第2章 迷宮での日々と探索者達 1話
本編になりました、文体に纏まりが出ません。
初戦闘がありますが、この描写で行けるか不安です。
初の転移先はユグラード大陸南部の小国であるアフレッド王国、亜人が多く活気に溢れた国であり、存在する迷宮の難易も低くて、魔物も弱い部類で治安も良い。
一瞬の浮遊感の後目を開けると草原ではなく、剥き出しの赤茶色の岩石で囲まれた空間にいた。空気は澄んでおり綺麗な水をたたえた泉もあり、天井から降り注ぐ光が神秘的で美しい。
景色に見惚れて放心していると、アルに声をかけられた。
「いよいよココから始まるのじゃな、コウとは長い付き合いになるの、まずは一歩共に踏み出そうか、ヨロシクのコウ!」良い笑顔?の狼にドキッっとして直ぐに反応出来ませんでした。
まずは迷宮がどの様なモノか?自分の実力はどの程度通用するのかを確認するために迷宮に潜る事にする。
完全に装備が装着されているかを確認し、腰から剣を抜き点検し終えるとアルがこちらを優しく見ていてくれて嬉しかった。
「準備出来たよ、行こうか!」と言い放ち、岩壁にポッカリと空いた迷宮一層目に続く階段に向う、スカルフルフェイスのシールドを下げ薄暗くヒンヤリとした階段を降りた先には、ホールの雰囲気と変わって綺麗な石壁に囲まれた緑豊かな空間が広がっていた。
「すごいな、地下とは思えないな。」と洩らした言葉にアルが答えてくれた。迷宮は地下に広がっているのでは無くて、工房や部屋と同じで亜空間として広がっているのだと。
周囲を警戒しつつ、迷宮内を観察しながらアルに先導してもらい進んで行く。アルが居るので自分はあまり気にしなくて大丈夫と言われているが、初めての実戦がこの後あると思うと緊張が抜けない。
探索しつつアルの指示で薬草やキノコなど錬金術で使える素材を採取を行う。見事な大樹の根元で麻痺解除薬に使うキノコを採っているとアルが注意をうながす、魔物が近づいて来たようだ。
「左前方の茂みの奥から魔物が来ておる、数は3じゃの、一階層の魔物じゃコウ一人で処理せよ。」
頷きを返し、立ち上がり腰から剣を抜き盾を構える、静かに深呼吸をし緊張をほぐすと、左前方の茂みの脇に気配を消し潜む。
茂みが揺れ現れたのは身長が1mほどの醜い容姿の額に小さな角があり背中に蝙蝠のような小さな羽をもつ魔物が三体、俺に気付かず通りすぎていく。
今が絶好のチャンスと覚悟を決め、一番手前に居る魔物の肩口へと振り上げた剣を降り下ろすと鈍い抵抗を感じながらも両断する。勢いにまかせ振り向いた2体目の頭をシールドの先端で殴ると、めり込んでしまい抜けなくなりドキッっとするが腹を蹴り飛ばし盾を抜くと最後の魔物がコチラに向い枯れ枝の様な腕を突き出し、牙を剥きながら襲いかかって来たが、盾を構え半身になり剣を突き出し迎え打っと剣に頭を突っ込み絶命したようで盾に衝撃はこなかった。
呼吸が止まっている事に気付いたので、ゆっくり深く呼吸し残心する。他に魔物はいないようだが警戒を解かずアルがやって来るのを待つ。魔物の遺体は溶けるように姿を失い床へと染み込み消えた。後に残ったのは親指大の赤い魔石と小指の先程の角だった。
「弱いとは言え、インプを三体瞬刹とは驚かせてもらったわ、コウは実戦の経験があるように思えたがの?」
真っ直ぐ見つめられ褒められると居心地が悪く苦笑いを返すしかなかった。平和な日本では命懸けで戦う事は無いとは言え、俺に関してもそう変わらないまでも、田舎の旧家の長男として産まれたら多少の武道や武術は仕込まれる。家を守る為にと、そんな過去が頭に過り顔が引き吊ってしまった。思い出したくはない、あそこから俺は逃げ出したのだ。
不思議そうに首を傾げて見上げるアルに気が付き、可愛らしい仕草に癒され我に帰り、今度は自然と笑い返せただろうか。
「本当に実戦は初めてだよ、ただ訓練はしてたことがアルだけだよ。」
納得してくれたのかアルは頷き一言、見事だったと褒めてくれた。
ドロップを回収し腕輪に放り込み探索に戻る。
少し嫌なことを思い出したが、迷宮内で気を緩める事は出来ない、頭を振り気合いを入れ直しアルにつづく。
主人公の過去を少しずつ書こうかと思います。
自己評価の低い彼には色々あります。
次回もまだ探索です。