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短編集

はじめてのおつかい・天

作者: 毛賀深輪

後半からかなりゴチャゴチャしてきます。

疲れたら、定期的にこういう悪ふざけをあげてかないとモチベーション続かないんです。言い訳です。

「は~い、じゃあ気をつけて行ってらっしゃ~い」

「……うん」

 こけっ

「言ってる側から転んでるし。 大丈夫?」

「……うん」

 さあ、今日のはじめておつかいをするのは、ささきあゆむちゃん、4さい!! いつもはママといっしょに歩くこの道も、ひとりでおつかいだと、なんだかちがう道みたい!! あゆむちゃん、ちゃんとおつかいできるかな~?

「……ママは、いないよ」

 あれれ~? それじゃ、さっき見送ってくれたのは、お姉さんだったのかな~?

「……義母」

 たいへん!! 踏み込みすぎちゃいけない世界だったみたい!!

「……いこ」 

 こけっ

 いたい!! いきなり転んじゃった!! 大丈夫かな~

「……いこ」

 痛くない痛くない!! えらいねあゆむちゃん!! 

 こけっ

 さてさて、それじゃあ今日のおつかいルート!!

 こけっ

 今日は、この桜木公園の前を通って~……

 こけっ

 信号を渡ったところにある……

 こけっ

 八百屋さんに行って……

 こけっ

 転ぶね!!! 

「……メモ」

 そうそう! おつかいのまえに、もらったメモを確認しておかないとね!!

「…………」

『きゃべつ、かりふらわー、ぱぷりか、しらがねぎ……』

 際どい!! なんだか一歩間違えたらたいへんなことになりそうなラインナップだよ!? しかも一つは食材の名前ですらないひっかけだよ!!

「あと……『高麗人参』……?」

 たいへん!! ここにきてお義母さんが本気で仕留めにきてるよ!! あまりにフェアじゃないよ!!

「こーらいにんじん……やおやさんでうってるのかな……」

 まさかだったねあゆむちゃん!! 読めるんだね!! 一枚上手だったね!! みたか! オラみたか!! 義母!!

「あ……ちょうちょ……」

 あれ? ふわふわふわふわ、ちょうちょがとんできたね!

「あ……おはな……」

 あはは。やっぱりあゆむちゃんもまだまだ子ども。ちょうちょを追いかけて、お花が咲いてるところまでいっちゃった!

「……おはなつも……」

 あれれ~? あゆむちゃん、お花摘みにいっちゃうの? でも、そっちは八百屋さんとは別の道だよ~!!

「…………おはなつみ」

 え?

「……おんなのこが……『おはなつんでくる』っていってるんだけど……」

 大人か!!!!



 さ~て、あゆむちゃん。すっかり遅くなっちゃったけど、やっと八百屋さんについたね!!

「……きゃべつ……かりふらわー……」

 でもたいへん! 大方の予想通りではあるけど、はじめてのおつかいにはハードルが高すぎる顔ぶれに、あゆむちゃんも困ってるよ!?

「へいらっしゃい!! おっ、あゆむちゃんじゃないかいっ!!」

「……やおやさん」

 あ!! 八百屋のおじさんだ!! よかったね!! これでなんとかなりそう!!

「なんだいっ!? 今日はひとりでおつかいかい!? いや~、偉いねあゆむちゃん!!」

「……ください」

 あゆむちゃん、メモを渡したね! えらいえらい!!

「なになに~? キャベツにカリフラワー……パプリカに高麗人参かあ……。白髪ネギ?」

「……くださいな」

 さ~て。おじさん、白髪ネギに関してはうまいこと立ち回ってくれるのかな~?

「はは~ん、このメニュー。あゆむちゃんち、今日はカレーだなあ!?」

「……ごたくはいいから……」

 こわいこわい!! あゆむちゃんこわいよ!! おじさんなりのジョークだって!!

「はは、あゆむちゃん! 白髪ネギってのは調理法のことだな~」

「……?」

「まあいいや。おっちゃんに任しときな!! キャベつにカリフラワー……ホイホイホイっと!!」

「…………」

「はいお待ち!! コレで全部だ!!」

 やったねあゆむちゃん!! これで頼まれた物は……これで……アレ!?

「…………」

 ちょっと待ってあゆむちゃん!! レタスにブロッコリー、ピーマンにただのニンジン!? これは一体……!?

「……クククク……」

 ハッ!?

