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魔法の呪文を唱えたら  作者: 五月
集まる友
10/11

まだまだ

「・・・・い、・・・ろよ・・み・・・・・・美帆!!」


揺さぶられ目を開けるとそこには友幸の顔が目の前にある。

ああ、やっぱり夢だったのか。

安心してアハハ、と笑う。


「ばっかだな~、鏡の前で寝るとか。風邪ひくしすっげぇ面白い感じになってんぜ」


そう言ってカラカラ笑う友幸の臭いに美帆は顔をしかめる。

女ものの香水の匂いだ。

それも一つや二つではなく、かなりの量が混ざった臭い。

美帆はもちろん、優奈も芽依も香水を使わない。


「原っち・・・くさい」


まじで!?と驚いて自分の臭いをかぐ友幸。

クンクン、と何度か嗅いだ後


「ああ~、この臭いは一組の茜ちゃんと一つ上の小鳥先輩と……」


次々と上がる女の名前。

友幸は女の人の顔はおろか、名前を出すことも中々できないシャイボーイだったはず。

一体何をしたのだろう。

そう疑問に思い質問すれば友幸はさもいつものように、と言った感じで


「え、聞いちゃう?ナニしてたかだなんて」


と笑うのだった。

そこでやっと美帆は気付く。

成寅の場合容姿、声が変わり友幸の場合は性格がまったく真逆になる。

つまりここはまだ鏡の向こうの世界なのだ。

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