うこと。
女子でたまにいるのを見かけるが男子ではあまり見かけない。
それは一応美帆がまだ色んなタイプの人と出会ったことがない、と言うことにしよう。
そして、もう一つ気になるのが話し方、そして仕草だった。
成寅の仕草と言ったら本当にどこの女子と比べても引けを取らないくらい可愛すぎる。
彼曰く「男だから可愛いと言われてもうれしくない」とのことなのだが本当に男か疑いたくなる。
普通の男子がやればオカマと呼ばれるのがオチだが成寅だからこそ許されることだった。
「芽依は病気と言っても頭の病気らしくて精神科いったらしいよ」
突然の乱入者、それは身長が高くもろ男らしい声。
原野友幸だった。
彼は美帆と仲の良い友人の一人、そして芽依と知り合うきっかけを作ってくれた人だ。
普通にしていたら一応モテる男の部類に入るのだろうが彼には一つ、問題があった。
「あっ、原野君。これ・・・」
「ひゃう!あっ……はい……どうも」
たかだか女子に落としたものを拾ってもらっただけでこんな有様。
そう、友幸は美帆を含む3人の女子以外には話すだけで緊張してしまうのだ。
「原っち……ダサッ」
美帆の呟きを友幸は「るせー!」と返す。
時間はすでに昼、そろそろ芽依が登校してきてもいいと思う。
美帆が目線をはずして廊下を見るとポニーテイルが似合う少女が教室に入ってくるところだった。
そしてそのポニーテイルの少女と楽しそうに話ながら一緒に教室に入ってきたのは美帆が待ちに待って行った友人、荒木芽依《あらきめい》だった。