(……ククク……。これでいいんでやんすね? 佐々木さんの奥さん……)

 た、たいへん!!!! 義母の息がかかった人間だったよ!!? 「やんす」とか言ってるしとんだ三下だよ!! てゆーかコレ何のためのおつかい!?

(依頼とありゃあ、手を汚す……。八百屋のあっしは仮の顔。本当のあっしの姿は、はじめておつかいにやって来たガキンチョ共に洗礼を与えるのを生業とする……通称、新人潰しのハチ!!!)

 めんどくさい!! なんでこんなめんどくさい人しかいないのかなこの町は!!

「……これは……」

「ああ、コレ? 白髪ネギ」

 うそだよ!? それは白髪染めだよ!!? そもそも八百屋に陳列してるものじゃないよ!?

「白髪ネギってのは、加工したネギの事をいうんだよあゆむちゃん。つまり、こいつを……」

 パカッ。ぬちゃあ~~。

「こうやって頭につけてやりゃあ、白髪ネギの完成よぉ!!! おぉ~、カッコイイじゃねえかあゆむちゃん!!」

「…………」

 頭おかしいんじゃないのこのオッサン!!! 

「はっはっはー! よかったなあ、あゆむちゃん!! カッコイイぞははは!! は……」

 ズゴムッ!!

「…………」

 あゆむちゃん!?

「は、はは……。あゆむちゃん? なんでおじさんの髪の毛を引っ張るのかな……?」

「……しらがネギ……おすそわけ」

 あゆむちゃん!?!?

「はは……お、おじさんはねえ、白髪じゃないからいいんだよ~。はは、それより薄毛が気になる歳で……」


 こけっ


「ああああああああああ!!!」

 あゆむちゃーーーーん!!!!!



「……きゃべつ……かりふらわー……」

 あーあ~。結局なあなあで、ニセモノの野菜ばっか買うハメになっちゃったね……。このままじゃ、おつかい失敗だよ~……。

「……ぱぷりか……」

 さすがに、あゆむちゃんもしょんぼりしてるみたい……。

「……こーらい……あ!」


 バシッ!!!


 え? え!? どうしたの!?!?

「ヒャッハアアアァァーーーー!!! 俺は引ったくり様だぜぇーーーー!! バッグは頂くからなあ!! あばよ、お嬢ちゃんッ!!!」

「…………」

 踏んだり蹴ったりだね!!!!! 幼心にトラウマを植えつける企画じゃないんだよ!?!? この町ホントにどうかしてるよ!?

「へっへーー!! 引ったくりの俺様が自転車に乗って、この曲がり角を曲がってぬけぬけと遠くに逃げてやるんだぜ!!」

「…………くる」

 え!? なに!? お空を見上げて、一体あゆむちゃんどうしたの!?

「へっへーーー……あれ? う、うわああああ!! なんだ!? か、体が宙に!?」

 た、たいへん!! 引ったくりが自転車のまま空に浮かんでるよ!? どういうこと~~!?

「……!!」

 え、ええ!? あゆむちゃんまで、体が浮き始めているよ!! どうしてなの!?

「……はじまる」

 たいへん!! なにかが始まろうとしているんだよ!!? あゆむちゃんは一体この世界の何を背負っているっていうの~~~~~!!!??



「オイ、ドウイウコトダ! ワタシはセイジンダンジョ2メイのケンタイをツレテコイとイッタ!! ヨウジタイがケンタイにナルモノカ!!」

「モ、モウシワケアリマセン、テイトク!! ナニセ、キョリがアッタモノデテッキリ……」


 こ、ここは一体……?

「…………」

 おきて!! あゆむちゃんおきて!!

「…………んむ」

 たいへんだよ!! たいへんなことになったよ!! なんだか変な部屋に閉じ込められているんだよ!!

「テイトク!! ケンタイBガ!!」

「オオ、メザメタカネ」

「…………どこ」

「ハジメマシテ、チキュウジンのショージョヨ。ワタシはコノフネのテイトクダ。ココはワレワレ、『ダンジョーセイジン』のウチュウセンダ」

 だ、ダンジョー星人!? 宇宙船!? 一体、なにが目的だっていうの~~!?

