しいんがはんめいしました。
2話目です。もうすでにgdgd。
『おーい』
遠くで声が聞こえる。
『おーい!』
なんだよ煩いな。
『起きろ!コラ!』
頭にすぱこーん!という衝撃が走る。
痛みはない。
まるでスリッパかなにかで叩かれたような…と思いながら目を開けると。
何も無い、真っ白な空間に綺麗なおねいさんがスリッパを持って仁王立ちしてた。
「えーと」
『黙れ』
「はい」
有無を言わせねぇ。すごい迫力。美人なのに。美人だからか。
『ふむ』
美人さんはどこから取り出したのか分厚い本をまたどこから取り出したのか分からない眼鏡をかけて暫く読んでいたけど。
『コイツ…マジか?』
何か納得いってないみたい。
気がついたら正座してた僕の方を一瞥して、
『あ~、タテヤマ君?この度はご愁傷さまでした。』
と、事務的に、且つ棒読みでのたまわりましたよ?
「え?」
『だからね、君は亡くなったの。死んだの。』
「え??」
『クエスチョンマーク増やしたからって事実は変わらないから。』
僕が?死んだ?何で?
「なんで?」
『女の子の家で遭難…てなってるけど』
本をペラペラと捲りながら美人さんは答えてくれた。
「え???」
『直接的な死因は…脳挫傷。当たり所が悪かったんだね。』
だんだん美人さんが憐れみというか、残念な物を見るような目線でこっちを見てくる。
「え????あの部屋にそんな重いのあった感じなかったよ?やたら薄い本が山のように有ったけど。」
あとは、塵だったような。
『あぁ、`[こみっくまーけつと]とやらのカタログの角が頭にぶつかったのが直接の死因だ。』
「そんな死因有るんか!」
思わずつっこんだ。そんなカタログが当たって死ぬとか、嫌すぎる。
『有る。だからお前は此処に居るんだろう?』
そ、そうなの?そんな死因で僕死んじゃったの?
ちょっとまて、落ち着け。そんなギャグみたいな死因で死んでたまるか。
そうだ、これは夢だ、夢に違いない。
『あ~、気持ちはわかるが、夢じゃないから。』
「あんたに何が分かる!青春まっしぐらな18才で童貞でやっとこさ初めて入ることができた女の子、そりゃ彼女じゃなかったさ、でもこれからの展開に期待とか、ちょっとは期待もできないこともない、否、あの部屋の状況知ったらちょっとは引くがそれでもやっとこれから明るい未来が見えて彼女とキャッキャウフフしながらキャンパスライフ堪能したあと一流企業に就職して3年後に彼女と結婚、その2年後に女の子『はいストップ』、さらに1年後に男の子を『五月蝿い』はい」
いつのまにか本をしまった美人さんは代わりに右手にスリッパを装備していた。
五月蝿いと同時に右頬にスリッパ喰らったら大抵の人は黙ると思う。
『まぁ、貴方の事なんかどうでもいいんだけど』
人にスリッパ喰らわせておいて面倒臭そうな顔してる。
美人だけど。
『このままだと輪廻の輪に加わる事になるわね。』
え?もう僕の死因はどうでも良いことになってるの?
『貴方は前世で大した業も無いから、次は…スベスベマンジュウガニに転生できるわ。よかったわね。』
え?スベスベマンジュウガニ?
『元居た星…ええと、地球?で転生するとだけど』
「人間て選択肢は…?」
できれば人間が良いんだけど。
『はぁ。皆そう言うわけ!わかる?誰も彼も自己主張ばっかりで人間にしかならなかったら地球の自然は駄目になってしまうのよ?自然は転生も含めたバランスで成り立ってるの!貴方一人の我儘を聞いてられないのよ!』
いや、そんなにきつく言わなくても。しかもスベスベマンジュウガニって。
『貴方…スベスベマンジュウガニを馬鹿にしてるのね?』
馬鹿にするもなにも、初めて聞くんですけど。スベスベマンジュウガニ。
『スベスベマンジュウガニは凄いのよ!毒を持ってるんだから!貴方何か持ってる?何もないでしょう?』
なぜか得意気な美人さん。
まぁ、大抵の人間は何も持ってないわけですが。
この美人さんの中では人間<スベスベマンジュウガニという構図らしい。
「あの?」
『なに?スベスベマンジュウガニになるきになった?』
「いえ、スベスベマンジュウガニは最後の選択として、他に選択肢は?何かないんですか?」
せめて哺乳類、いや、せめて爬虫類。最悪鳥類でも良い!せめて脊椎動物で!
『あぁ…そうね?全く輪廻の輪から外れても良いって言うなら、あるわ。』
小さくため息をつく美人さん。あるんかい。そんな方法が。
『ただ、輪廻の輪から外れるってことは、それまでの貴方の縁を全て破棄するのと同義よ?その辺分かるかしら?』
まぁよく分からないけど、スベスベマンジュウガニよりはましじゃないか?
「スベスベマンジュウガニ以外の方向でお願いします。」
『そこまで意固地にされるとむしろスベスベマンジュウガニにさせたくなるんだけど。』
「いや、ホント勘弁してください。」
この作品はふぃくしょんだす。