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外伝。ひかりのゆうしゃさいどのはなし。

(自称)勇者のお話。

読まなくても本編に影響はありません。

俺は夢を見ていた。

夢の中で俺はボロボロに負けていた。

よりによって小さなガキと女に。

ここは伝説と化している塔の中。魔王が住む、という伝説。

魔王を退治するために俺はここに来た。

着いて来たのは俺のお付きのオルト、神官のコンラート、魔導士のビシュラ。

それぞれが頼もしい仲間。今までも苦しい局面は幾度となくあったがみんなで乗り越えてきた。

なのに、今。

この局面を乗り越えられないでいる。

夢だ。

これは悪い夢なんだ。

じゃなければ、後ろ手に正座させられて太腿に石を置かれるなんていう状況の説明がつかないじゃないか。

そうだ、目が覚めるまでの我慢だ。目が覚めたらきっとまだ宿屋で、ちょうどモーニングサービスが来る頃に違いない。

コーヒーは苦いから砂糖とミルクをたっぷり入れて。

あ?砂糖やミルクは贅沢品?良いんだよ!俺は『光の勇者』なんだから!

さっきから口の中は鉄の味がしてしょうがないが、きっとあれだ、寝返りをうった時に顔をどこかにぶつけたに違いない。


光の勇者であるこの俺が負けるなんて夢だ!夢に決まってる!


だが、太腿の痛みが悪夢ですらない『現実』だという事を雄弁に語っていた…。


「まさか魔王がこんな子供だったとは…」











黒いローブを纏った子供が俺たちが入った部屋の奥にあるやたら豪華な椅子に所在無げに座ってたんだ。

ナリは小さくても魔力は高いのかもしれない。

なんって言ったって『魔王』を名乗るくらいだからな!


「やっと見つけたぞ魔王め!光の勇者ヴァッカーとその仲間たちが世界に害悪を撒き散らす貴様を退治してくれる!覚悟!」

キマッた!これ以上無いっていうくらいキマッた!今の俺超カッケー!今の俺超輝いてる!光の勇者だしな!

奥にいる魔王がなんか言っているが、万が一にも魔法の詠唱等されていたらこっちに都合が悪い。

「問答無用!覚悟!」

俺は颯爽と腰に差している『ライトスォ~ド』を抜いた。『光の剣』と言う公式の名がある剣だが俺は『ライトスォ~ド』と呼んでいる。

何故なら…こっちの方がかっこいいからだ!

この『ライトスォ~ド』、キレッキレに切れまくる。今まで切れなかった物は無かった。

いつだったか、鞘に仕舞い損ねて足に落としたことが有ったが、俺の足も危うく真っ二つになるところをコンラートが治してくれた。

『ライトスォ~ド』恐ろしい子。

コンラートは神への感謝を形で表して欲しいとか言って金貨5枚も持って行きやがった。

この生臭坊主め。

おっと、話が逸れてしまったが、俺は剣を抜きフルプレートアーマーでガチガチに装備を固めたオルトはメイスを持って前進。

コンラートとビシュラは呪文詠唱のための準備をし始めた。

途端。


ドアがひとりでに閉まった。

同時に通路に並べられていた石像が動き出す。

「うおっ!なんだ?急に鎧が重くなったぞ!」


馬鹿な!オルトの鎧は軽量化の魔法付与がされていて、レザーアーマーより軽いって言うキャッチフレーズの下、騎士の間で売れに売れて半年分のバックオーダーが控えてる超高級品だぞ。

「ま、魔法が発動しない!」

絶叫するビシュラ。

魔法が使えなければ彼女は只の人。叫びたくもなるだろう。しかもすぐそばにまで石像が来ているとなれば。

「神に声が届かない!」

あ~、とうとう神に見放されたんじゃね?生臭いことばっかしてっから。

だが、神聖魔法が使えなければ(以下r

逃げようとドアを開けようとする二人。


「慌てるな!この光の剣さえあれば、ゴーレムなんて!!」

そう、俺には『ライトスォ~ド』がある!

こんな石像の1体や30体や60体…いや、さすがに60体は多くね?

一番近くに居た石像に上段から袈裟懸けに切る。

『ガイン!』

確かな手応え!と同時に

『パキン!』

え???

ぱきん?

『ライトスォ~ド』は真ん中から折れていた。カランカランと言う乾いた音だけが響く。

「そ、そんな、我が王国に代々伝わる光の剣が折れるなんて!」

『ライトスォ~ド』は古くから我が王国に伝わる剣だ。俺のご先祖様が武勲を立てた時国王から拝領したと言う話を聞いている。

有り得ない出来事に思考が停止する。

次の瞬間、俺の視界の隅をオルトが飛んでいった。人って飛べるんだな。

壁に激突したオルトはピクリともしなくなった。


「なんで?!なんでドアが開かないのよ!」

ビシュラがヒステリックに叫ぶ。横でコンラートが扉に蹴りを入れているがビクともしない。


後衛は役たたずにされ、『ライトスォ~ド』は真っ二つ。頼りになる我が盟友オルトは壁に張り付いたまま。


これは夢か?


石像はどんどんこちらに近づいて…


「「い、いやああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」



次に目を覚ました時、なぜか後ろ手に縛られ正座させられて太腿に石が乗っかってた。

意味がわからん。

夢だ。

これは悪い夢なんだ。

じゃなければ、後ろ手に正座させられて太腿に石を置かれるなんていう状況の説明がつかないじゃないか。



(自称)勇者の名前はヴァッカー。バカではありません。

ドイツ語で『活発な人』って意味です。確か。

まぁ、ヴァカなんですけど。

オルトは『剣』でも持っていたのはメイス。

コンラートは『頭の良い助言者』なんですが。頭良いどころか、生臭坊主。

ビシュラは『可愛い』って、可愛さ出せないのは作者の力量不足。許せ。

これ以降、出てくる予定も(今の所)ないのでスポット早めに当てておきました。

合掌。

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