「コワガルコトハナイ。ワレワレダンジョーセイジンは、ナニもチキュウをシンリャクシにキタワケデはナイ。ダンジョーセイジンのニンムはカクホシボシをマワッテ、ソレゾレ2メイズツのセイジンダンジョをサンプリングスルコトにアル。ダンジョーセイジンはセイジンダンジョイガイにキョーミはナイ」

 なに!? なんだかとってもわかりにくいよ!! 男女星人が成人・ダンジョーをなんだって!?

「…………かえして」

 そ、そうだよ!! なんだかわからないけど、あゆむちゃんはおつかいの途中なんだよ!?

「モチロン、ソノツモリダ。シカシ、ジツはモンダイがアルノダ……」

 問題~!? いったいどういうこと~!?

「テイトクとワレワレは、モウチキュウのタイザイジカンがギリギリナノデス!! コレイジョウ、オジョウチャンのカワリニナル「ジョセイのケンタイ」をサガシテイルジカンはナイノデスヨ……」

 そ、そんなあ!? それじゃあ、あゆむちゃんは!?

「イマスグにデモカワリがミツカレバハナシはベツナノダガ……。ソウデモナケレバヤムをエズ、キミをケンタイとシテツレテイクシカナイ……」

「ソウ、イマスグにデモカワリがツレテコレルナラハナシはベツナノデスガ……」

 そんな……今すぐ代わりの女の人を連れてくるなんて……そんなことできるはずが……。

「…………じっ……」

 まさかそんな……残酷な……。

「…………じっ……」

 あ、あゆむちゃん? 虚空を見つめてどうしたの……?

「……じぃっ……」

 み、みえてるのあゆむちゃん……!? 私のことを見てるの!?

「……じぃっ……」

 いや、確かになにかと会話が成立してたりしてたこともあったから薄々不自然だとは分かってはいたけど……。い、いやいや!! ごめん! 見えないフリして!! お願い!!

「…………」

 ごめん、ここまで勝手についてきてアレだけど、そればっかりは無理だよ!! だって、どう考えても一生帰ってこれないじゃない!! それにお姉さんはね、実は成人女性じゃなくてピッチピチの……

「…………………………ぐすっ」

 

 な……ななななっ……なななあ……なななな……!!!!


 泣くの!!!?!?


 ここぞという所で!!! ひ、卑怯だよあゆむちゃん!!!! 引ったくりに鞄を掻っ攫われても微動だにしなかったあゆむちゃんがまさかそんな……!! はは、ホントもうあゆむちゃんは腹黒いなあ!! お姉さんは騙されないゾ!! そうやってちょっと媚びられたくらいで……。

「えーん」

 うおっしゃあああああ!!!! 成人女性はここだあああああ!!!!!

「ナ、ナンダ!?」

「ナニもナイクウカンカラオンナガ……!?」

 誤解しないでね!! 全国の夢を持った子どもたちのみんなのために言うけど、21歳なんだよね!! ほんっと、成人女性成りたてなんだなーー!!

「チキュウジンは……コンナにシンポしたコウドなステルスキノウを……」

「ソンナコトヨリもデス、テイトク!! タカダカイッカイのヨウチエンジにサエ、イチイチステルスボウゴをホドコシタボディガードがツイテイルダナンテ、モシカシテチキュウジンのグンジリョクは、ソコシレナイモノナノカモ……!」

 すみません!! あまり舞台設定に触れるようなところばっか食いつかないください!!

「…………マアイイ、コレでジョセイのケンタイはトトノッタ……。ヤクソクドオリオジョウチャンはカイホウシテアゲヨウ」

「……うん」

 あゆむちゃん!? 満足げにうんじゃないよ!! お、お姉さん、ちょっとは食い下がってほしいなあ~!!

「バイバイ」

 あれれ~っ!!!? 即答だね!? 慈悲の欠片もないよ!! もう用済みなんですねワタシは!!

「サア、オンナ!! コッチヘクルンダ!! モウジカンもナイ!!」

 あの~、ちょっと待って欲しいんだけどなあ~~。

「ツベコベイウナ!! ハヤクシロ!!」

 いった!! ……え? なんですか? そういう対応するんですか? こっちは仮にも協力者なのに?

「……ハ?」

 ハ? じゃないでしょ? ちょっとまって? 貴方たちの星には一個人の気持ちを尊重するっていう精神すらないの? 警察だって、犯罪者に「任意同行」を要求するんだよ? 犯罪者にだよ!? 文明ばっかりどんどん進歩させてんだかなんだか知らないけど、そもそも貴方たちが地球人より優位に立っているっていう根拠はなんなの?

