5話
探索とお出かけの下準備前編?
アルは着る物にはこだわりがあるようです。
昨日は初戦闘や探索者との出会いなどで気分が昂っていたのか、ナカナカ寝付くことが出来ずにいるとアルがベットから起きてお酒を持ってきてくれた、お酒に酔う感覚は好きでなく、飲むとスグ眠くなる体質の自分にはもってこいの睡眠導入剤だった、飲みながら色々話そうと気を使ってくれたのだろうが10分程度でまぶたが重くなり夢の中に落ちた。
なれないソファーで寝たためにアッチらコチラこり固まった体をほぐす為に大きく伸びをして、柔軟体操をしてると、アルも起きたようで寝癖の付いた頭で大きなあくびをしながら体を伸ばしてた。その姿が可愛すぎて凝視してると、視線を感じたのか首をかしげながら「おはよ、どうかしたの?」と聞かれたが正直に言えるはずも無く、「寝癖すごいね、直しておいでよ。」と何とか怪しくない程度に返すことができた。
アルが身支度をしている間に今日はどうしようかと考える。
昨日の話では、このアフレッドの迷宮は25階層まで探索は終了しているようだが、取りあえずは昨日の5階層をクリアし、今日中に10階層の転移ポータルまでは探索出来ればいいかな、定期的に構造を変える迷宮とは言え、昨日の今日では変わらないので、アルにナビゲートしてもらい極力戦闘を避けながら先に進もうと決めたが、アルの装備と武器、後俺の長柄を午前中に作ろうかな?探索が午後からだと時間が足りないか、どうするかなと迷いながら、二人になって初めて横に並んで朝食を食べて出立の準備をする。昨日ホールまで戻らなきゃ良かったと思っているのは秘密です。
装備と道具を整える為に、アルと相談しながら今日は一日工房に篭ることになりました。
どんな装備がいいの?と聞くと昨日知り合った獣人の少女のような感じの動きやすい革の鎧と弓と矢があれば良いという事なので、参考資料を見ながら設計とデザインを詰めていく。
女性の服選びは長いとは知ってもいたし経験もしてましたが、午前中に全体が決まる事はありませんでした、とりあえずと候補の一つで妥協してもらいます。人の姿になったアルはとても魅力的なのですが、姿に精神が引っ張られるのかとても幼い感じです。昔を思い出しそうなので思考を止め昼食にする事にしていったん工房を後にします。
昼食と休憩で午前中に疲弊した精神力を回復させ、工房へと戻り錬金を始めます。
まずは頭からです、軽く動きやすいそれなりの防御という事で、「無難に厚手の革製帽子かな。」と聞くと答えはNOでした、考えた結果今回作るのは鉢金や額当てと言われる物にします。有名なのは狐を体に飼っている少年忍者の漫画のアレです。
用意するのは綿の生地と銀のインゴット、そしてクロム合金、金属部分は小量なので多少重い金属でも問題はないかな?額を覆うような形のクロム合金の板が銀を糸状にして編みこまれた薄紫色の綿の生地に留められた額当てが出来た。
金属部には草花の意匠が細かく彫金されておりナカナカの見栄えと思う。
上半身と下半身の装備はレザーシャツ+レザージャケットで胸と肩に鋼の鉄板で補強を入れる、色は白く、厚めの牛革と軟らかくなめしたヤギ革に鋼である、セットの太目のベルトには鋼の薄い板を付けて、少しでも防御力をあげる。今日だけでは付与魔法は武器にしか掛けられないので、苦渋の決断です。
手足も革製のグローブとブーツにしたかったのですが、アルNGが入りブーツではなくひざ下まで
編み上げるサンダル?みたいな物です、グラディエーターサンダルもどきです。脛の部分には細かい金属板で補強し鋲を沢山打ったロックな仕上がりになりました、色は希望で黒です。茶色が似合うと思ったのですが乙女心は難しいです。
3時間あまりの時間を掛けて錬金し終え、休憩を入れる俺の横で出来たばかりの装備に身を包み嬉しそうにはしゃいでいて癒された、これだけ喜んでくれたなら苦労した甲斐がある。
いよいよ武器の練金だ、防具より武器の錬金の方が気合が入る。弓も槍の初めて造るのでなおさらだ、アルの武器はショートボウかな?と思っていたのだが、これもアルのご希望によりロングボウになりました。
木材と金属の複合素材で弱い力でも引けるように構造を工夫したコンポジットボウにした、バネ鋼の厚さの判断に苦労したが、シンプルながら金属部分に彫金を施し繊細で美しい仕上がりとなった。矢は鋼と木材を錬金すると10本単位で造れるようで5セット用意して、矢を入れる矢筒も革と銀で見た目良く仕上げる、矢筒には20本矢が入る仕様です。
最後はいよいよ自分の武器だ、形は最初から決めてある、十字槍はバサラの真田と言えば分かって貰えるだろうか?、突けば槍、薙げば薙刀、打てば棍の多様な攻撃が出来るハルバートの日本版と言えるのではないだろうか、総長さは2m40cmで刃部分は60cm、刃と石突材質はタングステン合金3kgと柄はアルミ合金3kgの合計6kgで握りには青く染め上げた鮫革と麻紐を巻いて滑り止めとする。柄は骨のような構造で強度を上げ軽量化に勤めた満足の行く一品だ。
その後付与魔術を行うために休憩と瞑想して精神を高めてから、付与魔術で、弓に命中性能向上と槍には剣と同じ攻撃速度上昇を掛け仕上げる。
基礎レベルと錬金レベルが上がったが、付与レベルは上がらなかった。
以下製作した品を箇条書きで
[兜]紫銀の額当て
グレードC下級
(防御力+28 スキルスロットル+1)
[上防具]ホワイトレザーコートセット+
グレードD中級
(防御力+26 スキルスロット+1 )
[下身鎧]ホワイトレザーホース
グレードD中級
(防御力+25 スキルスロットなし )
[腕具]ホワイトレザーグローブ
グレードD中級
(防御力+25 スキルスロットなし)
[足具]ブラックレザーサンダルブーツ+
グレードC下級
(防御力+30 スキルスロット+1)
[弓]メタルコンポジットボウ+
グレードC下級
《銘》鷹:攻撃命中率上昇+12%
(攻撃力+33 スキルスロット+1)
[槍]十字の蒼槍+
グレードC中級
《銘》隼:攻撃速度上昇+5%
(攻撃力+56 スキルスロット+1)
話は進みませんが製作が重要なこのお話
こう言った場面は減らしたり省略する方がいいのでしょうか。
ご意見を聞かせて頂くと参考にさせて頂きます。