14話
ペースアップして切の良い所まで話を進めます。
ギルドで少々酔いも回り、街の評判の食堂で美味しい昼食を4人で食べ、一度宿に戻る事にし午後からシルビア姉妹から新魔法技術の講習を受ける事になったので、少し休んで急いで酔いを醒ます。
戻って直ぐアルは姉妹の部屋で何やら上機嫌に話しこんでいる様なので、男一人では居心地が悪し少しユックリする事にした。
酔いも醒め頭もスッキリさせたので声を掛けに3人が待つ部屋へと向かい扉の前に立つ。
仲良くなった3人の賑やかな話し声が聞こえた後「どうぞ、入ってください。」とシルビアが扉を開けて迎えてくれた。
姉妹はベットに腰を掛け、アルと俺は椅子に座り向かい合い、改めて新魔法の習得を頼み頭を下げた。
「少しでもこの魔法が広がり人々の生活が豊かにするのが目的ですから、そんなに畏まらないでください。」とシルビアが言い、セレナも頷いて同意を示していた。
「ありがとう、そう言って貰えると嬉よ。」と返し、気を引き締め新魔法についての説明を聞く。
新魔法は今の魔法と違い、現象を発現させる為の方法と手順が根底から異なる。
今の魔法は現象の発現を術者の魔力で満たした空間を広げ囲んだ空間内で、術者が発現する現象をイメージし、満たした魔力に方向性を与え発現場所や規模を指定して発現に至る。
一連の手順が全てマニュアル操作なのに対して、新魔法は発現する現象の場所の指定を最初にした後は威力や現象が術式として込められた魔方陣を術者の魔力で構築し発動させ発現へと至るオートマ操作と言える。
現象の発現までで消費する魔力の消費量が格段に違い、術者による効果も安定している。
今の魔法も悪い所ばかりでなく、術者の腕が直接効果へとつながり状況に合わせた応用も利くが効率が悪い。
そんな説明を聞き、この新魔法を考案した賢者が同郷の出身じゃないかと言う思いを深める。
発想の仕方の違いなんだろうが、省エネルギー高性能で同一規格の考え方は前の世界に溢れていた考え方だ。
その後魔方陣の構成や構成する記号の説明を例を挙げ説明してくれるシルビアの説明は解かりやすく、新たな魔法に関しての理解を進めた。
概要を一通り聞き終わり質問などを繰り返すと夕食の時間となったので、今日は宿の食堂で4人とも一緒に食べることにした。
夕食後に明日は朝食後に街の外に行き今日学んだ概要の復讐と実践を行う事に決めて、今日は解散し明日に備えることとなった。
アルと今日教えて貰った新魔法について感想を話し合い、アルが大きな欠伸をしたのでお風呂を勧め、俺も汗を流し終えるとそのまま寝ることにし一日が終わった。
今朝はスッキリと目を覚ます事が出来た。
初めて使う魔法に心が躍り寝れないかとも思ったが、翌日に胸をときめかせ眠れなくなるような歳ではなくなってしまった様で少し寂しく思うが。
朝食を4人で食べ身支度を終えると街の東門から出て近くの森へと向う、途中昼食になるような物を屋台で購入する事も忘れてはいない、パンに野菜と肉を挟んだサンドイッチの様な物と果実を絞った果汁のジュースを皮袋の水筒に各自買っておいた。
道中は何も無く無事に森に着き、奥に進むと少し開けて見通しのよい場所が見つかりここで魔法の実践練習を行う事になった。
「では昨日の復習を行いますね、私が質問するのでコウさんとアルさんで答えて下さいね。」とシルビアが言い今日の講習が始まった。
質問内容は昨日教わった内容で十分に答えられる内容で、俺もアルも難なく答える事が出来た。
「はい、結構です。概要は完璧に理解して戴けてるようで良かったぁ。」と安堵の表情でシルビアが言いセレナも「二人とも理解が早い…」と小さな声で褒めてくれた。
「では、さっそく実践練習を始めましょう。適正がありますが多分お二人なら大丈夫と思います、魔力の量も十分にお持ちなようですし。」と言い終えるとシルビアは立ち上がり少し距離を取った。
「では、最初は昨日お教えした初級魔法をお見せします。ファイアボールは昨日説明した構成の魔方陣ですのでどの様な魔法か見てください。」と言った後シルビアが手を構え魔方陣を前方に構築し、魔方陣から20cmほどの赤い炎の塊が現れるとシルビアから少し離れた場所にある大きめの岩に向け飛び出し、岩に当ると炎の固まりは弾け岩を包み炎が岩を焦がして消えた。
まさにイメージ通りのファイアボールで、自然とテンションも上がる。
「魔方陣の構成は慣れると眼に見えないような速さで行う事が出来るので頑張って下さいね。」にこやかにシルビアが言い俺とアルの実践練習が始まった。
俺にはシルビアが付いてくれ、アルにはセレナが付き新魔法の発現までを各工程を一つづつ丁寧に確認し教えてくれた。
結果アルと俺も魔方陣を魔力で構築する所に躓いたがそれ以外の工程では困る事も無くファイアボールを1時間程度でマスターする事ができ、シルビアとセレナを大いに驚かせた。
基礎能力がチートな俺と精霊のアルだから当然の結果と言えるかもしれないが。
「お二人とも素晴らしいですね、一週間は掛かると思ってましたが早すぎですよ本当に。」と感心と困惑の見える表情のシルビアが「これでお二人の才能と適正を確認しましたので、後は各魔法の魔方陣の知識を転写させて頂き魔法の伝授は終了です。」と驚きの内容を口にする。
「知識の転写とかもあるんだね、ずいぶん魔法の幅がひろいね。」と驚き動揺の隠せない俺の発言にシルビアが「魔法を効率良く広める為に賢者が編み出された奥義ですから、お二人には転写の魔法はお渡しできませんがそれ以外の全てをお教えしますから。」と答えてくれた。
転写は脳に軽くない負担が掛かるそうなので宿に戻りベットで横になり行う事になった。
ご都合主義と言うか、なんと言うか順調すぎる新しいスキルの習得が嬉しいような、納得できないような複雑な気分のまま森で昼食を摂り街へと戻る。
街に入る際に支払う税金が少し納得行かなかったのは、あっさり終わってしまった魔法習得のせいに違いない。
シルビアとセレナに貰った魔法知識は一晩の眠れないような頭痛に見合う以上に有用で数も多く、光闇火風水土の6属性の魔法を発動させる魔方陣の知識は魔方陣の構成を組変える事で無限と思われる応用が効く素晴らしい魔法技術の結晶でした。
これは武器に魔方陣を組み込み、魔力を流せば限定付き魔法武器になるんじゃない?とアイデアも湧いたので日を改め実験することを決め、オークションまでの2日は俺、アル、シルビアにセレナと4人で迷宮に探索に出掛け、魔法の実戦戦闘と資金稼ぎを行う事を四人で決めた。
シルビアとセレナにお礼も兼ねて武器と防具を作ろうと工房へ軽く痛む頭をポーションで回復しながら向う。
徹夜すれば朝には完成できるかな?
無理がありますがこれで新魔法習得は一区切りです、次回は製作と探索です。
更新も毎日とは行かなくなりますが、書き上げ次第投稿させて頂きます。
読んで下さってる皆様には感謝がつきません。
完結までよろしくお願いします。