「……イヤ……ダッテアナタ……ケンタイダシ」

 検体検体っていうけど、それは貴方たちが勝手にそう扱ってるだけでしょ? 傲慢から来るものでしょ? ここは地球なんですけど!? てゆーかアレよね。貴方たちが言ってるのって、ジャングルの奥底の原住民が、余所者を問答無用で生贄扱いにするのと全く同じよね? あれれ~~???? 知識はいっちょ前の癖に、行儀や作法は原住民と同等なんだね~~??

「ナニをシテイルカ!! ハヤクレンコウスルノダ!!」

 アンタさあ、途中からしゃしゃり出て偉そうに喋ってくるのやめて欲しいな……。

「エ……」

 ただでさえ、2人して宇宙人キャラ被ってる癖に、喋り方まで被せちゃってさあ……。言葉も全部カタカナとか安直な……。助詞系統だけ平仮名にしたって読みにくいもんは読みにくいんですけど。全然フォローになってませんけど?

「イヤ……キャラトカジャナクテ……。テユーカ……地の文がスクナイカラ、ドッチがシャベッテルカワカラナイのはアルテイドはシカタナインジャナイカナーッテイウフウには……ジブンナリに、イチオウオモッテはイルンデスケドネェ……」

 地の文がないなら、自分で努力しようって気はないの? いつまでたってもそんなに受身だから、宇宙人=カタカナ言葉、っていう謂れもないイメージが後世まで語り継がれていくのよ? 

「……ハァ」

「………………」

 ↑今見た? あゆむちゃんなんか、絶句してるだけなのに誰だか分かるのよ? 三点リーダーの数でさりげなくアンタの数を抜いた上で、あなたの発言の後に被せてくるっていう手法で、『あくまで宇宙人の発言ではない』っていう一線を引いた高等技術をあの歳で……

「ウルサイナ!!!! ウルサイナモウ!!! メッタメタなコトバッカイウンジャナイヨ!! ダイタイ、ナレーターのオネエサンキャラをカンペキにワスレサッテルアンタにイワレタカネエンダヨ!!!」

 いけない!! おねえさん、つい役割を忘れて熱くなっちゃったみたい!!

「モウユルサン!! キサマも、コノガキもチキュウへはカエサン!!」

 た、たいへん!! これは本当にたいへんなことになったかも!!

「………………」

 あ、あれれ~? あゆむちゃんの目が怖いよ~~?

「…………おい」

 ごめんってばあゆむちゃん~!! おいはキツイよぉ~!! 殺意のドストレートが突き刺さってるよ~!!?

「フン!! イイキカイダカラホントウのコトをオシエテヤル!! ナニをカクソウワレワレは、ショクジンブンカをモッタブンメイジンナノダ!!」

「…………しょくじん、ぶんか?」

 しょくじん……? ま、まさか……食人文化!?

「ソウ!! カンジにスルトソレダ!! ワレワレがカクワクセイをマワリ、コウシテヒトサライをシテイルのは、ワレワレがホショクデキル、カッコウのカチクドモがスマウホシをサガシテイルカラナノダ!!」

 た、たいへん!! とんだゲテモノ星人だったよ!?

「フン、ナントデモイウがイイ……。サテ、ケンタイとシテボセイにモチカエルのはソッチのウルサイオンナヒトリダケデジュウブン……。ソッチのガキンチョは、イマカラワレワレがコノバでリョウリシテクレルッ!!!!」

「…………!」

 た、たいへんたいへん!! たいへんだよ!!!! あゆむちゃん、食べられちゃうよ!!

「…………」

「フフフ、カンネンスルがイイ……」

「テイトクッ!!」

 あれれ!? 奥の部屋からもう一人宇宙人が出てきたよ? 何人いるの!?

「サキホドケンタイとシテトラエタオトコがモッテイタショクザイで、チキュウのリョウリをツクッテミマシタ!!」

 引ったくりのことだ!! さっきの引ったくりのこと忘れてたね!! あゆむちゃん!!

「フン、チョウドイイ。ナラバソノリョウリをゼンサイに、ディナーとシャレコモウデハナイカ……。チナミにソレは、ナントイウリョウリダ?」

「ハイ!! 『サラダ』とイウモノデス!! コチラにナリマス!」

 そうだね!! 確かにあのメンツだと、サラダが妥当だね!! 案外考えられたメモだったのかもねアレ!! でも、今となってはその真偽は永遠に闇へと葬り去られることを余儀なくされ、二度とその答えを知る術はないんだねあゆむちゃん!!

「…………」

「サア、ナラバミナでシュクハイとイコウデはナイカ!! サア、テーブルをカコモウ! ドウシタチヨ!! カンパイのジカンダ!!」

「ヤッター!!」

「ワーイ!!」

 こ、このサラダが食べ終わったら……あゆむちゃんは……っ!!

「…………」

「サテサテ、ソレデハワレラのニンムのセイコウ、ソシテサイコウのディナーをシュクシテ……」

『カンパーーーーーーイ!!』

「…………」

「ヨーシ!! イタダキマース!!」

「ウヒョ!! ウマソー!!」

「コレナニ!? コレナニ!? ウワサのブロッコリ!? ブロッコリ!? コレ!!」

 ぱくぱくぱくぱく

「…………」

 ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく

「……………………」

 ぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱくぱく

「…………にや」

 え……?





「……ウゴッ!?」

「ウググッ!?!?」

「グエッ!!!!」

 た、たいへん!!! いや、別に何もたいへんではないんだけど!! いきなり宇宙人が勝手に苦しみ出したよ!?

「……ナ、ナナナ……ナンダコノドレッシングのアジは……!!」

「マ、マルデ……ゲキヤクデスゾ!!!! ウゲッ!!!」

「……カッ!! ウグゥ……」

 ド、ドレッシング!? 確かそんなものを買った覚えはないよね、あゆむちゃん!? レタスにブロッコリー。ピーマンにニンジンと……。白髪……ネギ……はっ!!

「…………ごごごご」

 まさか!! まさかだよあゆむちゃん!!

「チ……チキュウジンのショクセイカツは……イッタイッ!!?」

 白髪染めだよ!!!!! 残ってた白髪染めをドレッシングと間違えたんだね!!!!

「……いこ」

 あ、うん! 急いで逃げ出さないとね!! あゆむちゃん!!

「……グオォ……マテェ……」

 あゆむちゃん危ない!! 後ろ後ろ!!

「……!!」


 ヌルッ


「ウワアアアアアアア!! ナニコレナニコレ!! ナンカコノガキのアタマスゴイヌルヌルスル!! ナンダコレ!! ゴシンヨウナノ!?」


『こうやって頭につけてやりゃあ、白髪ネギの完成よぉ!!!』

 

 八百屋の……おっちゃんッ!!

「…………ここ」

 え? あゆむちゃん、なにかみつけたみたい!!

「…………ボタン」

 すごい!! あゆむちゃん、きっとここは機関室だね!! ここなら、この宇宙船を止めるスイッチもあるはずだよ!!

「…………き、ん、きゅ、う……」

 え? きんきゅう……? 緊急脱出!! そうだね!! これだよあゆむちゃん!! この際漢字読めるとかそういうのどうでもいいや!!

「ソコ……マデダ……!!」

 あれえ~~!! この声は!?

「ズイブンスキカッテヤッテクレタナ……!」

 宇宙人提督だよ!! あゆむちゃん!!

「ソノキンキュウダッシュツスイッチをオセバ……ゼェゼェ、タシカにオマエタチはダッシュツデキル……ダガ、コレをミテモ、マダソンナカンガエが……モテルカナ!?」


 ジョーン!


 あれあれ!? なんだなんだ!? 大きなモニターに、お家の写真が映されたよ!? って、あれれ!? あ、あのお家、もしかして!!

「…………あゆむんち」

「フハハハハハ!! ソノトオリ!! モシキサマラがダッシュツシタラ、スグにデモコノザヒョウに『スペースダイナマイト百式』をブチコンデヤル!! ソウナレバ、オマエのイエダケジャナイ。ソコをバクシンチに、チキュウゴトダイバクハツをオコスコトにナルンダゾ!! フハハハハ!!」

「…………」

 な、なんて卑怯なの!! 汚いよ!!

「ナントデモイウがイイサ!! グヘヘヘ! サア、エラブンダナ!! チキュウをマキコンデシヌカ……。ソレトモオマエヒトリのギセイで、チキュウをスクウノカ!!」

「………………」

 たいへん!! かくして人類の命運は、あゆむちゃんの双肩にかけられちゃったんだよ!!?

「フハハハ!! ドウスルドウスル!?」

 あゆむちゃん……。





「……………………ぎぼ」

 ……え?

「義母」

 あゆむちゃん? ど、どうしたのかな?

「義母…………義母義母義母義母……」

 あ、ああ。義母ね……。えっと、やっぱろお義母さんが嫌いなのかな……。 で、でもねあゆむちゃん。死んじゃうのはお義母さんだけじゃなくて、世界中の……

「義母義母義母義母義母義母義母義母義母義母義母義母義母ギボギボギボギボギボgボギボギボ木bごbごgbごいっぎgbごgびごggggggggg」

 あゆむちゃーーーーーん!!!!!!

「…………!!」

「オ、オイ!! キサマ!! ナゼダッシュツスイッチのチカクへイク!? ハナレロ!」

「…………ぎぼ~ん」

「イミワカラナイコトをイウナ!! ソノスイッチにフレテモミロ……スグにデモチキュウを……」

「…………あぼ~ん」

「ソウダヨ!! アボ~ンシチャウンダヨ!! ヤメトケッテ!!」

 おやおや……。こうなっちゃったら、あゆむちゃんは止まらないよ~。

「ナンダト!?」

 たいへん! 宇宙人さん、座標をわざわざあゆむちゃんの家に設定したのが、裏目に出ちゃったみたいだね~。このままじゃあゆむちゃん、スイッチをおしちゃうよ~。

「フ、フン!! ヤレルモノナラ!!」

 あれれ~? そんな余裕はあるのかな~? 宇宙人さんは、この星の検体を探さなくちゃいけないんだよね~? だとしたら、私たちを逃がしちゃって、しかも地球を爆破したら、二度と検体は手に入らないんじゃないのかな~? あれ~?

「オ、オドシのツモリか!? ソレナラバ、モウイチドベツのケンタイをサラッテカラバクハツサセルマデヨ!!」

 おやや~?? おかしいね~。さっきまで、そんな悠長なことをしている時間はもうない、って言ってたのに~?

「ウグッ……」

 気づけよ、異星人野郎。既に立場は逆転してるんだよ……。追い込まれてるのはこっちじゃない。とっくにお前達の方なんだよ……!!

「グウウウウウウ、グソオオオオオオ……キュウにセリフキメテキヤガッテエエエエエエ」

 あゆむちゃん!!

「…………おす」

「ヤメロ!! オスンジャナイ!!」

「…………」

 あゆむちゃん!! おすのよ!!

「ヤメテクレ!! ケンタイをウシナッタラ……ワレワレはニンムシッパイとナッテ……」

「………………」

 あゆむちゃん!!

「ゴショウダ……!! タノム!! ヤメテクレ!!」

 だからって、私達が生贄になるなんてごめんよ!! あゆむちゃん!!

「ワカッタ!! マジメなハナシ!! マジなハナシスルト、ソノキンキュウダッシュツスイッチはジバクをトモナッテハツドウスルスイッチダカラ、チョットキケンナンスヨ!!」

 あ、ヤベっ!! あゆむちゃん、ちょっとタンマ――


 こけっ


「ウギャアアアアアアアアア!!!!」

 あゆむちゃーーーーーん!!!!! ドジっ子なんだからああああ!!!!!





「遅かったわねあゆむ。こんな時間じゃ、もうお夕飯に間に合わないわよ」

「…………」

「どうするのよもう……。今日はサラダ作る予定だったのに……。まあ、いいわ。とりあえず買ってきたものみせなさい」

「…………」

「なに? もしかして間違えた訳じゃないでしょうね? それとも、落としてきた?」

「…………出来あがった物が……こちらになります」

「なっ!?」

(既にサラダができているーー!? くっ!! 加工後とは……。これでは間違えて買ってきたことも、夕飯でサラダを作る時間がないことも責める理由がなくなった……!)

「……し、仕方ないわね。ちゃんとおつかいできたみたいだし、今日はコレでいいわ…………ただし」

「…………」

「遅くなった罰として、あゆむちゃんは今日はお夕飯抜き!! このサラダも食べちゃダメ!! わかった?」


「…………………………」









「にや」

 来週からは、野球中継をお送りするよっ!!! ばいば~~い!!

基本的に、一般利用者の方からも感想を寄せて頂けるよう設定していますので、私のぺージに訪れた際には、是非とも一言置き土産をくださるとニトログリセリン級の燃料になります。

まあ、この作品に関しては特に関係のない話ですね!


orz

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